【体験談】17歳年上モラハラ、マンスプ夫との決別「自分の人生を諦めなくてよかった」

更新日: 2023年01月13日

17歳年上の男性と3年間の結婚生活のうち、およそ2年は家庭内別居状態。水面下で離婚のための準備を進めていたというAさん(30)は、ファッション・美容メディアの編集者として都内で働く。弁護士に相談したことで、第三の道を見つけることができたというAさんの選択はどのようなものだったのか。

「お前はまだ若いから」将来を考えられない17歳年上夫との生活

――Aさんは23歳のときに結婚されたとのことですが、お相手はどんな方でしたか。

向こうは当時39とか40歳くらい。仕事の関係で仲良くなりました。一年弱お付き合いをしてから結婚したのですが、交際期間が比較的短かったこともあり、それまで見えていなかったものが生活を共にすることで見えてきたんです。

日常的に暴力があったわけではないのですが、お酒が入ったり、ちょっとしたきっかけでスイッチが入ると、手が出たり物を投げたり。一言でいうとキレやすい。

丁度その頃、24歳差でおしどり夫婦と言われていた芸能人ご夫婦がモラハラを理由に離婚訴訟を起こしていて。ニュースを見た当時、深く共感していたわけではないのですが、段々と「うちと似ているかも……」とモラハラを受けている自覚が芽生えてきました。

元夫とは歳が離れていて、立場が上という意識があったのか「お前はまだ若いから何も知らない」と、全てそこに帰結していくんですよね。明確な意見はないけれど、変なところにこだわりがあるようなタイプでした。何を話していても建設的に話が進まないといいますか。

夫婦間の会話が進まないので、ライフプランの設計について意見を交わすことも難しくて。結婚のタイミングで仕事を辞めてアルバイトをしていたのですが、正社員として編集のキャリアを積みたい思いもあり、子どもについて考える年齢でもありました。仕事と育児を両立させながら働くこと、そのタイミングについて夫婦で話し合いたいという思いがありました。

でも、彼は前時代的な家族観を持っていたので「女は家庭に」というタイプだったんですよね。「家庭に入って子どもを産めばよくない?」という感じで、こちらの話を聞いてくれなくて。かといって、はっきりと産んでほしいという意見もなければ、仕事をしてほしいというわけでもない様子で、「好きにすれば」と。

そんな中、向こうの親から子どものことを言われるわけです。そうすると元夫は「子どものことはこいつに任せてるから」とはぐらかし、私が義母に責められるという。夫婦間でそのことについて話したことさえないのに……。
Aさん

――義母に子どもの話をされてAさんが辛い思いをしていることを、元パートナーは知っていたのですか?

「そんなにうるさく言うなよ」くらいには言ってくれましたが、あまり干渉したくないような雰囲気はありました。義両親は元夫よりさらに古典的な考えが強く「女は家庭に入り子を産み育てることが最高の幸せだ」という頑なな思いがある方たち。つまり、元夫と同調していました。

義両親とは同居していたわけではないものの同じマンションに住んでいて2、3日に一度は廊下ですれ違っていたこともストレスになっていたのかもしれません。義両親がマンションの管理をしていたこともあったので、共有スペースの掃除に駆り出されることもありましたね。

――共働きだったとのことですが、家事はどうしていましたか。

元夫の仕事が終わるのが遅いこともあり、私がやっていました。負担に感じていましたが、結局私自身も「年齢が離れていて収入に差があるなら、やはり女がやらなくては」という刷り込みがあったんですよね。

彼にお願いするよりも私がやってしまった方が摩擦も起きないし、怒らせるのも面倒だし……と自分を納得させていた部分はあります。

そんな生活が続いて眠れなくなることがあり、メンタルクリニックに通ったこともありました。

弁護士のアドバイスで選んだ協議離婚という戦略的撤退の道

――では離婚を切り出したのはAさんからになりますか?

いえ、向こうからです。3年間の結婚生活のうち2年ほど家庭内別居状態が続いていたので、どちらが先に言うかの根競べのような感じで。そのため、私も「そうだよね」と淡々と応じましたし、離婚の話が出てから届けを出すまで1カ月ほどと短期間でした。実は離婚の半年前くらいから物件を探していたので、もうサクッと出て行って(笑)。

ただ、これまでのモラハラやDVのこと、そして引っ越し代など私だけが負担を負うのはとにかくフェアじゃないと思ったので、慰謝料として一定の金額が欲しいと相手に伝えた所、「何に対しての慰謝料だ!」案の定怒ってしまって……。しかし場合によっては裁判の意思もあるとチラつかせて食い下がったところ、逆ギレに近い形で「手切れ金だ!」と100万円を受け取ることができたのは、ある意味でラッキーだったのかもしれません。

元々向こうの持ち家に住んでいたわけですし、金銭面や法的な面で納得していないことはありません。ただ、やはり100万円ポッキリと公正証書一枚で私の受けた苦痛の何もかもを飲み込まなければいけないというのは悔しい思いもあります。最後まで相手から謝罪の念を感じることもありませんでしたし。

あの時の行動が私にとってベストな選択だったとは思いますが、どこかに訴えたかったし、明るみに出したかったという思いがないわけではありません。

――裁判に持ち込むことも頭にあったのですか?

始めのうちはハングリーに「絶対に訴えてやる」と思っていたこともあります。でも、「裁判を起こすのであれば、あなたの恨みを晴らすためにやるようなものだから、金銭的にはプラスマイナスゼロ、もしくはマイナスになるから大変よ」と弁護士さんに優しく提案していただいて。

婚姻期間が短く、子どももいないし家を買ったわけでもない私の場合は、弁護士さんのおっしゃる通り、早く終わらせて心の安定を優先してよかったのかもしれませんね。
※写真はイメージ(iStock.com/yamasan)


――弁護士はどのように探しましたか。


離婚を専門にされている弁護士サイトをいくつか見て、丁寧な印象を受けたところに決めました。私はたまたま良い弁護士さんに当たることができましたが、弁護士選びは重要だからこそ慎重に進める必要があると実感しましたね。

家庭内別居期間中、離婚を有利に進めるために情報収集をしていたのですが、ネットで調べると弁護士を立てて戦うことが前提の情報に触れることが多くて。だから私も、戦うか泣き寝入りするかの二択しかないと思っていたんですよね。

でも実際に弁護士さんに相談したら、そうではないことがわかった。協議離婚という戦略的撤退の道もあったんです。

夫婦関係で悩んでいる状態の時って、閉じ込められている状況に陥っていると思うので、弁護士さんのような第三者に相談して客観的意見を求めることは重要だと思います。それに私の場合は、弁護士事務所に通ったのは最初の1回きりでしたから、相談料も数千円で済みました。今、離婚に悩んでいる方が周りにいたら、金額面を気にする前にまずは弁護士さんに相談することをおすすめしたいです。

離婚を経て取り戻した「私の人生」

――離婚から3年ほど経った今、当時を振り返ってどんなことを思いますか。

自分の人生を諦めなくてよかったと思います。当時は今ほどフェミニズムの意識が世間に浸透しておらず、私も若かったので、「結婚したら子どもを産まなければ、家事は女がやらなければ、嫁はこうでなければ……」と思い込んでいました。でも、そういった知識を得たときに、私自身が洗脳にかかっていたことに気付くことができて。知識を得ることで嫌な思い出が少しずつ消化されていく感覚は今でもあります。
26歳で離婚しているので、「30歳までに結婚しなければ」というような変な呪縛もなく過ごせましたし。離婚して大変だったことは、名字を変えることがとにかく面倒で。もし、次に結婚することがあったら夫婦別姓が法制化されたときくらいですかね。

それから、離婚して約一年後に転職をして、業界では割と大きな媒体に入ることができたんです。仕事が楽しいし、今後は編集者としてキャリアを積み、生きていきたいと思っています。でも、きっとあのまま結婚生活を続けていたら今の会社に入ることはできなかった。だから離婚したことで自分を取り戻したというか、自分の人生を生きることができて本当によかったと思っています。

―「いい弁護士」に繋がるためにー

約2年の家庭内別居期間中、着々と離婚準備を進めたというAさん。裁判を考えたこともあると話すAさんは、自力で探した弁護士事務所へ相談に行く。

「裁判では心を削るだけになるかもしれない。少しでも早く安寧を得ては?」という弁護士の助言をきっかけに、Aさんは協議離婚を決意。「弁護士に相談してよかった」当時を振り返ってそう話すAさんは朗らかに微笑んだ。

Aさんはたまたま「いい弁護士」にめぐり合うことができたと話すが、自分に合う弁護士をどのように見極めればよいのだろう。弁護士を選ぶポイントを離婚カウンセラーの岡野あつこさんに教えてもらった。

離婚カウンセラー岡野あつこ氏に聞く「弁護士の選び方」

弁護士には3タイプの先生がいます。まず1つ目のタイプの弁護士は、いいことばかりを言うタイプ。2つ目は悪いことばかりを言うタイプ。3つ目はいいことも悪いことも両方言うタイプです。

いい弁護士は最後のタイプ。状況が厳しければそれをきちんと依頼者に伝え、それでも最善を尽くすことをしっかり伝えてくれる弁護士を選びましょう。

1つ目のタイプは依頼者のモチベーションを高めるため一見よさそうに感じますよね。しかし、慰謝料や養育費をたくさん取れると豪語しても、実際に取れなければ依頼者の生活設計に影響を及ぼします。マイナスの可能性も正しく伝えてくれる弁護士が信頼に値する弁護士です。

慎重なのは結構なのですが、苦言ばかりを呈する2つ目の悪いことばかりを言うタイプには、そもそも依頼したいと思わないのではないでしょうか。

それから、3から5カ所の複数の弁護士事務所を回ることも、弁護士選びのポイントです。比較検討する対象が多いほど、ご自身のフィーリングと条件に見合った弁護士に出会える確立が高まりますから。

ここまで弁護士の選び方について説明してきましたが、実は弁護士の選び方よりも、どのように弁護士に伝えるかということの方が大事です。弁護士はパイロットと同じで、天候や気流を見ながらより正確な航路を選択して目的地まで導いてくれます。ただし、それは目的地がはっきりしていればの話。

依頼者の目的が明確でなければ、弁護士は対処のしようがなく困ってしまいます。ご自身の意思が固まっていれば、弁護士はベストを尽くしてくれるはずです。

そもそも離婚したいのかわからない場合など、ご自身だけで気持ちの整理がつかない場合は、離婚カウンセラーと共に幸せの形を明確にしてから弁護士相談に行くという方法も一つの考え方です。多くの弁護士と関わってきた離婚カウンセラーは、弁護士の個性や案件数、得意とするタイプなどの知見がたまっています。

可能な限り後悔のない選択をするためには、弁護士相談に行く前にご自身の気持ちを整理しておくことが大切です。

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