出産後、育児疲れや非協力的な夫へのイライラなどが原因で産後うつになる女性がいます。中には「もう離婚しかない」と思い詰める人もいるようです。夫が原因で産後うつになったらどう対応すればいいのでしょう。理解ない夫との接し方や、産後うつを乗り越える方法を解説します。
夫が原因で産後うつに…
出産後、女性はホルモンバランスの変化から気分が不安定になりがちです。そうした状態のときに、育児疲れや夫の非協力的な態度へのイライラなどが重なると産後うつになることがあります。
産後うつは、うつ病の一種で、気分が落ち込んだり感情の起伏が激しくなったりして、産後クライシスなど夫婦関係の悪化の原因ともなります。産後うつを「ホルモンバランスの関係でよくあること」などと放置していると、病状が悪化し、育児がうまくできなくなったり、育休期間が終わっても仕事に復帰できなかったりすることがあります。
産後うつでしょうか?
夫との離婚ばかり考えてしまいます。
先月出産をし、夫の希望で、いまは実家に里帰りしています。
わたしは、夫と私、子供の三人で産後を乗り切るつもりでしたが、夫
が激務で協力できないとのことで、里帰りしています。
来週には一ヶ月検診もあるのでそろそろ夫のもとにもどるつもりで、連絡をしてもほとんど返信がきません。かなり連絡がつかないことにイライラしています。
休日出勤に、平日は終電がえりがつづいていて、つかれていることはわかっているのですが、、、
それで、夫と赤ちゃん私3人の暮らしが想像できません。
というか、そんな激務なら夫がいないほうがマシと考えています。夫のごはんもつくらなくていいし、洗濯も減るし、夫を朝おこさなくていいし。。。
妊娠期間中も夫は激務でしたが、私も9ヶ月まで働いていたし、産休にはいってからはヨガや資格の勉強をしたりして充実してたので、ごはんをつくり部屋をきれいにして、いらいらせず、夫の帰りをまっていることができました。
毎日赤ちゃんと二人、激務の夫を深夜まで待つことを想像しただけで、耐えられません。子供はすごくかわいいですが、、、
ほとんどかえって来ないなら母子家庭と一緒なので、夫がいないほうが楽だと思っています。
夫に対し、いまはなんの感情もありません。好きかどうかもわかりません。
産後鬱っていつまででしょうか。
産後3ヶ月、特に辛く毎日毎日泣いて気が狂いそうな中、子育てしました。
そんな我が子も8ヶ月になり、一人遊びも増え少し余裕が出てきました。
ですが今日些細な事で夫に一方的にキレられ、本当に消えたい。今すぐ家を飛び出して、車で遠くに行きたいです。
夫はいつもどうでもいいような事でキレる→私は黙る→夫は調子に乗ってしつこくネチネチ→私もキレる→夫が泣く
この繰り返しです。家事育児は3割は夫が手伝ってくれますが、生活費は1円ももらってません。
何もかも嫌になり、ベランダから飛び降りたい。とにかく家を飛び出したい。ずっと考えてます。
産後うつは、夫の非協力的な態度や無神経な言動、浮気などが原因になることも珍しくありません。妻が「夫のせいで産後うつになった」と考えるようになると、いきなり離婚を切り出すこともあります。
「夫が原因で産後うつになった」と悩んだときの夫との接し方や、産後うつを乗り越える方法などについて解説します。
夫が原因で産後うつになる?
産後うつはホルモンバランスの変化や育児疲れやストレス、子育てへの不安などさまざまな原因が積み重なって引き起こされますが、夫の言動など夫婦関係も発症の原因の一つとなります。
夫のどのような言動が産後うつの原因となってしまうのでしょうか。主な原因を紹介します。
夫が家事や育児に非協力的
夫が家事や育児を手伝おうとせず、苦労している妻に無関心だと、妻への不満やストレスが蓄積していきます。こうした不満やストレスは産後うつを発症する原因となる可能性があります。産後の女性は体も回復中で、体調は万全ではありません。ときには、家事をするのがつらい日もあるはずです。
出典: リコ活MEDIA
それなのに、夫が妻の体調に無頓着で、妊娠・出産前と同じように家事を要求すると、妻は身体的にも精神的にも負担が重くなってしまいます。そうした不満やストレスを抱え込んでしまうと、産後うつになるリスクが高まります。
育児に対する考え方や価値観が違う
夫と妻の間で、育児や夫婦の役割分担に対する考え方や価値観が異なると、妻は不満やストレスによって疲弊し、産後うつを発症するきっかけとなることがあります。典型的なのは、夫が「男は仕事、女は家庭」という価値観を持っている場合でしょう。
さすがに最近は、育児も家事も全くしないという夫は減ってきましたが、「家事や育児は暇なときに手伝うだけ」「収入のほとんどを稼いでいるのだから、家事や育児をしている暇はない」と考えている夫は少なくありません。考えや価値観が異なっていると、互いに相手の考えが理解できず、夫婦の間のすれ違いも増えていきます。
夫が話を聞いてくれない
多少の不満や悩みは、誰かに聞いてもらうことで軽減したり解消したりすることがあります。このため、話し相手となる夫の存在は重要です。家事や育児が苦手で「できることはあまりない」という人も、話し相手になることはできるでしょう。
特に、子供が生まれたばかりの時期は、授乳や世話で忙しく、夫婦の会話も減りがちです。夫が妻の話に耳を傾けず、子供の世話を任せきりだと、妻は放置されているような気がして孤独感が高まることもあります。どんなときも、夫婦の間にコミュニケーションは欠かせません。
イライラした妻が、自分から話しかけにくい雰囲気をつくっていることもあります。産後うつにならないようにするには、妻も夫とのコミュニケーションを大切にして、話しやすい雰囲気をつくることも必要でしょう。
産後うつの症状とは
産後うつとは、具体的にどのような症状なのでしょうか。産後うつの特徴や、よく見られる症状などを紹介します。思い当たる症状があれば、専門医を診察したり、夫婦の関係を見直したりといった対策を考えましょう。
産後1~3カ月で発症
産後うつは出産後、1カ月から3カ月の間に発症するケースが多いと言われます。産後数カ月たってから症状が現れることがあります。よく似た症状に「マタニティーブルー」がありますが、マタニティーブルーは漠然とした不安や気分の落ち込みが主な症状で、ほとんどの場合1~2週間で自然によくなります。
産後うつの場合はさまざまな症状が現れ、自然によくなることはあまりありません。マタニティーブルーだと思っていたら、産後うつだったということがあり、軽く見て放置していると症状が悪化する恐れもあります。
気分の落ち込みが続いたら要注意
産後うつはうつ病の一種です。このため、不安や気分の落ち込みだけでなく、不眠や食欲不振、疲労感などさまざまな症状が現れます。MSDマニュアルでは、次のような症状が現れるとされています。「産後うつかな」と思ったら、確認してみましょう。
産後うつ病の症状としては以下のものがあります。
・極度の悲しみ
・コントロールできずに頻繁に泣く
・気分の変動
・易怒性および怒り
あまり一般的でない症状としては以下のものがあります。
・極度の疲労感
・睡眠障害(過眠または不眠)
・頭痛および全身の痛み
・性行為やほかの活動への興味の喪失
・不安発作またはパニック発作
・食欲減退または過食
・日常生活を送ることが困難になる
・子どもに対する関心の喪失または不合理な心配
・子どもの世話ができない、または母親として不適切であるという感覚
・こういった感情をもっていることへの罪悪感
・子どもを傷つけることに対するおそれ
・自殺念慮
該当する症状が多いほど、産後うつの可能性が高まります。2週間以上、こうした症状が続いている場合は専門医の診察をうけましょう。適切な治療を受けずにいると、症状が数カ月から数年続くことがあります。また、3人から4人の割合で再発するといわれているので、注意が必要です。
産後うつの場合は心療内科や精神科を受診しますが、どの病院やクリニックを受診すればいいのかわからないときは、出産した産婦人科に相談してみてもいいでしょう。産後のサポートとして、メンタルヘルスに対応しているクリニックもあります。専門家がいなくても、適切なアドバイスが受けられるはずです。
理解のない夫に協力的になってもらうには
夫が育児や家事に協力的ではなく、産後の妻の変化に理解がないと、妻は不満やストレスがたまりやすく、産後うつになる可能性も高まります。こうした理解のない夫に協力的になってもらうにはどうすればいいのでしょうか。効果が期待できる方法を紹介します。
夫に気持ちを打ち明ける
漠然とした不安を抱えたり、実際に困ったことがあったりしたときは、夫に率直に自分の症状や悩みを打ち明けましょう。生理や妊娠、出産を経験したことのない男性は、ホルモンバランスの変化でどのような症状が出るのか、知識として知ってはいても実感はできません。具体的に伝えることで、夫も理解しやすくなるはずです。
夫に話を聞いてもらうだけで、自分の気持ちを整理でき、気分が落ち着くこともあります。問題を解決するために夫婦で協力できれば、夫に信頼を寄せることができ、夫婦関係も改善できるでしょう。夫婦関係が良好になれば、回復の助けになります。
産後うつについて知ってもらう
妻が不安を訴えたり感情的になったりしても、「ただのマタニティブルーだろう」とあまり深刻に考えない夫もいます。ホルモンバランスの変化や育児への不満から、一時的に憂鬱になる女性もいますが、産後うつの場合は、放置していると症状が悪化し、回復が困難になることもあります。
こうした夫には、まず産後うつについて知ってもらうことが大切です。産後うつがどのようなものかを夫に説明して、理解を深めてもらいましょう。病院を受診する際に付き添ってもらい、医師の説明を聞いてもらうのも良い方法です。
第三者に相談する
産後うつやマタニティブルーの経験がある知人に相談に乗ってもらうのも一つの方法です。経験者から話をしてもらえば、夫も現実的に受け止められるようになるでしょう。産後うつを乗り越えるためのアドバイスも受けられるかもしれません。第三者に話すことで、現在の状況を客観的に見つめ直すこともできます。
相談できる知人がいないときは、夫婦関係に詳しいカウンセラーに相談してもいいでしょう。専門的な立場から、夫婦が抱えている問題に対し具体的な解決方法をアドバイスしてくれるはずです。夫婦だけで問題を解決しようとしても、考え方や価値観が異なっていると堂々巡りになりがちです。カウンセリングなどで第三者を交え、冷静に話し合いましょう。
産後うつで離婚を考えたら
産後うつで苦しむ女性の中には「夫のせいで、こうなった」と感情的になり、夫に離婚を切り出す人もいます。しかし、離婚は人生を左右する大切な決断です。早まって離婚すると後悔するかもしれません。離婚を考えた際、どのように対処すればよいのでしょうか。
産後うつになると冷静な判断ができない
産後うつになると、精神的に不安定になり感情がコントロールできなくなって、衝動的に行動してしまうことがあります。産後うつなど、うつ症状が現れているときに、大切な決断をすべきではありません。1つの考えに固執して、判断を誤る可能性が高くなります。
また、離婚する際は親権や養育費、財産分与などの話し合いも必要です。「離婚したい」という考えに固執して、感情的に離婚を急ぐあまり、「離婚できるなら、養育費も財産もいらない」などと言う人もいますが、それは誤りです。財産や収入を確保しなければ、離婚後、生活に困窮してしまいます。
もちろん、状況によっては、離婚が望ましい状況もあります。離婚を考えた際、どのように行動すればよいのかを解説します。
周囲に助けを求める
育児や家事につらさを感じたら、周囲に助けを求めましょう。まずは夫が第一ですが、夫が頼りにならないときは、両親やきょうだいでも構いません。信頼できる知人や友人でもいいでしょう。周りに相談する人がいないときは、市区町村や保健所にも相談窓口があります。
真面目で責任感の強い人は、「母親なのだから、他人に頼ってはいけないのではないか」と考えてしまうこともあります。しかし、人ができることには限りがあります。自分には手が負えないと感じたときは、遠慮なく周囲に助けを求めましょう。
休息を取る
わが子はかわいいものですが、毎日24時間付きっ切りで世話をしていると、疲労も溜まります。たまには夫や親に子供を任せて、休息を取りましょう。夫に育休を取得してもらうことも大切です。
夫や親族を頼りにできないときは、家事代行サービスやベビーシッターを利用するのも一つの方法です。保育所などの一時預かりサービスを利用して、一人の時間を楽しんでもいいでしょう。有料サービスを利用して、自分の時間を作ることに抵抗を感じる人もいますが、母親が元気でいることは子供にとっても大切なことです。
夫に甘える
「母親が子供をしっかり育てなくては」と考え過ぎる女性は、子供を夫に任せることができず、一人で負担を抱えてしまうことがあります。たまには、夫に甘えていろいろなことを頼んでみましょう。男性は好きな女性に頼りにされると、なかなか断れないものです。
もちろん、夫婦間のスキンシップも大切です。子供ばかりに目が向きがちな時期ですが、たまには夫にも目を向けてみましょう。話を聞いてもらうだけでなく、手をつないだりハグしたりすることで、心が落ち着くこともあります。
治療を受けてしっかり治す
産後うつは心の病気です。メンタルクリニックなどの専門医の治療を受けることが、回復の早道です。治療には大きく分けて、カウンセリングなどの精神療法と、症状に応じた薬物療法があります。
精神療法は、セラピストやカウンセラーへの相談や会話を通じて、ストレスの原因を探り、考え方や行動を変えていく治療法です。ストレスへの適応の仕方やネガティブな思考をポジティブに変えていく方法などを学びます。
薬物療法は、抗うつ薬や睡眠導入剤などで気分を落ち着け、不安を軽減したり、ゆっくり眠れるようにしたりします。母乳への影響を気にする人もいますが、母乳に影響のない薬もあり、子供への影響や症状に応じて医師が薬を処方します。
産後うつ病の治療
・精神療法
・抗うつ薬
産後の女性が悲しい気持ちになっても、家族や友人の支えがあれば、ほかに治療が必要になることはほとんどありません。しかし、うつ病と診断された場合は専門家の助けも必要になります。通常、精神療法と 抗うつ薬を組み合わせた治療が勧められます。
産後精神病の場合には入院が必要になることがあり、可能であれば、子どもとともに過ごすことのできる監視付き病棟への入院が望ましいでしょう。患者は抗うつ薬のほかに 抗精神病薬が必要になることもあります。
母乳を与えている場合には授乳を続けられるかどうかを判断するために、薬剤を服用する前に主治医に相談するべきです(授乳期間中の薬剤の服用を参照)。治療のための薬剤の多く(セルトラリンやパロキセチン)では、授乳を続けることができます
弁護士に相談する
産後うつの女性は、既に夫との関係が悪化している人もいます。離婚したいという気持ちを抑えきれない人や、周囲からも離婚を勧められている人もいるでしょう。そうした場合は、離婚問題に詳しい弁護士に相談してみましょう。
弁護士は病状を踏まえたうえで、どのように対応すればよいのか、一緒に考えてくれるはずです。離婚するかどうか悩んでいるときは、無料相談を利用するのも良い方法です。離婚を専門に扱っている法律事務所には無料相談を行っているところがありますし、市区町村などが行っている無料法律相談を利用してもいいでしょう。
夫が原因で産後うつになり悩んだときは専門家に相談を
産後に夫婦関係が悪化し、危機的な状況になることを産後クライシスともいいますが、妻の産後うつがきっかけで夫婦関係が悪化することもあります。特に妻が「夫の性でつらい思いをしている」と感じているときは、妻の症状も悪化しがちで、夫婦関係の修復は容易ではありません。
しかし、精神的に不安定なときに離婚を決断してしまうと、後悔することがあります。早まった判断をしないように、産後うつで悩んだときは、専門医や夫婦問題に詳しいカウンセラーや弁護士といった専門家に相談しましょう。