離婚を、幸せに向かう再出発へ
モラハラ夫が生活費をくれなくて困る…
暴言や威圧的な態度などで、妻を萎縮させて自分に従わせようとするモラハラ夫は少なくありません。モラハラにもいくつか手口がありますが、最低限の生活費も渡さないなどの方法で精神的に追い込む経済的DVもよく見られます。妻の中には、夫の言うがままに少ない金額でやりくりし、心身共に疲れ切ってしまう人もいます。
毎月の家族4人の生活費(食費と雑費と子供の服)は5万円です。
毎月の給料は30万円ボーナスは80万円位だと思います。
公務員の夫は、ケチで全てのレシートをチェックします。
無くした場合は、私の小遣いで精算させられます。月1万円の小遣いで、服と化粧品と美容室等をまかなっています。
夫がやりくりが上手く、将来の貯金をしているならいいのですが、年間で70万円位しかないようです。
生命保険は、差し引かれて30万円なので、
家賃とガソリン代で月10万円位、携帯1万円、子供の習い事2.5万円
外食は、ほとんどしません。
夫は、いくら小遣いを使っているのでしょうか?
疑問に思ったので、その事を聞いたら、
「誰のおかげで飯食ってるんだ!!」
と怒鳴られました。
そして、「食費も小遣いも渡さない、俺の飯も作るな!!」と言われました。
私は今専業主婦で週一でバイトをしています。
収入は月5、6万ほどです。
その中から毎月の携帯代と医療費と半年に1回の生命保険料、そして残った手持ちから半分ほどを家に入れています。
子供が2歳になるまではバイトもしていなかったので旦那が渋々払ってくれていたのですが、3歳になり大きくなったということでバイトして家にお金を入れてくれと言われました。
正直少ない収入から出す毎月の出費が本当にきついです。
ですが、お前を養うために結婚したわけじゃないからきつい月は借金として貸してやるよとのことで
収入が多い方が生活費を払うしくみを説明しても、破ったからといって逮捕されるわけじゃないでしょと聞き入れてもらえません。
これは経済的DVとして離婚の理由になりますか?
経済的DVをするモラハラ夫は、妻を精神的に追い込むのが目的ですから、妻が「もう少し生活費をください」と頼んでも聞く耳を持ちません。こうしたモラハラ夫にはどのように対処すればいいのでしょうか。離婚や別居を進める方法を含め、生活費をくれないモラハラ夫への対処法を解説します。
生活費をくれないのは経済的DV
妻に最低限の生活費も渡さない行為は経済的DVとも呼ばれ、モラハラの一種です。モラハラ夫の目的は妻を服従させることで、相手の金銭的な自由を奪い、経済的に相手を追い詰めて洗脳しようとします。
経済的DVを受けると、心身のダメージから正常な判断ができなくなり、「夫の言うことを聞かなければ生活に困る」「やりくりができないのは自分が悪いからだ」などと思いこんでしまうこともあります。
本来、夫婦にはお互いに助け合って夫婦生活を送る義務があり、生活費は収入の額に応じて夫婦が分担しなければなりません。このため、収入に応じて生活費を負担しなければ、民法が定める夫婦の義務に反することになります。また、家計のやりくりを管理している妻の収入が少ない場合、妻は夫に収入に応じた生活費を請求する権利があります。
(同居、協力及び扶助の義務)
第七百五十二条 夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない。
金銭を使って支配するのが目的
経済的DVの恐ろしいのは、お金が足りなく生活が苦しいだけではありません。「生活が苦しいのはやりくりが下手だからだろう」「金を稼げない専業主婦のくせに文句を言うな」などと言われ、生活が苦しいのは自分のせいだと思いこみ、自分を責めてしまうことがあることです。
また、「俺が稼いだ金を有難く使え」「言うことを聞かないと、生活費を減らすぞ」などと言われて、夫の言うことには従わないといけないと考えてしまうケースも少なくありません。こうして、妻は夫に洗脳されて、夫に服従せざるを得なくなってしまいます。一度洗脳されてしまうと、夫婦が異常な関係になってしまっていることになかなか気付けません。
生活費をくれないモラハラ夫の特徴
妻に最低限の生活費も渡さないモラハラ夫には、特徴的な言動があります。5つの特徴を紹介しますので、自分の夫が似たような言動をしていないか、チェックしてみてください。当てはまるものがあれば、モラハラ夫の可能性があります。
生活費を渡す際に罰則や条件をつける
経済的DVをするモラハラ夫は、十分な生活費を渡さないだけでなく、生活費を渡す際、条件や罰則を設けます。たとえば「生活費を増やしてほしければ、自分の言うことを聞け」とか「約束を守らないと、罰として生活費を減らす」などと言うことがあります。
仕方なく妻が夫の言うことに従うと、夫の要求はしだいにエスカレートしていきます。冷静になれば、夫の言っていることはおかしいと気付くのですが、洗脳されてしまうと「夫の言うことを守らなければ」「生活が苦しいのは自分の努力が足りないからだ」という思い込みから容易に抜け出せません。中には自分の貯金を取り崩してしまう妻もいます。
妻を働かせない
生活費を使って妻を服従させるときに、妻に収入源があると困ります。このため、モラハラ夫は、「妻がパートに出たい」などと言っても許しません。夫の反対を押しきって働き始めると、「パート収入があるのなら、生活費は出さない」と言って、生活費を減らしたり、渡さなくなったりします。これでは妻の負担は増える一方です。
妻が働いていると、家事をすべて押し付けて、仕事をしにくくしたり、嫌がらせで退職に追い込んだりしようとするのも、モラハラ夫の特徴です。妻が専業主婦でいたほうが都合がいいので、とにかく働けないようにします。
家計を管理し、無理な節約を強要する
支出を細かくチェックし、家計を管理したがるのもモラハラ夫によく見られる特徴です。常に「無駄遣いをするな」といい、妻が自由にお金を使うことを許しません。中にはレシートと引き換えでしかお金を渡さず、「レシートをなくした場合は自腹」というルールを設ける夫もいます。
妻が自分のものを買うと文句を言い、「そんなものを買う余裕があるのなら、生活費を減らしても大丈夫だな」と言う夫もいます。無駄遣いをして注意されるのは仕方がありませんが、モラハラ夫は自分の思い通りにお金が使われないのが気に入らないのです。
自分の収入を教えない
モラハラ夫は、自分の収入を妻に教えようとしません。妻が生活設計のために収入を教えてほしいと頼んでも、言うことを聞きません。これは、自分の収入を教えることで、妻が自分で家計について考え始めるのが嫌だからです。
また、妻に隠れて自分の趣味や遊興費に多額のお金を使っていることもあります。そうした出費を減らすように妻が求めても、「これは仕事で必要な出費だ」「俺の金を好きなことに使って何が悪い」などと言って断るでしょう。ギャンブルなどで多額の借金を抱えている可能性もあるので、注意が必要です。
「俺が稼いだ金だ」と言う
モラハラ夫は、独占欲が強いことも特徴です。妻を独占したいという気持ちから、妻を束縛するのですが、お金に執着する人も少なくありません。お金に執着するモラハラ夫は「俺が稼いだ金は自分のもの」「家族は俺の金で生活している」という意識が強く、家計を徹底的に管理しようとします。
「生活費は本来自分の金だ」という意識が強いため、金を惜しむ気持ちも強く「できれば支出を最低限に抑えたい」「家族が贅沢することは許せない」と考えがちです。別居や離婚で、生活費の支払いや財産分与を求められても応じようとしない傾向もよく見られます。
生活費をくれないモラハラ夫への対処法
生活費をくれないといったモラハラ夫による経済的DVに対処するにはどうすればいいのでしょうか。モラハラ夫の精神的な攻撃に対抗し、洗脳されないための対処法を紹介します。
生活費を負担する義務があると諭す
経済的DVを繰り返すモラハラ夫には、夫婦は双方の協力があって、結婚生活が成り立っていることを理解してもらわなければなりません。民法にも「夫婦は協力して助けあっていかないといけない」と書かれていることを、まずは知ってもらいましょう。
妻が専業主婦であっても、妻の協力があるからこそ、夫は働いてお金を稼げるのです。共働きの場合は、それぞれの収入に応じて生活費を負担する必要があります。それを理解してもらったうえで、一カ月の生活費としていくら必要なのか、よく話し合いましょう。
収入を確保する
夫婦には協力する義務があることを諭しても、素直に生活費を出すようになる夫は少数でしょう。モラハラ夫は通常、自分の間違いを認めようとはしません。このため、妻もパートなどで収入を確保することを考える必要があります。モラハラ夫は妻の働くのを妨害しようとするでしょうが、屈してはいけません。
収入を確保しておけば、いざというときに別居や離婚も検討しやすくなります。収入を得ることで、生活にゆとりもできれば、夫からの嫌がらせにも余裕をもって対応できるようになるでしょう。
第三者に相談する
モラハラ被害者の中には、自分がモラハラに遭っていることに気付かない人も少なくありません。それほど、モラハラの洗脳の方法は巧妙です。家族や友人に相談して初めて自分がモラハラ被害者だと気付く人もいます。このため、十分な生活費を渡してもらえず困ったときは思い切って周囲に相談しましょう。
相談できる家族や友人がいないときは、各自治体で相談窓口も設けています。自分が住んでいる市区町村の役所に、どのような相談窓口があるのか、尋ねてみましょう。別居や離婚を考えている場合は、法律事務所に相談すると、法的なアドバイスを受けられ、夫との交渉も依頼できます。
婚姻費用を請求する
民法で夫婦は互いに協力し合わなければならないと定められていることから、妻は夫に生活費を請求できると考えられます。法的に生活費を請求する手段として、婚姻費用分担請求という方法があります。婚姻費用とは、衣食住の費用や子供の養育費、医療費など、夫婦と子供の生活を維持するために必要な費用のことです。
通常は別居した夫婦の間で婚姻費用の請求が行われますが、経済的DVで十分な生活費が支払われない場合も、請求できる可能性があります。共働き夫婦でも、夫が収入に見合った額を負担していないという場合は、請求を検討してみてもいいでしょう。
夫婦の間で話しあって負担額を決められればいいのですが、話し合いで解決しない場合は、家庭裁判所に調停を申し立てるのも一つの方法です。婚姻費用については、大まかな相場を算定できる婚姻費用算定表が最高裁から公表されており、調停では、算定表に基づいて夫婦双方の負担額が判断されます。
生活費をくれないモラハラ夫と離婚はできる?
夫が収入に応じた生活費を負担せず、経済的DVで妻を精神的に追い込んだ場合、妻は夫と離婚できるのでしょうか。離婚できるケースや離婚するまでの流れを解説します。
互いに合意できれば離婚も可能
離婚は基本的に、夫婦の双方の合意によって成立します。一方が「もう一緒に暮らしていけない」と離婚を切り出したのに対し、相手も離婚に応じれば、離婚は可能です。後は、財産分与や親権、養育費、慰謝料などの条件などについて話し合うことになります。このように話し合いで離婚することを協議離婚といい、離婚の理由を問われることもありません。
ただ、モラハラ夫は外面を気にするうえ、自分が経済的DVをしているとは絶対に認めないので、離婚にはなかなか応じないでしょう。たとえ離婚に応じても、財産のほとんどは自分で築いたと思っているので、財産分与でもめることが予想されます。
離婚の合意を得られないときは調停という手も
夫が離婚に応じなかったり、財産分与や親権などの条件で折り合えなかったりした場合、離婚の話し合いは簡単に進みません。このようなときは、家庭裁判所に離婚調停を申し立て、裁判所の仲介で合意を図る方法があります。
調停とは裁判所の調停委員を介した話し合いです。調停委員が双方の意見を聞き、言い分を整理して、妥協点を見つけられるよう調整してくれます。しかし、合意できる見込みがないときは調停不成立として、調停が打ち切られてしまいます。
調停が打ち切られた場合は、再び夫婦間で離婚の話し合いを続けるか、離婚裁判を起こして裁判所に離婚を求めるしかありません。裁判で認められれば、相手の合意がなくても離婚が可能です。ただし、原則として離婚調停を行わずに、いきなり裁判はできません。これを調停前置主義といいます。
離婚裁判では離婚事由が必要に
裁判で離婚を認めてもらうには、基本的に民法で定められた離婚事由が必要です。裁判所は離婚事由があり、夫婦関係の修復が困難だと判断したときに離婚を認めます。離婚事由とは、次の5つの事情です。
・配偶者が浮気や不倫(不貞行為)をした
・一方的な別居や生活費の未払いなど配偶者の悪意で遺棄された(悪意の遺棄)
・配偶者の生死が不明で3年以上経つ
・配偶者が重症の精神病で治る見込みがない
・婚姻を継続しがたい重大な事由がある
モラハラ夫が、収入に見合った生活費の負担に応じない場合、悪意の遺棄と判断される可能性があります。事情によっては婚姻を継続しがたい重大な事由と判断されることもあります。一方的に生活費の負担を拒否することで、結婚生活を維持することが難しいと判断されたときは離婚が認められる可能性も高くなるでしょう。
裁判では証拠の収集が重要
裁判では、証拠をもとに離婚を認めるべきかどうかが判断されます。モラハラ夫の多くは離婚に抵抗し、自分には非がないことや、関係修復を図る強い意志があることなどを主張するはずです。このため、妻は経済的DVを受けていたことや夫婦関係の修復が困難であることを証明しなければなりません。
夫の収入を証明するものとして、源泉徴収票や給与明細、振込先の通帳を用意するとともに、家計簿や日記などで毎月渡されていた生活費や、1カ月の家計の収支などを説明できるようにしておきましょう。弁護士に相談すれば、どのような証拠が必要なのかも教えてもらえます。
生活費をくれないモラハラ夫に悩んだら専門家に相談を
十分な生活費をくれないのは、経済的DVといいモラハラの一種です。妻が「おかしい」と声を上げなければ、夫のモラハラ行為はエスカレートして、ますます精神的に追い詰められてしまう恐れがあります。モラハラ夫による経済的DVに対処するのは、別居や離婚も視野に入れながら、強い態度で対処することが必要です。
夫からモラハラを受けている気がするが、どのように対応したらよいのかわからないというときは、夫婦関係に詳しいカウンセラーに相談するのも一つの手です。また、離婚や別居を考えているときは、離婚問題を専門とする弁護士に相談すると、法律面からのアドバイスを受けられます。