マザコン夫に悩む妻は少なくありません。妻より母が大事なのかとうんざりしている人もいるでしょう。結婚する前に、相手がマザコンなのか、早めにチェックしておくことも大切です。チェックする際のポイントとなるマザコン夫の特徴や、離婚を考えたときの対処法を紹介します。
マザコン夫に耐えられない!どうしたらいい?
「夫のマザコンがひどくて耐えられない」と悩む妻がいます。中には「母親が大事だから、嫁の味方をしない」と堂々と言い放つ夫もいて、「いつまでも母親べったりで気持ち悪い」と感じている妻もいるでしょう。
妻が作った料理には文句を言うのに、母親が作った料理にはいつも「おいしい」と絶賛したり、妻も誕生日は忘れても、母親の誕生日には必ずプレゼントを用意したり。いつも妻より母が大事だという態度にうんざりしている妻もいるはずです。マザコン夫に耐えられなくなったとき、離婚はできるのでしょうか。
マザコンの定義とは
「マザコン」とは、「mother complex(マザーコンプレックス)」という和製英語の略称で、大人になっても母親に執着しすぎて自立できず、自分では何も決められない人のことを指します。ただ、正式な心理学の用語ではないので、正確な定義があるわけではありません。
多くの場合、母親から自立できず、結婚しても妻よりも母親を頼り、母親の言う事に逆らえない人を指すようです。アメリカでは、マザコンの男性のことを「mama’s boy」や「momy’s boy」などと呼んでいます。
マザコンと母親思いは違う?
男性の中には、母親思いで、母親にすごく優しく接する男性もいます。それに母親を大切にすることは決して悪いことではありません。それでは、どこからが「マザコン」で、どこからが「母親思い」なのでしょうか。
「マザコン」と「母親思い」の違いは、男性が自立しているかどうかにあります。マザコン男性は、自立できていないため、何をするにも母親にお伺いを立て、自分の考えより母親の意見を優先しがちです。母親に完全に依存しており、「母親の意見」が「自分の意見」だと言ってもいいでしょう。
一方、「母親思いの男性」は、自分の考えや意見をもっていて自分のことは自分で決められます。母親のために何をすべきで、何をしたら母親が喜ぶのかを自分で考えて行動します。妻と母親で意見が対立したときも、双方の意見を聞いてどちらが正しいのかを判断します。互いの仲裁に入ることはあっても、一方的に母親の肩を持つことはありません。
マザコン夫の特徴をチェック
「母親思いのいい人だと思って結婚したら、ただのマザコンだった」という妻の嘆きを聞くことがあります。結婚を考えている相手や夫がマザコンかどうかをチェックするには、マザコン夫の特徴を知っておく必要があります。マザコン夫によくみられる特徴を紹介しますので、ぜひ相手の言動をチェックしてみてください。
母親の言いなりになる
マザコン夫は自分では何にも決められないので、なんでも母親の言いなりです。家庭内のことであっても、妻の言うことには耳を傾けず、母親の意見を優先します。また、妻が母親のことを少しでも非難すると、妻の言い分も聞かずに激高します。逆に母親が妻の陰口を言っても何も言いません。それどころか、一緒になって悪口を言うことさえあります。
母親から小遣いをもらったり、経済的に困ったときは平気で援助を求めたりするのも特徴で、結婚して独立したのに助けてもらうことを恥ずかしいとも思いません。
結婚前から、デート二回か三回に一回は姑同伴。二人でデート中も、姑から呼び出しがあればわたし一人を置いて即帰宅するような人。
付き合ってわりと早くに結婚が決まった為、徐々にきづいても後に引けず…親思いの優しい人と言い聞かせてきました。
結婚後旦那はわたしに隠れて毎月のように姑からお小遣いをもらっています。姑から、嫁にばれないようにうまくやれとの指示もあり。姑がお金で旦那を依存させるよう仕向けているように見えます。そのお金を風俗やキャバクラに使っているのを姑が知っているのかわかりませんが、知ってもうまくやりなさい、と指示すると思います。わたしの誕生日にはプレゼントひとつないのに母の日には非常にこだわっています。
嫁の味方をしない
母親と妻の意見が対立したときは、必ず母親の肩を持つのもマザコン夫の特徴です。中には「嫁姑の問題が起きても、嫁の味方はしない」と宣言する夫までいます。中には「母親の言う事は間違っているよな」と心の中では思っていても、母親には逆らえないため、「母さんとうまくやってくれよ」と妻に頼み込む夫もいます。
しかし、それでは妻の立場がなく、ストレスは募るばかり。「妻より母が大事というのなら、ずっとそばにいてあげたら」と妻が別居や離婚を切り出すきっかけともなってしまいます。
義母から私たちへの干渉が強くて、例えば私の着る服から、私たちのすむ場所まで決めようとするタイプの人です。
夫に相談しても義母の気持ちも分かると擁護するタイプです。
私の精神的ストレスが強すぎて同居を解消しました。
事あるごとに母親と比較する
何事も妻と母親を比較しなくては気が済まないマザコン夫もいます。こうした夫は、自分の母親こそが理想の妻像だと思っていて、妻にも母親のようになってほしいと思っています。このため、妻が料理を作っても「お母さんの料理のほうがおいしかった」などと平気で口にします。
家事や育児についても、自分は手伝わないのに「お母さんはもっと上手にやっていた」「お母さんにやり方を教わるといいよ」と言うばかり。母親が間違ったことや古い常識を言っても鵜呑みにするので、妻もうんざりしてしまいます。
旦那がマザコンです。
毎日毎日、お義母さんとLINEをし、電話もし、お義母さんからもらった手紙を大事に保管していて、私との写真や私があげた手紙は雑に置いてあります。(捨てられてるものもあります)お義母さんのカレーの方が美味しいと言われ、お義母さんに買ってもらったものを大切に大切に使い、引越しや家具の配置も、一緒に住む私ではなくお義母さんに相談します。
旦那をマザコンと思うようになってから、もう気持ち悪くて仕方ありません。
母親との距離感が近い
母親との距離感が近く、いつも母親にべったりなのも、マザコン夫の特徴です。妻に「気持ち悪い」と言われても気にしません。「母親と仲が良くて何が悪いんだ。嫉妬しているのか」などと開き直る夫までいます。
夫の実家が近ければ、すぐに実家に帰ろうとしますし、頻繁に電話やSNSでやり取りするケースもあります。息子との距離感が近い母親は、息子夫婦の家庭内のことにまで口を挟み、特に孫の育て方やしつけなどに口うるさくなることがあるので要注意です。
義母は夫のことが大好きで、何か悩み事があると夫に電話がかかってきて泣きながら相談してきたり、用事がなくても定期的に電話がきています。
夫も義母をとても大切にしており、相談事などよく電話しています。
わたしの言葉は全然響かないのに、義母に言われると素直に聞いています。
最初は母親を大切にできる人なんだなーと思っていましたが、最近それも鬱陶しく見えて、30歳も過ぎてマザコンな夫にうんざりします。
家庭や夫婦の事情を何でも母親に話す
夫婦喧嘩の内容や、夫婦間の相談事をすべて母親に話す夫もいます。これは自分で物事を決める自信がないうえ、妻よりも母親の意見のほうが信用できると思っているためで、これもマザコン夫の特徴の一つです。
夫に話した内容が姑に筒抜けで、しかも、それについて後からあれこれ言われるようでは、妻もうんざりです。離婚を考えるのも当然でしょう。
旦那は私と喧嘩をするたびに実家に帰ります。喧嘩の内容とか義理母に全て話してきてもううんざりで旦那とは上手くやっていける自信がありません。
私は専業主婦で二歳の子供がいます。こんな理由だけに離婚できますか?子供はもちろん渡したくないです。
マザコン夫になってしまう原因
どうしてマザコンになってしまう男性がいるのでしょうか。原因がわかれば、マザコン夫の行動が理解でき、対処法もわかるかもしれません。マザコン夫になってしまう原因について解説します。
母親が過保護
母親が子どもに愛情を注ぐことは当然です。しかし、必要以上に愛情を注ぐと、子供の自立を阻害します。身の回りのことから、普段の行動、自分の進路まで、すべて母親が先回りしてお膳立てしてしていたら、子供は母親に何でもやってもらうのが当たり前だと考えるようになってしまうでしょう。
こうして、幼少期の頃から異常なほどの愛情を注がれ、親からの過保護、過干渉に慣れてしまうと、大人になっても母親から離れられなくなってしまいます。また、母親が離婚や死別で夫を失った場合、息子を溺愛することがあります。そんな母親の態度をそのまま受け入れてしまうと、マザコンになってしまうかもしれません。
母親の愛情が乏しかった
過保護、過干渉の母親に育てられた子供とは逆に、母親からの愛情が不足していた子供も、大人になってマザコンになることがあります。「愛されていない」という不安を抱えたまま大人になった男性は、愛情を受けたいという欲求が満たされていません。このため、母親から愛されたいという思いが、母親に対しての執着となるのです。
こうした男性は、母親から愛されるために母親の言うことを聞き、母親に喜んでもらいたいと無意識に行動してしまう可能性があります。
自尊心が低い
自尊心が低い男性は、自分に自信がありません。このため、失敗したり、母親の機嫌を損ねるようなことをすると、母親から嫌われるのではないかと不安になります。そうした不安から、母親の顔色をうかがうようになってしまう男性もいます。
自尊心が低い人は、他人から褒められたり認められることで安心します。子供の頃、自分のそばにいて自分を認めてくれるのは大抵の場合、母親ですから、自然と母親からの称賛を得たい、褒められたいという気持ちが強くなっていきます。これは人が成長する中で自然なことです。しかし、行き過ぎてしまうとマザコン夫となり、夫婦関係に支障を来たしてしまいます。
マザコン夫に我慢できないとき、離婚はできる?
「マザコン夫に姑と比較されるのが我慢できない」「マザコン夫と結婚生活を続けても不幸な末路をたどるだけ」などと離婚を考える妻もいるでしょう。しかし、「夫がマザコン」というだけで離婚は可能なのでしょうか。
マザコン夫と離婚できるのはどのようなケースなのか、離婚手続きのポイントと合わせて解説します。夫との関係を振り返りながら、離婚が可能かどうか、検討してみてください。
マザコンを理由に離婚できる?
妻より母が大事と考えるモラハラ夫と離婚したいと思ったとき、話し合いの結果、夫も同意してくれれば、離婚は可能です。このように話し合いで離婚することを協議離婚といいます。離婚の中で最も多いのが協議離婚で、離婚の理由を問われることもありません。
ただ、マザコン夫はすぐに母親の顔色をうかがいます。「母さんがなんというかわからない」と考え、すぐには答えをだせないでしょう。中には、母親に相談する夫もいるかもしれません。そうなると、母親は自分の息子の肩を持ちがちで、話が簡単に進まない可能性があります。
母親にしてみれば「マザコンで離婚した」など、そんな世間体の悪い理由で息子を離婚させるわけにはいきません。また、離婚を認めるにしても、財産分与や親権、養育費などの条件をめぐって母親は口を挟んでくるでしょう。条件で折り合えなければ、協議離婚できません。
そのときは離婚を求めて粘り強く話し合いを続けるか、法的な手続きに基づいて離婚を求めていくしかありません。母親が出てきた時点で、夫はもう自分では判断できない状態かもしれません。早めに法的な手続きを進めたほうがよい場合もあります。
離婚の合意を得られないときは調停という手も
夫や義母が離婚に反対したり、離婚には同意してもらえても条件で折り合えなかったりして離婚に合意できない場合は、家庭裁判所に離婚調停を申し立てることができます。調停とは裁判所の調停委員を介した話し合いで、調停委員が双方の意見を聞き、言い分を整理して合意を目指します。しかし、合意できる見込みがないときは調停不調として打ち切られてしまいます。
調停には基本的に夫の母親は出席しないため、夫婦間だけでの話し合いができるでしょう。
もし、調停不調となり打ち切られると、再び夫との間で協議離婚を目指して話し合うか、離婚裁判を起こして裁判所に離婚を求めることになります。裁判で認められれば、相手の合意がなくても離婚が可能です。
マザコンの程度や事情によっては離婚できることも
離婚裁判を起こすには条件があり、離婚調停の後にしか起こせません。また、民法で定められた「離婚事由」がなければ、離婚が認められません。離婚事由とは、次の5つの事情です。
・配偶者が浮気や不倫(不貞行為)をした
・一方的な別居や生活費の未払いなど配偶者の悪意で遺棄された(悪意の遺棄)
・配偶者の生死が不明で3年以上経つ
・配偶者が重症の精神病で治る見込みがない
・婚姻を継続しがたい重大な事由がある
しかし、「夫がマザコン」ということ自体は「離婚事由」には含まれません。ですから「マザコンがひどく、離婚したい」という理由だけでは、なかなか離婚は認められにくいでしょう。しかし、マザコンの影響で、離婚事由に当てはまるような事情が生じ、夫婦関係の修復が困難だと判断されれば、離婚が認められるかもしれません。
例えば、自分の母の意見に妻が反対すると、妻に暴力を振るうといったケースや、母親の意見に従って生活費を家に入れない、母親のために散財してしまうといった事情があれば、離婚事由にあたると判断される可能性があります。もちろん、義母との折り合いが悪いため、妻が別居し、何年も経つというケースも離婚が認められやすくなります。
稻川静
裁判例では、「原告(妻)の被告(夫)の家族との軋轢及び被告(妻)への何らの配慮もなく義母らに同調する被告(夫)の態度等が婚姻関係の破綻の原因になったと認定されたものがあります(東京地判平6.9.2)
マザコンの夫に悩んだら専門家に相談を
マザコン夫との生活は妻にとって大きなストレスとなります。別居や離婚を検討するのも一つの手段です。その際、どのようにして手続きを進めていけばよいのか、夫婦関係の問題に詳しい弁護士に相談し、アドバイスを受けることも必要です。
また、離婚すべきかどうか迷っているという場合は、夫婦関係に詳しいカウンセラーに相談してみるのも一つの手です。カウンセラーは数多くの夫婦から相談に乗っていますから、豊富な経験に基づくアドバイスが受けられるでしょう。
稻川 静/法律事務所UNSEEN(第二東京弁護士会所属)「目に見えないものを大切にする」という理念を掲げる法律事務所UNSEENにパートナー弁護士として参画。コーチングスクールCTIでコーチングを学び認定資格CPCC🄬を取得しており、傾聴を大事にし、離婚という場面でクライアントが本当の願いから自分の人生を選択できるよう、弁護士としてだけでなく持てるリソースを全て使って伴走する。女性探偵と男女関係にまつわるコラボセミナーを継続開催中。