もしかしてDVを受けている?チェックリスト
DV(ドメスティックバイオレンス)はパートナーから暴力や心理的な攻撃を受けている状態で、被害者が命を落とすこともある深刻な問題です。被害件数の多い、男性から女性へのDVを取り上げ、特にDVの被害者となりやすい女性の特徴について解説します。
最初にDVのチェックリストを紹介します。これは千葉県浦安市が公表しているチェックリストで、思い当たる項目をチェックしてみてください。1つでも該当するものがあれば、DV被害者の可能性があります。
・機嫌を損ねられては大変と思い、要求を何でも受け入れてしまう
・怒りを爆発させて怒鳴られたり、暴力をふるわれたりすると謝ってしまう
・いつも顔色を見ながら過ごしており、常に緊張している
・頻繁に批判されたり、馬鹿にされたりする
・セックスを強要され、いやなのに応じている
・なぐられたり、けられたり、髪を引っ張られたり、突き飛ばされたり、たばこの火を押し付けられたり、縄で縛られたり、ナイフで脅されたりしたことがある
・親戚や友人と会うことにいい顔をされない
・電話やメール、交友関係をチェックされるなど、行動を監視されている
・家計の管理が独占されており、貯金や通帳へのアクセスも占有されている
・子どもの前で暴言を言われる
・暴力さえ振るわれなければいい人なので何とかやっていけると思っている
中には「実際に暴力を受けたことがない」という女性もいるかもしれません。しかし、リストにあげられた特徴的な言動をとるパートナーは、将来、DVの加害者となる可能性があります。該当する項目があった女性は、もしかすると自覚がないだけで、既にDVの被害者となっているかもしれません。
DVされる女性のタイプは?
DVされやすい女性には共通する特徴があるのでしょうか。DV加害者から逃げられないケースと、DV加害を誘発しやすいケースに分けて解説します。自分に当てはまる特徴がある場合、DVされやすい可能性があるので注意しましょう。
DV男性にハマる女性
DV男性にハマる女性は「自分に自信がない」タイプの人が多いようです。他人から嫌われることを恐れるのが特徴で、暴力をふるわれても拒絶できません。
DVされやすい女性はパートナーへの依存度が高く、自分が傷ついても関係の継続に固執するという特徴があります。一度恋愛関係になった相手から簡単に離れられず、日常的に暴力を受けるようになっても受け入れてしまいます。
DVを誘発してしまう女性
「自分より他者を優先する」女性は、男性のDVを誘発してしまう可能性があります。こうした女性は自分の気持ちを抑え込んでしまうのが特徴で、相手に不満があってもなかなか伝えられません。こうした性格が男性に「何をしても構わない」という気持ちにさせるのです。
決して女性に非はありませんが、DV気質の男性は「相手が何も言わなければ、自分の言動を受け入れているのだろう」と勝手に思い込みます。こうした男性は、最初は優しくても少しのきっかけでDV加害者に豹変します。
DVされやすい女性の特徴7選
DVされやすい女性の特徴として、パートナーに従順で奥ゆかしいというイメージがあるかもしれません。自分は気が強い性格が特徴だから関係ないと思っている人もいるでしょう。
しかし、DV男性にハマる原因は、DV被害者の性格だけでなく、普段の人間関係などさまざまな要因が関わっています。DVされやすい女性の特徴を7つ紹介しますので、当てはまるものがないかチェックしましょう。
「私なんて」と自己肯定感が低い
「私なんて」とつい言ってしまう自己肯定感の低い女性は、自分に自信がないため、相手の言動を否定できないのが特徴です。暴力をふるわれても、自分にも悪い部分があったと思い込み、DVされやすい状況に陥ってしまいます。
気が強い女性であっても、日常的に人格を否定されるような言動にさらされると、次第に自己肯定感が失われていきます。実際の暴力はなくても、言葉や態度で相手をおとしめようとするパートナーはDV加害者に豹変する可能性があるので注意しましょう。
彼氏・夫に依存しやすい
彼氏・夫に頼り過ぎてしまう女性は、多少不満があっても、自分からはパートナーの男性と別れようとしないのが特徴です。特に友達が少ない女性にとって、男性は唯一の話し相手という場合もあり、関係が断たれることに不安を感じます。
男性側も自分は女性にとって不可欠な存在であることが分かっているため、女性に対する気遣いが失われていきます。女性への不満だけでなく、普段のストレスまで八つ当たりするようになり、DVされやすい環境が生まれます。
すぐ謝ってしまう癖がある
お互いの意見がぶつかって口論になりそうになったとき、すぐに謝ってしまう女性がいますが、こうした性格もDVされやすい女性の特徴です。パートナーの男性に対して自己主張するのが苦手なので、DV被害に遭っても拒絶する意思をうまく伝えられません。
男性は、拒絶されないのをいいことにDVをエスカレートさせる可能性があります。また「やめて」という意思が感じられないため、暴力や暴言が日常化していてもDVであることに気付けません。
人から嫌われることが怖い
他人から嫌われることを恐れる女性にとって、パートナーの男性は特に嫌われたくない対象です。反発すれば嫌われるため、暴力や暴言も黙って受け止めてしまいます。
自分を傷つける相手に対して、嫌われてもいいと諦めがつくまでに時間がかかるため、DVされやすい状態から抜け出すのが困難です。
スペックの高い相手を好む
社会的地位が高く、年収の多い男性を好む女性は「お金持ちの男性と付き合っている自分」に価値があると考えます。友達にパートナーのスペックを褒められると、自分も認められたと感じて安心するなど、他人に影響されやすい性格といえるでしょう。
このため、スペックの高い男性と別れてしまうと、自分の評価も下がってしまうと考え、DV被害を受けても別れることに不安を覚えるのが特徴です。パートナーが女性の不安に気づいている場合、離れられないのを逆手にとり、DVをエスカレートさせていく可能性があります。
面倒見がよく世話好き
パートナーの男性に対して面倒見がよく世話好きな女性は、特に問題がないように見えますが、面倒見の良さはDVされやすい特徴の一つです。何かのきっかけでDVが始まっても、自分が一生懸命パートナーのために尽くせば、DVは止まると信じてしまいます。
特に「尽くすタイプ」の女性は、別れてしまうとパートナーに尽くしてきた自分の人生まで否定されたと感じるようです。そこで、なるべく関係を続けようと努力しますが、結果としてDVされやすい状態にハマってしまいます。
情緒不安定で気持ちの浮き沈みが大きい
気持ちの浮き沈みが大きく、感情のコントロールが苦手な女性は、パートナーのちょっとした言動に気分が影響されやすいのが特徴です。落ち込んでいるときに暴言や暴力を受けると反発する気力が失われ、立ち直れなくなるほどのダメージが残ります。
またパートナーに暴力をふるわれても、その後に優しい言葉をかけられると許してしまう、騙されやすい特徴もあります。パートナーの男性も、感情の不安定さをうまく利用して自分に依存させるので、女性はDVを自覚するのが困難です。
DV男性の対処法は?
パートナーの男性からDVを受けていると感じたら早めに対処しましょう。「自分にも非があった」「ちょっとふざけただけ」などと大目に見て放置していると、DVがエスカレートすることがあります。DV男性の対処法についてステップごとに説明します。
第三者に相談する
自分はDVの被害者ではないかと感じたら、まずは誰かに相談しましょう。家族だと客観的な視点に欠けるため、友人や職場の同僚などがおすすめです。第三者からの客観的な意見は、DVを自覚するきっかけとして役立ちます。さらにカウンセラーや弁護士といった専門家なら、問題の早期解決が期待できます。
交友関係を広げて他に居場所を作る
パートナーと過ごす時間が多いほどDVされやすいため、交友関係を広げて家以外に居場所を作りましょう。子育てやボランティアのサークルは、子供や地域の役に立つと主張できるのでおすすめです。また、交友関係が広がることで得られる新たな視点は、今後の対策を考える際にも役立つでしょう。
DVされた証拠を集める
DVを受けたら被害の大小にかかわらず証拠を残しましょう。打ち身や擦り傷などがあれば、写真を撮り、日時や場所、そのときの状況などとともに記録します。病院で治療を受けたときは医師に診断書を作成してもらいましょう。これらの証拠は、後で夫にDVの加害者であることを認めさせるときや、離婚調停で効力を発揮します。
物理的・精神的に距離を置く
夫と別居し物理的・精神的に距離を置くことは、DVされやすい状況から身を守る有効な手段です。夫が追いかけてきて連れ戻される心配があるときは、警察や自治体の女性相談窓口で相談しましょう。一時保護施設や民間のシェルターに入居できる場合があります。
DVの疑いがあるなら弁護士に相談しよう
彼氏や夫からDVされやすい女性には、自分に自信がない、パートナーへの依存性が高いなど共通した特徴があります。DVのされやすさは、被害女性の性格だけでなくさまざまな要因が関係しており、気の強い女性がDVされることもあります。
彼氏や夫からDV被害を受けていると感じたら、まずは第三者に相談し、すぐに逃げられるよう準備しましょう。カウンセラーや弁護士などに相談すれば、将来を見据えた具体的なアドバイスが受けられることもあります。
弁護士法人 丸の内ソレイユ法律事務所(東京弁護士会所属)
2009年の事務所開設以来、女性側の離婚・男女問題の解決に注力しています。年間700件以上、累計5000件以上の相談実績があり、多様な離婚のノウハウを蓄積。経験豊富な男女20名の弁護士が所属し、新聞・テレビ・雑誌・Webなど多くのメディアからの取材も受けています。