【コラム#16】嫁VS姑のバトルを おさえきれなかった夫の後悔
更新日: 2023年08月26日

これまで3万8千件の相談に答えてきた離婚カウンセラー・夫婦問題研究家の岡野あつこさんの「リコ活相談室」。今回は、妻と母親の板挟みにあってしまった男性からのご相談です。岡野先生の回答に注目です!
ーお悩み相談ー 母親の肩を持ってしまい、妻から離婚を切り出されました
私は50歳で会社員、妻は44歳で派遣社員。結婚15年目で子どもが2人います。
2年前、私の父親が他界したことがきっかけで、昨年母親を呼び寄せ、今は5人で暮らしています。ところが、母親と妻の相性がよくないせいか、もめることもしょっちゅうです。
たとえば、早朝から洗濯機を回す母親に文句を言う妻と、ご近所の人たちに「家事ができない嫁で困っている」と触れ回る母親。そんな二人の板挟みになっているせいで、同居をはじめてからの私のストレスはたまる一方です。
先日、妻のほうの父親が突然倒れてしまいました。妻からは「とりあえず1ヵ月ほど実家に帰ってお父さんの世話をするわ。なので、お義母さんと息子たちのこと、お願いしますね」と一方的に切り出され、困惑した私は思わず「冗談じゃない!」と突っぱねてしまいました。
おまけに、「オレだって仕事があるんだよ。お義父さんのことは近所に住んでいる義姉にまかせればいいじゃないか。オレのおふくろのことは、どうだっていいのかよ? そんなに実家に帰りたいなら、離婚してからにしろよ」と怒鳴りつけてしまったんです。私の怒声を浴びた妻は、何も言わずただ涙を流すだけでした。
翌朝、何事もなかったように、いつもと同じ5人分の朝食を用意する妻の姿を見て「勢いでひどいことを言ってしまったが、きっとなかったことにしてくれたんだな」と内心では思っていました。
ところがその晩、遅い時間に帰宅すると、リビングで待っていた母親から「あの人、あなたが帰ってきたら、これを渡すように言われて出ていったわよ。子どもたちをつれてこんな時間まで帰ってこないなんて、信じられないわ!」と手紙を差し出されました。
そこには「家族に尽くしてきた私の15年間はなんだったのか」「ことあるごとに私を心配して電話をかけて励ましてくれた父親のそばについていてあげることがそんなに悪いことなのか」など、私に対する恨みつらみがビッシリ書いてありました。
そして、「あなたの言葉どおり、離婚してここを出ていくことにしました。折り合いの悪いお義母さんより、私のことを大切にしてくれたお父さんの世話をしたいので。子どもたちはつれていきます。あなたはお義母さんと二人、ここで暮らしてください」とも。
いったい、私は妻にはどう対応すべきだったのでしょうか。
ー岡野さんの回答ー 嫁姑問題の解決策は、自分の親より妻を優先させること
嫁姑問題が生じたときに、カギを握るのは「夫がどう振舞うか?」です。
結論から言うと、夫が自分の母親の肩を持ち続けていると、やがて離婚を招く可能性もあるということです。
夫は、家事や育児など家庭のことを担っている妻の苦労をしっかりねぎらい、そのうえで自分の母親にやんわり忠告するなどして、嫁姑の関係が少しでも改善するような努力が必要です。夫婦関係の悪化を避けたいなら、自分の母親より妻を優先して振舞うほうが上手くいくケースは多いでしょう。
妻をフォローする場合、物理的な面と精神的な面の両方からのアプローチが有効です。
物理的には、たとえば「家をリフォームしようか」というように、なるべく嫁姑の接点を減らす工夫や提案をするのもおすすめです。実現できるかどうかは別として、「私のためにそこまで考えてくれているのね。だったら、私ももう少し頑張ろう」と妻のほうも納得しやすくなります。
精神的には、妻へのねぎらいと感謝の気持ちを言葉で表すことです。「いつもすまないね」「助かるよ」「ありがとうね」という言葉をかけるほか、妻がグチをこぼしたときは口を挟まず最後までしっかり吐き出させてあげましょう。「少なくても夫は私の味方。理解してくれる夫のために、私も頑張ろう」と妻の心が動くはずです。
嫁姑の問題は女性二人の衝突ではなく、夫婦の問題でもあります。自分ごととして、丁寧に対応していくことを心がけましょう。
次回は、離婚を決意した女性に、弁護士選びのポイントを伝授します!
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