【不動産売却体験談】住宅ローン「連帯債務」は要注意!離婚調停をしながら半年かけてマンション売却へ

更新日: 2025年06月16日

離婚時の最大の問題の一つである「家」。住宅ローンの連帯債務があると、別居しても返済義務は残り、新居の家賃との二重負担となります。夫婦間の合意形成も困難を極める中、離婚調停中の30代ワーキングマザーで記者の加藤あゆみさんが半年かけて売却を始めることができた体験から、不動産売却のポイントをお伝えします。

結婚後、新居として夫婦で購入したマンション。駅近くの築浅の物件で、眺望も気に入っていました。しかし、別居時に障壁となったのは、住宅ローンの連帯債務です。連帯債務は「それぞれが全額の債務を負う契約」です。私が住んでいなくても、返済義務があります。そのため、別居に伴い新たに借りた物件の家賃に加え、毎月、住宅ローンの支払いをする必要がありました。

離婚調停では早期の売却を希望しましたが、夫は消極的な姿勢。売却の合意形成のために、不動産査定書の作成依頼やリコ活と中立不動産が実施している無料の個別相談などを活用し、専門家の見解を示すことで、ようやく夫は合意

別居開始から売却が決まるまで半年かかりました。離婚時に不動産を“マイナス財産”にしないためには、早めに動き出すのが重要だと感じます。

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離婚に伴うマンション売却の第一歩は「不動産の査定」

別居を決意して、新しい家探しと同時に行ったのは、自宅マンションの査定です。独身時代からお世話になっていた不動産会社の担当者に連絡し、実際に部屋をみてもらいました。直近の周辺マンションの売却事例なども教えてもらい、類似の物件の価格相場を知ることができました。最も懸念していたオーバーローン(ローン借入額や残高が住宅の価格を上回っている状態)は避けられるとの見立てだったので、早期の売却が理想的だと考えました。

不動産の正確な査定をするには、実際に部屋や設備の状態を見てもらうことが必須です。そのためには、別居する前に不動産会社に依頼して、価格の相場や売却の最適なタイミングを聞きつつ、不動産査定書を作成してもらうのが良いと思います。別居を開始してしまうと、そうした対応を夫に任せることになり、詳細な情報を把握するのが難しくなります。

また、住宅ローンの連帯債務では、別居で家を出た側が新たに物件を借りた場合、二重で家賃を支払う期間が発生してしまうため、おおよその売却価格を知っておくことは安心材料になると感じます。

私の場合、夫から婚姻費用の支払いはあるものの、二重で支払う家賃の総額の方が大幅に上回りました。一時的な負担は大きくなるものの、事前の不動産査定によって売却後に手元に残る資産を想定し、家計管理をイメージしておけことで、むやみに焦らずに済みました。

夫は売却に消極的・・・「離婚専門の不動産相談」が合意形成のカギに

マンション売却の最難関は夫との合意形成でした。離婚調停で早期の売却を主張したものの、夫は住み続けていたこともあり「すぐには応じられない」という消極的な姿勢でした。ただ、夫が「オーバーローンの可能性があるので慎重に判断したい」という発言をした際には、事前に不動産会社に作成してもらっていた不動産査定書を調停の資料として提出し、オーバーローンを回避するためにも早期売却が良いという主張をすることができました。

さらに、夫を説得するための材料を収集するため、離婚専門の不動産相談を受けました。定期的に離婚カウンセリングを受けていたリコ活のサイトで「リコ活×中立不動産」のページを見つけたのがきっかけでした。「離婚専門の不動産相談で、幸せに向けた再出発へ」という文言に惹かれ、すぐに無料のオンライン個別相談を申し込みました。

個別相談では、不動産売却に関する様々な不安を解消することができました。担当者から、離婚時の不動産問題の過去の事例に基づき、解決に向けて有効な手段を教えてもらうことができました。

離婚と不動産は財産分与の面でも密接な問題ですが、初対面の不動産会社の担当者に離婚というプライベートな話をするのは躊躇してしまうこともあると思います。そんな時、離婚専門の相談を受け付けている中立不動産は有難い存在です。離婚の進捗状況や夫婦の意見の相違点などをふまえて、率直な相談ができる場があるのは救いでした。

離婚時の不動産売却では損を最小限にして、スムーズに売却できる最善策を打つべきです。売れやすい時期から逆算して動き始め、近隣の類似マンションとの兼ね合いなども考慮して売り出し価格を決める必要があります。離婚調停中など夫婦間の対立が深刻な場合は、売却条件についてすり合わせることが困難な場合もあるので、時間と心に余裕を持って向き合うのが良いと感じます。

別居から売却開始まで半年 やっと不動産会社と専任媒介契約を締結

中立不動産の個別相談でお聞きした内容をふまえ、調停で粘り強く早期売却を主張し、夫にとっても有益であることを説明し続けました。最終的に、別居から半年かかりましたが、売却の合意を取り付けることができました。

売却条件や売り出し価格は、夫の意向を最大限尊重し、不動産会社と専任媒介契約を締結。思い入れのあるマンションだったので寂しさもありましたが、やっと売却が始まった安堵感の方が大きかったです。

売却開始後の内覧希望者の対応は、マンションに住んでいる夫が行うことになります。そのため、不動産会社の担当者からは二週間に一回、営業活動の報告がありますが、内覧希望者の温度感を把握することは難しく、進捗状況がいまいち分からないという課題があります。

内覧した方の進展の可能性については、不動産会社の担当者から直接電話で話しを聞くようにしています。なかなか進展がなく売り出し価格の見直しなどを行う場合に備えて、担当者を信頼して任せつつ、自分自身で状況を把握し、関与し続ける姿勢が必要です。

不動産を“マイナス財産”にしないために!ローンの落とし穴に注意

離婚時の不動産売却では、名義やローンの仕組みも知っておくと安心です。私の場合は、変動金利型だったこともあり、金利上昇により返済額が増加するリスクもありました。

金融機関には急激な増加とならないよう「5年ルール(5年間は毎月の返済額が変わらない)」「1.25倍ルール(返済額の見直し時も従来の1.25倍まで)」などもありますが、そうした事態を想定し、悠長に構えることは避けた方がいいと思います。

また、売却益・損益の分け方や税金対策なども事前に検討しておくためにも、やはり専門家への相談は欠かせないと実感しています。離婚の財産分与などは弁護士にも聞くことができますが、不動産売却については知識や経験が豊富な不動産会社に頼るのが一番です。

個人的には、情報収集力や冷静な判断力があり、レスポンスが早い担当者に依頼するのが良いと思います。不動産は社会経済の影響を受けやすく、情報もどんどん更新されていきます。また、中古マンションの場合は一期一会的な要素があり、売主と買主への素早い対応が求められるからです。そうした視点で不動産会社や担当者を選ぶのも一案です。

売却までに半年要した実体験から、離婚や別居を検討し始めた段階で、最も大きな負債になり得る不動産の対応に取り掛かるのが理想的だと学びました。複数の不動産会社に査定を依頼し、専門家の見解を求めることで、進むべき方向性がみえてきます。大事なのは、感情より「実利」です。長期的な視点で捉えて、損をしない選択を見極めるのが吉です。

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※この記事は2025年6月16日に公開しました

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