夫がいると体調不良に?対策はある?
夫が家にいる時間が増えたことで、原因不明の体調不良や気分の落ち込みを感じていませんか。夫の言動がストレスとなって、妻が心身に不調を訴えている場合「夫源病(ふげんびょう)」が疑われます。夫源病かどうかを確認するチェックシートや、具体的な対処法などを紹介します。
夫が原因の心身の不調
夫源病は医学的な定義のある病名ではなく、夫の言動が理由で妻の心身にさまざまな不調がみられる状態です。夫の定年退職などをきっかけに、動悸や不眠といった不調を訴える妻が多いことに着目し、心療内科医の石蔵文信氏(故人)が自身の著書で発表しました。
もともとは中高年女性でよくみられる不調でしたが、最近では若い世代でも同様のストレスや体調トラブルで悩んでいる人も多いようです。心身の不調で日常生活にも支障がでる場合、他の病気が隠れている可能性もありますから、早めに医療機関を受診しましょう。
妻の更年期と重なることも
夫源病に悩む妻は、頭痛や不眠など心身の両方に起こるさまざまなトラブルに悩まされます。これらの不調は更年期障害の不定愁訴と特徴が似ており、夫が定年退職を迎える年齢と重なることが多いため、夫源病と混同されがちです。更年期障害はホルモン補充療法や漢方薬で治療できますが、夫源病は原因である夫の言動が変わらない限り改善が期待できません。
また、更年期はホルモンバランスが変化して、情緒不安定になりやすい時期です。ストレス耐性が弱くなっていることが多く、他の世代に比べて夫源病による心身の不調が強く出てしまう可能性があります。
もしかして夫源病?チェックシートで確認
夫源病の主な症状を、チェックシートとしてまとめました。1つでも当てはまると夫源病の可能性があります。医療の診断として用いるものではありませんので、あくまでも参考としてお使いください。
こうした症状のほかに、急に悲しくなるなど情緒が不安定だったり、なんとなくやる気が出ない状態だったりすると、夫源病の可能性が高まります。
夫源病チェックシート
・夫が家にいるとイライラしたりストレスを感じたりする
・夫が家にいると頭痛や息苦しさがある
・夫の言動にイライラする
・夫に怒られると動悸やめまい、手の震えなどが起こる
・夫が出張したり、単身赴任したりすると体の不調が良くなる
夫が家にいるとイライラしたりストレスを感じたりする
日中は仕事で出かけている夫が帰ってきた途端に、ストレスを感じる人は夫源病が疑われます。たとえば、普段は穏やかに接しているのに、夫がいるときはイライラして子供を叱ってしまう回数が増えるなどの傾向が見られます。
夫が家にいると頭痛や息苦しさがある
普段の健康状態には問題がないのに、夫が家にいるときに限って頭痛や息苦しさなどを感じるのは、夫源病によくある特徴です。気付かないうちに夫へのストレスが蓄積し、体の不調として現れているのかもしれません。
夫の言動にイライラする
ドアの閉め方や足音の大きさなど、夫の言動がいちいち気に障る場合も、夫源病の可能性が高いといえるでしょう。夫源病の妻はいつもは負担に感じない家事も、テレビやスマホに夢中な夫が視界に入ると、途端にやる気を失ってしまうことがあります。
夫に怒られると動悸やめまい、手の震えなどが起こる
夫からミスを指摘される場面で、動悸やめまいなど体調に異変を感じる人はすでに夫源病かもしれません。強い口調で叱責してくる夫がストレスで、血圧の上昇などを起こしている可能性があります。さらに、夫に言い返せずに我慢してしまうことで、不満が蓄積して心身に悪影響が及んでいる危険もありますから、早めに対処が必要です。
夫が出張したり、単身赴任したりすると体の不調が良くなる
日ごろから頭痛などの体調不良に悩まされている妻が、夫が不在のときに限って調子がよくなるのは、夫源病の典型的な特徴です。他の病気が原因でない場合、夫婦の関係を見直すことで、快調な状態を維持できるかもしれません。
夫源病を引き起こしやすい夫のタイプとは
夫源病を引き起こしやすい夫には、普段の言動や性格などに一定の傾向が見られます。自分は夫源病かもしれないと感じたら、夫に、次のような特徴に当てはまるものがないかチェックしてみましょう。
家事を一切やらず、すべて妻がやるものだと思っている
自分は外で仕事をしているからと家事に関わる気のない夫は、妻を夫源病で悩ませているかもしれません。家事や育児で自分の時間もほとんどない中、優雅にくつろぐ夫は妻を苛立たせる大きな要因になっているでしょう。このような夫は、妻が不調で苦しんでいても食事の支度を急かすなど、妻を気遣う態度がみられないのも特徴です。
妻にねぎらいや感謝の言葉がなく、文句ばかり言う
夫源病を引き起こしやすい夫は、普段から妻に感謝する態度が見られず、妻は自分に尽くして当たり前だと思っている傾向があります。自分は何もしないのに、家事の不備を細かく指摘する夫もいるようです。毎日家事を頑張っても、感謝の言葉もない上に文句まで言われると、妻はやる気をなくしてしまいます。
自分が間違っていても、絶対に謝ろうとしない
プライドが高く、自分に非があっても決して謝らない夫も、夫源病を引き起こすことがあります。このような夫は妻に対して常に上から目線で接する傾向があり、自分のミスを妻のせいにすることさえあります。言い返しても理詰めで反論したり機嫌が悪くなったりする夫に妻はうんざりしているでしょう。
【体験談】夫源病の対処法は?
夫へのストレスが蓄積して体調を崩す前に、夫源病かもしれないと感じたら早めに対処しましょう。ストレスを解消しつつ、夫婦関係の改善が期待できる対処法を紹介します。
互いに不満をぶつけあう
夫源病の原因が夫への不満の蓄積にある場合、一度、お互い本音で話し合う場を設けましょう。多少言い合いになってしまっても、ストレスが解消できて夫婦仲を維持するのに役立つケースもあります。また、妻の本音に気付いた夫は、意外と素直にストレスの原因となる言動を改善するかもしれません。
夫の一言にカチンときて久しぶりに派手な夫婦喧嘩をしました。大声で言いたいことを言ったらすっきりして夫への不満がどうでもよくなりました。今まで必要以上に悩み過ぎていたと思います。
プチ別居をしてみる
夫が近くにいるだけで体調に異変を感じる場合は、短期間離れて暮らす「プチ別居」を試してみるのも対処法の一つです。実家に帰ったり一人で旅行をしたりして、夫から離れて過ごすことで、気持ちが休まり夫源病の改善が期待できます。さらに、心身の状態が落ち着くと、現在の夫婦関係を冷静に見直す余裕も生まれるでしょう。
しばらく実家で過ごすと情緒不安定にもならず、以前の自分を取り戻せたような気がしました。落ち着いてから元の家に戻りましたが、夫の大変さも理解できるようになり、以前ほどイライラすることが減りました。
夫にも家事をやってもらう
夫が家事に参加することで、夫源病を解消できるケースもあります。最初は嫌がる夫もいますが「やってくれたらうれしい」「頼りにしている」などと伝えてやる気を引き出してみましょう。
うまくできなくても褒めたり感謝を伝えたりしているうちに、夫も家事に意欲的になるはずです。今まで妻が行ってきた家事を部分的にでも体験することで、妻の大変さが理解でき、夫源病に悩む妻の気持ちにも気付くでしょう。
一度にいくつも頼むとやる気をなくすと思って「これだけやってくれない?」と少しずつ家事を頼むことにしました。
いちいち大げさに褒めているうちに進んで家事をやるようになり、休日にダラダラする姿にイラつくこともなくなりました。
三枝照子
妻が夫源病になっていても、その原因たる夫本人に自覚がないことがほとんどです。夫婦のタイプにもよりますが、夫が自分の非を認めることはないと想定される場合は、火に油を注ぐ結果になることも。
夫婦の間で大切なことを話す時には、家ではなく静かなカフェなど人目のある場所を選び、お互いに冷静に話せる環境作りも大切です。また、向かい合って座るより、テーブルを90度に囲んで座る方が、心理的に話しやすいでしょう。
夫源病は早めの対策を。夫からのストレスへの対応が肝心
夫源病は医学的な病名ではありませんが、ストレスを感じる状態が長く続くと、さまざまな疾患につながる恐れがあります。夫源病ではないかと感じたら、我慢せずに早めに対策を取りましょう。
夫源病の対処法として、うまくストレスを発散させる方法を見つけたり、ストレスを感じる夫の言動を改善したりすることが大切です。ただし、夫が妻の夫源病に向き合わず、妻の不調が悪化しそうな場合は、深刻化する前にカウンセラーや医師といった専門家に相談しましょう。