家計を夫の収入に頼っていたのに、夫が働かなくなったらどうしますか。職を失う理由はさまざまですが「無職の旦那が働かない」と悩む妻は少なくありません。離婚を考える妻もいるでしょう。「無職の旦那が働かない」と悩んだとき、どのように対処すればいいのかを解説します。
旦那が無職なのに働かなくて疲れた…離婚するのは非常識…?
最近は夫婦の形もさまざまですが、夫が働いて家計のほとんどの収入をまかない、妻が不足分や将来の貯蓄のために働いているというのが一般的です。ほぼすべての収入を夫に頼る専業主婦の家庭もあれば、妻と夫がほぼ同額の収入を得るダブルインカム、妻が主に働く専業主夫の家庭もありますが、家計を支える「大黒柱」が必要なことには変わりありません。
その大黒柱が突然、職を失ったらどうすればいいのでしょう。中には働くこと自体に意欲を失い、妻に「旦那が働こうとしない」と嘆かせる夫もいます。こうした夫に愛想を尽かし「こんな旦那とは離婚したい」と考える妻がいる一方、「旦那を見捨てるのは非常識ではないか」と離婚を躊躇する妻もいます。
果たして、無職になって働こうともしない夫に、どう向き合えばいいのでしょうか。働かない夫とは離婚すべきなのか、夫の収入がなくなったときにどのように対処すればいいのかを解説します。
旦那が無職で働かないことを理由に離婚はできる?
「旦那が無職で働かない」という理由で、夫と離婚はできるのでしょうか。離婚するといっても、夫婦の事情はさまざまで、個別に判断する必要があります。どのような場合なら、離婚が可能なのか、具体的な例で説明します。
互いに離婚することで合意した場合
離婚は基本的に夫婦が合意すれば、どのような理由であれ可能です。たとえば「働かない旦那とは別れたい」と言う妻に対し、夫も「嫁から離れて自由に生きたい」と言えば、あとは離婚届を役所に提出するだけです。こうして、話し合いで離婚することを「協議離婚」といいます。
ただ、離婚することに合意しても、財産分与や慰謝料の支払いなど条件面で折り合えないこともあります。妻が慰謝料や養育費を求めたのに、夫が「金がない」と受け入れないこともあるでしょう。 条件で合意できない場合、どちらかが折れなければ離婚できません。話し合いで解決できない場合、家庭裁判所に間に入ってもらうことになります。
家庭裁判所の調停で合意する
夫婦間の話し合いで離婚に合意できない場合、家庭裁判所に調停を申し立てることができます。調停とは家庭裁判所を間にはさんだ話し合いで、裁判官1人、調停委員2人以上で構成される「調停委員会」が仲介役となります。基本は裁判官と調停委員2人の3人構成です。話をする際は主に調停委員が相手になるため、夫と顔を合わせることはほとんどありません。
調停によって、条件に合意できれば離婚が成立します。しかし、どちらかが調停の内容に納得しない場合は、「調停不成立」となり調停は終了します。あくまでも離婚を望む場合は、離婚裁判を起こすことになります。
離婚を求めて裁判を起こす
調停が不調に終わった場合、離婚裁判を起こすことができます。ただし、離婚裁判を起こすには、法律で定められた理由が必要です。その理由とは次の5つです。
・相手の不貞行為(浮気・不倫)があったとき
・相手から悪意で遺棄されたとき(悪意の遺棄)
・相手の生死が3年以上明らかでないとき
・相手が強度の精神病で、回復の見込みがないとき
・その他、婚姻を継続し難い重大な事由があるとき
夫が無職で働かない場合は、「悪意の遺棄」か「婚姻を継続し難い重大な事由がある」に該当する可能性があります。
「悪意の遺棄」とは、夫婦の関係が破綻しても構わないという「悪意」を持って、互いに協力し助け合わなければならないという夫婦の義務に反することをいいます。このため、健康なのに働かないことは協力や助け合いを怠っており、悪意の遺棄に該当する可能性があります。
また、理由もなく働かないと収入が得られず、経済的に困窮することは明らかです。このため生計の維持に協力していないとして「婚姻を継続し難い重大な事由がある」にも該当すると判断される可能性があります。
裁判で離婚が認められると、相手の合意の有無にかかわらず離婚できますが、夫に働く意思がないことや、働かない正当な理由がないことなどを証明する必要があります。裁判を起こすときは、弁護士に相談したほうがいいでしょう。
無職で働かない旦那を妻はどう思っている?
無職で働かない夫を妻はどう思っているのでしょうか。夫婦にもさまざま事情があり、「働かない旦那とは今すぐにでも離婚したい」という妻がいれば、「生活費を考えればつらいけれど、旦那をささえていきたい」という妻もいます。無職で働かない夫を、妻はどう見ているのかを体験談とともに紹介します。
無職で働かない旦那とは離婚したい
子供も生まれ、将来のことも考えなければならないのに、無職の夫が働こうとしないと妻は不安でつらい気持ちになります。中には生活費のために貯金を切り崩し、親にも頼っている状態なのに、危機感もなく「自分の好きな道を進みたい」など言って職探しをしない夫もいます。こうした夫では、妻が離婚を考えるのも無理はありません。
夫は無職です。
趣味があり、いずれそれが収入になるよう頑張っているのですが、約束の三年を、過ぎても無収入です。
子供も、生まれましたので何度もバイト
でもいいので家計を助けてもらえないかと持ち出しましたが断られます。
夫実家から10万円毎月援助をもらっていますので何とか生活はできていますが、わたしは実家に頼らず自分たちだけでやっていきたいのです。
しかし夫の意見は実家からの援助が夫の稼いだお金だと。
だから自分が稼がないことを責めるのは間違っているし、わたしが1人働いてがんばっているみたいなことを言うなと不機嫌になります。
実家から援助をもらっているけれど夫が働かないというのは離婚の理由になりますか?
働かない夫と離婚したい。
コロナ言い訳に働かない夫
仕事がない 現場が延期になったと言う割に 家でダラダラ趣味ばかり。
生活もままならないのに 優先は自分の趣味が先
今すぐお金になる訳じゃない事へ一生懸命…現実的じゃない考え方が どうも私には理解できません。
旦那が働けるようになるまで支えたい
無職で働かないと言っても、必ずしも夫に責任があるとは限りません。ブラック企業で長時間の労働を強いられ、鬱状態になって働けなくなる夫もいます。「病気になった旦那を、何もしないといって見捨てることはできない」と考える妻もいるでしょう。また、子供のことを考えて離婚できないという妻もいます。
夫が鬱で仕事が手につかないです。
無理に働けとも言えないけど、自営業だから仕事しないとやっていけないです。
頑張りすぎてしまって今は無気力です。
たくさん注文が入ってるのに製造が出来なくて私自身焦っています…。
それでも動けるようになるまで見守るしかないのでしょうか。
働かない旦那で悩んでます。結婚して9年目になりましたが、旦那が結婚当初から仕事が長続きしなくてだいたい2、3ヵ月で辞めてしまいます。
ひどい時は1日行って辞めたり、半日行って昼休み入ったまま帰ってきていかなかったり。
私がパートの仕事をしてるのでとりあえずは凌いでますが、正直苦しいです。
子供も小学に上がってから尚苦しくなりました。
周りからは離婚しなって言われてます。
でも子供がパパっ子だから離婚できずにいます。
無職なのに働かない旦那の心理とは?
無職なのに働かない夫は、今後の夫婦生活をどのように考えているのでしょうか。生活費のために貯金を切り崩し、借金をしなければならない状況に陥っても、危機感を覚えることはないのでしょうか。無職なのに働かない夫の心理について説明します。
働くのが嫌になった
男性の中には夢ばかりを追いかけ、現実的に物事を考えられない人がいます。「1度きりの人生だから、自分の好きな仕事をしたい」というタイプの男性です。こうした男性は、本当に好きな仕事で偉業を成し遂げることもあるのですが「自分には合わない」と急に仕事をやめたり、本当に働くのが嫌になったりすることがあります。
こうしたタイプの夫は、嫌な仕事でも家族のためにコツコツ頑張るということがなかなかできません。そして、一度仕事を離れて自由を満喫してしまうと「我慢してまで働きたくない」と考えるようになります。
こうした夫には、家計の実情を理解してもらい、働いてもらうしかありません。一緒にハローワークに行って、職探しの後押しも必要でしょう。ただ、鬱状態で「働きたくない」と考えている可能性もあるので、夫の様子には注意を払ってください。
働かなくても生きていける
自分が無職でも妻に収入があったり、ある程度の貯金が残っていたりすると、夫は「自分が働かなくても当面は生活できそうだ」と甘えることがあります。実家の援助を望めるときも、「困ったときは実家に頼ればいい」と全く危機感を持たない夫もいます。
こうした夫の中には、将来の不安から逃避している人もいます。働くと、家族や今後の生活のことを考えなければならなくなるため、そうした責任から逃れるために、問題を先送りにしているのです。
いつまでも甘えた考えでいる夫には、厳しく迫ることも必要です。もう援助はしないよう実家に協力を求めてもいいでしょう。最後は離婚を突き付けなければ、現実を理解できないかもしれません。
自分にふさわしい職場が見つからない
プライドの高い男性の中には「以前より条件や待遇が劣る仕事はしたくない」と考えている人がいます。また、これまでの経験や職歴を活かせる仕事でなければ、不安だという人もいます。こうしたタイプの夫は、仕事を選り好みして、なかなか働き先が見つかりません。
ある程度の年齢になると、新しい仕事を覚えるのは大変です。自分より年下の先輩に頭を下げなければならないこともあります。こうしたときに、どうしてもプライドが邪魔してしまうのです。このため、「自分の能力を発揮できないのなら、働かないほうがマシだ」とまで思っていることもあります。
プライドが高い夫は他人の意見を聞き入れない傾向があるので、やっかいです。両親や信頼できる知人に説得してもらうのも一つの手でしょう。夫婦関係に詳しいカウンセラーに相談すると、良いアドバイスが受けられるかもしれません。
気分が落ち込み働く気力が湧かない
働かない夫の中には、働く気力を失っている人もいます。よく知られているのが「燃え尽き症候群」です。それまで責任感や誇りを持って働いていた人が、何かのきっかけで自信ややる気を失い、働けなくなってしまうのが特徴で、鬱病の一種とされます。過労やストレスで鬱症状になった人も、働く気力が湧かなくなってしまいます。
こうした人に「少しは働いて」などと働くことを強要すると、精神的に追い詰めてしまう可能性があります。まずは一緒に精神科や心療内科を受診し、診察を受けましょう。後は、医師の指示に従ってゆっくり治療をして、社会復帰できるようになるのを待つしかありません。
旦那が無職で収入に困ったときの対処法は?
無職の夫が働かないと妻は将来に不安を覚えます。妻に経験や資格があれば、夫に専業主夫になってもらい、妻が働くという選択肢もありますが、働く気を失った夫やプライドの高い夫は、家事や育児を進んで引き受けようとはしないでしょう。とりあえず考えられる対処法を紹介します。
パートやクラウドソーシングで収入を確保する
夫が働かない場合、妻が働いて収入を得るしかありません。子育て中だったり、それまで働いた経験が乏しかったりすると、仕事を見つけるのが大変かもしれませんが、自治体には生活困窮者のための相談窓口があります。そこで相談すれば、就職先を見つけるためのアドバイスや、生活再建のための支援が受けられます。
また、最近はインターネットを通じて、自宅でできる仕事も増えてきました。Webやプログラミングの知識があれば、比較的仕事を見つけやすく、イラストや求人広告の制作が得意な人も一定の受注が望めます。データ入力や録音の書き起こしなど未経験でも始めやすい仕事もあります。興味があれば、ネットで斡旋業者を探してみましょう。
生活レベルを見直す
どうしても収入を増やせないときは、生活レベルを見直し、支出を減らしていくしかありません。毎日の生活の中で節電や節水、リサイクルなどに取り組み、節約に励みましょう。もちろん、夫にも酒やたばこをやめてもらい、お小遣いも減額するなど協力してもらいます。
スマホを格安スマホにする、車を手放す、親と同居させてもらうなど、知恵を絞れば、まだできることがあるでしょう。生活レベルを落とせば、夫も危機感を持ってくれるかもしれません。
失業保険や生活保護を受けられるか確認する
失業した場合は一定期間、失業保険を受給できる可能性があります。しかし、働いていた期間や退職した理由などによって金額や受給期間が変わり、自営業者は失業保険を受けられません。また、失業保険を受けるのは、再び働く意思があることが前提です。詳しくはハローワークに相談してみましょう。
また、夫が鬱病で働けないなどの事情がある場合は、生活保護を受けられる可能性があります。しかし、生活保護を受けるには審査があり、収入が減ったからといって、すぐに受けられるわけではありません。自動車などの資産の処分を求められることもあります。詳しくは自治体の福祉事務所や弁護士会の相談窓口に問い合わせてみてください。
受けられる公的支援制度を探す
低所得者に対しては、さまざまな支援制度や減免制度があります。こうした制度を活用して、家計の負担を減らし、収入を確保しましょう。
減免制度とは、社会保険料や自治体に収めなければならないお金を減額してもらえる制度です。一定の条件を満たせば、住民税や国民年金保険料などを減額してもらえる可能性があります。また、学校の給食費や教材費などの減免制度もありますので、住んでいる自治体に尋ねてみましょう。
このほか、低所得世帯に無利子や低金利でお金を貸す「生活福祉資金貸付制度」もあります。連帯保証人がいなくても、条件を満たせば借りられる場合もあります。住んでいる自治体の社会福祉協議会が相談窓口となります。
無職で働かない旦那と離婚したい人は弁護士へ相談
無職で働かない夫と言っても、さまざまな事情があり、中には「働きたくても働けない」という人もいるでしょう。しかし、健康でやる気さえあれば働けるという人が、家で何もしないで毎日過ごしていると、妻は怒りや不満を覚えます。「こんな旦那とは早く離婚したい」と考えるのも当然です。
そんなときは、あれこれ悩まずに弁護士に相談しましょう。夫と離婚できるかどうかだけでなく、どのようにして生活再建を図ればいいのか、どのような公的支援を受けられるかについても相談に乗ってもらえるはずです。
Authense(オーセンス)法律事務所は、相続、離婚などの一般民事事件、刑事事件、企業
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