【相談#3】不妊治療の苦しみが 夫に理解されない…
更新日: 2024年09月13日
さまざまな形で「別れ」に向き合ってきた、看護師・僧侶・スピリチュアルケア師・ケアマネ-ジャー・看護教員として多くの方の心に寄り添ってきた玉置妙憂さんのリコ活相談室。第3回は夫と妊活への温度差を感じる女性からのご相談です。
【相談】妊娠を諦められず夫を責めてしまう
夫との関係に悩んでいるので相談させてください。2歳年下の夫とはアプリで知り合いました。夫は大手メーカーに勤務、性格も温厚で、周囲からも羨まれるような人です。
私は高齢出産に差し掛かる年齢ということもあり、すぐにでも子どもが欲しかったのですが夫は特に考えていない様子で、「〇〇(私)がやりたいようにすればいいよ」ということでした。
結婚してすぐに不妊治療を開始。タイミング法を半年試しましたがうまくいかず、人工授精で妊娠した時は私も夫もとても喜び、とてもいい関係でした。ところが10週目に流産してしまったんです。
そこで諦められればよかったのですが、「どうしても子どもを産まなければ」という強い切迫感に襲われ、口をつくのは妊娠のために必要なスケジュールや体調管理のことばかり。
私は職場には伝えていませんが可能な限り仕事よりも妊活を優先しているのに、夫は精子の採取が必要な日に出張の予定を入れたり、私よりも妊活においてやることが少ないはずなのに非協力的に見えて仕方がありません。
女性は時間が限られているのに「しばらく妊活は休もうよ」と言われたことにも傷つきました。夫が職場の部下の女性から仕事の相談をされただけ、と言っていましたが二人で食事に行っていたことにもはらわたが煮えくり返る思いです。今、この相談も怒りに任せて書いています。
私が生まれてもいない子どもへの執着を手放せば夫と元の仲にもどれるのでしょうか。でも、ホルモンに支配されているとはいえ、ヒステリックな私の一面を知られた後で再び元の関係に戻れる自信はありません。
子どもを授かれば夫でなくてもいいのではないかという思いもあります。だとしたら時間が限られている中、一刻も早く婚姻生活を解消した方がよいのではないか、とも。
私と夫は一人っ子で、実家、義実家とも子どもを楽しみにしています。不妊治療をしている友だちもいないので誰にも相談できず苦しいです。
(30代・女性)
【玉置さんの回答】あなたの心の奥底に横たわる想いは何でしょう
大変なご状況ですね。そういうことであれば、すぐにでも今のご主人と別れて、子どもを心から望んで、協力してくれる次の方と一緒になったほうがいいでしょう。
次の方は、仕事よりも、妊活を優先してくれる方を選びましょう。もしかしたら、そのために仕事を辞めてくれるかもしれませんよ。そうなれば、思う存分、妊活に時間を割くことができますから、安心です。あなたも、仕事より妊活を優先しているのですから、きっとお二人の息もぴったり合うでしょう。
念のための確認ですが、妊活のために仕事を辞めて、朝からごろりと横になって携帯ばかり見ている旦那さんに「子ども生まれるのにどうするの!ちゃんと働いてよ!」「子どもを育てるにはお金がかかるんだから。安定したいいところに就職してよ!」なんて、言いませんよね。だって、あなたの希望で、仕事よりも妊活を優先してくれる方を選んだのですから。
ところで、そもそもの話なのですが「どうしても子供が欲しい」、その理由はなんですか。強い切迫感を感じてらっしゃるのは、伝わってきます。その切迫感は、どこからきているのでしょう。あなたの心の奥底に横たわっている想いは、いったいなんなのでしょうね。「どうしても子供が欲しい」「どうしても子供を産まなければ」は、ぷかりと浮き上がってきた泡のひとつにすぎません。その下に何があるのか、とても気になります。
それからね、たしかに子どもは可愛いですよ。それは本当にそうです。でも、そればっかりではないのです。ひとたび生まれてしまえば、その子に対する責任は一生涯続きます。「自分の時間」なんて、優雅なことは言っていられません。
自分のことは、すべて後回し。食べるものだって、観るものだって、行くところだって、すべてが子ども中心になります。しかも、そこまでして育てた子供に「親ガチャに外れた」なんて言われることさえあります。そのあたりもきちんと、了承済みでしょうか。
なんかね、あなたのご相談をお聞きしていると「私が…私が…」って、ぜんぶご自分中心だからちょっと心配になってしまってね。そのくせ、妊活にしても、夫との仲が元に戻るかどうかにしても、そのへんは他人まかせなんですよね。
「夫が協力してくれない」じゃなくて、「協力してもらえるように死力を尽くす」んですよ。「元の中にもどれるのでしょうか」じゃなくて、「もどれるように必死で努力する」んですよ。それが自分で自分の人生を切り開く、自分中心の生き方でしょう?
だいぶ厳しいこと言いましたね。ごめんなさい。もうさんざん必死で努力してこられたあとなのかもしれないのにね。とにかく、もう一度、意識の矢印をぜんぶご自分の内側に向けて、己の心の奥底をじっくり見回してみてください。そこにきっと答えがあるはずです。困ったらまた、いつでも声かけてくださいね。
▼次回
【相談#4】うつの夫を支えながらのワンオペ育児がつらい
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※この記事は2024年8月13日に公開しました
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