離婚の話し合いが進まないときは、離婚調停を家庭裁判所に申し立てることができます。しかし、いざ離婚調停になると、調停当日の服装に悩む人も多いようです。調停委員に好印象を持ってもらえる服装を、男性・女性別に説明するほか、当日の持ち物チェックリストも紹介します。
離婚調停に何を着て行ったらいい?好印象を与えるには
夫婦が離婚するとき、通常は離婚の条件などについて話し合いをして、条件に合意すれば離婚届を提出します。こうした話し合いによる離婚を「協議離婚」と言いますが、どちらか一方が離婚に反対するなどして話し合いが進まないときは、家庭裁判所に離婚調停を申し立てることができます。
離婚調停は、家庭裁判所を間に挟んだ夫婦間の話し合いです。男女1人ずつの調停委員が双方から話を聞いて、夫婦間の合意を目指します。調停委員は、夫婦別々に話を聞くので、調停の席で夫婦が顔を合わせることは基本的にありません。
この離婚調停にどのような服装をしていったらよいのか、悩む人も多いようです。基本的に服装によって、調停結果が左右されることはありませんが、服装によっては調停委員に「非常識な人だ」との印象を与えてしまうことがあります。こうした印象がどちらの言い分が信用できるかという判断の際、微妙に影響してしまう恐れもあります。
このため、調停の際は調停委員に好印象を持ってもらうため、服装にも気を配ったおいたほうが安心です。男性・女性別にどのような服装をすればいいのか説明するとともに、調停の際、忘れ物をしないよう持ち物のチェックリストも紹介します。
【男性・女性別】離婚調停に適した服装とは
離婚調停に望む際、どのような服装をして家庭裁判所に行けばいいのか、調停委員に好印象を与えるためのポイントを説明します。
男性はスーツが無難
男性の場合は、普段、会社や商談などの際に来ているようなビジネススーツにビジネスシューズが無難です。冬などの暑くない季節であれば、ネクタイもきっちり締め、さらに寒いときは落ち着いた柄のコートを着ていると誠実そうな印象を与えられるでしょう。
夏は暑いですから、きっちりスーツを着る必要はなく、ビジネスでも通用するシャツとズボンであれば十分です。最近はノーネクタイも定着していますから、首元をはだけてだらしない感じにならなければネクタイも必要ないでしょう。もちろん、フォーマルな雰囲気を出すために夏用のスーツを着用して、誠実さをアピールするのも一つの方法です。
いくら服装にこだわる必要はないと言っても、Tシャツに半ズボン、サンダルといった格好では、だらしない印象を与え、「真摯に調停に望む気があるのか」という疑念を相手に抱かせてしまいます。奇抜な服装も誠実な話し合いの場の服装としては不似合いでしょう。
女性は落ち着いた雰囲気の服装を
女性の場合、働いている女性であれば、男性と同様、普段仕事で着ているようなスーツ姿で構いません。スーツなどがなければ、落ち着いたフォーマルな服装やよそ行きのシックなワンピース、ブラウスとスカートの組み合わせなどで十分です。靴も落ち着いた色のパンプスやハイヒールがいいでしょう。
夏に暑いからと言って、大きく肌を露出した服装をすると、人によっては「非常識な人だ」との印象を持つことがあります。また、冬に高級なコートやブーツを履いていると、経済的な苦しさを訴えても説得力がありません。
服装だけでなく髪型や化粧にも注意を
服装だけでなく、髪型や化粧など見た目も重要です。金髪など派手な色に髪を染めていたり、派手な化粧をしていたりすると、人によっては軽率な印象を抱きますし、無精ひげを伸ばしている男性は、だらしない印象を与えてしまいます。調停委員が「この人に子供を任せて大丈夫なのか、しっかり確認する必要がある」と考えてしまうかもしれません。
女性も派手なメイクやネイルなどをしていると、「子供がいるのに、こんなに着飾る時間的余裕があるのだろうか」と疑念を持たれてしまう恐れがあります。調停は言わば仲裁のようなものですから、話をまとめる際には「どちらの言うことに信用が置けるか」といったことも重要になります。少しでも有利に調停を進められるよう見た目にも気を付けましょう。
服装で調停委員に好印象を与えるメリット
調停で服装に気を配るのは、調停委員に好印象をもってもらうためです。「裁判所が服装や見た目で判断するわけがない」という考え方もありますが、離婚の話し合いをまとめる際には、夫や妻の性格や生活環境も重要な判断材料です。調停委員に信頼され、共感してもらうに越したことはないでしょう。
調停委員に好印象を与えると、具体的にどのようなメリットがあるのかを紹介します。
調停委員に心情的に味方になってもらえる
調停委員は、互いの話を聞き、相手に意向を伝えながら合意点を探っていきます。ただ、互いの言い分を伝えるだけでなく、調停の成立に向けて、ときには両者を説得することもあります。
夫婦の間の意見の隔たりが大きいときは合意も困難ですが、双方が歩み寄れば合意できそうだというときは、調停委員も双方の意見の調整や説得に全力を尽くしてくれます。そのとき、調停委員がどちらを信用しているのかという点は、非常に重要です。もしかすると、心情的に味方になってくれるかもしれません。
こうした状況になったときに、服装や見た目などで損をしないように、気を使う必要があるのです。
好印象を与えるには言動にも注意を
調停委員に好印象を与えるには、服装だけでなく言動も重要です。いくら服装に気を使って、見た目で好印象を与えても、高圧的な言動をしたり、ふてくされたような態度で相手の話を聞いていたりするようでは意味がありません。
中には調停中に感情的になり、調停委員につかみかかろうとしたり、暴言を吐いたりする人もいます。調停中にそのような態度を取れば「これでは配偶者や子供がかわいそうだ」と思われても仕方がありません。決して感情的にならず、落ち着いた態度で調停に臨みましょう。
忘れてはいけない調停時の持ち物とは
離婚調停では服装や見た目も重要ですが、そのことばかりに気を取られていると、必要なものを忘れてしまうかもしれません。調停に必ず持って行かなければならないものをチェックリストとして、まとめましたので、家を出る前にしっかり確認してください。
離婚調停時の持ち物チェックリスト
調停当日に持っていくもの
・調停の呼び出し状(期日通知書)
・陳述書の写し
・進行に関する照会回答書
・証拠資料
・ノートと筆記用具
・身分証明書
・認印
調停の呼出状(期日通知書)
調停の日が決まったら、家庭裁判所から呼び出し状(期日通知書)が届きます。調停の日時や場所、事件番号、待合室、裁判所書記官の連絡先などが書かれていますので、確認のため必ず持っていきましょう。待合室には「申立人待合室」、「相手方待合室」などと区別されており、待合室を間違えると、相手と顔を合わせてしまうことがあります。
陳述書の写し
家庭裁判所に離婚調停を申し立てる際、自分の主張をまとめた「陳述書」を提出することがあります。陳述書を提出するときは、必ずコピーをとっておき、調停に出席する際も必ず持っていきましょう。
進行に関する照会回答書
調停では、調停委員との面談は別々に行われますが、日程調整の際などに顔を合わせる可能性があります。申し立て時に提出する「進行に関する照会回答書」に「相手と顔を合わせたくない」と記入すれば、意思を裁判所に伝えることができます。これも念のため、コピーを取って持っていきましょう。回答書は裁判所のホームページからダウンロードできます。
証拠資料
証拠になる書類などがあれば、持っていきます。特に調停委員から提出するよう求められているものがあれば、忘れないようにしましょう。
ノートと筆記用具
調停委員から伝えられた相手の主張、自分の発言内容、調停委員から求められた事項などを書き留めておきます。次回の調停日もしっかりメモしておきましょう。次回の調停日を決めるときのために、スケジュール帳なども持っていくとスムーズに回答できます。
身分証明書
本人確認を求められることもありますので、運転免許証やパスポート、マイナンバーカードなど顔や氏名、住所などを確認できるものを持っていきます。
認印
書類などに受領印などを押す場合がありますので、忘れずに持っていきましょう。
その他
金額の計算をすることがありますので、計算機も持っていくといいでしょう。財産分与や養育費、慰謝料などの振込先となる預金通帳を持っていくと手続きがスムーズです。また、待ち時間が長くなることがありますので、時間つぶしに本や雑誌も持っていくと、緊張もほぐせます。
離婚調停では派手な見た目は避けて落ち着いた服装を選ぼう
離婚調停は、裁判所で行うとはいっても人と人の話し合いですから、情に訴えて調停委員から共感してもらい、力になってあげたいと思ってもらうことも大切です。そのため、服装や見た目も誠実さや清潔感をアピールした方が得策です。
もちろん、最も大切なのは主張の中身で、調停委員に「言っていることはもっともだ」と納得してもらえる常識的な内容にすることが大切です。服装や見た目、態度はそうした主張を補強するものだと考えるといいでしょう。