【相談#4】うつの夫を支えながらのワンオペ育児がつらい
更新日: 2024年11月18日
さまざまな形で「別れ」に向き合ってきた、看護師・僧侶・スピリチュアルケア師・ケアマネ-ジャー・看護教員として多くの方の心に寄り添ってきた玉置妙憂さんのリコ活相談室。第4回は、うつ病と診断された夫との生活に不安を抱える女性からの相談です。
【相談】鬱と発達障害の夫、幼い子どもを一緒に育てていける?
夫との関係に深く悩んでいます。夫とは大学時代から付き合いがあり、彼の研究者気質や朴訥な雰囲気に魅了され、卒業して間もなく、今から2年前に結婚しました。
しかし、結婚前から感じていたことではあるのですが、夫の行動やコミュニケーションに対する違和感が次第に大きくなりました。話したいことがあっても「ああ」「うん」「君がいいなら…」といった具合で日常の些細な話し合いがうまくいかず、家事や育児の協力を頼んでも、一つのことに熱中すると他のことが全く手につかない様子でした。
また、彼は会社でも上司や同僚とのコミュニケーションに苦労し、職場でのストレスも増しているようでした。実際に彼の職場での評価は低いと、人づてに聞きました。
夫の発達障害が判明したのは、会社でのトラブルからひどく落ち込み、専門家に相談したことがきっかけです。診断の結果は鬱。発達障害であることもわかりました。現在、会社は2カ月間の休職中です。
私自身も乳幼児をワンオペで育て、間もなく育休が終わり復職したら、鬱の夫を支えながら子どもを育てていけるだろうかと不安です。地方の大学から就職で東京に出てきたので近くに友人はおらず、お互いの実家も遠いので電話で話すことはできても気軽に頼ることはできません。
できるだけ明るく振る舞いながらも一人でいると涙が出てきます。共倒れするくらいなら離婚して実家で生活を立て直した方がよいのかもしれないと考えていますが、夫を見放すことになるのではないかと心が痛みます。
義両親とあまりよい関係ではない夫が、誰にも頼れないまま私と子どもと離れることで最悪の選択をしてしまうのではないかと思うと心配です。アドバイスをいただけると幸いです。
(20代 女性)
【玉置さんの回答】夫に対する違和感は、あなたの問題
うーん……。どうしたものでしょうね。お便りを拝読しながら、私も考え込んでしまいました。少し整理していきましょうね。
まず、夫さんがどんな診断を受けているかはちょっと置いておきましょう。私たちが着目すべきは診断名ではなく、夫さんの「生きづらさ」だと思うからです。現在休職中とのことですよね。
この先、夫さんが元気に働くためには、夫さんに合った仕事、職場環境を見つける必要がありますね。安易に元の職場に戻ったところで、いまと同じことが起こる気がします。夫さんの「生きづらさ」が、解消しないからです。
自分に合った仕事、職場を見つけるって、なかなか難しいですよ。だからたいていの人は我慢しているのですが、夫さんはデリケートで我慢していると壊れちゃうから、より慎重に探さないといけません。見つかるまでには、時間がかかるかもしれませんね。それにお付き合いできますか?
夫さんの行動やコミュニケーションに対する「違和感」は、夫さんの問題ではなくて、あなた自身の問題です。夫さんに、もっと違った対応をして欲しいと望んでいるのでしょう?その期待通りの反応が返ってこないから「違和感」と言っているのですよ。
つまりこれはね、カエルを見て「なんで飛ばないんだろう?」と思っているのと同じです。カエルはカエルですから、飛びはしません。なのに、ハトのように飛ぶことを期待しているあなたの方が修正しないと、今感じている「違和感」はずっと消えません。どうです?夫さんのありのままを愛でることはできそうですか?
ワンオペ育児+復職+夫さん、の問題。頼る人もいなくて、ひとりでやっていけるかどうか。これは、自分の力量の再チェックが必要です。もうこうなったら、自分の力だけでやっていくしかないと思って計算し直しましょう。
誰だってそうですけど、持っている力には限りがあります。限りある資源を有効活用するためには、おのずと優先順位を決めざるを得ません。単純な算数の問題ですよ。ごちゃごちゃと複雑な√やΣをとっぱらって、いったん+-だけで計算してみましょうよ。どうです。夫さんはどのくらいの位置に入ってきますか?
そして、夫さんの最悪の選択の心配。お気持ちは分かります。でもこの「心配」、どんなカタチをしていますか?最悪の選択をして欲しくないのは、①夫さんに生きていて欲しいから。②そんなことをされたら後味が悪いから。①の場合は、夫さんを心配しています。②の場合は、自分を心配しています。どっちがより大きいでしょうか。
良い悪いじゃないですよ。人間、誰だってそんなもんです。今、自分はどっちの気持ちが大きいのかだけ、考えてみてください。いかがですか?
さて、ひとつひとつについて考えてきましたけれど、なにか見えてきたかしら。たぶんね、一見複雑に見えるけれど、その実ものすごくシンプルなことだと思います。陳腐な言い方で申し訳ないけれど、「愛」があるかどうか。それだけなんです。
やっぱりすべての原動力は、「愛」なんですよ。それがあるかどうか、胸に手を当てて、ゆっくり考えてみてください。
リコ活の夫婦カウンセラーは、あなたの悩みにぴったりのアドバイスを提供します。
https://ricokatsu.com/counselors
※この記事は2024年9 月13日に公開しました
その他の記事