「日常的にDVを受ける母」から「子どもにありたい姿を見せられる母」へ
更新日: 2024年04月23日

東京6畳暮らしのシングルマザーとして情報発信を行い、ひとり親支援Feliz代表を務めるChumiさん。ご自身が離婚に至るまでの経緯や、離婚後の率直な感想、現在情報発信を行う理由までをインタビューしました。
妊娠中のDVで切迫流産、産後も止まない暴力
――まずはChumiさんが離婚に至るまでの経緯からお聞きします。パートナーに対して違和感を感じ始めたのはいつ頃からだったのですか?
籍を入れる前からモラハラであったり女性関係であったり、おかしいなと思うところは多々ありました。でも、婚約中に妊娠が分かったので引っかかるものがありながらも結婚することにしたんです。
――離婚の原因はモラハラや女性関係だったのでしょうか。
女性関係については、マッチングアプリや職場で不特定多数の方と数えきれないくらいあったので、慣れてしまったというか……。
離婚の決め手は妊娠中から始まったDVです。妊娠中期の頃、玄関からリビングまで髪の毛を掴まれながら引きずられ、顔面を靴で叩かれるという暴力を受けました。私がお腹を庇うとお腹や腰を狙って蹴られ、全身打撲状態に。
翌日、お腹が張り胎動を感じなくなったことが怖くて病院に行くと、切迫流産の診断を受け絶対安静となり、その後入院することになりました。

※写真はイメージ(iStock.com/wutwhanfoto)
それでも子どもが生まれたら彼は変わるのではないかと淡い期待を抱いていたのですが、その後も暴言や暴力が止むことはありませんでした。
息子が生後2か月の頃に親子で命の危険を感じる程のDVにあって、その後すぐに実家に避難し、離婚するまでは2年半かかりました。
――相手が離婚に応じなかったということですか。
離婚には応じたのですが婚姻費用について揉め、まずは婚姻費用の未払調停を行いました。
先にこちらが婚姻費用未払い調停前から弁護士をつけ、相手は婚姻費用未払い調停が終わる頃(離婚調停に移りそうな時)に弁護士をつけました。養育費調停や離婚調停はしておらず、婚姻費用の未払い調停6回のみで結果的にギリギリ協議離婚。期間としては2年半かかりました。
夫から逃れるために警察立ち合いで夜逃げを決行
――離婚後の生活についても教えてください。DVから逃れるためにシェルターなどを考えることはありましたか?
警察や行政からシェルターや母子寮を勧められたのですが、家族同然の犬を飼っていて手放すことは考えられず……。結局、警察立ち合いのもと、今住んでいる6畳1Kの家に夜逃げしました。
――警察が立ち会うことがあるのですね。
警察の方に「子どもを守れるのはあなたしかいないからね」と言われて目が覚めました。当初は私が我慢すれば丸く収まるかもしれないと思っていましたが、そうではないのだと。
元夫は当時、本当に何をするかわからない状態で。DVも頻回でしたし、寒いのに新生児を肌着一枚で外へ連れ出してどこかへ行ってしまったり。鉢合わせたら殺されるかもしれないと警察に思われていたのかもしれません。
元夫が帰宅しない日を見計らって夜逃げの準備をしたのですが、警察官が立ち合い、懐中電灯を手に「突入!」と自宅に元夫が居ないか確認していました。

※写真はイメージ(iStock.com/shironagasukujira)
――金銭面でも大変だったのではないでしょうか……?
離婚成立まで2年半の間はもちろん児童扶養手当はもらえません。元夫に児童手当の使い込みをされていたうえに、保育園にもなかなか入れず、育休手当だけで生活していました。
保育園に入園後はフルタイムで働いていましたが、一部生活保護を受けていました。
離婚直後は感情のジェットコースター
――シングルマザーになってからの感情の動きについて教えてください。
離婚後は感情のジェットコースターというか、感情が大渋滞の状態でした。
相手が暴力のことを最後まで認めなかったので、自分が納得して終わったとはいえないじゃないですか。それでも離婚が成立してひと段落したという安堵感があったり、これからの生活がどうなるのかという経済的な不安があったりして。
それに、手続きの嵐に絶望しました。離婚や子どもの手続きであったり、戸籍や健康保険、クレジットカード、免許などの書き換えも大変でした。氏名変更については向こうはやらなくてもいいのに、なぜこちらばかりが……という思いもありましたし。

※写真はイメージ(iStock.com/K-Angle)
――シングルマザーになってから一番大変だったことは何ですか?
どん底だった生活保護の時より苦労は減りましたが、お金の面はやはり大変ですかね。自分や子どものケガや病気などで働けなくなった時のお金は心配ですね。
子どもが0歳から2歳くらいまでの間は、「今私が家の中で倒れたら息子は助けを呼びに行けないしどうしよう」という不安は常にありましたし、今もあります。
――元パートナーとお子さんは離婚後会っていないのでしょうか。
最後にDVがあった日以来会っていません。生後2カ月頃から会っていないので記憶もないと思います。元夫に対する説明は聞かれたことしか答えないと徹底しているので、息子に悪口のようなことを言うこともありません。
息子が大きくなって本人の意思で会いたければ会えばいいと思いますが、今会わせるとしたら第三者機関を使うことになるのかなと。力で負けているうちは極力会わせたくないというのが正直な気持ちです。
――息子さんとの生活はどうですか?
保育園では毎日私へのプレゼントを用意してくれたり、一日100回くらい「ママ大好き」と言ってくれたり(笑)。いろいろな人に「本当にママのこと好きだよねぇ」と言われます。
今の私の支えは息子と愛犬です。

※写真はイメージ(iStock.com/DoloresGiraldez)
離婚したからこそ息子に見せたい姿を見せられる
――現在Instagramで支援・助成・給付金などシングルマザーに向けた情報発信をされていますが、どのような想いから活動されているのですか。
一人親の方は、日中働いて一人で家事も育児もしているので、調べる時間すらないという方がすごく多いと思っています。そういった方に向けて、私のアカウントをフォローしてもらえれば情報キャッチできるようにと思って発信しています。
でも、私自身周りにシングルマザーの友だちがいなくて、ママ友じゃないですけれどフォロワーさんとそういう関係になれたらいいなぁと思っています。
息子がケガをした時に「どうすればいいですかね」と言ったら、いろいろな方が心配してアドバイスをくれたことがあって。私の方がフォロワーさんに助けられている感じがすごくあります。

※写真はイメージ(iStock.com/howtogoto)
――離婚してよかったと思うことについて聞かせてください。
一つに決められないくらいよかったことばかりなんですけど、あのまま我慢して結婚生活を続けていたら、多分息子は日常的に私がDVをけている姿を見て育っていたと思うんですよね。
離婚したからこそ、好きなことをしたり仕事を頑張る姿など、自分が見せたい姿を毎日見せられているので、それが一番よかったのかなと。
私自身離婚する前は、離婚後の幸せな未来を想像することすらできなかったんですよ。一人親だから貧乏になるだろうな、自分がしたいこともできなくなるだろうな、息子に苦労をかけるだろうな、学費とかも大丈夫かな……とマイナスのイメージばかりで。
離婚してみるとそうでもないんですけどね。フォロワーさんに「離婚して幸せになりましたか?」とイエス/ノーでアンケートをとった結果、90%以上が幸せになったという答えでした。
みなさん離婚するか思い悩んだけれど、離婚して幸せになったという方がとても多いですよ、と今悩んでいる方にお伝えしたいです。
この記事は2024年1月26日に公開しました。
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