【コラム#7】メンタルの弱い夫、やる気を出してもらうにはどうしたら?

更新日: 2023年04月03日

これまで3万8千件の相談に答えてきた離婚カウンセラー・夫婦問題研究家の岡野あつこさんの「リコ活相談室」。今回は、転職をきっかけにメンタルを崩し、無職になったものの頑なに通院を拒否する夫に憤りを覚えるという方からのお悩みです。岡野さんの語る「これまでと違うアプローチ」とは。

ーお悩み相談ー メンタルの弱い夫との生活、今の状態を脱するには?

結婚当初は気づかなかった、夫のメンタルの弱さにイライラが止まりません。

夫は私と同じ34歳、3年前に結婚し、子どもはいません。コロナ禍をきっかけに転職した夫は、以前より仕事量が増え、人間関係も複雑になったことを毎晩、グチるようになりました。体重も結婚当初と比べ、5㎏も減ったといいます。もともとどれほど陽気な性格ではなかったものの、最近は家でもめっきり口数が減りました。

そんな夫の様子には私もうすうす気がついていたのも事実。ただ、私もフルタイムで働き、夫と同じくらい収入を得ている毎日にはそれなりに仕事や人間関係でのストレスを感じることも少なくありません。だからこそ、夫が「自分だけがつらい目にあっている」という様子を目の当たりにすると、イラッときてしまうのです。

そこで夫がグチるたびに、「お給料をもらっているんだから仕方ないことだよ。ちょっとくらい忙しくなったり、イヤな目にあったりしたくらいで落ち込むなんて大げさじゃない? 私だって大変なことはたくさんあるよ。一緒に頑張ろうよ!」と励ますつもりでポジティブな言葉をかけていたつもりでした。

先日、起床の時間になっても寝室を出てこない夫を起こしに行ったところ、目は覚めているのに一向にベッドから出てこようとしないのです。理由をたずねると、「もうオレはダメかもしれない……。すべてがイヤになってしまったんだよ」とのこと。私がどんなに説得しても「ごめん……ムリだと思う」の一点張り。

私も出勤時間の都合があったので、とりあえず夫の上司に連絡を入れたところ「こんな時期なので無理しないように」とあたたかい言葉をかけてもらい、その日は有休をとりました。

ところが、夫はその日以来、寝室に引きこもりがちになってしまったのです。トイレや食事などのタイミングでは部屋から出てきているようなのですが、私も日中は仕事で家にいないので夫の詳しい動向はよくわかりません。

会社のほうも有休を使いはたした後は「ストレスによりメンタルを患った」ということで休職扱いにしてくれたものの、さすがに数ヶ月たったところで退職せざるを得なくなりました。

現在は無職になって2ヵ月、病院に通うことをすすめてもかたくなに拒否し、いまだに部屋にこもっている毎日が続いています。生活は私の収入と、これまでの二人の貯金を切り崩してやりくりしています。

私は一刻も早く今の状態から抜け出し、ちゃんと稼いでほしいし、子どももつくりたいと思っています。そこまでメンタルにダメージを受けた夫に対しては「気の毒だな」とは感じる一方、「私だって大変なのに、自分だけ被害者ぶってズルい」「なぜもっと努力しようとしないのか」と相当イライラします。離婚という選択もアリなのかもしれない、と思う今日この頃です。

ー岡野さんの回答ー 励ますより、まずは心が楽になる言葉をかける

これは、「夫と同じくらい収入を得ている」という働く女性を妻に持つ夫に、ときどき見られるお悩みでもあります。

一般的には「責任感があり、芯のしっかりした、仕事のできる素敵な女性」と思える人であっても、その人の夫から見れば「スキがなく、甘えることが許されない、プレッシャーをかけてくる女性」に思えることもあるのです。結婚当初は、そのことが発奮材料となって「自分も頑張ろう」と思えていたことも、結婚後、妻が仕事面でも人間的にもどんどん成長していく一方で、夫がそこに追いつけないと関係はギクシャクしはじめます。

病院に連れていき、専門的な診断と治療を受けることももちろん大切です。ですが、家族の協力と本人の努力なくしては、改善への道のりは遠いといえるのではないでしょうか。

現状で妻ができることは、メンタルの弱い夫への接し方を変えることです。夫を必要以上に激励したり鼓舞させたりするのではなく、「しばらく好きなことをしてみたら?」「先のことはゆっくり考えればいいんじゃない?」などと気持ちが楽になるような言葉をかけてみましょう。どのみち、部屋に引きこもっているなら、これまでとアプローチを変えて接してみるのです。

それと並行して、夫が信頼を寄せている上司や親、友人といった第三者に相談します。包み隠さず現状をお知らせし、あなたの思いや考えも伝えることで、協力をあおぐのです。それは本人だけでなく、あなた自身の心の安寧にもつながります。

もともとメンタルが弱い人は、言い換えれば繊細でナイーブなところのある人。そこに理解を示してあげることも大きな支えになるでしょう。離婚はしないに越したことはありません。まずは、別れを決断する前に妻として、夫婦というチームとして乗り越えるためにできることからはじめましょう。


#8では、順風満帆だった夫婦生活に「元カノ」の存在が浮上し、スキマ風が吹き始めた……という相談です。岡野先生の回答は?

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