「離婚調停・裁判・和解」キャリア20年・若手の育成も行うベテラン弁護士の信念

更新日: 2023年01月25日

女性の社会進出が進む中、以前よりも親権について争われるケースが増えたと話すのは、弁護士歴約20年のAuthense法律事務所・木村光伸弁護士。調停から裁判に至るまでの流れ、離婚訴訟で8割の和解が成立する背景などについてお話いただきました。キャリアを積んだ今なお、人間的成長を目指し続ける木村弁護士の思いとは。

弁護士歴約20年の圧倒的経験数

――先生の強みを教えてください。

弁護士登録をしたのが2003年ですので、経験数は圧倒的だと思います。特にこの10年ほどは離婚問題に注力してきましたので、多くの事案を解決してきました。

その中で、ご依頼いただいた案件を適切、迅速に解決することはもちろんですが、昨今は依頼者にいかに寄り添えるかということも非常に大事な要素です。こまめな連絡やコミュニケーション、それから傷ついた心のケアまで含めて、弁護士の大切な仕事だと思って対応しています。

――依頼者と接するときに意識していることはありますか?

共感することです。また、ただ事実関係だけを聞くだけではなく「お辛い思いをされましたね」「大変でしたね」と、思いやりの言葉を意識的に使うようにしています。

最近では、インターネットで調べて複数の弁護士事務所を比較検討しつつ、無料相談に訪れる依頼者が多い。「この弁護士は共感力があるだろうか」とシビアな眼差しを向けられていると感じます。いくつもの選択肢があることは素晴らしいことですし、我々としても緊張感を持って初回のご相談に臨めます。

昔は弁護士にたどり着くためには、誰かの紹介が必須でしたが、2000年に弁護士広告が解禁されて以降、インターネットから簡単に弁護士にアクセスできるようになりました。弁護士が選ばれる時代になった今では、選ばれる弁護士になる必要があると思います。

――先生がこれまで多く手がけられてきた離婚案件は、どういった分野になりますか。

離婚調停が多いですね。私の肌感覚ですと、交渉で解決するのは1割、裁判までいくのも1割、残りの8割が調停で解決しています。離婚調停はこれまでも注力してきましたし、今後も力を入れていきたい分野です。

他には、不倫相手に対する慰謝料請求も多いです。これは交渉と裁判が半々くらいですね。

調停から裁判へ……和解のメリットとは

――六本木オフィスにお勤めとのことですが、都内は一人っ子が多く、親権の話がこじれることが多いのではないかと想像します。

20年近く弁護士をしていますが、おっしゃる通り、親権が争われるケースは増えたと感じます。

これは以前と比べ、家庭事情が変化したことも関係していると思います。私は子どもの頃、父親と遊んだ記憶がありません。どこかに出かけるとしたら母親と。私の家庭が特殊だったわけではなく、当時ごく一般的な感覚だったと思います。

しかし、共働き世帯が増えた現在、30代から40代くらいの父親は、以前よりもお子さんと密接に関わっている。家事や育児、土日はメインの食事を作る方も決して珍しくはない。お子さんとお父さんの関わりが増えたことは、社会的に見ればとてもいいことです。

一方でそうした背景があるため、いざ離婚するときに、父親が親権を主張するケースがここ10年、15年ほどで徐々に増えていると感じます。ただし、多くのケースでは母親に親権が認められている現状がありますね。
――議論がまとまらなかった場合、裁判になるのでしょうか。

調停はあくまでも裁判所が話し合いの場を設けているだけですので、何かを認定したり命令を下したりする場ではありません。調停前置主義といい、裁判や訴訟を提起する前に、調停を経なければならないとする考えのことはご存知でしょうか。

まずは調停で、子どもの監護者や養育費、面会交流について話し合いを進めていきます。

それでもお互いの主張がまとまらなかった場合、裁判になります。裁判ではさまざまな書面を提出し、財産分与や養育費を決定していくわけですが、基準額が設定されているため、ある程度の落としどころは決まっているんです。

お互いの証拠資料が揃うまで5~6回の裁判を経て、判決を待っても構わないのですが、控訴審や上告と、争いが長引くほどに依頼者の金銭的、心理的な負担が大きくなってしまいます。

そのため、離婚訴訟の場合は和解で解決するのが全体の8割ほど。裁判所が双方に対して話し合いによる解決を促し、こちらの依頼者に離婚意思があるときは、和解条件を詰めていきます。

判決が出ると、たとえ大きな額であっても財産分与は一括払いになりますが、和解だと分割払いにすることもできるので、実際に和解金を回収しやすいといったメリットがあります。

――離婚が成立するまでの期間が長引くと、依頼者も今後の展開に不安を持ちますよね。

調停の場合は必ず弁護士が同行しますので、30~40分に一度、相手方とどのようなやりとりをしたか話す機会があります。

しかし裁判になると、弁護士だけで裁判所に行くため、ご本人は弁護士からの報告でしか状況を知ることができないんですよね。裁判が終われば、一両日中にA4用紙一枚ほどの報告書をメールでお送りするのですが、書面だけではわからない部分も多い。

裁判が終われば必ず依頼者に電話をしますが、5~6分の電話だけで話せることも限られているので、時間をかけて今後の戦略を練る必要があれば、打ち合わせをセッティングさせていただきます。

弁護士の仕事は目に見えるサービスではないので、お客様は不安を抱えていらっしゃるんですよね。だからこそインフォームドコンセントが大切なんです。依頼者の不安を少しでも取り除ければと思い、積極的にコミュニケーションをとり、しっかりと説明をするようにしています。

質の高い仕事をするために、セルフケアを怠らず人間性を高める

――弁護士という仕事は、自らの心身のメンテナンスも必要な職業なのではないでしょうか? 先生は長年の弁護士経験を活かし、若手弁護士の指導や育成にも携わっているとのことですが、若手弁護士にはどのように伝えているのですか。

争いごとの最前線に挑む仕事なので、正直なところ精神的な負荷は高いと思います。そのため、新人弁護士には二つのことを伝えています。

一つは、話を聞いてもらえるメンターを身近に確保すること。

メンターは家族であったりカウンセラーなどの専門家でも構わないのですが、Authense法律事務所は大きな組織なので、一人での対応が難しければすぐに上司に相談するよう伝えています。案件の途中からでも上司に入ってもらい、一人で悩みを抱えない体制をとっています。

もう一つ、新人に伝えていることは体を動かすこと。

基本的に仕事では脳だけを酷使しているので、同じだけ体を疲れさせると、脳と体のバランスが取れるそうです。私の場合はゴルフで体を動かしていますね。週末は早朝の打ちっぱなしに行き、月に2回ほどラウンドを回って汗を流しています。

お酒の場合は逆にストレスが溜まることもあるので、新人には体を動かすことを勧めています。ジムに行くという弁護士も多いそうですよ。
――若手の前を歩む弁護士として、今後どのような弁護士になっていきたいですか。

私は野村克也さんの大ファンなのですが「人間的成長なくして、技術的進歩なし」という言葉がすごく好きで。弁護士として20年近く経ちましたが、それは本当だなと。

弁護士に限った話ではないかもしれませんが、人間性は仕事に出るじゃないですか。自分の人間性を高めていかないことには、仕事の質が上がることはない。それは一緒に働く仲間にも、お客様にも伝わることです。

やはり自分を磨き続けると同時に、仕事の技術を高め続けることのできる弁護士でありたいですね。そして私のような弁護士の存在に救われたと思ってくださる方がいれば、それが一番の社会貢献になるのだと思います。
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弁護士: 第二東京弁護士会

木村 光伸

Authense法律事務所 六本木オフィス

〒107-6222 東京都港区赤坂9丁目7-1ミッドタウン・タワー22階

24時間受付(平日/土日祝)

初回無料

*料金詳細は各弁護士の料金表をご確認ください

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