再婚したら養育費は減額・免除される?認められるケースや変更手続きを解説

元配偶者が再婚した場合、養育費は減額されるのでしょうか?養育費の額が変更されるかどうかは、生活や子どもの教育に大きく影響するので、不安を覚える方も多いでしょう。この記事では、再婚をめぐる養育費に関する疑問やトラブルへの対処法などについて分かりやすく解説します。

専門家監修 |弁護士事務所 丸の内ソレイユ法律事務所
弁護士法人 丸の内ソレイユ法律事務所(東京弁護士会所属)
2009年の事務所開設以来、女性側の離婚・男女問題の解決に注力しています。年間700件以上、累計5000件以上の相談実績があり、...
弁護士法人 丸の内ソレイユ法律事務所(東京弁護士会所属)
2009年の事務所開設以来、女性側の離婚・男女問題の解決に注力しています。年間700件以上、累計5000件以上の相談実績があり、多様な離婚のノウハウを蓄積。経験豊富な男女20名の弁護士が所属し、新聞・テレビ・雑誌・Webなど多くのメディアからの取材も受けています。

目次

  1. 養育費はいつまで払うべき?
  2. 【受取人(同居親)】が再婚したら養育費支払いはどうなる?
  3. 減額・免除が認められる場合
  4. 減額・免除が認められない場合
  5. 【支払い人】が再婚したら養育費支払いはどうなる?
  6. 減額・免除が認められる場合
  7. 減額・免除が認められない場合
  8. 再婚以外の理由で養育費の変更が認められる場合
  9. 減額が認められる条件
  10. 増額が認められる条件
  11. 養育費の減額・免除を請求する方法は?
  12. まずは話し合い
  13. 養育費請求調停の申立て
  14. 審判手続き
  15. 話し合いの前に養育費相場をチェック
  16. 養育費の相場はどのくらい?
  17. 養育費計算ツールのおすすめは?
  18. 養育費に関するお悩みQ&A
  19. 権利者である元配偶者の再婚を知らずに払い続けていた場合は過去の慰謝料はどうなる?
  20. 再婚を理由に勝手に支払いを打ち切られた場合はどうすべきか?

養育費はいつまで払うべき?

元配偶者が再婚した場合、養育費の支払いはどうなるのでしょうか?「再婚したんだから、もう払う義務はないだろう」と思う人もいるかもしれません。しかし、養育費の支払いは親の義務であり、基本的には免除されません。ただ、養子縁組が組まれているケースでは養育費の支払いが減額・免除される可能性もあります。

そこで、今回は養育費支払いの減額・免除が認められるケースや減額・免除請求方法について解説していきます。場合によっては自分一人で対処するのは難しいケースもあるので、弁護士に相談することも考えましょう。

【受取人(同居親)】が再婚したら養育費支払いはどうなる?

元配偶者の再婚といってもさまざまなケースが考えられます。まず養育費の受取人(同居親)が再婚した場合から解説しましょう。

減額・免除が認められる場合

再婚相手が子どもと養子縁組をした場合には、子どもの第一次的な扶養義務者は再婚相手となり、再婚相手の収入に応じて養育費の減免が認められます。ただ、再婚相手の収入など経済的事情で子どもを扶養するのが難しい場合は、減額・免除が認められない場合もあります。

養育費を減額されることなく、そのままの額の養育費を受け取り続けたい場合、受取人(同居親)は、再婚相手と子どもとの間で養子縁組をしない方がいいという考え方もあります。しかし、再婚相手に子どもの養育をしてもらうには、養子縁組するほうが自然ですし、子どもにも財産を相続する権利が生じます。

減額・免除が認められない場合

養育費の減額・免除が認められないのは、再婚相手が子どもとの間で養子縁組をしていない場合です。この場合、再婚相手に子どもの扶養義務はなく、子どもの第一次的な扶養義務者は養育費の支払い人(別居親、元妻に親権がある場合は元夫)なので、養育費の減額・免除は認められません。

ただ、再婚相手が子どもとの間で養子縁組をしていない場合でも、支払人(別居親)側には減額・免除を求める権利があります。後からトラブルにならないよう、再婚前に話し合いをしておくことをおすすめします。

30代男性

別居時に新しく子どもが産まれたことにともない、離婚を含めての養育費調停協議を行いました。相手方に弁護士がついており、その弁護士が(おそらくですが)一時金や養育費をもらいつづけるよりも婚姻費用のほうが取れる金額が多いと判断したため、離婚は叶わず、養育費の減額・免除もできませんでした。

【支払い人】が再婚したら養育費支払いはどうなる?

次に養育費の支払い人(別居親)が再婚した場合の養育費の減額・免除が認められるケース、認められないケースについて解説します。

減額・免除が認められる場合

【支払い人(別居親)】が再婚して、養育費の減額・免除が認められる場合
  • 再婚相手との間に子どもができた
  • 再婚相手の子どもとの間で養子縁組をした

養育費の支払い人が再婚し、再婚相手の子どもと養子縁組をした場合や、再婚相手との間に子どもができた場合は、扶養家族が増えることになり養育費の減額・免除が認められます(※1)。

再婚相手が専業主婦などで収入が少ない・もしくは無収入の場合は、病気など働けない特別な事情がある場合を除いて、再婚相手の潜在的稼働能力(仮に働いたらこのくらいは稼げるだろうという金額)を考慮しながら養育費の減額・免除が判断されます。

減額・免除が認められない場合

【支払い人(別居親)】が再婚して、養育費の減額・免除が認められない場合
  • 再婚相手の子どもと養子縁組をしていない
  • 再婚相手に収入があり、負担がさほど変わらない

支払人(別居親)である元配偶者が再婚した場合でも、再婚相手の子どもと養子縁組をしていない場合は一般的に減額・免除は認められません。また、再婚相手に相当な収入があり元配偶者の負担がさほど変わらない場合や、元配偶者の収入が著しく増加した場合も同様です。

養育費の受取人(同居親)側の収入が著しく減少した場合も養育費の減額・免除は認められないでしょう。ただし、支払人側(別居親)には減額・免除を求める権利があり、話し合い次第では減額・免除となる可能性もあります。

再婚以外の理由で養育費の変更が認められる場合

再婚以外の理由でも、双方の経済的事情や子どもの成長などの理由で養育費の額の変更が認められる場合があります。養育費の減額が認められる条件や、逆に養育費の増額が認められるケースについて解説します。

減額が認められる条件

再婚以外の理由で養育費の減額が認められる場合
  • 支払い人(別居親)の収入が著しく減少した
  • 受取人(同居親)の収入が増加した

支払人(別居親)である元配偶者の収入が著しく減少した場合、養育費が減額・免除される可能性があります。ただし、元配偶者自身の都合で退職したり、フリーランスに転身したりして収入が減少した場合は当てはまりません。

また、受取人(同居親)の収入が増加した場合は養育費の減額・免除になる可能性があります。しかし、受取人(同居親)の収入状況は支払い人(別居親)、すなわち元配偶者からは簡単には分からないため、このケースで養育費が減額・免除されるのはまれです。

30代女性

相手が借金をしていて、支払う能力がなくなってしまいました。減額、免除する他なかったです。相手との話し合いで養育費の減額が決まりました。話し合いだけでしたので、今月支払うお金がないと言われれば、返す言葉もなかったです。支払われない月はとても、辛かったです。母子家庭で、ギリギリの生活をして余裕がなかったので、自分だけの給料で家賃、光熱費、学費、食費のやりくりが大変でした。

増額が認められる条件

再婚以外の理由で養育費の増額が認められる場合
  • 子どもの学費の負担が大きくなった
  • 子どもが大怪我をして医療費がかかるようになった

支払人(別居親)である元配偶者の収入が著しく増えていた場合、子どもが成長して高校生・大学生になり学費の負担が大きくなった場合、子どもが大怪我をして多額の医療費がかかった場合などは、交渉次第で養育費の増額が可能です。

いずれも互いの経済状況が大きく変化した場合で、状況の変化もないのに「より良い暮らしがしたい」という理由だけでは養育費の増額は認められません。

40代男性

元配偶者から養育費の増額をされました。理由は子どもが公立ではなく私立に行くからとの事でした。当事者では、話し合いに決着がつかず、家庭裁判所に持ち込まれました。結果は、平均よりも稼ぎのある夫が増額を飲む形で言い渡されました。シングルマザーも大変ですが、こっちの生活も大変なのに有無を言わさず増額はひどいと感じてしまいました。

養育費の減額・免除を請求する方法は?

実際に上記の条件に当てはまり、「養育費の減額・免除を請求したい」という場合の請求方法について、以下で説明していきます。養育費減免の手続きに関しては、一度弁護士に相談した方がスムーズに運ぶでしょう。

まずは話し合い

養育費の減額・免除請求をする際は、まずは元配偶者との間で、養育費についての話し合いの場を持ちましょう。話し合いで解決できれば家庭裁判所での調停手続きは不要です。双方が納得した形で終わることができるので、話し合いで解決するに越したことはありません。

この際、相手を納得させられるよう、減額や免除に相当する正当な根拠を整理しておくことが大事です。また、話し合いがこじれた場合に備え、書面やメールで記録を残しておくようにしましょう。

話し合いで結論が出た場合は公正証書を作成し、合意内容に法的効力を持たせることが大切です。公正証書とは、一定の事柄(契約成立、離婚)などについて、公証人(公証事務を担う公務員)が書証として作成し、内容を証明する書類のことです。

公正証書は債権義務があることを証明する公文書の一つであり、強い効力があります。公正証書を作成しておけば支払い人(別居親)が養育費を支払わない場合、直ぐに強制執行の手続きを進めることができます(※2)。

養育費請求調停の申立て

話し合いで結論がまとまらなかった場合は、家庭裁判所に養育費請求調停を申し立てましょう。申し立てには以下のものが必要です(※3)。

養育費請求調停に必要なもの
  • 養育費調停申立書
  • 事情説明書
  • 調停に関する進行照会書
  • 子どもの戸籍謄本
  • 申立人の収入に関する書類
  • 収入印紙 子ども一人につき1200円
  • 郵便切手代(800円前後)

養育費請求調停は裁判所での話し合いとなるため、信頼できる弁護士に依頼することをおすすめします。もし調停を通じても双方が納得できなければ家庭裁判所での審判へと進みます。

審判手続き

調停でも話がまとまらなかった場合は、家庭裁判所での「審判」という手続きへと進みます。審判では、双方から提出された書類や家庭裁判所の調査の結果、調停での経緯などを考慮して裁判官が養育費を減額するかを決定します。審判においては「お互いの合意は不要である」という方針のため、最終的な解決を図ることが可能です。

審判に移行するまでの期間は、相手方が協議に否定的な姿勢でない場合を除き、半年程度のようです。調停時に必要な書類が提出されていれば、調停不成立から2~3ヶ月で審判の結果が出ます。

話し合いの前に養育費相場をチェック

養育費の話し合いの前に相場をチェックしておくことも大切です。あなたが受け取っている、もしくは支払っている養育費が相場と比較して多いのか少ないのかを把握しておけば、交渉次第では話し合いを有利に進められます。

養育費の相場はどのくらい?

養育費は子どもの人数と年齢、養育費を支払う側の年収、支払いを受ける側の年収を基準にして算出されます。一般的な養育費の算出表は裁判所で公開されています。

例えば、15歳以上の子どもが1人で、支払い人(別居親)の年収が700万円、受取人(同居親)の年収が300万円であれば、一般的な養育費の目安は6~8万円であると分かります。

養育費計算ツールのおすすめは?

養育費算出表を参考に自分たちの養育費の目安を算出するのもよいですが、養育費算出表を元にした養育費算出ツールも公開されています(※4)。受取人(権利者・同居親)と支払い人(義務者・別居親)の年収、子どもの人数を入力するだけで養育費の目安が算出されるので、わざわざ表を見る手間が省ける便利なツールとなっています。

下の養育費算出ツールがおすすめです。「自分たちの養育費の目安を知りたい」という場合、利用してみるといいでしょう。

養育費の自動計算ツール【新算定表対応|最新2022年版】

養育費に関するお悩みQ&A

養育費のトラブルにまつわるよくあるQ&Aを紹介します。特に受取人(同居親)の再婚を知らずに養育費を支払い続けていた場合のトラブルは非常に多く、現在の養育費の額に疑問を抱いている人もいるのではないでしょうか。

権利者である元配偶者の再婚を知らずに払い続けていた場合は過去の慰謝料はどうなる?

養育費を受け取る権利を持つ元配偶者の再婚を知らずに、支払いを続けていた場合、「再婚後に支払った分の養育費を返してほしい」と考える人もいるでしょう。結論としては、裁判所の手続きで再婚時以降の養育費の合計が確定し、実際の支払額が過払いとなっていれば、返金を求める権利があります。

再婚を理由に勝手に支払いを打ち切られた場合はどうすべきか?

養育費支払いについて口約束のみで取り決めていた場合は、まず話し合いを行い合意内容を書面化しましょう。万が一に備え、すぐに強制執行ができるよう公正証書の作成をおすすめします。

話し合いで合意に至らなかった場合は、養育費の支払いを求めて家庭裁判所に調停を申し立て、それでも合意に至らなかった場合には審判へと進みます。

書面を作成していた場合は、まず話し合いを行います。支払い人(別居親)の言い分を聞きつつ、打ち切るためのやむを得ない事情がなさそうな場合は「再婚は養育費支払い打ち切りの正当な理由にはならない」と養育費を受け取ることは正当な権利だと主張しましょう。

また、調停調書・公正証書・審判書・和解調書や判決書など、相手に養育費の支払い義務があることを証明する書面を渡し、合意内容を再度確認します。強制執行認諾文言がある公正証書を作成していた場合には、強制執行が可能です。

再婚して養育費に困ったら弁護士に相談

子どもの進学や、再婚相手との間に子どもができたなど、条件に合致すれば養育費の減額や免除・増額が認められる場合もあります。

ただ、養育費トラブルの話し合いや裁判所の手続きに自分一人で対応するには限界があります。納得のいく結果を導くためにも、弁護士に相談することをおすすめします。

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