【コラム#10】夫が突然リストラに! モチベーションをあげて就活してもらうには?
更新日: 2023年06月01日

これまで3万8千件の相談に答えてきた離婚カウンセラー・夫婦問題研究家の岡野あつこさんの「リコ活相談室」。今回は、突然のリストラのショックから立ち直れないという夫との今後に悩む妻からの相談です。岡野先生の回答は?
ーお悩み相談ー リストラから数カ月…いつまで待てば気持ちが切り替わる?
今年45歳になる夫がリストラにあってしまいました。
もともと厳しいノルマのある仕事だとは聞いていましたし、ここ数年は会社全体の景気がよくないという状況も知っていました。ですが、家族やプライベート以上に仕事を最優先してきた夫にとって「なぜオレがリストラされなきゃならないんだ?」という思いが強く、突然のリストラ勧告には相当ダメージを受けたようでした。
妻として、誰よりも近くで夫の仕事に対する情熱を見てきたこともあり、夫がリストラにあったことの悔しさや憤りは私も感じています。しかも、現在中学生の娘は、私立の高校に進学するつもりで張り切って勉強をしています。子どもの将来を想像するととても不安です。ですが、リストラにあってしまった事実は仕方がないので、次にどうするかを考えようと、なんとか前向きになろうとしていました。
問題は肝心の夫のほうです。というのも、リストラ後、会社を辞めてから数ヶ月たつというのにまだそのショックから立ち直れずにいるのです。
私としては、退職金や支給金がつきないうちに就職活動をしてほしいのに、「モチベーションが上がらない」「どうせまた別の会社でもリストラされるに違いない」「努力してもムダだ」などと一向に働こうとしません。だったら、家にいて家事を手伝ってくれればいいものの、それもしようとせず、一日中ゲームをしているだけで、洗濯物ひとつ畳もうとしないという……。
はじめは同情の気持ちがあった私も、さすがに最近はイライラすることがかなり増えました。「このまま家族としてやっていかれるかしら?」とすら思ってしまいます。
夫にとってはひとりになったほうが自分の人生を真剣に考えられるかもしれないし、私も娘と二人で再出発をするほうがいいのかな、と離婚についても考えはじめています。
ー岡野さんの回答ー 徹底的に夫のサポートに努めることに注力して
先が見えない今の時代、リストラは決して他人ごとではありません。仕事を頑張ってきたという自負のある人なら、余計にリストラのダメージは大きいのではないでしょうか。
このような場合、何かのきっかけがない限り、なかなか前に進むための踏ん切りがつかないもの。時間をかけて、あの手この手で夫を励まし、モチベーションを上げることが必要になるでしょう。
ただし、前提として「景気のよくない今、就職活動がいかに大変なことなのか」を妻は理解してあげなくてはなりません。まずは、しっかりと夫の気持ちに寄り添ってほしいのです。
夫は今、自信をなくしながらも「家族を養っていかなければならない」という思いと、「今度こそ自分の能力を評価してくれる会社で働きたい」という思いのどちらも持っているはず。言葉や態度には出さなくても、心のなかでは妻にも打ち明けられない悔しさや不安を抱えているのです。
だからこそ、就職活動をはじめるのにも時間がかかってしまうのではないでしょうか。「家でダラダラしているだけのクセに、家事も手伝わないなんて最低!」と思う気持ちは、いったん横に置いてください。そして、当面の目標として夫のモチベーションを上げることに集中してみましょう。
妻の理解とサポートは愛情として夫に伝わり、夫のやる気をうながすことにつながります。何度でもあきらめず、これまでしてきた夫の努力を言葉にしてとことんねぎらいましょう。そして、お子さんからも「働くお父さんって、カッコいいんだよね」「スーツ姿のパパは好き」などと応援してもらうようにします。
一般的な話でいうと、本当にお金が尽きてしまう前に、自分で就職先を決めてくる夫は少なくありません。
不安や不満で夫を追い詰めるより、今はサポートに徹してください。ここで離婚を選択したら、慰謝料も養育費ももらえない危険性もあるのですから、ぜひ辛抱強く夫を支えましょう。
#11では、わがままな義母の介護と無関心な夫、不妊治療の中断も懸念される……という女性からのお悩みです。
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