不倫は妻や夫への裏切りです。「ほんの遊び」と言い訳しようが、不倫された側は深く傷つきます。浮気相手を含めて苦しめたいと社会的制裁を考える人もいます。不倫した相手への制裁はどこまで許されるのでしょうか。有効な制裁方法とやってはいけない制裁について解説します。
不倫した旦那や妻、不倫相手を苦しめたい!
配偶者に不倫や浮気をされた夫や妻は深く傷つきます。多くの人は相手との離婚を、まず考えるでしょう。しかし、生活や子供のこと、相手への愛情などから離婚に踏み切ることができない人もいます。
だからといって、不倫した配偶者や浮気相手をそのまま許す気にはなれず、次に考えるのは制裁です。何とか不倫や浮気の償いをさせることはできないかと考えます。一方で、離婚だけは許すことはできず、社会的制裁を与えて家族や仕事、地位などを全て失わせ、とことん苦しめたいとまで考える人もいます。
先日、主人が5年間不倫していたことが分かりました。
私は体調を壊し、パートも辞め毎日辛い日々を送っています。信じていただけに長い年月裏切られた悲しみや憎しみ生き地獄です。
どうやったら同じように苦しませることが出来るのか、毎日考えています。
私達にも子供が二人います。すぐに家を出て行くことも出来ません。
主人が一番苦しむ方法を教えて下さい。
相手の女性にも苦しむ罰や方法があれば教えて下さい。
社内不倫です。独身女(悪質)への制裁方法、何かいいアイデアありませんか?とても悪質で、挑発的な女です。
それに乗った旦那への制裁方法もお願いします。
子供がまだお父さんを好きなうちは。離婚はしないです。
しかし、いくら不倫や浮気といっても凶悪犯罪をしたわけではありません。制裁には限度がありますし、行き過ぎた制裁は逆に罪に問われることもあります。不倫や浮気の代償として許される制裁方法と、やってはいけない制裁について解説します。
不倫をした旦那や妻に制裁を加える方法
不倫や浮気は一般的に、民法の「不貞行為」にあたる不法行為です。法律の罰則はありませんが、浮気された側が「何らかの罰を与えることで、罪を償わせたい」と考えるのも当然です。だからといって、不倫された側が何をしても許されるというわけではありません。
それに、相手が離婚を避けたいと思っているのか、離婚して不倫相手と結婚したいと思っているのかによっても、効果的な制裁方法も変わります。「不倫した旦那を苦しめたい」「裏切った妻に罪を償わせたい」と思ったとき、法的に許される制裁方法について紹介します。
離婚する
性的関係を伴う不倫や浮気は民法の不貞行為にあたり、離婚裁判を起こす理由になります。不倫をした夫や妻には、離婚を求めるのが一般的な制裁でしょう。相手が離婚したくないと思っているのなら、離婚は相当なダメージを与えることができるはずです。
「不倫で離婚した」となれば、両親や親類に顔向けできませんし、職場でも信頼を失ってしまうかもしれません。引っ越しを余儀なくされることもあるでしょう。本人が離婚を拒否しても、裁判で離婚できる可能性は十分あります。離婚裁判を起こされたというだけでも、本人は相当痛手なはずです。
ただし、不倫を理由に離婚をする場合は、配偶者と不倫相手に性的関係があったことを証明する必要があります。密会して食事をしていたという程度では離婚はできません。また、相手が離婚して不倫相手と結婚したいと思っている場合、離婚しても相手を喜ばせるだけなので、別の方法を考える必要があります。
離婚を拒否して、相手と別れさせる
「旦那が離婚して、不倫相手と結婚したいと言っている」というケースもあります。こうした場合は、逆に離婚を拒否して、盛り上がっている2人に水を差してやりましょう。配偶者の両親や親類、知人、友人らも味方につけて、2人を別れさせることができれば大成功です。配偶者は2度と家庭内で大きな顔はできないでしょう。
それでも相手は「離婚したい」と言うかもしれませんが、離婚原因を作った側から離婚裁判は起こせません。しかし、そうして不倫を終わらせることができても、夫婦関係を修復できるかどうかはわからず、仮面夫婦のまま暮らし続ける可能性もあります。自分自身や子供のためにも、それが良いことなのかを考えることも必要です。
夫婦間で契約書を結ぶ
離婚せずに同居を続ける際、配偶者に誓約書を書かせたり、夫婦間で契約を結んだりすることも相手に罰を与えるよい方法です。たとえば、相手が不倫相手との再婚を望んでいる場合、「相手とは2度と接触しない」「接触すれば1回につき30万円を支払う」と約束させる方法があります。これで、配偶者は2度と不倫相手に会えなくなります。
また、不倫した配偶者が離婚を望んでいない場合は「再び不倫したときは、即刻離婚する」と約束させ、「慰謝料は300万円とする」「財産分与は8割」「転居費用は全額負担する」など有利な条件を盛り込んでおけば、不倫を思い留まらせる効果があるはずです。
しかし、約束の内容が一般常識を外れていたり、無理やり誓約書や契約を書かせたりした場合は、内容が無効となりますので、気を付けてください。
慰謝料を請求する
不倫は民法上の不法行為にあたりますから、不法行為によって精神的損害を受けた場合は慰謝料を請求できます。このときの精神的損害とは、夫婦生活を破壊されたことや「平穏な夫婦生活を送る権利」を侵害されたことなどを指します。ですから、不倫が原因で離婚したり、円満な結婚生活が損なわれたりしたときは、慰謝料を請求できる可能性があります。
慰謝料の額は一般的に数十万円から数百万円です。300万円以上の慰謝料は、特別な事情がないかぎり認められにくいでしょう。額は結婚生活の長さや子供の有無、不倫の期間、反省の有無、離婚するかどうか、などによって変わります。いくら罰を与えることを望んでも、額には限度があります。
また、慰謝料は「平穏な夫婦生活を送る権利」を侵害されたことに対するものですから、不倫時に既に夫婦生活が破綻していた場合や、自分も過去に不倫して夫婦関係にヒビが入っていた場合、慰謝料が減額されたり、請求が認められなかったりすることがあります。
配偶者の不倫相手に制裁を加える方法
不倫には必ず相手もいます。その相手にも制裁を加えたいという人もいるでしょう。不倫相手に対して可能な制裁方法も紹介します。
ただし、不倫相手が風俗嬢だった場合や、クラブのホステスが客を獲得するための「枕営業」だった場合は、慰謝料請求が認められない可能性が高くなります。それは「ただの客で既婚者だとは知らなかった」「商売として相手をしただけ」と主張する余地があるからです。相手に不貞行為という認識がなければ、慰謝料の請求は難しくなります。
夫婦や家族の仲の良さをSNSでアピールする
不倫相手と配偶者がSNSでメッセージなどのやり取りをしていた場合は、これ見よがしに夫婦や家族の幸せそうな写真をアップしてみましょう。それによって「離婚はしない」というメッセージを不倫相手に送ります。相手が本気であればあるほど「自分にはこのような幸せが手に入らない」と感じ、みじめな気持ちになります。
中にはムキになる不倫相手もいるかもしれませんが、不倫をしている配偶者は板挟みになって苦しい立場に追いやられるばかりです。そうして2人が精神的に傷つけ合えば、相当な精神的ダメージを与えることができます。
誓約書を書かせる
不倫相手にも「二度と会わない」と誓約書を書かせて、不倫関係を終わらせることも制裁の一つです。生ぬるく感じるかもしれませんが、「いずれは離婚して、自分と結婚してくれる」と思い込んでいた場合は、相当なダメージになるはずです。
ただし、配偶者の誓約書同様、過度の要求内容は無効となる可能性があります。もちろん、むりやり誓約書を書かせるようなことをしてもいけません。
慰謝料を請求する
不倫相手にも、「平穏な夫婦生活を送る権利を侵害した」「夫婦関係の破綻に加担した」といった理由で慰謝料を請求できる場合があります。相手が客商売としての認識しかなかった場合や既婚者であることを知らずに交際していた場合など請求が困難なケースもありますが、既婚者と交際しているという認識があれば、一般的には請求が可能でしょう。
慰謝料の額は配偶者に対する慰謝料と同様、不倫期間や親密度、悪質性などによって変わります。しかし、2人に請求したからといって、慰謝料の総額が2倍になるわけでなく、2人への慰謝料を合計して相応の額となります。ちなみに、不貞行為にあたるかどうかに恋愛感情の有無は関係なく、「遊びのつもりで本気ではなかった」という言い訳は通用しません。
裁判の訴状などの文書を送り付ける
慰謝請求の裁判を起こすと、相手に裁判所から訴状などが届きます。そうした訴状を送り付けることで精神的なダメージを与えることもできます。特に有効なのは、送付先を両親が住む実家や勤務先にすることです。ただし、これができるのは、本人の現住所が分からず、実家や勤務先の住所だけが分かっているときだけです。
本人の住所がわかっているのに、わざと勤務先に送ると名誉棄損になる恐れがあります。また「親展」とつけて、本人以外が中身を見ないように配慮することも必要です。このほか、内容証明で不倫の事実を確認する質問書や慰謝料を請求する文書などを送りつけても、相手にプレッシャーをかけることができます。
危険!制裁を加えたいときにやってはいけないこと
不倫をした相手には、慰謝料請求や離婚、相手と別れさせるといった制裁が考えられますが、それでは物足りないという人もいるでしょう。「旦那に巨額の慰謝料を請求したい」「不倫相手から仕事を奪って無一文にさせたい」という人もいるでしょうが、そうした要求には無理があります。
よく社会的制裁と言われますが、不倫で社会的制裁を望むのは行き過ぎです。過度な要求をしつこく迫ると、逆に相手から慰謝料を請求されることがあり、罪に問われる恐れさえあります。制裁を加えるときにやってはいけないことを解説します。
相手にけがを負わせる
テレビドラマなどで、不倫相手を殴るシーンなどが出てきますが、もちろん、暴力は犯罪行為で許されることではありません。殴った相手に訴えられれば、傷害や暴行の罪に問われる可能性がありますし、逆に慰謝料を請求されることがあります。いくら怒りを覚えても、感情的に行動してはいけません。
相手を脅す
相手が慰謝料の請求に応じなかったり、不倫相手と別れようとしなかったりしたとき、「言う事をきかなければ、不倫を会社にばらす」「家族に全てを話す」と迫る人がいますが、これは脅迫の罪にあたる可能性があります。
また「金さえ払えば許してやる」などと慰謝料の支払いを迫れば、恐喝罪に問われることもあります。相手に何かを要求するときは、できるだけ冷静に話し合うことが必要です。弁護士に依頼して、事務的に進めることも必要でしょう。
過度な要求をする
不倫の慰謝料は、過去の判例などから、だいたいの相場のようなものがあります。それは多くても数百万円までで、500万円を大きく上回るようなことはありません。もし、そうした要求をしても裁判になると減額されてしまいます。
しかし、一般的な慰謝料の額では低すぎるとして、相手にしつこく支払いを求めたり、支払いを約束する念書などにサインさせようとしたりすると、強要罪に問われる恐れがあります。離婚を認めない相手に「本当のことを話すまで帰さない」などと言って、むりやり認めさせようとするのも同様です。
浮気していたことを暴露する
ドラマや漫画では、妻が会社に夫の不倫を告げ口して、夫が会社を追われるといった話もでてきますが、これも不法行為です。いくら不倫が許されない行為だといっても、不倫の事実を会社や親といった夫婦以外の人に伝えてはいけません。
会社に不倫の事実が知られると、社内だけでなく取引先など社会的な評価を低下させる恐れがあります。これは名誉棄損にあたる可能性があり、刑事告訴されたうえ、民事裁判で損害賠償を請求される恐れがあります。
同様に配偶者の親族や、不倫相手の家族にも知らせてはいけません。親族や家族から他の人たちに事実が広がる可能性があるとして、名誉棄損に問われることがあります。もちろん、SNSで不倫の事実を不特定多数の人に向かって発信してもいけません。不倫の問題は、あくまでも当事者の間だけで解決するのが正しい方法です。
相手につきまとう
相手が要求に応じないからといって、相手につきまとったり、何度も連絡したりするのも、ストーカー規制法の「つきまとい行為」に該当する可能性があります。相手が警察に通報すると、警告や禁止命令を受ける可能性があり、それを守らないと罪に問われる恐れがあります。
相手が誠実に対応しないときは、感情的になって追い回すのではなく、弁護士に相談するなどして法的手段を検討しましょう。
不倫した旦那や妻、不倫相手を制裁したいときは弁護士に相談を
配偶者に不倫された人は、怒りで感情的になってしまうものです。しかし、感情のおもむくままに行動しても、事態を悪化させるだけでよりよい解決には向かいません。一度、冷静になって何をすべきかを考えましょう。
そうしたとき、問題点を整理して解決に向けた筋道について一緒に考えてくれるのが、カウンセラーや弁護士といった専門家です。特に弁護士からは法律や判例に基づいた適切なアドバイスを受けられます。「不倫した旦那を懲らしめたい」「妻に浮気を後悔させたい」などと考えたら、専門家に相談しましょう。