【コラム#4】子育てをめぐって夫と意見が対立 自分の思い通りにしたい時は?
更新日: 2023年02月11日
これまで3万8千件の相談に答えてきた離婚カウンセラー・夫婦問題研究家の岡野あつこさんの「リコ活相談室」。#4は「子どもの受験を巡る夫婦間の価値観の相違」について。夫に対する効果的なアプローチを岡野さんが解説します。
ーお悩み相談ー
友人の紹介で知り合った6歳年上の夫とは、私が29歳の時に結婚し、2年後に第一子となる長女が、その1年後には長男が誕生しました。結婚前から「子どもたちが小学校に上がるまでは家にいてほしい」と言われていたこともあり、出産後は専業主婦をしています。
3年後に長女が小学校に上がる現在、夫ともめています。原因は、子どもの小学校受験をめぐって夫婦で意見が合わなくなったことです。私には独身時代からの夢があり、「子どもは小学校から私立に通わせたい」というものでした。
もともと子煩悩で、私にも「小さい頃からの家庭教育が大事」とたびたび熱く語っていた夫は、てっきり私と同意見かと思い込んでいたのが間違いでした。
先日、なにげなく「娘は〇〇女学園でいいよね?」と娘の学力に見合った私立小学校の受験先を告げたところ、「勝手に決めるなよ。そんなの許さない」と真顔で全否定されてしまったのです。「俺にひと言の相談もないなんてあり得ない」「小学校なんてどこだって同じ。家庭での教育のほうがよっぽど重要だ」などと、とりつくしまもないものでした。
そんな夫の意外すぎるリアクションに驚いたものの、「でも、娘のおっとりした性格を考えると、小学校から大学までエスカレーター式に進学できる女子校に行かせたいわ」「〇〇さんのところだって、『小学校から女子校に通わせて間違いなかったわ』って話していたし」などと抵抗しました。
ところが、夫は「絶対にそれは許さない」と譲りません。
私もどうしてもあきらめきれません。せめて娘だけでも小学校から私立に通わせたいと思い、夫の収入からひそかに貯金もしてきたので経済的にはなんとかなります。そのことを主張しても「No」の一点張り。こんなに子育てをめぐって、夫と価値観が違うことがわかっていたら結婚しなかったかもしれません。
正直な話、子どもができてからは夫より子どものほうが大切に思える今、慰謝料と養育費をもらって二人の子どもをつれて別れるという道もあるのかな、と思っています。
3年後に長女が小学校に上がる現在、夫ともめています。原因は、子どもの小学校受験をめぐって夫婦で意見が合わなくなったことです。私には独身時代からの夢があり、「子どもは小学校から私立に通わせたい」というものでした。
もともと子煩悩で、私にも「小さい頃からの家庭教育が大事」とたびたび熱く語っていた夫は、てっきり私と同意見かと思い込んでいたのが間違いでした。
先日、なにげなく「娘は〇〇女学園でいいよね?」と娘の学力に見合った私立小学校の受験先を告げたところ、「勝手に決めるなよ。そんなの許さない」と真顔で全否定されてしまったのです。「俺にひと言の相談もないなんてあり得ない」「小学校なんてどこだって同じ。家庭での教育のほうがよっぽど重要だ」などと、とりつくしまもないものでした。
そんな夫の意外すぎるリアクションに驚いたものの、「でも、娘のおっとりした性格を考えると、小学校から大学までエスカレーター式に進学できる女子校に行かせたいわ」「〇〇さんのところだって、『小学校から女子校に通わせて間違いなかったわ』って話していたし」などと抵抗しました。
ところが、夫は「絶対にそれは許さない」と譲りません。
私もどうしてもあきらめきれません。せめて娘だけでも小学校から私立に通わせたいと思い、夫の収入からひそかに貯金もしてきたので経済的にはなんとかなります。そのことを主張しても「No」の一点張り。こんなに子育てをめぐって、夫と価値観が違うことがわかっていたら結婚しなかったかもしれません。
正直な話、子どもができてからは夫より子どものほうが大切に思える今、慰謝料と養育費をもらって二人の子どもをつれて別れるという道もあるのかな、と思っています。
ー岡野さんの回答ー 「男のプライド」をくすぐる聞き方でアプローチを
子どもの教育をめぐって、夫婦間でトラブルが勃発することは珍しくありません。経済的な問題もあるものの、「できれば余計な苦労をさせたくない」と子どもの将来にレールを敷いてあげたくなる親心も理解できます。
問題は、一家の大黒柱である夫が猛反対している点です。そこまで反対している夫にさからって、強引に受験をさせることは物理的に不可能ではないでしょうか。仮に、受験をさせることに成功したとしても、「なぜ自分の意見に反対したのか?」と後々まで言い募られても仕方がありません。
だからこそ、どういう結果になるにしても、まずは今ここで夫婦がしっかり話し合う必要があります。
はじめにすべきは、「なぜ夫がそこまで私立を受験させることに反対なのか?」について、穏やかにヒアリングしましょう。経済的な問題がクリアになっていて反対するには、それなりの理由があるはず。感情的にならないよう、夫の言い分に反論しないよう、とにかく夫の主張を詳しく聞くようにします。
そのうえで、時間がかかっても構わないので、夫の主張に対抗できるような代替案や提案をするようにします。たとえば、今どきの私立受験事情について信憑性のあるネットの記事や、お目当ての私立に進学した子どもの進路状況のデータなどをネットで探して提示するのもいいでしょう。
ときどきあるのは、「子育ての問題に関し、妻に主導権を握られた」ということに納得がいかない夫のケースです。自分のほうが年上で、妻に「家にいてほしい」と考えている夫の場合、子どものことに限らず、「妻に何かを先に決められること自体が納得できない」と思う人もいます。それが正しいことやメリットのあることであっても、「男のプライド」があるため、妻の言い分に反対したくなるのです。
そんなタイプの夫に対しては、最後の決定の余地を夫に委ねる聞き方でアプローチするのが効果的です。「娘の小学校のことだけれど、学校の先生からは私立のほうが向いていると言われたの。私もそんな気がするけれど、あなたはどう思う?」「あなたみたいな頭のいい子に育ってほしいと思うのだけれど、たとえば私立の小学校に通わせるっていうのはどうかしら?」というように、相手を立てる形で意見をうながすよう聞き方をします。
ポイントは、「いつでも夫の気持ちを大切にする妻」を演じられるかどうか、です。たとえ、心のなかでは「面倒くさいな」と思っても、結果的に自分の思い通りにことが運ぶなら、演じることくらいたいした手間ではないと思いませんか?
自分の夢をあきらめたり、夫をねじふせることを考えたりするより、「自分の希望がかなって夫婦が円満になる方法」を優先させるような解決策を考えましょう。
#5は、DVとモラハラに悩む女性からの相談です。DVとモラハラを繰り返す人の心理とは?
【コラム#5】夫のDVとモラハラに心が折れそう… この先、どうすれば?
問題は、一家の大黒柱である夫が猛反対している点です。そこまで反対している夫にさからって、強引に受験をさせることは物理的に不可能ではないでしょうか。仮に、受験をさせることに成功したとしても、「なぜ自分の意見に反対したのか?」と後々まで言い募られても仕方がありません。
だからこそ、どういう結果になるにしても、まずは今ここで夫婦がしっかり話し合う必要があります。
はじめにすべきは、「なぜ夫がそこまで私立を受験させることに反対なのか?」について、穏やかにヒアリングしましょう。経済的な問題がクリアになっていて反対するには、それなりの理由があるはず。感情的にならないよう、夫の言い分に反論しないよう、とにかく夫の主張を詳しく聞くようにします。
そのうえで、時間がかかっても構わないので、夫の主張に対抗できるような代替案や提案をするようにします。たとえば、今どきの私立受験事情について信憑性のあるネットの記事や、お目当ての私立に進学した子どもの進路状況のデータなどをネットで探して提示するのもいいでしょう。
ときどきあるのは、「子育ての問題に関し、妻に主導権を握られた」ということに納得がいかない夫のケースです。自分のほうが年上で、妻に「家にいてほしい」と考えている夫の場合、子どものことに限らず、「妻に何かを先に決められること自体が納得できない」と思う人もいます。それが正しいことやメリットのあることであっても、「男のプライド」があるため、妻の言い分に反対したくなるのです。
そんなタイプの夫に対しては、最後の決定の余地を夫に委ねる聞き方でアプローチするのが効果的です。「娘の小学校のことだけれど、学校の先生からは私立のほうが向いていると言われたの。私もそんな気がするけれど、あなたはどう思う?」「あなたみたいな頭のいい子に育ってほしいと思うのだけれど、たとえば私立の小学校に通わせるっていうのはどうかしら?」というように、相手を立てる形で意見をうながすよう聞き方をします。
ポイントは、「いつでも夫の気持ちを大切にする妻」を演じられるかどうか、です。たとえ、心のなかでは「面倒くさいな」と思っても、結果的に自分の思い通りにことが運ぶなら、演じることくらいたいした手間ではないと思いませんか?
自分の夢をあきらめたり、夫をねじふせることを考えたりするより、「自分の希望がかなって夫婦が円満になる方法」を優先させるような解決策を考えましょう。
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