【弁護士解説】元夫が再婚!この機会に住所を調べることはできますか?

更新日: 2024年10月01日

離婚後も子どもを育てていくために、シングルマザーにはさまざまな不安がつきまとうものです。元夫が再婚した場合、養育費はどうなるのでしょうか? 元夫から再婚したと連絡があったという東京で暮らすシングルマザーの林さん(仮名)が気になることを、Authense法律事務所の安部 直子弁護士に質問します。

元夫から再婚連絡 この機会に住所情報等を取得できますか?

林さん:3年前に協議離婚した際に、養育費の取り決めの他、住所や職場が変わる、再婚するなどした場合は2週間以内に通知をするよう公正証書に入れ込みました。通知の方法は私の父へのメール連絡です。

ただ、メール一通では本当に再婚したかどうかわかりません。養育費の支払が滞った際に速やかに差し押さえできるよう、これを機に、元夫に対し、弁護士から、再婚の事実や現住所、職場について、戸籍や、運転免許証、源泉徴収票等の資料の開示を求める内容証明を送ってもらうべきかお聞きしたいです。

安部弁護士:住所を確認するために運転免許証のコピーや画像を送ってもらうのはいいかもしれません。ただ、内容証明はあまりおすすめできないです。

弁護士が内容証明を送ると元夫は身構えるでしょう。身構えると何が起こるかというと、インターネットで調べますよね。仮に元夫の再婚相手が無収入だとすると、元夫の扶養義務者が増え、林さんが受け取るお子さんの養育費に跳ね返ってくる危険性があります。

今の段階では、元夫は単に再婚したことを連絡してきただけだと思うので、強硬手段に出ない方がよいのではないでしょうか。

面会交流をしているのであれば、「子どもを家に連れて行く時に住所を知りたいから」と柔らかく聞いてみるとよさそうですね。

林さん:今のところ面会交流はしていないので、対応に迷っています……。

今後、話がこじれて調停になった際に「連絡が来ていないので住所までは伝えませんでした」と言われたりしないか心配なので、確実な内容証明がよいと思っていたのですが、確かに安部先生のおっしゃる可能性もあり得ます。

安部弁護士:そうですよね。悩みどころではあると思いますが、弁護士がついていると住民票や戸籍の附票が取れるので住所を調べることは可能です。

協議離婚が成立した時に公正証書を作っているのですよね?

林さん:はい、作っています。

安部弁護士:公正証書を作っていて、養育費不払いで差し押さえをするとなると、債務名義を持っているご本人が相手の住民票を取ることも可能です。あるいは、お子さん名義で父親の戸籍上の動きを調べることもできます。

住所を知りたいというのは、強制執行する時に必要だからですよね?

林さん:そうですね。あとは養育費保証サービスを検討していて、審査の際に相手の住所が必要になるので知っておきたいなと。

安部弁護士:養育費保証制度は林さんが手数料を負担するわけですよね。相手に金銭的負担があるわけではないので、「養育費保証サービスを利用したいから住所を教えてほしい」という伝え方なら相手も応じやすそうです。

住民票や免許証、住民基本台帳カードなどに正式な住所が記載されているので写しを送ってもらえるとよいですね。

林さん:あとは職場についても気になります。おそらく転職してお給料が上がっているはずなのですが、再婚したと連絡があったこの機会に、改めて養育費を計算し直すために収入証明を出してもらうか、波風を立てない方がよいのか……どちらがいいと思われますか?

安部弁護士:少しずつ年収が上がったわけではなく、転職して年収が上がったとなると特別事由に該当し、養育費増額請求の土俵に上がることにはなるかと思います。

しかし、再婚相手がパート勤務などで年収が100万円前後であれば、再計算した養育費が上がるか下がるかはわかりません。また、離婚時と比べて、林さんの年収の上がり幅が大きければ、やぶ蛇をつつくことになりかねないので、その兼ね合いですよね。

林さん:私の年収はそこまで変動があったわけではないのですが、今のお話を聞くと今のタイミングで波風を立てなくてもよいのかなと。

「養育費保証サービスを受けたいから、この書類を送ってほしい」と伝えたところで期限を決めなければ守ってもらえないのではないかと思っています。

安部弁護士:まずは連絡をして何度かラリーをした上で、話し合いが難しそうであれば調停をするしかないのかもしれませんが、いきなり法的手続きをとる形ではなく進められるといいですね。

林さん:こちらからの連絡を無視されるパターンも考えられるのですが、そうした場合「弁護士さんに相談しました」といった内容を入れると効果的でしょうか?

安部弁護士:それはおっしゃる通りだと思います。一度弁護士を入れて調停していますので、弁護士から連絡があればもう一度同じ流れになるのではないかと察して動いてもらえるかもしれません。

あとは費用対効果ですよね。ご自身で内容証明を送って「回答がなければ弁護士に相談します」という文言を書くこともできますから。弁護士費用をかけるメリットとデメリットがあると思うので、林さんご自身のお気持ち次第かと思います。

これもすぐに「弁護士」というワードを出すと、相手が警戒していろいろ調べた結果、養育費減額に至る可能性があります。何回か連絡しても返事が来ない場合の手段として、最初から強硬な手段に出ない方がよいと思います。

林さん:ありがとうございます。自分では考えが及ばないアドバイスが聞けて助かりました。

もし相手との話がこじれたり、無視が続いたりして、弁護士さんの判付きで内容証明を送りたいと思った時は、改めて安部先生に依頼することは可能ですか?

安部弁護士:はい、もちろんです。その際は改めてご相談ください。

【さらに質問】住所を調べる方法と養育費への影響

【質問】弁護士さんに依頼すれば、相手の住所を調べることができますか?

探偵のような形で「住所を知りたいから」「連絡先を知りたいから」という理由で調べることはできません。弁護士を必要とする何かしらのご依頼を受けた中で、お相手の住所情報を取得する必要があり調べるという形になります。

今回のお話でいうと「養育費保証制度を利用したいから相手の住所を知りたい」という依頼をお受けすることは出来かねますが、元夫との交渉が必要な状況で、「養育費保証制度の契約締結の代理行為」という形であればお受けすることは可能です。

【質問】相手が再婚した場合、同居親が受け取る養育費にはどのような影響がありますか?

安部弁護士:裁判所の感覚として、離婚するタイミングでは再婚することや新しい子どもができることは予測できない部類に該当します。再婚相手にある程度の収入がある場合は、元夫に扶養義務が発生しないため、養育費の金額に再婚は影響しません。

しかし、元夫と再婚相手との間に子どもが生まれたら、元夫には新しい子どもへの扶養義務が発生するため、再婚後、元夫に子どもが生まれた場合には、正直なところほとんどの場合で養育費は減額となります。

【質問】元夫に子どもができた場合、養育費はどれくらい減額になりますか?

再婚相手の年収に応じて変わるのですが、元々の養育費が半分になるほど減額されるわけではありません。元夫の年収の他、再婚相手の年収とご相談者様の現在の年収が計算式に加わり、お子さんの養育費が算定されます。

 

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Authense法律事務所 北千住オフィス支店長。ポリシーは「ドアは開くまで叩く」。依頼者に喜んでいただけるよう、粘り強く最後まで諦めずに結果を勝ち取りに行く。依頼者が遠慮することなく疑問に感じたことをお話いただける“話しやすさ”に定評があり、質問にその場で的確に回答することができる知識の豊富さにも自信がある。

 

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