【カウンセリングレポ】「私が我慢すれば…」離婚調停中の妻に寄り添うカウンセリングを特別公開

更新日: 2025年02月12日

3人の子育てと家事を一人で担ってきたユイさん(仮名)。夫からのモラハラやDVに耐えながら、自分を責め続けてきました。今回は、そんなユイさんにリコ活のカウンセリングを90分体験していただき、内容を一部抜粋・編集してお届けいたします。担当したのは、悩みを根本解決することを目指して相談者に寄り添う、三枝照子さん。ユイさんの相談事例のように、夫婦カウンセラーはさまざまな悩みの相談に対応しています。

17年間の結婚生活で抱えてきた苦悩

三枝さん(以下、三枝):よろしくお願いします。ユイさんとお呼びして大丈夫ですか?

ユイさん(以下、ユイ):はい。よろしくお願いします。

三枝:カルテを拝見しましたが、大変なご状況のようですね。17年の結婚生活でお子さんが3人、長男が高2、長女小4、次女小2。長女さんは離婚調停中の夫と暮らしているとのことですね。

ユイ:はい。長男と次女は私と暮らしていますが、長女は向こうで過ごし、週末は次女も向こうに行くことが多いです。

三枝:調停は何回行っているのでしょうか?

ユイ:2カ月おきで4回目が終わったところです。まだ不調にはなっていないものの、元々話し合いができない関係だったのでなかなか思うように進んでいません。

三枝:話し合いができない関係というと?

ユイ:夫が仕事で忙しかったので、3人の子育てと家事を全て一人でやってきました。夫を起こし、朝食やお弁当作り、仕事に必要な物を全部テーブルに並べて。夫は帰宅後も自分では何もせず、食事を温めることさえ私の仕事でした。

そういう生活が当たり前になってしまい、私も夫に何も期待しなくなりました。自分がイライラするくらいなら、もう頼むのはやめようと。今思えば、私が話し合いを放棄したことがこの状況を招いた原因の一つだったのかもしれません。

三枝:でもそれはユイさんが悪いわけではないですからね。カルテを拝見すると「モラハラ、DVがあった」とありますが、どんなことがあったか覚えていますか?

ユイ:末っ子を保育園に預けたタイミングで、私も働きたいと思いました。周りのママ友もパートを始めていたし、何より夫の収入が不安定でいつも生活費が足りない状態でしたから。

それで家から徒歩圏内の職場で働き始めたんです。私にとって仕事はとても充実した時間でしたし、自分で収入を得られる喜びもありました。でも、それが夫のモラハラがひどくなるきっかけになったんです。夫は私のことを全く認めてくれませんでした。

仕事は週に4日でしたが、繁忙期にそれ以上出勤すると、「なんでお前が行かなければならないんだ」「子どもはどうするんだ」と。子どもの学校から電話があり、私がお客様対応で出られなかった時には「そんな電話も出られない仕事なら辞めろ!お前の仕事なんて代わりはいくらでもいる」と言われました。

三枝:「俺の方が上だ」と上下関係を誇示していたと。ユイさんは自分の気持ちを抑えていたのですね。

ユイ:はい。家族優先が当たり前だったし、争いたくなかったので、自分が我慢すればと思っていました……。

そんな中、夫が独立して自営業になり、在宅が増えたことで日中も夫を中心に考えなければならず、苦しい日々が続きました。

社会的にも風潮が変わり、末っ子が保育園に通う頃には、多くの父親が育児や家事に積極的に取り組んでいるように見える。でも私は相変わらず夫の身の回りの世話まで全てやっていました。ママ友から「そこまでやるの?」と驚かれて、自分がやりすぎていたことに気づいたんです。

三枝:結婚後17年間も耐えてきたということですね。夫さんも仕事が忙しかったり転職したりとストレスがあったのかもしれませんが、ユイさんが自分を抑えることで家庭が成り立っていた。すごく頑張りましたね。

その後、状況が悪化していったのですか?

別居のきっかけと離婚調停の現状

※写真はイメージ(iStock.com/recep-bg)

ユイ:ずっと「私が悪いのだから、私が何とかしないと」と思っていたんです。夫婦関係や家族関係を何とかしたくて、コーチングやカウンセリングを学んだり、子育て講座に通ったりしました。

夫から「お前にできるわけがない」と全否定されながらも、資格を取得し、そちらでも収入を得ようと活動し始めたんです。広報のためにある発信をしたところ、夫の逆鱗に触れ、そこから暴力が始まりました。

三枝:暴力もあったのですね。

ユイ:はい。土下座を強要され、何度も家を追い出されました。でも、どこにも逃げ場がなくて。

それに私がいないと子どもたちが困ると思い、いつも踏みとどまって家に戻り、夫の機嫌が戻るように振る舞いました。

三枝:地獄のようでしたね。これまで一生懸命やってきたユイさんは悪くないでしょう。

きっと、彼はユイさんを支配することで自分のプライドを守ろうとした。ユイさんもお分かりだと思いますが、彼の生い立ちも関係しているはずです。彼自身のコンプレックスの裏返しで、ユイさんを支配したかったのでしょう。

その後、別居することになったのはなぜ?

ユイ:夫が長男の生活態度や成績に関して細かく問い詰める時期が続き、私が間に入ろうとすると「お前は黙っていろ」「口を出すな」と今度は私が標的になる。

日ごとに長男の食事の量が減り、精神的にかなり追い詰められていると思い、下の子たちも一緒に実家へ避難しました。

実家から学校や保育園まで30分以上かかりましたが、送り迎えをしながら二週間ほど経った頃、長女が「友だちと遊びたいし、パパにも会いたい」と言うようになって、今は向こうで暮らしています。

これまで、子どもたちには「パパが一生懸命働いてくれたおかげだね」と言って育ててきたから、というのもあると思うのですが……。

三枝:子どもたちにとってすごくいいママなのね。長女さんはパパとママを繋ぎ留めたいのかもしれない。でもきっと、次女さんはママのことをすごく心配しているから側にいるのだと思いますよ。

今、4回目の離婚調停が終わったところということですが、どのような状況になっているのですか?

ユイ:一度、「自宅を財産分与するから早く出ていけ」という話になったので、急いで自宅から荷物を引き上げ、子どもたちの学区内で家を借りました。

ところが一向に財産分与が行われる様子がありません。人気のエリアなので家賃が高く、経済的にかなりしんどい状況が続いています。

婚姻費用調停もしているのですが、まだ払われていませんし、相手は自営業なので給与所得をコントロールしているようで。相手は弁護士をつけていて、私が家計を使いこんだことにされています。

カウンセラーからの提案と今後の展望

※写真はイメージ(iStock.com/Yue_)

三枝:ユイさんはこんなに頑張ってきたのに、所得を隠されてしまうのは悔しいですよね。こんな理不尽な形の離婚は納得できないでしょう。でも、婚姻費用は申立てた時点まで遡って受けとることができますからね。

そうですね、たとえば不動産を売却し、財産分与が行われればユイさんは納得できますか?

ユイ:いいえ……。前回の調停で、相手から「長女に加えて、次女の親権はこちらでもらう」と言われたので、かなり取り乱してしまいました。

子どもまで取られて、養育費まで私が払うとなると、精神的にも経済的にももう耐えられなくて。

三枝:これからの生活を考えても、気持ちの面でもズタズタですよね。相手は年収を低く申告していますし、それは納得できないと思います。

ユイさんは弁護士さんにご相談されたのですか?

ユイ:はい。法テラスを使って3回の無料相談枠は使い切り、そのうちの一人の先生に5,000円で調停の前にアドバイスをいただいています。

でも、実際の調停は私一人なので、どうしても感情的になってしまい、調停委員さんに理解してもらえないんですよね……。相手は弁護士がついているから、ずっと不利な状態が続いていて。

三枝:調停は感情的にならず、冷静に臨むのがおすすめです。でも、ユイさんも弁護士さんに味方になってもらった方がいいかもしれない。お金のことが一番気がかりだとは思いますが、法テラスの立替制度を利用すれば、財産分与があった後に成功報酬として支払うことができるはずです。

リコ活にも無料相談を受けている弁護士さんがたくさんいるので、2、3名の方にお話を聞いてみてユイさんに合う先生を探してみるとよいと思います。オンラインで相談できる先生や、親権問題に力を入れている先生も多いですよ。

母子家庭になっても社会的なセーフティーネットはありますし、切ないけれど親権が相手に渡ってしまっても面会交流で関係性を繋ぎ続けることはできます。ご自身が納得できる形で終わらせるためにも、やれることをやってみてもよいのかなと思います。

お時間がきてしまったので今日はここまでになりますが、よければまたお話を聞かせてくださいね。

※実際の相談では、さらに具体的な内容に踏み込んだ相談やアドバイスを行いました。また、プライバシー保護のため相談者の実際の状況は異なる場合があります。

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【三枝さんからのメッセージ】

家庭という閉鎖された人間関係の中で起こっていることは、気づきにくいものです。繰り返される精神的な虐待は、「自分が悪い」「抵抗しても変わらない」「子どもが小さいので離婚できない」などと、自分の中だけで抱えてしまうことがあります。

特に経済DVの場合には、お金の話を親や友人には相談しにくいもので、自分のやりくりが下手なのだと、自分を責めてしまいがち。そうした日常のなかで「逃げられない」「仕方ない」「抵抗できない」という思い込みが生じ、それが当たり前だと諦めて、長期にわたって耐えてしまうのですね。

最近では、男性もDV被害を受けるケースが増えています。日本では、人に言えない夫婦の悩みを、カウンセラーに相談することに抵抗を覚える方もまだ多いのですが、「核家族」が当たり前の欧米ではホームカウンセラーが家族の暮らしの近くに存在しています。

「これくらいで相談するなんて」と思わずに、パートナーとの関係にストレスや不安を感じている、そんな状況のうちに、ぜひ、お気軽に夫婦カウンセラーに相談してみてください。早い段階で気づくことができれば、解決策にも選択肢が生まれるからです。

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【ユイさんの感想】

カウンセリングを受けて、とてもよかったです。事前に自分の状況をカルテに記入して送っていたおかげで、スムーズに話を進められました。ただ、90分という時間はやや物足りず、もっと細かい状況説明や気持ちの整理をしたかったと感じています。

カウンセラーの三枝さんは私の話をよく聞いてくださり、寄り添ってくれたことで安心感がありました。特に「すごく頑張ってきましたね」という言葉をかけていただいて、話しやすい雰囲気でした。

以前コーチングを受けた経験はありましたが、今回のカウンセリングは違った印象でした。一人でぐるぐる考え込んでいた状況を整理でき、気持ちが楽になりました。また、次のステップとして弁護士への相談も勧めていただき、早速予約を取ることができました。

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夫婦関係の悩みは、一人で抱え込むほど複雑で重たいものです。「このまま離婚すべきか迷っている」「関係を修復したいけどどうしたらいいかわからない」「パートナーとの関係に漠然とした不安がある」など、悩みの形は人それぞれ。


夫婦カウンセラーは、あなたの気持ちに寄り添いながら、状況の整理や具体的な解決策の提案をサポートします。「まだ相談するほどでもない」と思われるかもしれませんが、早い段階での相談ほど、選択肢が広がり、より良い解決につながります。


一人で悩まず、まずは話を聞いてもらうところから始めてみませんか? 経験豊富な夫婦カウンセラーが、あなたの状況に合わせた丁寧なカウンセリングを提供します。


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※この記事は2025年2月12日に公開しました

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カウンセラー

三枝 照子

サエグサ テルコ

50代 /女性

カウンセラー歴:3年

カウンセリング総件数:約700件

*料金詳細は各カウンセラーの料金表をご確認ください

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