普段は優しい夫はモラハラ?短気なだけ?
夫からのモラハラ被害に遭っている妻の中には「夫は普段、優しい時もあるのに」という人がいます。時には「優しい夫が不機嫌になったり短気を起こしたりするのは、自分が悪いからだ」と考えている妻もいます。しかし、モラハラ夫に優しい時期があるのは珍しいことではありません。モラハラをした後に優しい時期が訪れるのも、モラハラ夫の特徴です。
普段優しい時もある夫は、モラハラ加害者なのか、それともたまに短気を起こすだけなのか。モラハラ夫の特徴や見分け方を解説しましょう。
怒る時の特徴で見分けられる
男性の中には短気で怒りっぽい人がいますが、よく怒ったり怒鳴ったりするからといって、その人にモラハラ気質があるとは限りません。モラハラ気質の人と短気な人では、怒るタイミングや怒りの内容が異なります。また、モラハラ夫は一時的に、人が変わったように優しい時もよくあります。
モラハラ気質の人と短気な人では、対応の仕方も異なりますので、モラハラ気質の特徴を知り、ただ短気な人と見分けられるようにしておきましょう。
モラハラ夫の見分け方は?
モラハラ夫の怒り方には特徴があり、怒り方を注意して見ているとモラハラ気質かどうかがわかります。モラハラ夫の怒り方の特徴と、単に短気な人との違い、見分け方を説明しましょう。
相手を支配しようとする
モラハラの目的は、自分より弱い相手を屈服させて支配することです。このため、とことん相手を見下し、自分のほうが立場が上であることを誇示しようとします。時には人格を否定するような暴言を口にすることもあります。
一方、短気な人は相手を屈服させようとまでは考えません。激しい言葉を使っても人格攻撃まではあまりしないでしょう。
自分の非を認めない
モラハラ夫はプライドが高く自分の非を絶対に認めません。間違っていたことが明らかになっても他人のせいにし「お前が悪い」などと責任転嫁します。妻に対して「最初から素直に俺の言うことを聞いていれば、こんなことにならなかった」などと、自分の失敗を責任転嫁したうえ、服従を求めるのもモラハラ夫の特徴です。
短気な人は、自分が間違っていることに気付くと、自分から謝る潔さを持ち合わせています。
執拗に不満や悪口を言う
モラハラ気質の人は陰湿で粘着質の傾向があります。このため、相手が自分の言い分をすべて受け入れて屈服するまで、しつこく何度も文句や悪口を言い続けます。相手がどんなに謝っても不満やストレスが解消するまで絶対に許しません。
単に短気な人は瞬間的に頭に血が上りますが、いつまでも引きずることはありません。相手が間違いを認めれば、それ以上しつこく言うこともないでしょう。
相手を選んでキレる
モラハラ気質の人は、相手との力関係を考えながら振る舞います。このため、会社では上司に従順で、部下に対しては強権的な態度に出ます。家庭でも自分より経済力が弱い妻に対して、支配者のような振る舞いをします。一方、外面がいいのも特徴で、会社や家庭の外では愛想の良い人が多く、温和な人柄だと思われていることもあります。
誰に対しても短気を起こす人は、上下関係もあまり気にしません。会社で上司と衝突したり同僚と喧嘩したりする人も多く、後先を考えずにトラブルを起こし、会社を辞めてしまう人もいます。
怒るタイミングがいつもバラバラ
モラハラ気質の人は自己中心的で気分屋なところがあります。このため、機嫌が悪いとすぐに怒りだします。劣等感を抱えていることも多く、自分の弱みに触れられると、いきなり激高するのも特徴です。それでいて、自分の弱みは絶対に見せないようにするので、周囲はなぜ怒っているのかわからないことも多く、いつ怒り出すのか予測がつきません。
短気な人は、だいたい怒りのポイントはいつも同じです。そのため周囲も本人を怒らせないように注意して行動できます。短気な人が怒るタイミングや状況には一貫性があります。
モラハラ夫に優しい時があるのはなぜ?
モラハラ夫には、優しい時期が突然訪れます。それまで高圧的な態度を取り、人格を否定するような言葉までかけていたのに、急に優しく妻をいたわり、感謝の念を示すようになります。なぜ、このように態度を急変させるのか、説明しましょう。
モラハラ周期の「ハネムーン期」だから
モラハラには一定のサイクルがあります。不満やストレスを募らせていく「蓄積期」と貯まったストレスを爆発させる「爆発期」、そして急に優しい態度を見せる「ハネムーン期」です。爆発期ですべての不満をぶちまけ、ストレスを発散させたモラハラ夫は、機嫌が良くなり、妻にも優しい時期を迎えます。
しかし、これで妻がモラハラ被害から逃れられたわけではありません。モラハラ夫が優しいのは、自分勝手で感情をコントロールできない性格の一面に過ぎません。優しい時が過ぎれば、再び「蓄積期」に入り、不満やストレスでイライラして妻に感情をぶつけ始めます。
妻が離れないように支配したいから
夫がモラハラをする目的は、妻を支配し自分から離れられないようにすることです。妻は自分の思い通りになる存在として、近くにいてほしいのです。このため、モラハラ夫は妻に優しい一面を見せて、「本当は悪い人ではないのだ」と思わせようとします。他人から良い夫だと思われたいという一種の自己保身から優しい態度を見せる夫もいます。
この手口に乗せられてしまうと妻は「優しい時もある夫が不機嫌になるのは、自分が悪いからだ」と思い込むようになります。こうして、妻は夫に支配されていくようになるのです。
モラハラ夫に悩んでいる時はどうする?
夫からモラハラを受け続けると、妻には被害者だとの自覚がなくても、知らず知らずのうちにストレスが蓄積していきます。そして、夫の機嫌を損ねないようにしようと考えれば考えるほど「本当は優しい時もある夫が不機嫌なのは、自分が悪いからだ」と考えるようになります。そうした思考が続くと、妻はやがて夫に支配され、依存させられてしまうのです。
普段の夫の言動を振り返って「これはモラハラではないか」と気付いたとき、どのような対応をとればいいのか、説明します。
カウンセリングを受ける
モラハラは、加害者側にも被害者側にも自覚のないことが多く、家庭の中でモラハラが長く続くことがあります。非常に外からは見えにくく、夫が怒っていてもただの夫婦げんかにしか見えないこともあります。ですから、自分がモラハラ被害に遭っているのか、どのようなモラハラを受けているのを専門家に判定してもらうことも大切です。
自治体や民間団体、法律事務所の中にはモラハラの相談やカウンセリングに応じているところもあります。ネットで調べたり市町村などに問い合わせしたりすれば、すぐに見つかりますので、「自分はモラハラの被害者ではないか」と感じたら、一度相談してみましょう。
丸の内ソレイユ法律事務所
長年モラハラ夫の支配下にいると、「結婚生活がうまくいかないのは自分のせい」と自身を責め、「こんなことをしたら夫を怒らせるのではないか」と常に委縮している方も多いです。客観的に見れば、妻は全く悪くなく、不当な言動を繰り返しているのは夫であるにもかかわらず、です。
モラハラが長期化、深刻化すると、思考や感情までもがモラハラ夫にコントロールされ、しかもそのことに無自覚になってしまうことも多いようです。まずは専門家に相談し、自身の置かれた状況を冷静に見つめ直してみることは有益といえるでしょう。
離婚も視野に入れる
モラハラ夫は、モラハラをしている自覚のないことが多く、仮に自覚をしてもモラハラ気質を改善するのは簡単ではありません。夫にモラハラの加害者であることを自覚させ改善させるには、妻の側にも相当な覚悟が求められます。
第三者などを交えた話し合いによって、モラハラの克服に向けて歩み出せれば理想的ですが、実際には別居や離婚を切り出されるまで自覚できないというモラハラ夫も少なくありません。弁護士やカウンセラーといった専門家に相談しながら、別居や離婚を検討するのもモラハラ被害の解決に向けた一つの方法です。
丸の内ソレイユ法律事務所
実際には、離婚を切り出されてもモラハラを自覚したり、反省したりする夫は少なく、自分は一切悪くないと、一層妻に対する攻撃を強めることがほとんどのように思われます。特に、生活費を止める等、金銭面で妻への締め付けを強める夫が多く見られます。
離婚を切り出した後の生活費や住まいの確保は極めて重要ですので、専門家と相談しながら、十分に準備を重ねましょう。
モラハラ夫が優しい時は怒りの沸点に着目しよう
モラハラ夫に優しい時があるからといって、モラハラが改善してきた兆候と考えるのは危険です。それもモラハラのサイクルの1つで、さらにモラハラがエスカレートしていく恐れもあります。モラハラかどうかを見分けるポイントは怒り方の特徴です。
夫の怒りの沸点が低く、怒るタイミングがいつもバラバラで、いつ怒り出すか分からないときはモラハラを疑い、場合によっては専門家にアドバイスを求めましょう。
弁護士法人 丸の内ソレイユ法律事務所(東京弁護士会所属)
2009年の事務所開設以来、女性側の離婚・男女問題の解決に注力しています。年間700件以上、累計5000件以上の相談実績があり、多様な離婚のノウハウを蓄積。経験豊富な男女20名の弁護士が所属し、新聞・テレビ・雑誌・Webなど多くのメディアからの取材も受けています。