モラハラ夫が一人になるとどうなる?モラハラは治る?
モラハラ夫が妻から離婚され、一人になるとどうなると思いますか。離婚されることで、ようやく自分が妻を傷つけていたことに気付き、モラハラを治そうと努力するのでしょうか。それとも、離婚されたことを逆恨みして、嫌がらせを続けるのでしょうか。モラハラ夫が一人になるとどうなるのか、典型的な例を挙げて説明します。
モラハラは治らないことが多い
モラハラ気質の人は、もともとの性格や考え方に問題のあることが多いと言われます。自己愛性人格障害という病気が関わっていることがあるとも言われます。このため、モラハラを治すのは簡単ではなく、モラハラをしているという自覚があるのに、モラハラをやめられないという人もいるようです。
妻に離婚されて、自分がやってきたことがモラハラだったということに気付く人もいるでしょう。だからといって、必ずしも改善されるとは限らず、離婚後も嫌がらせをしてしまう元夫もいます。もちろん、自分の非を認めることができず、離婚後もモラハラをエスカレートさせてしまうケースも少なくありません。
モラハラ夫が離婚して一人になるとどうなる?
モラハラ夫が離婚して一人になると、どのような行動を取るのでしょうか。よく見られ、トラブルの原因ともなり得る言動と、深刻なトラブルを回避するための有効な対処法を紹介します。
反省している素振りを見せて復縁を迫る
別居や離婚を切り出すと、それまでとは一変して反省の態度を見せるモラハラ夫がいます。なぜなら、モラハラ夫は妻を見下し、自分の言う事に従わせることで、自分のプライドを保ち、満足感を得ていたからです。その相手がいなくなると自分の拠り所がなくなってしまいます。また、精神的なショックを訴えて同情を引こうとする夫もいます。
しかし、モラハラ夫はこうした態度で、相手をコントロールしようとします。ほとぼりが冷めると「やはり、妻は俺がいないとやっていけないのだ」と考え始め、再び嫌がらせを始めます。モラハラ夫はうわべだけの反省の態度を見せることがあっても、なかなか本心から反省しません。本当に反省したのか見極めるためにも、一定期間距離を取り続けることが大切です。
しつこく連絡したりストーカー化したりする
モラハラ夫の多くは自分が加害者であるという自覚がなく、「モラハラで離婚」と言われても納得しないケースがほとんどです。最悪の場合、「一方的に離婚に追い込まれた」と妻を逆恨みする可能性さえあります。また「自分がいないと困るはずだ」という思い込みから「離婚したことを後悔していないか」としつこく聞いて来るケースもあります。
こうした接触を無視していると、元夫がストーカー化することがあります。元夫が精神的に追い込まれると、他人に危害を加える恐れがあるため、元夫が接触してきた日時や内容を記録し、弁護士や警察に相談しましょう。被害が深刻になる前に、できるだけ早く対処することが大切です。
精神的な問題を抱える
モラハラ夫が高圧的な態度を取るのは自信の無さや劣等感の裏返しです。家庭内で妻を見下し、抑圧することで「俺の言うことに間違いはない」と優越感を持ち、自尊心を満足させています。このため、妻を失うとモラハラ夫は心の拠り所を失い、劣等感に苛まれます。そうした状態が続くと、精神状態が不安定になり、無気力になってしまうこともあります。
モラハラ夫には、もともと自己愛性人格障害という病気を抱えた人が多いともいわれますが、離婚した夫が精神的な不調を抱えても、それは自業自得。離婚した妻には関係ありません。相手の動向を気にしすぎると、相手に「復縁のチャンスがあるのでは」と誤解されるかもしれません、気にせず距離を保っておきましょう。
次のターゲットを見つけて再婚する
モラハラ夫は一見すると、自信に満ち溢れ、他人を引っ張って先頭に立つ人間にも見えます。そのうえ外面が良いため職場で信頼されていることがあり、女性からは頼もしく感じられるようです。元妻もそうした一面に惹かれたのかもしれません。このため、離婚後すぐに新しいパートナーを見つけるケースも少なくありません。
疎遠になって養育費さえ支払わなくなる
モラハラ夫が離婚後に、約束した養育費や生活費などを支払わなくなることがあります。この原因はさまざまで、離婚に納得できず、嫌がらせで支払わないこともありますし、復縁を求めるケースも考えられます。離婚後に精神的な不調を抱えたり、自暴自棄になったりして経済的に困窮するケースもあるようです。
約束した費用が支払われなくなるのを防ぐには、「公正証書」を作成しておくのが効果的です。公正証書とは公証人に作成してもらう文書で、内容について高い証明力があります。公正証書で離婚協議書を作成しておけば、モラハラ夫が支払いを怠った場合、強制的に支払わせることが可能です。詳しくは弁護士に相談しましょう。
子供に直接連絡したり、会ったりしようとする
元妻との関係修復や復縁を考える元夫が子供を利用しようとすることがあります。決められた子供との面会日以外の日にも、無断で子供に会いに来たり、元妻に隠れて子供に連絡してきたりするケースもあるようです。なかには純粋に子供に会いたいわけではなく、元妻との接触や嫌がらせを目的にしている元夫もいます。
元夫も父親である以上、面会を拒むには相当の理由が必要です。モラハラ夫と子供の面会に関して不安があるときは、面会交流で自治体やNPOなど第三者機関の介入を条件づけるのが良いでしょう。第三者機関は連絡の仲介や面会交流の付き添いなどをしてくれるので、元夫との接触を最低限に抑えられます。
実家を頼りにする
モラハラ夫は子供の頃から、親に甘やかされて育った人が多いといわれます。過保護に育てられたため、何でも自分の思い通りにならないと気が済まないのです。このため、離婚されたモラハラ夫が実家を頼りにすることはよくあります。モラハラをする相手を失った元夫が、存分に甘えられる実家を頼るのも当然でしょう。
モラハラ夫が実家に依存して、元妻への関心を失ってくれれば安心ですが、実家の親が息子を不憫に思って復縁に協力してしまうことがあります。そうなると、モラハラ夫が自信を取り戻して、元妻に嫌がらせやつきまといを始めるかもしれません。そうした心配があるときは、弁護士に相談して、実家にも釘を刺しておいてもらうのが効果的です。
周囲から孤立して孤独に過ごす
モラハラ夫は人一倍プライドが高く、人付き合いも表面的で、信頼できる同僚や知人がいないことが多いようです。そうしたタイプの人は離婚後、相談する人がおらず、周囲から孤立して孤独な生活を送る可能性があります。特に体裁を気にする傾向がありますから、離婚のことを聞かれるのが嫌で、自分から周囲との接触を断ってしまうかもしれません。
周囲から孤立して元妻への接触がなくなれば、元妻も一安心ですが、ひょっとすると元夫は密かに妻への恨みを溜め込んでいるかもしれません。モラハラ夫の中には粘着質な人もいますから、突然、突拍子もない行動に出るかもしれません。元夫の様子があまりにおかしいときは、弁護士に相談するなどして用心しておいたほうがいいでしょう。
早死にする?
厚生労働省の調査で、離婚した男性は、配偶者がいる男性よりも平均年齢が低い傾向があるという結果がでています。離婚原因はモラハラとは限らないので、必ずしもモラハラ夫が早死にするというわけではありませんが、離婚した男性は健康管理が不十分になりがちだということでしょう。
モラハラというひどい仕打ちを受けた元妻がモラハラ夫の不幸を願う気持ちもあるでしょう。しかし、既に他人となった人の不幸を願っても仕方がありません。「人を呪わば穴二つ」ということわざもあります。いつまでも他人を恨んでも、幸せにはなりません。さっさとモラハラ夫のことは忘れて、新たな人生で幸せをつかみましょう。
【体験談】モラハラ夫と離婚して後悔しない?後悔する理由は?
ようやくモラハラ夫と離婚したのに、離婚したことを後悔する妻もいます。確かに一度は愛し合って結婚した相手ですから、離婚する際にはさまざまな感情がよぎることでしょう。離婚後、どのようなことに後悔しがちなのか、離婚に備えて知っておくことも大切です。主な理由を4つ紹介します。
モラハラ夫に情が残り心配になる
モラハラ夫と離婚した後も、「私がいなくて、あの人は大丈夫なのだろうか」「本当は優しい人だったのに」とモラハラ夫に情を残し、後悔する人がいます。これはモラハラ被害者によく見られる感情で、洗脳に近い状態ともいえるでしょう。
モラハラ夫は妻に高圧的な態度をとる一方で、機嫌がいいと優しい表情を見せたり、「俺にはお前が必要なんだ」と甘えたりすることがあります。モラハラ夫はこうしたアメとムチで妻をコントロールしようとし、それにはまった妻は「彼の本当の姿は自分だけが知っている」と思いこんでしまいます。周囲の協力も得て、洗脳から脱することが必要です。
夫からのモラハラに耐えきれず、離婚をしました。しかし、離婚後に考えるのは元夫のことばかりです。今まで仕事一筋で生きてきた夫は自分の身の回りのことは一切できません。私がいなくても生活できているのだろうかと気になってしまうのです。
離婚しても精神的なストレスが軽くならない
モラハラ夫と離婚してもすべてが解決するとは限りません。特にこれまで収入を夫に頼っていた場合は、経済的に独立することも求められます。また、モラハラの被害者の中には、他人に頼りがちな性格の人もいます。そうした人は離婚することで、心細さを感じることもあるでしょう。
モラハラ夫と離婚すれば、精神的に解放されると思っていました。しかし、専業主婦であった私は新しい環境に慣れるまで苦労し、離婚しなければお金の苦労はしなくて良かったのに…と離婚を後悔してしまうこともありました。
養育費が支払われず経済的に苦しくなる
一般的に離婚した夫婦に子供がいる場合、養育費の支払いについて取り決めがなされるものですが、必ずしも約束通り支払われるとは限りません。厚生労働省「全国ひとり親世帯等調査」によると、2021年に養育費を受け取っている離婚した母子家庭の割合は28.1%しかありません。取り決めがあっても、養育費を受け取っていない家庭はかなりの数に上ると見られます。
養育費が支払われなければ、子供に十分な教育を受けさせられず、生活水準を保つのも難しくなるなど、経済的な問題に直面します。離婚して後悔しないよう、養育費の取り決めには法的な力を持たせることが大切です。弁護士とも相談して、公正証書を作成しておきましょう。
モラハラ夫と離婚後、数ヶ月経った頃から養育費がまともに支払われなくなりました。元夫に文句を言うと「養育費をアテにして生活してるの?」と言われました。養育費が支払われないと、私の収入だけでは経済的に厳しい状況です。
子供に対し罪悪感を覚える
離婚したあと、子供に対し罪悪感を持ってしまう妻もいます。いくらモラハラ夫とはいえ、子供にとってはたった一人の父親です。特に、妻にモラハラをしても、子供には優しかった場合、子供が「父親と引き離された」という思いを持つかもしれません。
非情に難しい問題ですが、こういう場合は一人で解決しようとせず、弁護士やカウンセラーに相談してみましょう。離婚を後悔せずに済む、何かよい解決策が見つかるかもしれません。
モラハラ夫との離婚に後悔はしていません。でも子供に対しての罪悪感はあります。私はあんな父親は不要だと思っていましたが、子供からしたら、そんな父親でもやっぱり父親。父親の愛情を知ることができない娘に申し訳ない気持ちになってしまいます。
モラハラ夫と不安なく離婚したいなら弁護士に相談
「モラハラ夫との離婚」と一口に言っても、それぞれ事情が異なります。離婚後も付きまとわれることへの不安を抱える人や、養育費がしっかり払われるか心配な人、自立して生活できるか悩んでいる人、さまざまな思いを抱えていることでしょう。
こうした不安や悩みにも、離婚時の取り決めを公正証書として残すなど有効な対処法はあります。ストーカーなどの懸念にも警察に相談する手があります。離婚して後悔しないようにするには、事前にできるだけ不安を取りのぞいておくことが大切です。離婚を考えたら、まずは弁護士に相談しましょう。
新大塚法律事務所(第一東京弁護士会所属)
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