モラハラ夫を後悔させるには離婚話しかない?
暴言や高圧的な態度、無視などによって相手を精神的に追い詰めるモラハラ。特に夫の収入に生活費を頼っている夫婦間で起こることが多いようです。家庭内のことは外から見えにくく、周囲もなかなか気づきません。
まずはモラハラであることを自覚させる
夫のモラハラ被害で苦しんでいる方には信じられない話かもしれませんが、本当に本人は自分でやっていることがモラハラにあたると自覚していないことがあります。常に自分が正しいと思っている夫は、妻に対する暴言を相手のために言っていると思い込んでいることが多いのです。
ただ、そこにあるのは相手に対する思いやりではなく、「自分が正しいことを教えてやる」「俺が教えてやらないと何もできない」という傲慢さです。
こうした気質の人はモラハラを自覚できず、なかなか態度も改まりません。まずは、自分のモラハラ気質を自覚させることが重要になります。
どうしても認めない場合は離婚話を
モラハラ夫の多くは自分が加害者であることに気づいていないと言われますが、中にはある程度自覚のある人もいます。ただ、モラハラをする人は、そういう自分の弱さを認めたくないという感情が強く、簡単に反省したり後悔したりはしません。
ある程度、妻にハラスメントをしているという自覚がある可能性があるのは、次のようなタイプの夫です。
・自分のことを頼りにしてほしくて、強い言葉を発する
・妻と離れるのが不安で、干渉したり監視したりする
・わざと無視すれば、自分に関心をもってくれるのではないかと考える
・自分のほうが優位な立場にあることを妻に認めさせたい
・困惑させることで妻の愛情を確認したい
また、モラハラは「パーソナリティー障害」という精神疾患の一種によって、引き起こされることがあると言われています。特に自分への注目や賞賛を求める気質の強いタイプがそうです。
軽々しく病気だと決めつけることは避けなくてはなりませんが、感情の起伏が激しいときやあまりに激情するようなときは、専門医に相談してみてもよいでしょう。
このようにある程度自覚を持つモラハラ夫は、適切な対応によって自分の行為を後悔し、反省してくれるかもしれません。しかし、全く無自覚な場合は対応が困難です。離婚話も視野に入れ、強い態度で臨む必要もでてきます。
モラハラ夫の特徴
自覚のないモラハラ夫には、どのような特徴があるのでしょうか。主な特徴を紹介します。
プライドが高く、見栄っ張り
モラハラ夫に多い特徴はプライドの高さです。決して人に弱みを見せようとせず、自分の強さを誇示しようとする、見栄っ張りなところがあります。実際に高学歴で社会的地位を得て、自分の現在の境遇に絶対的な自信を持っている人も少なくありません。
こうしたプライドから妻を見下し、妻は自分より劣った人間だと考えます。家庭内では妻に対し「お前はダメな奴だから、俺の言うことに従え」「俺の言うことに間違いはない」などと高圧的な態度をとり、妻を服従させようとします。
他の人には人当たりが良い
プライドが高く、周囲からも一目置かれたいモラハラ夫は、社会的地位にふさわしい立派な家庭人だと思われるよう、良き夫であり良き父親であるかのように振る舞います。
人を見下し、失敗の責任を他人に押し付ける
モラハラ夫は決して自分の過ちや失敗を認めようとはしません。どう見ても、本人が間違っているときも、人のせいにしようとします。自分より劣っている者に対して過ちを認めたり謝罪したりすることは、屈辱だと思っています。
妻に対して、自分の責任を棚に上げ「お前が余計なことを言うから、こんなことになった」「お前がしっかりしていないせいだ」などと責任を転嫁します。
無視をしたり冷笑したりする
感情の起伏が激しく、些細なことに激情するのもモラハラ夫の特徴です。八つ当たりをして物を投げつけたり、ドアを激しく閉めて大きな音を立てたりします。一方で、気分を害すると、相手を無視したり、話しかけても小ばかにした態度を取ることもあります。
これらは、自分の不機嫌さを相手に気づかせようとする行為です。
「お前と話しても無駄だ」「何も話すことはない」などと言って、妻を徹底的に軽んじ、価値を認めようとしません。
子供に妻の悪口を吹き込む
モラハラ夫は自分の優位性を保つため、子供に妻の悪口を吹き込むことがあります。子供に対しても、母親より父親のほうが優れているという意識を植え付けようとするのが狙いです。
子供に対して「母さんは本当にダメだな」「母さんみたいにはなるなよ」などと言い、子供がそれを信じてしまうと、母親に対し「あんなふうにはなりたくない」「かわいそうな人だ」という感情を抱くようになります。
モラハラ夫の弱点
モラハラをする夫は普段、強い人間であるかのように装っていますが、実はナルシストで弱さを抱えた人間です。そうした弱点を突けば、反省させ後悔させることができるかもしれません。
モラハラ夫が抱えがちな弱点を紹介します。
自分より立場が上の人間に逆らえない
プライドが高く虚勢を張るモラハラ夫は、本当に自分より立場が上の人に対しては逆らえません。自分より実力がある人にも頭が上がらない傾向があります。結局、自分より立場が弱そうな人にだけ、強い態度を取っているだけなのです。
もし、妻のほうが収入が高く、気も強ければ、夫はモラハラを仕掛けることができません。
世間体を気にする
モラハラ夫は周囲の人から「立派な人だ」と賞賛されたいと思っています。ですから、通常、モラハラ行為は家庭の中だけで行われます。
このため、妻に暴言を吐いたり高圧的な態度を取る一方で、妻に離婚を切り出されることを恐れていることがあります。それは離婚によって、「妻に逃げられた男」と見られ、世間体が悪くなるのが耐えられないからです。
世間体を気にするモラハラ夫には「離婚」というカードが最も有効かもしれません。
孤独に耐えられない
モラハラ夫が相手の欠点を執拗に攻撃するのは、「自分をもっと評価してほしい」という願望の裏返しです。結局、他人をけなしてまでも、注目を浴びたいという寂しい人間です。
このため、モラハラ夫は誰にも相手にされなくなると深く傷つきます。妻が夫に束縛や支配をされず、社交的でいると困ってしまうことでしょう。
モラハラ夫を後悔させる方法
モラハラ夫を反省させ、後悔させるには、性格の特徴や弱点を利用することが重要です。モラハラ夫を後悔させるために効果的な方法を紹介しましょう。
改心させるのは難しいかもしれませんが、後悔すればモラハラ夫も少しは大人しくなるでしょう。
嫌がらせを相手にしない
モラハラ夫が妻に嫌がらせをするのは、妻を屈服させ、自分に依存させたいからです。ですから、そんな夫の言うことは「はい、わかりました」と返事だけして受け流してしまいましょう。そして、あとは自由に行動するのです。
何を言っても自分に依存しない妻に夫は困惑し、1人で空回りしていることに気づき自信をなくしてしまうかもしれません。そうすれば、これまでのモラハラ行為を後悔させることができるでしょう。
周囲を味方につける
世間体をよくしたいモラハラ夫に対しては、その性格を逆手に取ってどんどん社交的になっていきましょう。そして、自分の味方を増やしていくのです。夫に、自分には対等な立場で交流できる仲間が多いことを見せつけてやりましょう。
モラハラ夫は、妻を家に縛り付けておきたがる傾向がありますが、それにも世間体を気にする弱点をつきます。「理解がある旦那さんでうらやましいと言われたわ」「妻の外出にうるさいとモラハラ夫って言われるんだって」と言っておけば何も言えなくなり、うまくいけば、後悔させることができるかもしれません。
離婚話を持ちかける
世間体を気にする性格で、実は妻がいないと何もできないモラハラ夫に対する切り札は、やはり離婚話でしょう。そのためには経済的に自立し、時には実家に支援してもらうことも必要ですが、いきなり離婚を突きつければモラハラ夫に大きなダメージを与えられるはずです。
実家に帰るなど一時的に距離を置くことも効果的ですが、本気で離婚を考えているのなら、弁護士に相談して準備を進めておくことも必要です。後悔させることだけが目的でも、離婚を切り出せば話がどう転ぶか分かりません。相手も態度を硬化させる可能性もありますから、慎重に検討しましょう。
モラハラ夫が離婚すると後悔するのはなぜ?
モラハラ夫に後悔させるには、離婚を切り出すのが一番有効です。なぜ、離婚がモラハラ夫に効果的なのでしょうか。
実は妻に依存しているから
モラハラ夫が妻を攻撃するのは、傷つけることが目的ではなく、最終的に自分に依存させ、支配下に置くためです。裏を返せば、妻を手放したくない。結局は妻に依存しているのです。
実際、モラハラ夫は家事ができません。妻に家を出ていかれると、家事ができないので困ってしまいます。
孤独に耐えられないから
モラハラ夫は、妻に「立派な人だ」と認めてもらいたいと思っています。自分に自信がないので、そばに自分を評価してくれる人を置いておきたいのです。
そんな妻がいなくなれば、モラハラ夫はたちまち孤独にさいなまれるでしょう。自信を失い、自分の言動を後悔するにちがいありません。
世間体が悪いから
世間体を気にするモラハラ夫は離婚という事態に追い込まれるのを嫌います。妻に離婚を切り出されると、逆上してしまうかもしれません。それだけ、精神的なダメージが大きいということです。
離婚するとなると、近所や職場で噂になり、理由もあれこれ詮索されます。世間体を気にするモラハラ夫には耐え難く、後悔させることに成功するでしょう。
モラハラ夫に離婚話をする前にやるべきことは?
モラハラは暴力などと違い、周囲から被害が見えにくく、加害者の夫も自覚がないため、離婚に漕ぎつけるのは容易ではありません。おそらく夫も一時的に反省して、離婚をとどまるよう説得を試みるでしょう。
夫の説得を聞き入れて離婚を回避し、丸く収まればいいのですが、それによって夫が「本気で離婚する気はない」と踏んで再びモラハラをエスカレートさせるケースもあります。
一度離婚を決意したら、強い気持ちを最後まで貫くことが大切です。離婚をする前に準備として重要なのは主に次の5点です。
・モラハラの証拠を記録しておく
・経済的に依存しないよう収入を確保する
・カウンセラーなどの専門家に相談する
・別居を検討する
・弁護士に相談する
モラハラを本人や周囲に認めさせるには録音や録画などによる証拠が不可欠です。また、夫に依存しないよう収入も確保しましょう。別居が長く続けば、離婚も認められやすくなります。離婚前に家を出て別居することも考えましょう。
離婚を決める前に、一度冷静に自分が置かれた立場や今後の見通しを考えることも必要です。いきなり弁護士に相談するのではなく、夫婦の問題に詳しいカウンセラーに相談するのも良い方法です。もちろん、離婚を有利に進めるには弁護士の力も必要です。
モラハラの証拠を残すという点では、メンタルクリニックを受診するのも有効な手段です。医師の診察を受けることで、夫のモラハラ行為が心身にどのような影響を及ぼしたのかをカルテに記録として残せます。もちろん、医師に話したモラハラ行為の内容も離婚協議を進めるうえで証拠となり得ます。
モラハラ夫を後悔させる為にはまず自覚させることから
自分が加害者であるという自覚に乏しいモラハラ夫を後悔させるのは至難の業。まずは、相手の性格や弱点を利用して、自分が「モラハラ夫」であることを自覚させるのが大切です。
最後の手段として「離婚」を切り出すのはかなり有効でしょう。相手の考えや性格も見極めたうえで、モラハラ夫に対抗してください。
弁護士法人 丸の内ソレイユ法律事務所(東京弁護士会所属)
2009年の事務所開設以来、女性側の離婚・男女問題の解決に注力しています。年間700件以上、累計5000件以上の相談実績があり、多様な離婚のノウハウを蓄積。経験豊富な男女20名の弁護士が所属し、新聞・テレビ・雑誌・Webなど多くのメディアからの取材も受けています。