「嘘つきの旦那を許せない」と怒る妻がいます。日常生活の中での小さな嘘から、浮気や借金、人間関係のトラブルといった重大な問題までさまざまで、「嘘つきの旦那と離婚したい」という妻もいます。信用できない嘘つきの夫と離婚できるのか、嘘つきの夫への対処法を紹介します。
嘘つきの旦那を信用できずうんざり…
平気で嘘をついてしまう夫は少なくないようです。事を荒立てないための嘘や、相手を傷つけないための嘘など、仕方のない嘘もありますが、妻を怒らせ、うんざりさせるのは、たいてい、相手に自分を良く見せ、自分の身を守るための嘘です。特に多いのは、浮気や借金など都合の悪い隠し事があるときの嘘でしょう。
こうした嘘をつく人は男女問わず、平気で嘘をつきます。「息をするように嘘をつく旦那と早く別れたい」と嘆く妻もいます。
嘘を平気でつく旦那に嫌気がさします。
ほんとに些細なことから大きな嘘まで第三者に確認をとっても平気な顔で嘘をつき続けます。
バレたときは(すんません)と人の顔も見ないで謝ります。
まだ1歳の子供もいますし、離婚したいけど迷っています。
ただ、嘘がばれたときに、もぉ嘘をつくなと話しても俺は仕事でも家でもストレスがたまっておかしくなりそうだと手を震わせてあらゆる家具を殴って暴れます。
まだ手はだされてませんが、彼の嘘について話し合ったときにお前を殺したいと言われました。
また、これらのケンカが原因で平気で仕事を休みます。
そのせいでこの一年で3回転職しています。
私の両親は離婚は絶対なしな人なのでこんな旦那でも励ましてなんとか仕事を続けさせようとしてます。
ちなみに両親は彼が嘘つきだとは知りません。会社の都合で首に近い状態で退社した思っています。
平気で嘘をつく旦那に慰謝料請求したいです。
周りの人にも嘘をついているそうです。
内容は言えませんが知り合いが旦那から聞いたよって連絡がありました。
平気で嘘をつくってモラハラですよね?
一度大きな嘘をついてしまうと、その嘘がばれないように、また嘘をつき、嘘の連鎖が止まらなくなります。また、平気で嘘をつく人は、もともとの性格や資質である可能性もあり、こうした人は意識せずに嘘をついてしまいます。
理由はどうであれ、嘘に振り回されるほうはたまりません。「こんな嘘つきの旦那と暮らしていると将来が不安。すぐに離婚したい」と考える妻もいるでしょう。息をするように嘘をつく夫と離婚できるのか、嘘つきの性格を直す方法はあるのかなどを解説します。
嘘つきの旦那とは離婚した方がいい?
夫が平気で嘘をつく性格だった場合、「旦那が嘘つき」という理由で離婚できるのでしょうか。嘘つきの夫と離婚できるケースや、離婚を検討する際の大切なポイントなどを紹介します。
夫と合意できれば離婚も可能
嘘つきの夫と離婚したいと思ったとき、話し合いの結果、夫も離婚に同意してくれれば離婚は可能です。夫も、嘘に嘘を重ねて、どうにも言い訳をするのがしんどくなり離婚も仕方がないと諦めていることもあります。このように話し合いで離婚することを協議離婚といいます。離婚で最も多いのが協議離婚で、離婚の理由を問われることもありません。
ただ、夫が「離婚はしたくない。もう嘘はつかない」などと謝っている場合、すぐには離婚できません。また、離婚には応じるものの、財産分与などの条件をめぐって話し合いがつかないこともあります。そのときは離婚を求めて話し合いを続けるか、法的な手続きに基づいて離婚を求めていくしかありません。
離婚の合意を得られないときは調停という手も
夫が離婚に反対したり、離婚には同意してもらえても条件で折り合えなかったりした場合は、家庭裁判所に離婚調停を申し立てることができます。調停とは裁判所の調停委員を介した話し合いで、調停委員が双方の意見を聞き、言い分を整理して合意を目指します。しかし、合意できる見込みがないときは調停不調として打ち切られてしまいます。
調停が打ち切られると、再び夫との間で協議離婚を目指して話し合うか、離婚裁判を起こして裁判所に離婚を求めることになります。裁判で認められれば、相手の合意がなくても離婚が可能です。
離婚裁判で必要な離婚事由
離婚裁判を起こすには条件があり、離婚調停の後にしか起こせません。また、民法で定められた「離婚事由」がなければ、裁判を起こしても離婚が認められる可能性はほとんどありません。離婚事由とは、次の5つの事情です。
・配偶者が浮気や不倫(不貞行為)をした
・一方的な別居や生活費の未払いなど配偶者の悪意で遺棄された(悪意の遺棄)
・配偶者の生死が不明で3年以上経つ
・配偶者が重症の精神病で治る見込みがない
・婚姻を継続しがたい重大な事由がある
離婚の裁判では、夫婦間の事情がこれら離婚事由に当てはまり、夫婦関係が修復不可能な状態にあるかが審理されます。たとえ離婚事由があっても、「夫婦関係の修復は可能だ」と判断されて離婚が認められないこともあります。
嘘つきは離婚事由になる?
「旦那が嘘をつく」と言う理由は、残念ながら離婚事由には含まれず、単に「嘘をついた」というだけでは裁判で離婚を認めてもらうのは困難です。問題は嘘の内容で、重大な内容の隠し事があり、それが夫婦関係に大きな影響を及ぼした場合は、離婚が認められるかもしれません。
例えば「嘘をついて妻の預金を使い込んでいた」「仕事をしていると言いながら、実は既に退職し収入の目途もない」という場合は、「悪意の遺棄」や「婚姻を継続しがたい重大な事由」に当てはまる可能性があります。もちろん、浮気をごまかすために嘘をついていた場合は、「不貞行為」にあたります。
山下 環
夫が嘘をつく度にその内容を日記等に記載し、そのことによる具体的に損害等が発生した場合はあわせて記載しておくとよいと思います。内容や回数によっては、それが夫婦関係の信頼を破壊したということになり、離婚が認められる可能性があります。また重大な嘘が発覚した際は、その内容を記録したうえで、夫に二度と嘘をつかないという誓約書を書いてもらうのもよいでしょう。
嘘つきの旦那から慰謝料は取れる?
夫の嘘に振り回され、ストレスで疲れ切ってしまった妻は「嘘つきの旦那から慰謝料を取りたい」と考えることもあるでしょう。果たして「旦那が嘘つきで被害を受けた」という理由で慰謝料を請求できるのでしょうか。
不法行為がなければ慰謝料は取れない
慰謝料とは、精神的苦痛や精神的な損害を受けたとき、加害者から被害者に支払われる賠償金です。ただし、「嫌な思いをした」「つらかった」からと言って、すぐに相手に請求できるわけではなく、一般的に相手に不法行為がある場合に請求できると考えられます。
嘘をつくという行為が不法行為にあたるかどうかは、嘘の内容次第です。ましてや、夫婦間で「相手は嘘つきだ」という認識がある場合には、嘘をついたというだけで慰謝料を請求するのは難しいでしょう。しかし、嘘をついていた理由が浮気や、妻の所有物を壊したというものであった場合は、当然、浮気の慰謝料や壊した物に対する損害賠償は認められます。
嘘つきの旦那をこらしめる方法
信じられないような嘘を平然とつき続ける夫がいます。息をするように嘘を重ねる姿に「この嘘つきの旦那をこらしめる方法はないか」と考える妻もいるでしょう。嘘つきの夫をこらしめて溜飲を下げる方法を紹介します。
夫のための家事をしない
嘘はとっくにバレていて、自分は怒っているということを伝える方法の一つとして、夫の家事のボイコットがあります。夫の衣服の洗濯や部屋の掃除、食事の準備などを一切やりません。当然、夫は「どうしてやってくれないんだ」と言うでしょうが、そこで「私に嘘をついていない?」と聞いてみましょう。心当たりがあれば、夫は黙り込んでしまいます。
ただ、相手も嘘をつきなれているので、白を切るかもしれません。そのときは「よく考えてみて」と突き放しましょう。それで妻が怒っていることは、夫に十分伝わるはずです。ただし、この方法を長く続けていると、夫婦関係が悪化してしまう可能性もあります。夫が謝罪した場合は、いったんは許しましょう。
家出をする
夫の嘘に我慢できなくなったときは、ちょっとの間、家出するのも一つの方法です。妻が突然家を出ていったら、さすがの夫も慌てるでしょう。自分の嘘が、妻を傷つけていたことに気づいてくれるかもしれません。
家出といっても、夫から逃げ出すつもりでなければ、長くても2、3日位のプチ家出にし、実家や友人のところで過ごすか、小旅行を楽しむくらいにしておきましょう。夫に反省する態度が見られたら、「もう2度と嘘はつかない」と誓約書を書いてもらったうえで、許してあげるのもいいでしょう。
離婚を切り出す
どうしても夫の嘘が許せず、「旦那に反省する気がないのなら離婚をしても構わない」という決意なら、離婚を切り出すのも夫をこらしめるのに有効な方法です。夫に離婚する気がない場合は、自分の嘘の重大さに気付き、さすがに「もう嘘をつくのはやめよう」と考えるかもしれません。
ただし、夫婦仲が良くない場合は、安易に離婚を切り出すと、本当に離婚に向けて事態が動き始めることもあります。離婚することになって後悔しないよう、しっかりと覚悟を決めて離婚を切り出しましょう。
旦那の嘘つきの性格を直すには
息をするように嘘をつく夫の性格を直すことはできるのでしょうか。嘘をつく夫の性格を直す方法を紹介します。
嘘をつく理由を聞く
すぐに嘘をつく夫には、一度なぜ嘘をつくのか理由を聞いてみましょう。もしかすると、嘘をつくのには彼なりの理由があるのかもしれません。夫から話を聞くときは、決してすぐに反論したり、頭から否定したりしないよう注意してください。話の腰を折らず最後まで耳を傾けることが大切です。
そして、夫の話を聞いたら「どんな理由があっても、嘘は言ってほしくない」ということだけは伝えましょう。決して怒ってはいけません。自分たちの将来を考えれば、互いに嘘をつかずに生活していきたいこと、隠し事をされると夫を信じられなくなってしまうことを訴えてください。
そのうえで、夫が嘘をつかざるを得ない状況を解決するにはどうすればいいのか、2人でよく話し合いましょう。夫も嘘に嘘を重ねる状況から抜け出せれば、態度も改まるかもしれません。
専門家を交えて話し合う
夫が仕事のことや、お金のことで嘘をつき続けてきた場合、嘘が発覚したときは、夫の力ではどうにもならないことになっていることがあります。借金で首が回らず返済もできない状態になっているかもしれませんし、仕事のトラブルで相手から訴えられるような事態になっているかもしれません。
そうしたときは、夫婦だけで解決するのはあきらめて専門家に相談することが大切です。とりあえずは、夫婦問題に詳しいカウンセラーに相談してもいいですし、問題が大きくなっている場合は弁護士に相談するといいでしょう。できるだけ早く相談すれば、それだけ解決も早くなる可能性があります。
病院で治療を受ける
もともと嘘をついてしまう性格の人、嘘をつくことにあまり罪悪感を覚えない人もいます。こうした人は、病気の可能性があり態度を改善するのは困難です。小さな嘘から重大な嘘まで、どうしても嘘をついてしまう性質のことを「虚言癖」といいますが、パーソナリティ障害の人には虚言癖の傾向があると言われます。
パーソナリティ障害は人格障害ともいいますが、生まれつきの特徴的な性格や振る舞いによって、人間関係がうまくいかない病気です。周囲に迷惑をかけるだけでなく、自分の性格や行動に本人も悩むことがあります。こうした障害が理由で嘘をついてしまう場合は、心療内科や精神科などで専門的な治療を受ける必要があります。
嘘つきの夫の対処に困ったら専門家に相談を
夫が嘘に嘘を重ねる性格だと、妻は嘘を聞かされるたびストレスがたまり、夫を信じられない気持ちになります。「将来のことを考えると、旦那と離婚するしかない」と思い詰める人もいるでしょう。
しかし、「旦那が嘘つき」というだけでは、簡単に離婚できないこともあります。夫とやり直せる道があるのか、離婚する方法はないのか、答えは夫婦の事情によって異なります。夫婦関係に詳しいカウンセラーや弁護士といった専門家にも相談して、じっくり夫婦の関係について考えてみましょう。
山下環/山下環法律事務所(東京弁護士会所属)
弁護士経験20年以上、離婚カウンセラーの資格も有する女性弁護士が親身になってご相談に応じます。裁判所の調停官をつとめた経験を活かし、離婚調停を有利に進めるアドバイスをいたします。
法務省ADR認定機関離婚サポート調停人。一般社団法人離婚相談連盟理事。NHK「あさイチ」等の番組に離婚に強い弁護士として出演するなどメディア取材多数。