【弁護士監修】離婚時に知っておきたい共同親権とは|導入時期や注意点をわかりやすく解説

更新日: 2024年10月08日

2024年5月に可決された共同親権制度が注目されています。この記事では、共同親権と単独親権の違い、導入の背景、反対の声が上がっていた理由、施行時期や相談先などを詳しく解説します。

今話題の共同親権とは

今盛んに報じられている「共同親権」をご存じでしょうか。日本ではこれまで離婚すると、子どもの親権は父親もしくは母親のいずれかのみが持つ「単独親権」が採用されてきました。

2024年5月17日に今後は離婚後も父母が揃って親権を持つ共同親権の導入に向けた、改正民法が参議院にて可決され、成立しました。しかし、この改正案が可決に至るまでは共同親権に関する不安や反対の声も大きく、これから離婚を検討される方や既に離婚して、現在単独親権になっている方も気になっている方が多いのではないでしょうか。

そこで、この章では今話題の共同親権について、これまでの単独親権についても触れながら詳しく解説します。

▼親権問題を積極的に扱っている弁護士はこちら
https://ricokatsu.com/lawyers?consultationField=id4

▼▽▼さらに弁護士を探す▼▽▼
https://ricokatsu.com/lawyers

 

これまでの日本では「単独親権」

これまで日本では離婚後の親権について、「単独親権」というしくみが採用されてきました。民法では以下のように定められています。

“民法819条1項及び2項

1 父母が協議上の離婚をするときは、その協議で、その一方を親権者と定めなければならない。

2 裁判上の離婚の場合には、裁判所は、父母の一方を親権者と定める。

単独親権はあくまでも子どもの親権を父母のいずれかに定めるものであり、親権を持てなかった方との親子関係が法律上切れてしまうものではありません。離婚して親権を失った親の相続権を子どもが失ったり、戸籍上から親子関係が消されてしまうこともありません。

親権とは、具体的に言うと「子どもの監護・教育する権利」(民法820条)や財産を管理する権利(民法824条)などをまとめて運用していく権利・義務のことを指します。

離婚後は父母のいずれかに親権を定めることで、子どもの身の回りに関することは親権を持つ親が単独で決めることができました。

今後共同親権が導入される理由

77年ぶりに民法改正が行われ、共同親権が導入される理由にはどのような点が挙げられるでしょうか。これまで長きにわたって運用されてきた単独親権を見直す理由は以下のとおりです。

1.子どもが離婚後も両親と交流できるようにするため

厚生労働省が2021年に公表したデータによると、母子家庭となった家庭のうち、約45%は父親との面会交流がありませんでした。

現在の離婚後の親権者のほとんどが母親であり、父親と接する機会がない子どもも存在しているとされています。そこで、共同親権の導入で子どもが父親に接する機会をスムーズにすることが求められています。

2022年の人口動態統計を参考にすると、子ども1人の場合の離婚時の親権は45,551件中、母親が全件を担うケースは40,076件にも上り、8割を超えています。

参考URL 政府の統計総合窓口 親権を行う子をもつ夫妻の親権を行う子の数・親権者(夫-妻)別にみた年次別離婚件数及び百分率 


2.養育費の不払い問題を減らすため

※写真はイメージ(iStock.cm/mapo)

単独親権であっても、扶養義務があるため、離婚後に親権を持たない側にも養育費の支払い義務があります。しかし、実情は離婚後に親権を持たない親側が養育費を支払わないことが多く、2022年に厚生労働省が公表した「令和3年度全国ひとり親世帯等調査結果の概要」によると、母子世帯の56.9%が「養育費の支払いを受けたことがない」と回答しています。

養育費の深刻な未払いは母子世帯が貧困に陥る原因の一つです。共同親権の導入は養育費トラブルの改善も期待されています。

参考:厚生労働省 令和3年度 全国ひとり親世帯等調査結果報告 (令和3年11月1日現在)P60 表17-(3)-1母子世帯の母の養育費の受給状況より

3.世界の動向を反映するため

共同親権導入の背景には世界の動向も影響しています。アメリカやフランス、イタリアなどの諸外国は共同親権を導入しています(アメリカは州によって異なる)。諸外国では親権(親の権利)というよりも子どもの権利にスポットをあてて権利の概念が変化してきた背景があり、離婚後自動的に単独親権になる日本は珍しいとされます。

日本では単独親権のため日本人の親が外国人と離婚した時に子どもを日本へ連れて帰国し、その後返還しないことが問題視されたこともあり、共同親権という考え方が今後浸透する必要もあると考えられています。

「法定養育費」の変更点も知っておこう

今回の法改正では養育費に関する変更点もあります。「法定養育費」の導入です。これは事前に取り決めを行わなくても、最低限度の養育費を親側に求めることができる新しいしくみです。先ほど触れたように現在養育費には深刻な未払いが発生しています。現在は養育費の未払いに対して、以下の対応策があります。

・家庭裁判所による履行勧告
・強制執行(差押など)

しかし、履行勧告はあくまでも家庭裁判所調査官が勧告をするに過ぎないため実効的ではないという指摘がありました。

また、強制執行を行うためには債務名義が必要ですが、判決書、調停調書、和解調書や公正証書などの書類の中で養育費の取り決めについて書かれていなければ、差押までに裁判所での手続きを要するため、請求側にとって重い負担となっていました。

今後は、支払い義務のある親が養育費の支払いを滞らせた場合、他の債権者がいたとしても、養育費が優先され、財産の差し押さえが可能になります。(先取特権)

債務名義がなくても強制執行が可能です(ただし、養育費が存在することの証明は必要です)。裁判所が判決を出さなくても迅速に養育費の回収へと進めるのです。

また、改正法では親権の有無にかかわらず、親には子どもの扶養義務があることが明記されます。

共同親権はいつから選択できる?現在の単独親権はどうなる?

共同親権はいつから制度が本格化するのでしょうか。この章でわかりやすく整理していきます。

共同親権が始まる時期

※写真はイメージ(iStock.com/y-studio)

共同親権の導入は公布から2年以内のため、2026年5月までに施行される見込みです。法定養育費の導入も同様です。

現在具体的なスケジュールは公表されていません。(2024年9月現在)

共同親権は強制?すでに単独親権の人はどうなる?

共同親権は強制されるものではなく、父母間で協議をした上で単独親権と共同親権のいずれかを選択できるようになります。つまり、従来の単独親権のしくみが無くなるものではありません。

現在すでに離婚しており、単独親権で生活している人も共同親権のゆくえは気になるところでしょう。施行前に離婚が成立している場合でも、今後共同親権を選択できるようになります。その際には家庭裁判所へ親権変更の申立てが必要です。

ただし、親権をめぐって調停での合意が不成立だった場合は家庭裁判所の審判や判決で決定します。

共同親権のメリット・デメリット

共同親権が始まるにあたって、メリット・デメリットをわかりやすく把握したいという方も多いでしょう。

<メリット>

子どもがいる離婚では、離婚をすること自体には同意できていても、親権をめぐって対立するケースがあります。これまでは父母間で親権を奪い合いになってしまうことがありましたが、共同親権に双方の同意が得られれば離婚の成立はスムーズでしょう。

また、離婚後も父母それぞれが子どもの養育にかかわることになるため、養育費の未払を避けたたり、万が一いずれかに病気や事故があった場合は頼れる存在になるかもしれません。

離婚をすると親子関係が疎遠になることが多かったですが、子どもからすると共同親権の導入により、父母のいずれとも交流を持ちやすくなるため、心に傷が残りにくくなるケースも多いでしょう。

離婚後、これまでは親子関係が疎遠になることが多かったものの、共同親権の導入によって、子どもは父母のいずれとも交流を持ちやすくなるでしょう。

<デメリット>

DVやモラハラ、繰り返される不貞行為のストレスなど、離婚事由によっては離婚したら元配偶者とはすぐにでも距離を取りたい方は多いでしょう。しかし、共同親権になった場合は父母が協力し合う必要があります。そのためDVなどが継続するおそれは否定できません。

また、子どもの教育方針の相違で離婚した場合は、進学や転校などの協議が上手く進まず、親子双方に大きなストレスを与えるおそれもあるでしょう。そもそも夫婦関係にひびが入った上で離婚をしている場合は、共同親権そのものが家族の負担になる可能性があります。

単独親権だったらスムーズにいろいろなことが決められたのに…という事態を招くリスクはあります。


実際に共同親権を選択する父母は、離婚後は争いを極力抑えて子どもの利益のために努力し続ける必要があるでしょう。

なぜ共同親権に反対する運動が起きていたのか

離婚後の共同親権の導入にあたっては、少なくない方々が反対の声を挙げていました。メリット・デメリットのいずれもある共同親権ですが、DVなどへの危惧以外にも批判の声があります。共同親権の課題を整理してみましょう。

■基準があいまいな点がある

基準が明確でないまま共同親権の導入が進められようとしていることに対し、反対の声を上げる方もいます。

たとえば、共同親権の開始後に子どもの修学旅行先が海外である場合、子の教育の範囲として、監護権者が単独でパスポートの取得できるかという質問が、衆議院法務委員会で出されたところ、法務省と外務省との間で答弁がまとまらない事態がありました。

子どもの海外への移動にあたっては短期的な語学留学、長期的な観光もあり、まだまだ基準があいまいな点が見え隠れしています。

実際に運用が開始されたらどのように解釈し、父母間で話し合うべきなのか、判断に悩む場面も多いと予測されます。

■話し合いが重い負担となる

※写真はイメージ(iStock.com/kieferpix)

単独親権時よりも共同親権は父母双方の歩み寄りが不可欠です。これまでのように親権を持つ親が一人で決められないことが生じるため、子どものために話し合う機会を増やす必要があります。離婚で夫婦関係が終わったとしても、親子関係の連携を深めるために必要以上の争いは避けなければなりません。

そのため、話し合いの機会を増やす必要があり、住まいを分けた後も顔を合わせたり電話・メールを多くかわすケースも予想されます。仕事や家事、育児をしながら別れた夫婦が何度も話し合うことは、重い負担となる可能性は否定できません。

今後共同親権の導入にあたっては、長期的に離婚した父母の交流やカウンセリングをサポートする新たなしくみが必要になるかもしれません。

各国の離婚後における親権の状況

日本で共同親権の導入が議論され、今回の法改正に至った背景には世界の共同親権の現状が考慮されたことも背景に挙げられます。

2020年4月に法務省民事局が公表した「父母の離婚後の子の養育に関する海外法制調査結果の概要」によると、単独親権のみ認めているのは、インドとトルコに限られており、単独親権・共同親権のいずれも認める国の方が多数とされています。そこで、この章では世界における共同親権について、同資料も踏まえながら問題点についても整理し、詳しく解説します。

参考:法務局 父母の離婚後の子の養育に関する海外法制について

2020年における各国の状況

世界の共同親権には、以下3つのパターンがあります。

離婚後の共同親権について父母間で争いがある場合、多くの国では最終的に裁判所が判断を下しています。韓国ではあらかじめ父母が紛争時の解決方法を定めており、国によって離婚時の手続きにはさまざまな工夫がなされています。

協議離婚が認められない国もある

日本では調停・訴訟を行わなくても協議離婚で終えることが多いですが、実は協議離婚が認められていない国もあります。イギリスやオーストラリアなどの国では子どもの有無にかかわらず協議離婚ができません。フィリピンのように離婚を認めていない国もあります。

国立国会図書館がまとめた「英独仏の離婚制度」(2022年3月28日)によるとイギリスやドイツでは裁判による離婚のみを許可しており、フランスでも協議離婚は認められているものの、弁護士および公証人の関与が必要とされており、日本の協議離婚とは異なります。

日本では弁護士や公的機関、公証人などが介入しなくても養育費や親権などを当事者間で決めることができます。しかし、第三者の介入がないため子どもの権利や保護に十分な議論や客観的な意見が不足しているという意見もあり、当事者のうち一方が離婚届を出せば成立するしくみについて、問題視する意見もあります。

協議離婚は、全離婚件数の90%近くを占めており、諸外国との制度の大きな違いから外国人配偶者と子どもとの間にトラブルが多いことも指摘されています。

参考:国立国会図書館 調査と情報―ISSUE BRIEF― No. 1186(2022. 3.28) 英独仏の離婚制度

イギリス・ドイツ・フランス・日本の離婚制度の比較

引き続き国立国会図書館がまとめた「英独仏の離婚制度」(2022年3月28日)には、イギリスやドイツ、フランスと日本の離婚の違いについて紹介されています。詳しくは以下です。

参考:国立国会図書館 調査と情報 №1186 (2022.3.28)英独仏の離婚制度P2 表 英独仏日の離婚制度の概要より

<イギリス>
イギリスでは協議離婚は認められておらず、婚姻関係が1年以上あり、夫婦関係が破綻していることやイギリスで法的に認められた結婚でなければ離婚ができません。また、養育費の未払いを防ぐために、イギリスでは政府が「養育費サービス」を導入しており支払い算定などを行います。

<ドイツ>
ドイツでも協議離婚は認められておらず、法律に沿って裁判所で手続きを進めます。原則として1年以上の別居期間があることも求められていますが、個別事情によっては1年未満でも認められています。養育費ではなく、ドイツでは扶養料と呼ばれており、未成年の子供に対しては月額の定期金として協議を行います。

<フランス>
フランスは協議離婚が可能ですが、私署証書を出す協議離婚方式の場合は弁押しの署名が必要となり、公証人への提出が必要です。(相互同意離婚)

裁判離婚の場合は半年~1年の期間を要します。養育費に関しては扶養定期金という形がとられており、支払い義務がある親の収入や支出の状況、子ども側の事情を鑑みて算出されています。なお、面会交流には宿泊権や訪問権という権利に沿って運用を決めます。

ハーグ条約とは

※写真はイメージ(iStock.com/anurakpong)

共同親権の動きを知るにあたっては、ハーグ条約についても知っておくことが大切です。

ハーグ条約とは国際条約の一つで、国境を越えて子が連れ去られた場合、奪われた側の親は子どもの返還などを求めることができるものです。日本では2014年4月1日から発効されています。以下2つの請求ができます。

・子どもの返還命令を求める手続き
・子どもを連れ去られた親が子どもとの面会交流を求める手続き 

子どもの返還請求にあたっては以下の条件が設けられています。

・子が16歳未満であること
・子が日本国に所在すること
・常居所地国の法例によれば、子の連れ去りが申立人の子についての監護の権利を侵害すること
・子の連れ去りの時点で常居所地国がハーグ条約の締結国であること

世界の共同親権の問題点とは

世界では共同親権が広く浸透していますが、課題や問題点はあるのでしょうか。

事例1:アメリカ
アメリカ・カリフォルニア州で離婚をする際には、どちらの親がいつ子どもと過ごすのか、学校などの進学はどうするのか、病院・ケガにはどのように対応するのかなど、さまざまな問題について事前に合意書を作る必要があり、何度も父母双方の弁護士が確認するプロセスが必要だそうです。

共同親権を円満にスタートさせるためには、財産分与・養育費・配偶者扶養手当など、非常に細かい項目を一つずつ合意していく必要があり、日本の協議離婚と比較すると時間も労力もかかるといいます。

事例2:オーストラリア
オーストラリアにに住むある女性は、夫から暴言などの精神的なDVに加え、経済的・性的なDVに耐え兼ね3年半もの月日をかけて離婚しましたが、その後もDVをした元夫との共同親権を裁判所に命じられ、重い負担だったと語っています。

海外で発生している問題点も踏まえながら、今後日本で導入される共同親権について慎重に検討する必要がありそうです。共同親権の導入で子どもの利益を追求できるのか今後も議論を重ね、特に心と身体を大きく傷つけるDVは、繰り返されないように共同親権を運用する必要があるでしょう。

今後変わる親権の在り方|離婚時はどうするべき?

離婚時の手続きの流れに沿って、親権の決め方をわかりやすく解説します。

離婚時には親権をどのように決める?

そもそも、離婚時には親権をどのように決めるのでしょうか。すでに文中で触れていますが、ここで改めて整理しまよう。

1.協議で決める

協議で決める場合は、父母間で話し合い、単独親権もしくは共同親権を決めることになります。これまでも協議離婚の際には、父母のどちらが親権を持つか話し合われており、合意ができれば調停や裁判に進む必要はありません。現在日本では多くの離婚が協議で終了しています。もし共同親権が導入されても、双方が同意できれば協議離婚が可能です。

2.調停で決める

協議が難航した場合は家庭裁判所で調停を行います。これまで父母間でどちらが親権者になるのか決まらなかった場合は、調停委員の下で話し合いを重ね、合意を目指します。

合意できれば調停離婚が成立しますが、不成立の場合は訴訟に移行します。

3.訴訟で決める

調停不成立の場合は訴訟で結論を出します。和解もしくは判決で結論が出されます。判決の内容によっては納得のいく親権の在り方ではないおそれがありますが、その際には控訴が可能です。

離婚の手続きは調停前置主義で進む

「どうせ親権をめぐる話し合いをしても対立するから、調停は無駄だ。解決できないなら、最初から訴訟をしたい」

と思う方もいるでしょう。しかし、ここで離婚の手続きに入っておきたいしくみがあります。

日本の法律上、離婚はいきなり訴訟を提起できず、原則調停を先に行う必要があるのです。このしくみは「調停前置主義」を呼ばれています。もしも調停を飛ばして訴訟提起をしたとしても、家庭裁判所が認めない限りは離婚調停に移行します。

離婚調停に必要な期間や回数とは

上記で離婚のステップを解説しました。親権に争いがある場合の解決方法には、協議・調停・訴訟の3つの方法があります。

この中で、調停・訴訟は家庭裁判所で行われる手続きであり、普段離婚問題に触れる機会が少ないと、どのような手続きをすれば良いかわかりにくいものです。

調停・訴訟のいずれも離婚をしたい(あるいは言われた)本人が対応することも可能ですが、資料集め・証拠の作成・裁判所へ出向くことなどを踏まえると、相当な労力が必要です。また、調停・訴訟には以下に挙げるデータも知っておくことがおすすめです。

令和2年度 第22表 婚姻関係事件数―実施期日回数別審理期間別―全家庭裁判所

この統計は、令和2年度に行われた離婚調停にかかった期間、回数を示す裁判所のデータです。離婚調停は半年から1年程度かかるケースが多く、もっとも多い「1年以内」の統計では期日回数は4回がもっとも多くなっています。離婚時に対立している問題が多いと(例、親権や面会交流の回数など)それだけ議論を多く重ねる必要もあり、2年程度かかるケースも少なくありません。

訴訟に移行するとさらに時間を要するため、あらかじめ専門家に相談した上で、調停・訴訟に臨むことがおすすめです。

参考:裁判所 家事令和2年度 22婚姻関係事件数 実施期日回数別審理期間別 全家庭裁判所

離婚や親権の相談先は?

離婚や親権の問題に直面したら、相談しながら進めていくことがおすすめです。では、どのような相談先があるのでしょうか。

<弁護士>

弁護士は、離婚に関する法的なアドバイスや手続きをサポートする専門家です。離婚の際の財産分与、親権、養育費などの複雑な問題に対し、法律に基づいた適切な助言を受けられます。また、相手との交渉や調停、訴訟が必要な場合にも代理人として依頼者の権利を守る役割を果たします。特に、離婚の条件でトラブルが予想される場合や、交渉が難しい状況では弁護士に相談することで安心できるでしょう。

▼親権問題を積極的に扱っている弁護士はこちら
https://ricokatsu.com/lawyers?consultationField=id4

<夫婦カウンセラー>

離婚を検討していても、夫婦関係の修復を目指したいという思いがある場合は「夫婦カウンセラー」が検討できるでしょう。カウンセリングを行いながら夫婦の問題を整理していきます。離婚カウンセラーは民間資格であり、法的な交渉などはできません。

▼夫婦カウンセラーを探す
https://ricokatsu.com/counselors

<各市区町村役場の法律相談>

各市区町村役場では、定期的に法律相談が行われています。無料で弁護士などが対応しており、30分程度の相談が可能です。開催要項は各市区町村によって異なっているためご注意ください。

<弁護士会の法律相談>

各都道府県にある弁護士会でも法律相談を実施していることもあります。有料・無料のいずれも用意されていることが多く、30分の相談ができることが多いです。

<家庭裁判所>

家庭裁判所では、調停や訴訟の流れや準備物についてアドバイスを求めることが可能です。ただし、家庭裁判所はあくまでも手続きの案内に関するアドバイスに留まり、カウンセリングや悩み相談、有利に進めたいとった要望には応えられません。

<司法書士>

一部の司法書士は裁判所に提出する書類の作成を行えるため、調停の申立書や裁判の訴状を作ることなどが可能です。離婚協議書や公正証書の作成についても相談できます。ただし、調停や訴訟の代理人になることはできません。

<行政書士>

一部の行政書士も離婚協議書や公正証書の書類作成について対応しています。ただし、司法書士と同様で調停や訴訟の代理人になることはできません。

<法テラス>

利用には一定の要件が設けられていますが、法テラスの無料法律相談を活用することも可能です。最寄りの法テラスで実施している無料法律相談や、法テラスと契約している弁護士に1回につき30分相談できます。ただし、同一案件につき3回までの制限があります。

なお、情報提供を受けるサービスはどなたでも無料で受けられます。

法テラスを通して弁護士に離婚問題の依頼をすることも可能です。弁護士に依頼する費用が不足している場合に、法テラスが費用を立て替える制度が用意されています。この制度は代理援助制度というものです。詳しくは下記リンクをご一読ください。

参考:法テラス 無料法律相談・弁護士等費用の立替

なお、法務省のホームページにも離婚に悩んでいる方向けにわかりやすく情報がまとまっていますので、下記も是非ご一読ください。
参考:法務省 離婚で悩んでいる方へ

<DVに悩んでいる方の相談先>

離婚を検討している方の中には、現在DVで悩んでいる方もいるでしょう。DVは緊急性が高いトラブルのため、上記の相談先以外にも相談窓口が用意されています。

・配偶者暴力相談支援センター
配偶者から暴力を受けており、すぐに保護を求めたい場合には「配偶者暴力相談支援センター」に相談する方法があります。各都道府県に設置されており、相談先の紹介・カウンセリングも行っています。被害者や同伴者(おもに子ども)の緊急時における一時保護も行っています。(一時保護は女性相談支援センターが行うこともあります)詳しくは下記リンクより、最寄りのセンターにお問い合わせください。

参考:男女共同参画局 配偶者暴力相談支援センター

・DV相談プラス
DV相談プラスは全国どこからでも電話やSNSでDVに関する相談ができる相談先です。
電話対応は24時間、チャットなら正午から夜の22時まで利用できます。専門の相談員が守秘義務を守った上で相談に対応してくれます。チャットの場合は10か国語に対応しており、外国人の方も利用しやすい相談先です。男性が受けているDVに関しても相談できます。

参考:内閣府 DV相談プラス

・女性の人権ホットライン
女性が抱えるDVの問題に関しては、女性の人権ホットラインも対応しています。法務省の人権擁護局が運営しているもので、平日8:30から17:15まで電話で対応しています。

参考:法務省 女性の人権ホットライン 

・警察
DVで被害を受けた場合は警察への相談も可能です。電話・面談のいずれも24時間対応しています。

DVに関する保護命令制度は2024年改正が施行

2024年4月1日に保護命令制度の拡充・保護命令違反に関する厳罰化が施行されました。(改正配偶者暴力防止法)

これまで配偶者からの身体的暴力・生命、身体に関する脅迫が保護命令の対象でしたが、「自由・名誉・財産に関する脅迫」も含むようになりました。
また、被害者の子主への電話等禁止命令も新設されてお降り、緊急時以外にしつこく子どもへ連続した文書やSNSを送ること、深夜早朝のSNS痩身、性的羞恥心を害する送信などが追加されています。

離婚の悩みは弁護士に相談しよう

※写真はイメージ(iStock.com/takasuu)

▼親権問題を積極的に扱っている弁護士はこちら
https://ricokatsu.com/lawyers?consultationField=id4

離婚問題(DV問題含む)に直面したら、さまざまな相談先があることをご紹介しました。では、離婚の手続きに向けて動き出す場合には、誰に相談すれば良いでしょうか。

親権はもちろん、離婚に関する問題には養育費や財産分与などのお金に関すること、別居期間中の暮らしを守るための婚姻費用についてなど、さまざまな種類の問題を1つずつ丁寧に解決していく必要があります。法的なアドバイスを受けながら決めていく必要があるため、まずは弁護士に相談されることがおすすめです。そこで、この章では弁護士に離婚問題を相談するメリットについてわかりやすく解説します。

弁護士に離婚相談をする5つのメリット

弁護士に離婚相談をするメリットは、以下の5つです。

1.連絡窓口になってくれる
離婚問題に発展したご夫婦は、たとえ父母としての立場はあったとしても対立しており、「顔も見たくない」「話をしたくない」と感じるケースも多いでしょう。弁護士に離婚について依頼すると、代理人として連絡窓口となるため、連絡を取り合わなくても離婚問題を前進させることが可能です。DVやモラハラがあり、接触したくない場合も弁護士が配慮しながら離婚に向けて準備を進められます。

2.養育費や面会交流なども相談できる
離婚する時は親権以外の問題も整理する必要があります。子どもがいる場合は養育費や面会交流の頻度をどのようにするのか決める必要があり、双方の言い分がまとまらない場合は調停・訴訟で親権とあわせて争うことになります。弁護士とともに問題を解決していくことがおすすめです。

3.不利にならないようにアドバイスがもらえる
離婚相談では、すでに子どもとともに配偶者が家を出てしまっており、離婚を求められているケースもあります。このようなケースでは不利な立場にあるため、親権が今後どうなるのか不安を抱える方も少なくありません。弁護士は依頼者が不利にならないように強い味方となり、適切なアドバイスを行います。

4.調停、訴訟も対応
弁護士は調停や訴訟の代理人になるため、裁判所へ必要な書類・証拠の提出や調停委員への本人尋問のコツなどもサポートしています。本人尋問とは離婚の当事者が裁判所に出頭し、調停委員や裁判官の質問に答えるものです。弁護士は言うべきことをしっかりと把握しており「何を言うべきかわからない」という事態を避けられます。

また、離婚時の親権争いだけではなく、不貞やDVに関する慰謝料の請求なども代理人として請求を行っています。

5.一人で悩まず前向きになれる
弁護士は離婚問題に多く向き合っている法律の専門家です。離婚に直面した時、時にはご親族側から「離婚は避けられないのか」と言った言葉や、「子どものためにも我慢しなさい」と説得されることもあります。また、離婚に至る内容によっては近しい友人にも知られたくないと感じる人も多いでしょう。

離婚は前向きな一歩になることも多いことを弁護士は知っています。法律相談後に「弁護士に相談して良かった」とホッとされる方も少なくありません。一人で悩まず、前向きに離婚を進めるためにも、まずは弁護士へご相談ください。

親権のご相談はリコ活へ

この記事では今後導入される「共同親権」について、海外の共同親権の実情や離婚時の相談先、離婚時に弁護士への相談がおすすめされる理由を交えながら詳しく解説を行いました。

離婚時には親権についてはもちろんのこと、さまざまな問題をクリアしていく必要があり、協議の段階から弁護士への相談がおすすめです。リコ活に登録している弁護士は慰謝料請求や、養育費の算定などにも対応しており、離婚後のリスタートに備えた法的アドバイスを実施しています。まずはお気軽にご相談ください。


▼親権問題を積極的に扱っている弁護士はこちら
https://ricokatsu.com/lawyers?consultationField=id4

▼▽▼さらに弁護士を探す▼▽▼
https://ricokatsu.com/lawyers


監修:早瀬 智洋弁護士/弁護士法人 丸の内ソレイユ法律事務所(東京弁護士会所属)
2009年の事務所開設以来、女性側の離婚・男女問題の解決に注力している。年間700件以上、累計5000件以上の相談実績があり、多様な離婚のノウハウを蓄積。経験豊富な男女20名の弁護士が所属し、新聞・テレビ・雑誌・Webなど多くのメディアからの取材も受けている。

※この記事は2024年9月27日に公開しました。

 

その他の記事

離婚、夫婦問題・修復も オンラインで無料相談

離婚なら

弁護士を探す

夫婦問題・修復なら

カウンセラーを探す