物価高が続く中、夫の給料だけでは家計が厳しい状況にも関わらず、「裕福なわけでもないのに妻が働かない」と悩む夫が増えています。本記事では、働かない妻の心理から、夫婦での効果的な話し合い方、専門家への相談のタイミングまで、具体的な対処法を解説します。離婚に関する法的なポイントもまとめました。
将来を考えた時「人を助けることができる存在になりたい」という自分の想いに気付き、経済学部から法科大学院に進学して弁護士に。
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離婚問題は、夫婦間で話し合ううちに感情的になり、争いが複雑になってしまうケースが多々あります。 迅速かつ円滑に離婚するためには、離婚や別居が頭をよぎったらすぐに弁護士へご相談ください。 弁護士に相談するタイミングが早ければ早いほど、選択肢の幅が広がり、スムーズに離婚を進めやすくなります。

働かない妻にイライラが止まらない……
決して家計が楽なわけではないのに、働かないで家にいる妻にイライラしている男性の体験談をご紹介します。中には、離婚まで考える方もいるようです。

妻は専業主婦で、子どもが小学生になった今も働く気配がありません。家事はしてくれていますが、収入は私だけなので家計が苦しく、貯金も減る一方です。話し合いを何度も持ちましたが、パートすら無理だと言われ、このままでは離婚も考えざるを得ません。実家に相談しても「夫が養うのは当たり前」と言われました……。



結婚当初は共働きでしたが、子どもができてから妻は仕事を辞めました。育児に専念する気持ちは理解できますが、子さんが3歳になった今も「まだ早い」の一点張り。家事も完璧にこなしているわけではなく、掃除も適当です。生活費や将来の教育費を考えると不安で夜も眠れません。
離婚を前提に弁護士に相談したところ、まずは夫婦で話し合いを重ねるべきとアドバイスをもらいましたが、妻は「そんな余裕はないから無理」と取り合ってくれませんでした。
働こうとしない妻はいったい何を考えているのでしょうか。働かない妻の気持ちや心理のほか、働かない妻への対処法、離婚を考えたときのポイントなどを解説します。
働かない妻の心理とは?
妻が働かないのはなぜでしょうか。まずは、その心理を探ってみましょう。


家庭を優先したい
専業主婦として家事と育児に専念したいという思いは、多くの女性が抱える本音かもしれません。特に子どもが小さいうちは、成長過程に深く関わりたいという母親としての気持ちが強く働くことでしょう。掃除や料理などの家事を完璧にこなすことで、家族への愛情を表現したいという思いもあります。パートなど短時間であっても外での仕事を始めることで、今の家庭生活のバランスが崩れることへの不安も大きな要因となっているのかもしれません。
社会復帰への不安がある
ブランクがある中での再就職に対する妻の不安が、夫が想像する以上に大きい場合もあるでしょう。求人を探しても、時間的な制約から条件の合う仕事を見つけるのが難しく、さらに育児との両立への不安も重なります。以前のように仕事ができるか自信が持てず、面接に行く勇気も出ないという心理状態に陥りやすいのです。
家事や子育ての合間を縫って転職活動をすることへの精神的な負担も大きな壁となり、働かない理由となっている可能性があります。
経済的な余裕がある
夫の収入である程度の生活水準が保てている場合、あえてリスクを取って働く必要性を感じにくい心理が働く場合もあります。貯金が十分にあり、生活費にも余裕がある場合は特にその傾向が強くなります。
ただし、将来の家計に対する不安は感じつつも、今の専業主婦としての立場を守りたいという気持ちが優先されることも少なくありません。
夫婦間でのライフプランの相違
夫婦の間で、キャリアプランに対する時間軸の認識が異なっているケースが多く見られます。夫は今すぐにでも共働きを望んでいるのに対し、妻は子どもが小さいうちは育児に専念し、子育てがひと段落してから本格的に働きたいと考えているなど、ライフステージに応じた優先順位が夫婦間で異なっている場合もあります。
こうした認識の違いは夫婦間の話し合いが不足していることが要因となっており、お互いの将来設計をしっかりと共有することが重要です。
妻が働かないのはなぜ?|ケース別
子どもが小さく、手がかかるからと言って、仕事をやめて専業主婦になる妻がいます。しかし、子どももいずれはあまり手がかからなくなるはずですが、いつまでたっても働き始めてくれない妻がいます。また、子育て世帯でなくても最初から専業主婦となり、生活苦にも関わらず働く気配を見せない妻もいるようです。
妻が働かない心理や気持ちを、妻が働いた経験があるケースと、働いた経験がないケースに分けて説明します。


働いた経験があるケース
以前働いていたことがあるのに働かない妻は、もともと働くのがあまり好きではなく、以前の職場で人間関係などで嫌な思いをした経験があるのかもしれません。結婚を機に一度働くのをやめたことで、働かずにすむ気楽さに慣れてしまい、子育てが一段落しても再び働こうという気持ちにはならないのでしょう。
また、仕事というのは、段取りを覚えたり、職場環境に慣れたりするまでが大変です。10代や20代の頃であれば、若さや愛嬌で乗り切れることもありますが、30代を過ぎると「新しい仕事を覚えるのが面倒だ」と考える人もいます。こうした人は男女問わずいますが、新しいことにチャレンジしようという気持ちがあまりなく、今の生活を続けたいと考えがちです。
働いた経験がないケース
働いた経験があまりないまま結婚した女性は、仕事をすることに臆病になりがちです。自分より年下の先輩から仕事を教わることに抵抗を感じる人も多いでしょう。育児や家事と仕事を両立させることに不安がある場合もありますし、「働き始めたら、自分ばかり負担が増える」と思っているのかもしれません。
また「働きたくないから結婚した」「一生、夫に養ってもらうつもりでいる」という妻もいます。こうした妻は、最初から働く気がありません。夫が自営業であれば、接客や経理を手伝ってもらうこともできますが、サラリーマンの家庭ではそうもいきません。夫がどんなに頼んでも、妻は働く気にはならないのではないでしょうか。
【体験談】働かない主婦の特徴|働きたくない専業主婦の言い訳と本音とは
出典: リコ活MEDIA
働かない妻に働いてもらうには?
生活苦なのにもかかわらず、妻が働かない場合、妻をどのように説得すればいいのでしょうか。妻が断固として「働かない」と言っている場合は、難しいかもしれませんが、働くことに不安や迷いがある場合は、妻を後押しできる可能性もあります。働くかどうか迷っている妻の背中を優しく押す方法を紹介します。


家計や将来設計について話し合う
夫が「妻も働いてほしい」と思っているのに、妻は「働きたくない」と言っている時点で、2人の家計に対する考え方や将来設計に大きな差が生じています。これではこの先、平穏な結婚生活を送れるか心配です。できるだけ早く話し合い、どうやって生計を立てていくのか、将来どのような生活を送りたいのか、イメージを共有する必要があります。
話し合いをする際は、夫の考えを押し付けるのではなく、妻の話をよく聞きましょう。妻の不安や悩みに共感することも必要です。そして、問題は2人で解決に当たることを約束しましょう。そして、2人の明るい未来を築くために何が必要なのかを話し合えば、妻も働くことに納得してくれるかもしれません。
ただ、妻を無理矢理働かせようと、激しい言葉でなじったり、「働かないのなら生活費を渡さない」などと脅すようなことを言うのはやめましょう。妻が「モラハラを受けた」と主張する恐れがありますし、場合によっては経済的DVと見なされることもあります。
不安や悩みを一緒に解決すると伝える
働くことに不安や悩みがある妻には「自分もできるだけ協力するから」と言って安心させることが大切です。子育てや家事との両立が不安なのであれば、家事の分担を見直すことも必要ですし、勤務時間に融通が利く職場を探してみましょう。ベビーシッターや家事代行を利用できないのか、検討する必要もあります。
夫がただ「働いてほしい」と言うだけでは、妻は自分だけ負担が増えるのではないか、と不安に感じることもあります。「互いに協力して問題を解決していき、妻にだけ負担を押し付けたりはしない」と、しっかり約束すれば妻も安心して働けるかもしれません。
一緒に仕事を探す
働くことにブランクがあったり、初めて働きに出たりする女性は、自分が働くイメージが湧かず、不安に感じることがあります。そうしたときは、妻に合いそうな職場を一緒に探しましょう。仕事の経験が長ければ、求人広告を見て、どのような職場なのか、おおよその見当がつくこともあります。取引先と同じ業種であれば、仕事内容も具体的に分かるでしょう。
仕事内容や職場のイメージがつかめれば、仕事への不安も和らぐはずです。必ずしもイメージ通りとは限りませんが「とりあえず応募してみようか」という気持ちにはなってくれるかもしれません。その後も、働くうえでの悩みや相談には丁寧に応じ、妻が意欲をもって働けるようサポートしましょう。
夫婦カウンセリングを受ける
夫婦の話し合いだけでは解決が難しい場合、第三者の視点を取り入れることが有効です。夫婦カウンセリングでは、専門家のアドバイスのもと、お互いの気持ちや考えを冷静に伝え合うことができます。相談を重ねることで、夫婦それぞれの価値観や将来設計について理解が深まり、建設的な解決策を見出せる可能性が高まります。
働かない妻と離婚はできる?
専業主婦の妻が働こうとしないことを理由に離婚はできるのでしょうか。経済的に苦しい生活が続いているのに、妻が働こうとしないと、夫も「どうして自分だけが一生懸命働かなければならないんだ」という思いになります。離婚を考えることもあるでしょう。「妻が働かない」という理由で、離婚ができるのかを説明します。


妻の合意がなければ離婚は難しい
離婚は基本的に、夫婦双方の合意があれば成立します。互いに納得していれば、理由は問われません。しかし、妻は働きたくないと思っていて、経済的に夫に頼っているのですから、よほどのことがない限り、離婚には応じないでしょう。
話し合いによる夫婦の合意で離婚することを協議離婚と言います。離婚で最も多いのが協議離婚です。話し合いがスムーズに進めば、比較的早く離婚できますが、それでも条件などでもめて時間がかかることもあります。話し合いで合意できなければ、法的手段で離婚を目指すことになります。
離婚の合意を得られないときは調停という手も
夫が離婚に反対したり、離婚には同意してもらえても条件で折り合えなかったりした場合は、家庭裁判所に離婚調停を申し立てることができます。調停とは裁判所の調停委員を介した話し合いで、調停委員が双方の意見を聞き、言い分を整理して合意を目指します。しかし、合意できる見込みがないときは調停不調として打ち切られてしまいます。
調停が打ち切られると、再び夫との間で協議離婚を目指して話し合うか、離婚裁判を起こして裁判所に離婚を求めることになります。裁判で認められれば、相手の合意がなくても離婚が可能です。
事情によっては裁判で離婚できることも
離婚裁判を起こすには条件があり、離婚調停の後にしか起こせません。また、民法で定められた「離婚事由」がなければ、裁判を起こすことができないことになっています。離婚事由とは、次の5つの事情です。
・配偶者が浮気や不倫(不貞行為)をした
・一方的な別居や生活費の未払いなど配偶者の悪意で遺棄された
・配偶者の生死が不明で3年以上経つ
・配偶者が重症の精神病で治る見込みがない
・婚姻を継続しがたい重大な事由がある
「生活苦なのに働かない」という理由は離婚事由には含まれません。ただし「働かずに浮気をしていた」「家事も全くせず、自分の役割を果たそうとしない」といった事情があれば「不貞行為」や「婚姻を継続しがたい重大な事由」に当てはまる可能性もあるでしょう。それによって夫婦関係が破綻していると判断されれば離婚も認められるかもしれません。



明確な離婚事由がない場合でも離婚紛争を進めていくことは可能です。気づかないうちに不利になってしまわないように、離婚が頭に浮かんだ時点で速やかに弁護士に相談することをお勧めします。
生活苦なのに働かない妻に悩んだら専門家に相談を
物価高が続く中、夫の収入だけでは家計が厳しい家庭が増えています。共働きが当たり前となった時代に、妻が働かないことで生活費や子どもの教育費の確保に不安を感じる夫は少なくありません。
「パートでもいいから働いてほしい」という夫の切実な思いは理解できますが、一方的な要求や非難では状況は改善しません。まずは夫婦でじっくりと話し合い、お互いの気持ちを理解し合うことが大切です。
しかし、話し合いだけでは解決が難しい場合もあります。そのような時は、夫婦問題の専門家であるカウンセラーに相談することで、より建設的な解決策を見出せる可能性があります。
また、離婚を視野に入れている場合は、弁護士に相談し、法的なアドバイスを受けることも検討してください。家計の問題は放置すればするほど深刻化する可能性があるため、早めの対応が望ましいでしょう。