【コラム#23】夫婦どちらも子どもを引き取りたい場合、親権はどうやって決めたらいい?
更新日: 2023年12月25日

「一生を一緒に過ごす相手ではない」と夫婦間で離婚に合意。しかし4歳になる子どもの親権はお互いに譲りたくない。親権問題が片付かないまま、離婚の話し合いは平行線を辿り半年経つという男性からの相談です。これまで3万8千件の相談に答えてきた離婚カウンセラー・夫婦問題研究家の岡野あつこさんはどう答えるのでしょうか。
ーお悩み相談ー お互いに親権を譲りたくない
私は32歳の会社員で結婚6年目、2歳年下の妻との間には4歳になる子どもがひとりいます。
現在、私と妻は離婚に向けて話し合いを進めています。離婚の理由は、いわゆる「性格の不一致」。食事や休日の過ごし方、趣味にいたるまで、私と妻とは好みが正反対なのです。
たとえば、親しい友人を招いて、自宅でホームパーティをするのが私の理想の休日の過ごし方。ところが、妻は料理が不得意で酒も飲めないうえにひとみしりが激しく、私の友人たちと親しくなろうと努力もしません。「おやすみの日は部屋で一日中、ゲームをして過ごしたい」と言っています。
そんな私たちが結婚を決めたのは、知り合ってすぐに子どもができたから。子どもが生まれれば夫婦として二人の距離が縮まるはずだと考えていましたが、実際はそんなこともなく、むしろ私たちの心の溝は深まる一方でした。
そこで夫婦でじっくり話し合った結果、お互いが「一生を一緒に過ごす相手ではない」と感じていることがわかったのでした。
最大の問題は、4歳の子どもの親権についてです。私たちは夫婦がお互いに、「どうしても自分の手で子どもを育てたい」と思っています。
私は自由業なので、平日も時間に融通がきくため、子どもを引き取って育児をすることが可能です。離婚後はご両親のいる実家に戻ると話している妻も「今の仕事を続けながら、子育ては実家でサポートしてもらう」と主張。親権は、お互いに一歩も譲らない姿勢です。
子どもの親権問題が片付かないために、離婚の話し合いは暗礁に乗り上げたまま、半年がたとうとしています。
ちなみに、子どもはまだ幼いので両親が離婚するという状況が理解できず、どちらと一緒に住みたいかの意思を確認することは難しそうです。
夫と妻、どちらにも子育てに時間が割けて、経済的なこともクリアできそうな場合、どのようにして親権を決めたらいいのでしょうか。
ー岡野さんの回答ー 離婚以外の形で、家族全員が幸せになる方法を再考する
親権を争うことの意味は、両親の離婚にともない子どもを取り合うこと。
どんなに幼い子どもだったとしても、そのやりとりには心を痛めるものだということを忘れてはいけません。だからこそ、感情的になることなく、子どもの将来を考えたベストな選択をする必要があります。
私の経験上、今回のケースでは、どちらが親権を取ることが望ましいかは、最終的には裁判に委ねることで決めていくことになることが予想できます。
ただ、もちろん法律にしたがって親権を決めることも可能ですが、私は「もう一度、角度を変えて考えてみてはいかがでしょう」という提案をしたいと思います。
たとえば、「一生を一緒に過ごす相手ではない」と思っていたことを、「離婚ではなく別居をする」「一生を一緒に過ごす相手ができたら離婚を考えることにして、それまでは一緒に暮らす」というものです。
「離婚の問題で子どもの心を傷つけない」というゴールを設定すれば、子どもが自由に行き来できる距離での別居や、これまでどおりの同居生活は耐えられないことではないはず。性格は違っている二人でも、子どもへの愛情は同じくらい持ち合わせているからです。
もう一度、子どもの幸せを最優先しつつ、「家族それぞれの幸せのための準備期間」として離婚以外の形のライフスタイルを検討してみることをおすすめします。
次回は、「オレの才能を信じないのか?」と逆ギレをする役者志望で収入の低い夫から養育費はもらえるのか、という相談です。
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