【体験談②】自力で離婚調停、メンタル不調で継続が難しかった面会交流

更新日: 2023年05月22日

離婚準備のために千葉、東京、神奈川を往復する慌ただしい日々を終え、ようやくモラハラ夫との別居が叶った小口佳菜さん(37歳・仮名)。家を出ると共に、弁護士を頼らず自分で離婚調停を申し立てたのだそう。面会交流について一番揉めたと話す小口さんに、離婚後の生活や面会交流について聞きました。

弁護士を頼らず自力で離婚調停

――前回、調停を考えていたとのお話がありましたが、弁護士に依頼したのですか。

いいえ、弁護士費用を払える自信がなかったし、そのお金を新しい生活のために使いたかったので弁護士は立てませんでした。

向こうが弁護士を立てたら、こちらも立てなければと思っていたのですが、そうはならなかったので。じゃあ自分で戦おうと思って。

ただ、友人づてに弁護士の知り合いが何人かいたので、お会いする機会をもらって無料相談のような形で話を聞いてもらったりもしました。あとは自分で書類や手続きについて調べて、調停を申し立てましたね。

2月の終わりに調停申立てをして、離婚が成立したのは8月のことです。

――弁護士が間に入らなかったとなると、相手への連絡もご自身で対応されていたのですよね。

家出をしたタイミングで調停を申立て「私に直接言われてもストレスが溜まる一方だから、あとの話は調停で。じゃ!」といった感じで告げましたね。当初、向こうは「養育費は払わないけど、それでどうやって暮らすの?」などと言っていましたが、そうした話も全て調停ですり合わせていきました。

養育費に関して金額や期限などいろいろ言われたのですが、両親とも大学に進学していることから22歳までが妥当だろうと、算定表に則った額を今も受け取っています。調停調書が発行されているため、養育費が支払われなくなった場合、手続きを踏めば向こうの会社の給与を差し押さえられることになっています。

それから財産分与について。家を購入していたものの、向こうは全くお金を渡す気がなかったようですが、結局は一般的な金額を受け取ることができました。

親権は、元々向こうが子どもを引き取る気がなかったのですが、一番揉めたのは面会交流でした。

面会交流にかこつけた嫌がらせ

――面会交流について、どういった話し合いがあったのですか。

本音を言えば私は会わせたくなかったですよ。でも一般的にはそういうわけにはいかないじゃないですか。母親の影響を受けて子どもは意思表示できないのではないか、とされる現実があるので、月1回1時間の交流を主張しました。

向こうはおそらく、面会のことしか私に主張できることがなかったんですよね。週1回泊まりで、と無謀なことを言っていました。結局は、まずは月1回1時間調停中に面会を行い、そこから調整していくという形になったんです。

これまでの家での旦那と子どもの関わりや、まだ子どもが幼く付き添いが必須であることを調停員に話し、面会交流の際は私が同じ空間内まで付き添うことが認められました。

――実際に面会交流を始めてみてどうでしたか。

子どもは当初から「会いたくない」と言っていましたが、それはそうです。同じ家に住んでいた時から旦那は子どもと遊ばず、ずっと私が子どものことを見ていましたから。

でも遊んでいるうちに少しずつ楽しくなっている様子はありました。交流の妨げにならないよう遠くのベンチで座っている私に、公園の砂場で作ったものを「ママ、見てー」と子どもから見せに来たんです。そうすると向こうが来て「面会交流中は子どもに近づかない約束ですよね」と言ってきて。

私から近づいたわけでもないですし、子どもの目の前でそういう言動をするのはどうなんだろうと。次の調停で面会交流を振り返り、「子どものことを考えているとは思えない」といった話をしました。

他にも、面会交流の日に子どもが熱を出したので別の日に改めたいと言ったんですよね。熱があることを信じてもらえないと思ったので体温計の写真も一緒に送りました。

※写真はイメージ(iStock.com/Suzi Media Production)

すると「別の日に撮ったかもしれないから、今だとわかるようにテレビ画面と一緒に映して。子どものワキに体温計を指していないと、本人の熱なのかわからない」と。発熱している小さな子を抱えながら、二本しかない腕でそんなことできません。

メンタル不調をきっかけに面会交流は現在も見送り中

――離婚から7年ほど経った今も、面会交流は続いていますか?

離婚後、わりとすぐの頃から面会交流はしていません。向こうは子どもと会いたいのではなく、面会交流にかこつけて私に対して攻撃をしたかったのだと強く感じていて。

離婚を機に一度辞めた会社に復職することになったのですが、土日が忙しい職種のため面会交流は平日に指定していました。上の子は小学生になり、下の子は保育園に。学校と保育園が終わった後となると、交流できる時間も限られます。

最初はお互いの家の中間地点あたりで面会交流をしていたのですが、うちの近くの公園を指定したところ「お前の都合だけを優先している。お前のいいようにやるな」と言われました。

そこから、「お前は母親失格だ、子どもの気持ちを考えていない」といったダメ出しのメッセージが毎朝長文で送られてきました。丁度通勤時間なので満員電車に揺られながら、送られてきたメッセージを見る度、本当に無理……と。

こうした状況では面会交流を取りやめにせざるを得ないと思い、もう一度調停を申し立てたんですよ。ところが調停員に状況を説明してもあまり理解されず、話していてもらちが明かないと思ったので調停を取り下げました。

――取り下げに対して相手から反応はありましたか。

「なぜ勝手に打ち切ったんだ!」と怒っていたのですが、私の申立てを私が取り下げたところで問題はないはずです。毎回、横浜から向こうが住んでいる千葉の裁判所まで2時間半かけて行くのは大変でしたし。

そういったやり取りをしているうちに眠れなくなってしまい、メンタルクリニックで睡眠導入剤を処方してもらうようになったんです。眠れず生活もままならないのに、ここまでして面会交流を行わなければならないのか……そう感じていたところ、医師がしばらく面会交流を見送るべきとする診断書を書いてくれたんです。

その診断書の写真と共に「私が倒れたら子どもたちを見る人が誰もいなくなってしまいます。こういう状態なので、面会交流はしばらくできません。何か言いたいことがあれば、そちらから調停申立てをしてください」というメッセージを送りました。

すぐに「調停を検討します」と返信がありましたが、それ以降何も連絡がなく現在に至ります。

人を見る目を育むことが親の責務

――娘さんたちから父親に会いたいと言われたことはありますか?

一回もないです。旦那のことが嫌で私が泣いている姿を見たり、見ていなくても耳に入ったりしていたと思うので、離婚できてよかったねと。

――今後大きくなって、もし娘さんから父親に会いたいと言われたらどうしますか。

そうしたら本人の意志なので。連絡先をつなげるのは構わないから、自分のスマホで連絡を取って私を介さずにやってくれるならいいと思います。

――中学1年生と小学5年生の娘さんとの生活は楽しいですか?

特にシングルであることに気を遣うこともなく、女三人で仲良く暮らしています。申し訳ないと思うのは「男ってダメだな」という考え方を私が植えつけてしまったのではないかと。下の子が「ママみたいになりたいから、シングルマザーになる」と言っていて(笑)。

親として一番大事なことは、男を見る目を養うことだと思っています。私の見る目がないのでどうしようという感じなのですが(笑)。ドラマや漫画を見ながら「この人のことどう思う?」「こういう人はこうだよね」と話し、ダメな人だけではなく、中にはいい人もいるよと。娘たちがそういう人を見つけられるといいなと思います。

※写真はイメージ(iStock.com/miya227)

――小口さんご自身は再婚について考えることはありますか。

子どもが大きくなって私が一人になったとき、そういう人がいれば再婚したいかもしれませんが、今すぐには考えられませんね。

娘たちは私が幸せならそれでいいと思ってくれていると感じるので、私自身も幸せでありたいなと思っています。

ー自分の選択に自信を持つー

人なつっこさの中に聡明さをたたえる小口さん。その表情を見ると、自ら調停を申し立てたという選択に自信を持っているように感じました。

小口さんの場合は後悔はないといいますが、仮に弁護士に調停を依頼した場合はどのようなメリットが得られたのでしょう。Authense法律事務所の江藤朝樹弁護士に教えてもらいました。

【江藤朝樹弁護士監修】本人対応のメリットとデメリット

まず、面会交流は子どものために行うものですので、相手の嫌がらせにより子どもが面会交流を楽しめない状況になっているのだとすれば、子どものために、そのような行為は止めるようはっきりと意思表示をすべきです。

また、面会日程について無理な要求をする、事前に決めた面会中のルールを守らない等、嫌がらせが面会交流の実施自体を困難にさせるものであれば、小口さんのように、改めて面会交流調停を申し立て、守るべきルールを決め直したほうがよい場合もあります。調停内で合意ができなければ、裁判所が「審判」という形式で条件を決定します。

なお、離婚をめぐり争った相手ですから、面会に関しても、相手とのやりとりの中で不愉快な思いをすることもあると思います。しかし、小口さんのように精神に不調を来してしまう場合であればともかく、相手に対する不快感体は直ちに面会交流に応じない事情になるわけではなく、また、両親の感情的な対立を面会交流に持ち込むことは望ましいとはいえないことから、不愉快な相手に対してはできるだけ事務的に対応するのがよいでしょう。

今回のケースでは双方に弁護士がつきませんでしたが、弁護士をつけずに本人のみで対応す場合、複数のデメリットが潜んでいるため注意が必要です。

大きくは①不公平な内容で決着してしまう危険と、②手続的な負担があります。

①について、離婚をする際には様々な離婚条件を決める必要がありますが、必ずしも法的知識が十分でない本人のみで対応すると、知らず知らずのうちに、自分にとって不利益のある離婚条件で合意してしまうかもしれません。

特に、相手のほうは弁護士を依頼し、ある程度の法的な根拠を示して主張してくる場合や、調停委員から裁判所の考えを説明された場合は、その内容が妥当なのか、どう反論すべきなのかを本人だけで判断するのはかなり難しい場合が多いでしょう。弁護士に依頼することで、公平な結論となるよう、法的な根拠にもとづいて自分の主張をすることができます。

②について、協議にせよ裁判(調停や訴訟)にせよ、本人のみで対応する場合、相手と話し合ったり、書類を作成したり、裁判手続に対応したりする負担が相当程度生じます。弁護士に依頼することで、多くの手続を弁護士が本人の代わりに行うことができ、手続の負担は大幅に軽減されます。

また、離婚は精神的にも非常に大きなストレスとなる手続ですが、その際、自分の味方になってくれる専門家がいることは、そうした精神的な負担も軽減されることが多いでしょう。

なお、手続が訴訟にまで至った場合、訴訟は調停と比較するとずっと手続が複雑で、作成する書類や提出すべき証拠も多いのが通常であるため、本人のみで対応することが一般には困難で、弁護士へ依頼されることを強くおすすめします。

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弁護士: 第二東京弁護士会

江藤 朝樹

Authense法律事務所 六本木オフィス

〒107-6222 東京都港区赤坂9丁目7-1ミッドタウン・タワー22階

24時間受付(平日/土日祝)

初回無料

*料金詳細は各弁護士の料金表をご確認ください

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