
離婚を考える際、まずは全体的な流れや必要な準備を把握しておくことが大切です。どのような方法で進めるか、また話し合いで決めるべきことは何かなどのポイントをあらかじめ理解しておくと、後々のトラブルを軽減できます。書類の用意や専門家への相談も含め、手続きを効率よく進めるための知識を身につけ、最善の決断に役立ててください。
この記事でわかること
・離婚手続きの種類と流れ
・離婚を決意したら最初にすべき準備
・離婚時に必ず決めるべき条件と離婚後の手続き
折田 裕彦/法律事務所アスコープ 東京オフィス(第一東京弁護士会所属)
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離婚を決意したら最初にすべきこと
離婚の意思が固まったら、まずは情報を整理し、今後の見通しを立てる段階に入りましょう。後の手続きをスムーズに進めるためにも、準備段階で押さえるべきポイントは多岐にわたります。
相手の離婚への意思確認
離婚手続きを始める前に、まず配偶者が離婚に同意しているかを確認することが重要です。双方が離婚に合意している場合は協議離婚として進められますが、相手が離婚を拒否している場合は調停や裁判が必要になります。
話し合いの際は感情的にならず、冷静に離婚の意思を伝えましょう。相手の反応によって今後の進め方が大きく変わるため、早い段階で意思確認を行うことをおすすめします。
財産の確認と証拠収集
離婚条件を有利に進めるためには、財産分与や慰謝料請求に必要な証拠を事前に集めておくことが不可欠です。夫婦の共有財産(預貯金、不動産、年金など)をリストアップし、可能であれば通帳のコピーや不動産の登記簿を取得しましょう。
また、不貞行為やDV、モラハラなどの離婚原因がある場合は、メール、LINE、写真、診断書などの証拠を保管してください。証拠は後から集めることが難しいため、離婚を決意した段階で準備を始めることが重要です。
離婚後の生活基盤の準備
離婚後の生活を見据えて、経済的な基盤を整えておくことが大切です。子どもがいる場合は、転校や保育園の手続き、児童手当やひとり親支援制度についても調べておくと安心です。
離婚条件の整理
離婚を進める前に、自分が求める離婚条件を明確に整理しておきましょう。主な離婚条件には、親権者の決定、養育費、財産分与、慰謝料、年金分割、面会交流などがあります。それぞれの条件について、希望する内容や譲れないポイントをリストアップしてください。
子どもがいる場合は親権や養育費が最優先事項になります。条件が明確であれば、配偶者との話し合いや調停がスムーズに進みます。弁護士に相談する際も、整理された条件を伝えることで的確なアドバイスが得られます。

弁護士への相談
離婚問題が複雑な場合や相手と話し合いが困難な場合は、早めに弁護士に相談することをおすすめします。弁護士は離婚方法の選択、財産分与や養育費の相場、親権獲得の可能性など、法律的な観点から適切なアドバイスをしてくれます。
特にDVやモラハラ、高額な財産分与が絡むケースでは、専門家のサポートが不可欠です。初回相談が無料の法律事務所も多いため、まずは気軽に相談してみましょう。法的な知識を得ることで、有利に離婚手続きを進められます。
法律事務所アスコープ 東京オフィス・折田 裕彦一見単純そうに見える問題であったとしても、離婚問題は、感情の対立が激しく、離婚を切り出すタイミングや伝える内容を誤ると、紛争が深刻かつ長期化するおそれがあります。
まずは些細な事でも弁護士に相談していただき、争点になりそうな問題に対する準備や、どのようなスケジュールで離婚の話を切り出し、条件などを提示していくかなど、十分な戦略を立てておくことが肝要です。
別居の検討
離婚を決意したら、別居のタイミングや方法を検討することも重要です。別居は離婚意思の証明になり、特に裁判離婚では長期間の別居が離婚原因として認められるケースもあります。
ただし、別居中も婚姻費用を請求できる権利があるため、収入が少ない側は相手に生活費を求めることが可能です。別居前には住居の確保、子どもの転校手続き、住民票の移動などを準備しましょう。DVやモラハラがある場合は、安全を最優先に別居を進めてください。


心のサポートはカウンセラーへ
離婚は精神的に大きな負担がかかるため、心のケアも忘れずに行いましょう。ひとりで悩みを抱え込まず、カウンセラーや心理士などの専門家に相談することをおすすめします。カウンセリングでは、離婚に伴う不安やストレスを整理し、冷静な判断ができるようサポートしてくれます。
また、自治体の相談窓口やひとり親支援団体でも無料相談を受け付けている場合があります。精神的に安定した状態で離婚手続きを進めることが、より良い結果につながります。
離婚手続きの4つの方法と流れ
離婚にはいくつかの方法があり、どれを選択するかによって必要な準備や進め方が大きく変わります。それぞれの特徴を理解し、夫婦の状況に合った方法を見極めることが大切です。


協議離婚の進め方と注意点
協議離婚は夫婦間で話し合い、合意して離婚届を提出する最もシンプルな方法です。ただし財産分与や親権、養育費など重要な取り決めが不足すると、後からトラブルに発展することもあります。
合意内容を公正証書にしておくと合意事項の履行が担保されやすいため、不安な場合は公証役場での作成を検討しましょう。


ADR(裁判外紛争解決手続)の進め方と注意点
ADRとは、協議離婚の一種で弁護士などの第三者が仲介人として夫婦の間に入り、話し合いを進める手続きです。費用や時間の負担が裁判よりも軽減されるケースが多く、当事者同士では解決しにくい問題に適しています。
感情的な対立を緩和し、より建設的な合意に到達しやすいため、協議離婚では解決が難しいと感じるときは検討してみる価値があるでしょう。


調停離婚の進め方と注意点
家庭裁判所で調停委員と共に話し合うのが調停離婚です。夫婦の意見がそれぞれ主張されるなか、調停委員が間に入り意見の整理と合意のサポートを行います。調停は非公開で行われるためプライバシーが守られますが、合意に至らない場合は審判や裁判に移行する可能性があります。


裁判離婚の進め方と注意点
調停でも合意できなかった場合は、裁判による離婚を求めることになります。裁判では法定離婚事由を立証しなければならず、証拠の準備や法的主張の精査が極めて重要です。
手続きには時間や弁護士費用がかかる場合が多いですが、裁判所の判決によって強制的に離婚が確定するため、話し合いでは解決できない深刻な問題を抱えている夫婦にとって最終的な手段となります。
離婚の話し合いで必ず決めるべきポイント
離婚を進める際は、夫婦間で事前にしっかり合意しておくべき事項が多岐にわたります。特にお金に関することや子どもの将来については、後々トラブルにならないよう慎重な話し合いが必要です。


財産分与・慰謝料・年金分割
共有財産の分け方や名義変更のタイミングは、離婚協議で頻繁に問題となる事項です。預貯金、不動産、退職金などの財産をどのように分割するか明確にしておきましょう。
また、不貞行為やDVといった離婚原因がある場合は、慰謝料の有無や金額についても検討が必要です。年金分割については対象となる年金や割合など詳細なルールが決まっているため、年金事務所での確認や弁護士への相談をおすすめします。
親権・養育費・面会交流
子どもがいる夫婦にとって、最も重要な合意事項が親権者の決定です。子どもの年齢や意思、生活環境を考慮して慎重に判断しましょう。養育費については金額だけでなく、支払期間や支払方法も具体的に取り決めることが大切です。
また、離れて暮らす親との面会交流は子どもの心理に大きく影響するため、頻度や方法など具体的なルールを決めておくことが望ましいです。ただし、子どもの成長や意思に合わせて柔軟に変更する必要があることも視野に入れておきましょう。
婚姻費用と離婚後の生活設計
別居期間中の生活費である婚姻費用は、離婚協議で揉めやすいテーマの一つです。収入が少ない側は相手に婚姻費用を請求できるため、金額や支払期間を明確にしておきましょう。
また、離婚後の住居や収入源、子どもの転校など、将来を見据えた生活設計も重要です。特に専業主婦(主夫)やパート勤務の場合、離婚後の経済的な準備が不十分だと大きなリスクを伴います。できるだけ具体的な計画を立てておくと安心です。
離婚手続きに必要な書類と取得方法
離婚をスムーズに進めるためには、必要な書類を事前に準備しておくことが重要です。離婚方法や状況によって求められる書類は異なりますが、基本的な書類は共通しています。ここでは書類の種類ごとに、取得方法や注意点を解説します。


離婚届と戸籍関連書類
離婚手続きで最も基本となるのが離婚届です。離婚届は市区町村役場の窓口で入手できるほか、自治体のホームページからダウンロードすることも可能です。
協議離婚の場合は夫婦双方の署名と証人2名の署名が必要になります。また、離婚届の提出時には戸籍謄本が必要です。
本籍地以外の役所に提出する場合は、本籍地の市区町村役場で戸籍謄本を取得しましょう。調停離婚や裁判離婚の場合は、調停調書や判決書の謄本も必要になります。離婚成立後は戸籍や住民票の変更手続きも忘れずに行ってください。
財産分与・養育費に関する書類
財産分与や養育費を請求する際は、財産や収入を証明する書類が必要になります。主な書類として、預貯金通帳のコピー、不動産の登記簿謄本、給与明細、源泉徴収票、確定申告書などがあります。これらの書類は離婚調停や裁判で財産分与の金額を決定する際の重要な証拠となります。
特に相手の収入や財産を把握していない場合は、早めに情報収集を始めましょう。養育費の算定には双方の収入が基準となるため、最新の収入証明書を準備してください。弁護士に相談する場合も、これらの書類があるとスムーズに進みます。
公正証書の作成方法
協議離婚で合意した内容を確実に履行させるためには、公正証書の作成をおすすめします。公正証書とは公証役場で作成される公的な文書で、養育費や財産分与の支払いが滞った場合に強制執行が可能になります。
作成の流れとしては、まず公証役場に連絡して事前打ち合わせの予約を取ります。打ち合わせには夫婦の一方だけでも対応可能です。公証人が公正証書案を作成した後、調印日には原則として夫婦双方が公証役場に出向き、内容を確認して署名します。ただし、やむを得ない事情がある場合は代理人による作成も可能です。
必要書類は戸籍謄本、本人確認書類、離婚条件をまとめた合意書などです。費用は条件の内容によって異なりますが、数万円程度が相場です。公正証書を作成しておくことで、離婚後のトラブルを防げます。


離婚後の変更手続きに必要な書類
離婚が成立したら、各種変更手続きを速やかに行いましょう。主な手続きとして、住民票の異動、健康保険の切り替え、児童手当やひとり親支援の申請などがあります。
住民票の変更には離婚届受理証明書や新しい戸籍謄本が必要です。健康保険は配偶者の扶養から外れる場合、国民健康保険への加入手続きが必要になります。
子どもがいる場合は、児童手当の受取人変更やひとり親家庭等医療費助成制度の申請も検討しましょう。必要書類は自治体によって異なるため、事前に市区町村役場で確認しておくと安心です。
離婚後に必要となる主な手続き
離婚が成立したら、速やかに各種変更手続きを行いましょう。手続きを怠ると、各種給付が受けられなかったり、後々トラブルになる可能性があります。ここでは離婚後に必要な主な手続きを解説します。


戸籍と住民票の変更
離婚後は戸籍と住民票の変更手続きが必要です。離婚届が受理されると自動的に戸籍は変更されますが、旧姓に戻るか婚姻時の姓を継続するかは離婚届で選択します。また、新しい戸籍を作るか親の戸籍に戻るかも決める必要があります。
引っ越しを伴う場合は住民票の異動手続きを市区町村役場で行いましょう。手続きには離婚届受理証明書や戸籍謄本、本人確認書類が必要です。子どもの戸籍を移す場合は家庭裁判所の許可が必要になることもあります。
健康保険の切り替え
配偶者の扶養に入っていた場合は、健康保険の切り替え手続きが必須です。離婚後は自分で国民健康保険に加入するか、勤務先の健康保険に加入する必要があります。国民健康保険への加入は市区町村役場で行い、離婚日から14日以内に手続きしましょう。
必要書類は離婚届受理証明書、本人確認書類、マイナンバーカードなどです。子どもがいる場合は子どもの健康保険証も新たに取得する必要があります。手続きが遅れると医療費が全額自己負担になる可能性があるため注意してください。
年金の手続き
離婚後の年金手続きも忘れずに行いましょう。配偶者の扶養に入っていた第3号被保険者は、国民年金の第1号被保険者への種別変更手続きが必要です。この手続きは市区町村役場または年金事務所で行います。
また、年金分割の取り決めをした場合は、離婚後2年以内に年金事務所で年金分割請求の手続きを行う必要があります。公正証書がある場合は一方だけで手続きできますが、ない場合は双方で出向く必要があります。必要書類は年金手帳、戸籍謄本、年金分割情報通知書などです。
子どもに関する手続き
子どもがいる場合は児童手当やひとり親支援制度の手続きが重要です。児童手当の受取人変更は市区町村役場で行い、親権者が変わった場合は速やかに手続きしましょう。
また、ひとり親家庭等医療費助成制度や児童扶養手当の申請も検討してください。これらの制度を利用することで、医療費の負担軽減や経済的支援を受けられます。必要書類は戸籍謄本、所得証明書、健康保険証などです。申請時期によって支給開始月が変わるため、早めに手続きすることをおすすめします。


その他の名義変更
離婚後は各種名義変更手続きも計画的に進めましょう。主な手続きとして、銀行口座やクレジットカードの名義変更、運転免許証の本籍・氏名変更、パスポートの変更などがあります。運転免許証は警察署や運転免許センターで手続きでき、新しい戸籍謄本が必要です。銀行口座は各金融機関の窓口で手続きします。
また、携帯電話、光熱費、インターネットなどの契約者名義や引き落とし口座の変更も忘れずに行ってください。手続きの優先順位を決めて、漏れなく対応しましょう。
【Q&A】離婚手続きでよくある質問
Q1. 離婚調停を申し立てると必ず離婚が成立しますか?
調停はあくまで夫婦間の話し合いを調停委員が仲介する手続きであり、双方が合意しなければ離婚は成立しません。どちらか一方が離婚を拒否したり、離婚条件で折り合いがつかない場合は調停不成立となります。調停不成立後に離婚を進めたい場合は、裁判離婚へ移行することになります。
Q2. 離婚協議書と公正証書はどちらを作成すべきですか?
養育費や財産分与などお金の取り決めがある場合は、公正証書の作成を強くおすすめします。離婚協議書だけでは相手が支払いを怠った場合に裁判を起こす必要がありますが、公正証書があれば裁判なしで強制執行が可能です。公正証書の作成には数万円の費用がかかりますが、将来のトラブル防止のためには価値のある投資といえます。
Q3. 離婚裁判はどのくらいの期間がかかりますか?
離婚裁判の期間は事案の複雑さによって異なりますが、一般的には1年から2年程度かかることが多いです。財産分与や親権で争いが激しい場合、証拠調べや本人尋問に時間を要するため、さらに長期化する可能性があります。スピーディーな解決を望む場合は、裁判中に和解による解決を目指すことも検討しましょう。
Q4. ADR(裁判外紛争解決手続き)を利用するメリットは何ですか?
ADRの最大のメリットは、平日日中に家庭裁判所へ出向く必要がなく、夜間や休日、オンラインでも手続きが可能な点です。仕事を休めない方や遠方に住んでいる方でも利用しやすく、調停よりもスケジュール調整の自由度が高いのが特徴です。また、専門家が中立的に話し合いをサポートしてくれるため、感情的にならずに冷静な協議ができる環境が整っています。


Q5. 離婚後に養育費の金額を変更することは可能ですか?
離婚時に取り決めた養育費でも、双方の経済状況や子どもの状況が大きく変わった場合は変更が可能です。例えば、支払う側が失業した、受け取る側の収入が大幅に増えた、子どもが進学して教育費が増えたなどのケースが該当します。当事者間で合意できない場合は、家庭裁判所に養育費変更調停を申し立てることができます。


Q6. 離婚を検討する際にカウンセラーに相談するメリットは何ですか?
夫婦問題に強いカウンセラーは、メンタル面のサポートだけでなく離婚手続きについても詳しい知識を持っていることが多いです。法律的な判断は弁護士に任せ、精神的なケアや冷静な意思決定のサポートはカウンセラーに相談するという使い分けができます。また、離婚すべきか迷っている段階でも気軽に相談でき、自分の気持ちを整理しながら今後の方向性を考えることができる点も大きなメリットです。
後悔しない離婚を実現するために
離婚は人生において大きな決断であり、長期的な視点で入念な準備と検討が不可欠です。適切なサポートを受けながら、納得できる形で離婚を進めることが重要となります。
まずは夫婦それぞれの状況や求めるものを整理し、話し合いを重ねることが鉄則です。必要に応じて弁護士やカウンセラーに相談することで、感情的な対立に陥りにくくなり、時間や費用の負担も軽減できます。離婚後の手続きや生活設計を視野に入れたうえで、一歩ずつしっかりと準備を進めることで、後悔のない新たなスタートを切りやすくなるでしょう。

