「共働きなのに、妻が生活費を出さない」と悩む夫がいます。少ないお小遣いで我慢して懸命に働いているのに、妻がしばしば外食や買い物を楽しんでいるという状況では、夫も不満がたまります。共働きなのに生活費を出さない妻の心理や、不満を解消するための対処法を紹介します。
共働きの妻が生活費を出さないのはおかしい!
「共働きなのに、妻が生活費を出さないのはおかしい」「妻が自分の収入を何に使っているのかわからない」と不満を持つ夫は多いようです。夫が少ないお小遣いで毎月、なんとかやりくりしているのに、妻は友達と頻繁に遊びに出かけ、好きな洋服や化粧品を買っているというケースもあり、不公平だと感じたり、将来に不安を抱いたりする夫も少なくありません。
結婚する事になり家を購入しました。
家は自分の貯金を頭にしローンです。
今はアパートで二人暮らしです。
家賃などの生活費はすべて自分です。
自分には車のローンがあり、毎月残る金額は数万しかなくそこからさらに数万やボーナスを貯金していました。
相手も働いていて月17万ほどでボーナスもありますが、今までの同棲生活ではすべて、自分の服など自分だけで使い、さらには月末になるとお金まで貸します。
犬の餌代は相手が払っています。犬も相手の実家からもってきた。
今回、家も購入し結婚し、それでもお金は男が払うもんだ。
とゆう事で、今までのスタンスとかわりないとの事です。
やはり結婚したら男はこんなもんでしょうか?
妻は好きな物に自分の給料全部使い、自分は何も買えない、贅沢なんてなんもない、こんなもんですか?
我が家は、結婚2年目、子供無し、30代中盤、賃貸住い、夫婦共稼ぎで、互いに年収500万円程です。しかし、妻は、一銭も稼ぎを入れてくれません。妻曰く「自分の貯金がしたい」「欲しい物を買いたい」「仕事の付き合いで使う」等々、自分の使途にのみ稼ぎを使っているようです。というのは、何に使っているのか、貯金がいくら有るのか聞いても教えてくれません。当然、家庭を切り盛りするのは、私の稼ぎのみです。従って、私は、貯金も出来なければ、欲しい物なんて買えません。今後、家庭を築いていくうえで、家も買いたいですし。この先、どうしていったら良いのか不安だらけです。
共働きなのに生活費を出してくれない妻は、家計についてどう考えているのでしょうか。生活費を出さない妻の心理や不満が溜まったときの対処法、離婚を考えたときのポイントなどを紹介します。
共働き夫婦の生活費はどれくらい?
一般的に共働き夫婦の毎月の生活費はどれくらいかかるものなのでしょうか。夫婦によってライフスタイルが異なるため、一概にはいえませんが、厚生労働省の家計調査報告から共働き世帯の平均的な家計の状況を紹介します。
1カ月の生活費は約34万円
2022年の家計調査報告によると、1カ月の生活費の平均は33万9646円となっています。妻の収入が8万円未満の場合は33万5449円、妻がの収入が8万円以上の場合は35万8039円と、妻の収入によって多少の差が出ますが、フルタイムで働けば仕事に関する支出も増えるので、ほぼ変わらないと見てもいいでしょう。
一方で勤め先からの給料などによる収入は、夫婦合わせて65万360円で、妻の収入が8万円未満の場合は57万5748円、8万円以上の場合は74万1651円となっています。生活費に加え、税金やローンの支払いなどを差し引いても、黒字は22万3072円で、十分貯蓄などに回せます。
夫の収入だけでは少し苦しい状況に
共働き夫婦なのに、妻が生活費を出してくれない場合はどうなるでしょうか。家計調査によると、世帯主男性の1カ月の定期的な月収は37万7562円。これでは、生活費とほぼ同じ額で、ほとんどが生活費に消えてしまうことになります。しかも、税金や社会保険料を考えれば赤字で、毎月の赤字をボーナスで穴埋めしていることになります。
家計調査は平均額なので、実際の生活実態を表しているとはいえません。しかし、全体的な傾向として、共働き世帯で妻が生活費を出さないと、夫の経済的負担が高くなる可能性があるといえるでしょう。
共働きなのに生活費を出さない妻の心理
共働きなのに生活費を出してくれない妻は、家計についてどのように考えているのでしょうか。生活を出さない理由や、出さないことを正当化する妻の心理について説明します。
生活費は夫が出すものだと思っている
昔は「夫は一家の大黒柱」、「生活費は夫が稼ぐもの」という考え方がありました。生活費を出さない妻は、そうした考えにとらわれて「生活費は夫が出すのが当然だ」と思っているのかもしれません。
そうした考えが間違いだとは言いませんが、そうした古い考えを持っているのなら、家計のやりくりは妻が責任を持つべきです。夫の収入だけで生活費をまかない、将来に備えて貯蓄もするという努力もせずに、夫の収入をあてにしているのなら、夫の不満が募るのも当然です。
自分の収入は将来のため貯金しようと思っている
夫の給料などの収入は生活費にあて、自分の給料などは妊娠や出産、将来の教育費などのために貯蓄しておくという考えの妻もいます。妻が自分のためにお金を使いすぎているように見えるのは、ひょっとして、順調にお金が増えているので、つい、気持ちが緩んでしまうのかもしれません。
妻が貯蓄をするのは良いことです。しかし、そうした妻の意図を理解せずに夫が不満を募らせているのは良いことではありません。夫に浪費癖があり、貯金があることは教えないほうがいいと思っているというケースもありますが、夫の不満や疑念を解消するために、妻もきちんと説明すべきでしょう。
家事の分担に不満がある
妻が「共働きなのに、家事や育児の負担が偏っている」と不満を抱いている妻が、「その分、自分の給料は好きに使わせてもらう」と考えていることもあります。家事の負担が不公平な分、妻側が好きに使えるお金が多いのは当然だという考え方です。
こうした妻は、夫が「生活費の負担を公平にしよう」と言ってくるのを待っているのかもしれません。そのときは「じゃあ、家事の負担も公平にしてね」と切り出すつもりでしょう。
自分の収入は自分のために使いたい
妻はただ単純に「自分が稼いだお金は自分で自由に使いたい」と思っているのかもしれません。こうした妻は、夫に「不公平だ」などと言われても「妊娠や出産で働けなくこともあるから、私を当てにしないで」「あなたの給料の範囲内でやりくりしていかないと、私が働けなくなったときに困るでしょ」などと理由をつけて、生活費を負担しようとしません。
このような妻はもともと自己中心的な生活で、自分さえよければいいという考えをしがちです。そして、自分の意見を決して曲げようとしないので、夫の言うことには耳を傾けません。もしかすると、モラハラ気質なのかもしれません。モラハラ気質の妻は、夫を服従させようとすることがあるので、注意が必要です。
共働きなのに生活費を出さない妻への不満を減らす方法は?
共働きなのに生活費を出さない妻への不満を解消するにはどうすればいいのでしょうか。少しでも妻の考えを改めさせ、不満やストレスを軽減する方法を紹介します。
生活費も家事も平等にする
妻が「自分だけ家事や育児の負担が大きい」と考えているのが、生活をださない理由なら、夫も家事や育児を積極的に行い、妻の負担を減らしましょう。家事や育児の負担に対する不公平感が解消すれば、妻も生活費を出してくれるようになるかもしれません。
家事には得手不得手もあるので、それぞれの担当を決め、互いにストレスをあまり感じないようにする工夫も必要でしょう。それまで家事をあまりしたことのない夫なら、妻に素直に教わる気持ちで接すれば、あれこれ教わるうちに家事以外のいろいろな話もできるようになるはずです。
家計の管理を見直す
これまで、夫の収入だけを頼りに生活していたのなら、家計の管理の見直しを妻に提案してみましょう。夫が生活費の捻出に苦労しているのに何ら手を打たない妻は「お金がなくても夫がなんとかするだろう」と思っている可能性があります。こうした妻には、家計の実情を理解し、自分も応分の負担をする必要があるということを理解してもらわなければなりません。
家計の見直しには、まず、夫の毎月の収入に対し、毎月いくらの支出があるのかを図やグラフにして、収支のバランスを目に見えるようにする必要があります。そして、毎月の収入でいくら足りないのか、毎月貯金するには、あとどれくらい必要なのかを妻と話し合います。このとき「足りない分はボーナスで穴埋めすればいい」と安易に考えてはいけません。
話し合いで、妻は「毎月の支出は夫の収入以内に抑え、自分の収入は貯蓄に回す」と主張するかもしれません。それも一つの考えですが、大切なポイントがあります。それは、妻の収入を貯めたといっても、貯蓄は妻だけのものではなく夫婦の共有財産だということです。夫にも残高や使い道を知る権利があることだけは、念を押しておきましょう。
生活設計について話し合うことが大切
共働きをしている妻に生活費を出してもらうには、家事の負担の見直しをするにせよ、家計管理の見直しをするにせよ、夫婦でよく話し合うことが欠かせません。そもそも、妻が生活費をだしてくれない根本の原因は、2人で毎月のやりくりや将来設計について、方針やルールを共有していないことにあります。
互いに別々の将来図を描いていると、いずれ、それが不仲の原因となり、夫婦関係が壊れてしまうこともあります。生活費について見直さなくてはならない今が絶好の機会だと思って、2人の将来設計について話し合ってみましょう。そうすれば、毎月の生活もどのようにやりくりしていけばいいのか、わかってくるはずです。
共働きなのに生活費を出さない妻と離婚できる?
共働きなのに生活費を出さない妻にうんざりし、「このままでは生活が成り立たない」と悩んでいる夫もいるのではないでしょうか。中には思い詰めてしまい、メンタルの不調を訴えるようになる夫もいます。こうしたとき、「共働きなのに生活費を出さない」ことを理由に離婚は可能なのでしょうか。
離婚できるケースや、離婚を検討する際に注意しなければならないポイントなどについて説明します。
妻も合意すれば離婚は可能だが…
妻と離婚したいと思ったとき、話し合いの結果、妻も離婚に同意してくれれば離婚は可能です。話し合いで財産分与や親権など離婚の条件を決めれば、後は役所に離婚届を提出するだけです。このように話し合いで離婚することを協議離婚といいます。離婚で最も多いのが協議離婚で、離婚の理由を問われることもありません。
ただ、生活費を夫に頼っている妻が、簡単に離婚に応じることはないでしょう。離婚には応じても、財産分与で、妻の預貯金を共有財産として夫婦で分けなければならないと知ると、強く抵抗するかもしれません。「自分の預貯金は一切渡さない」と言い張る可能性があります。そうなると、離婚の条件で折り合うことができず、離婚が難しくなります。
離婚の合意を得られないときは調停という手も
妻が離婚に反対したり、離婚には同意してもらえても条件で折り合えなかったりした場合は、家庭裁判所に離婚調停を申し立てることができます。調停とは裁判所の調停委員を介した話し合いで、調停委員が双方の意見を聞き、言い分を整理して合意を目指します。しかし、合意できる見込みがないときは調停不調として打ち切られてしまいます。
調停が打ち切られると、再び妻と協議離婚を目指して話し合うか、離婚裁判を起こして裁判所に離婚を求めることになります。裁判で認められれば、相手の合意がなくても離婚が可能です。
生活費を出さないという理由だけでは難しい
相手の同意が必要ないのなら、最初から裁判を起こせばいいと思う人もいるかもしれません。しかし、法律で離婚裁判は調停の後にしか起こせないことになっていて、いきなり裁判は起こせません。さらに裁判を起こすには、民法で定められた「離婚事由」が必要になります。離婚事由とは、次の5つの事情です。
・配偶者が浮気や不倫(不貞行為)をした
・一方的な別居や生活費の未払いなど配偶者の悪意で遺棄された(悪意の遺棄)
・配偶者の生死が不明で3年以上経つ
・配偶者が重症の精神病で治る見込みがない
・婚姻を継続しがたい重大な事由がある
妻が生活費を出してくれない場合、妻の行為が「悪意の遺棄」や「婚姻を継続しがたい重大な事由がある」に当てはまり、さらに夫婦関係が破綻しているかどうかが問題になります。しかし、「共働きの妻が生活費を出してくれない」という理由では、結婚生活に重大な支障を来たしているとまでは言えないでしょう。すぐに裁判を起こすのは非常に難しいのが実情です。
生活費を出さない妻と離婚できるケースは
「妻が生活費を出さない」ことを理由に離婚裁判を起こすのであれば、夫婦生活が成り立たなくなるほどの事情がなくてはなりません。たとえば、次のようなケースであれば、離婚が認められる可能性があります。
・妻が生活費を負担しないため、夫だけが困窮した生活を送っている
・妻に生活費を負担するように求めると暴力を振るう
・妻が浮気のために自分の収入を注ぎ込んでいる
・妻がギャンブルのために多額の借金を抱え、生活が破綻している
浮気やギャンブルによる借金、夫への暴力など、「生活費を出さない」という以外にも離婚の原因があれば、裁判で離婚が認められる可能性があります。また、時間がかかりますが、いったん別居して数年後に「夫婦関係が破綻した状態にある」として離婚を求めるという方法もあります。
ただし、家計を主に支えている夫が無断で家を出て、妻に対し十分な生活費を支払わなかった場合、夫側が離婚の原因を作ったと見なされる恐れがあります。法律的にどのような方法を選べばいいのか、離婚を真剣に考えているのなら、夫婦問題に詳しい弁護士にも相談してみましょう。
妻が生活費を出してくれないと悩んだら専門家に相談を
「自分の収入だけでは生活がギリギリなのに、妻が生活費を入れてくれない」「妻は生活費を出さないのに、自分のことにお金を使いすぎだ」などと不満を抱えている夫は、まず生活費を見直し、夫婦で共通の将来設計を持つことを妻に提案してみましょう。妻も一緒に考えてくれれば、夫婦関係を修復できる可能性があります。
しかし、生活費の見直しに応じる気がないのなら、妻は夫のことを「金づる」「ATM」などと思っているのかもしれません。この先の人生を考えれば、離婚を検討するのも一つの選択です。離婚を考えたときは、夫婦の問題に強い弁護士に相談してみましょう。法律や裁判例に基づいた的確なアドバイスが受けられるはずです。
塚本 亜里沙/東京山手法律事務所(第一東京弁護士会所属)
20年以上の経験を持つ弁護士。
弁護士が行うリーガルカウンセリングもカウンセリングの一種であり、カウンセリング能力の向上は不可欠であると考え、日本メンタルヘルス協会基礎心理カウンセラー・(一財)日本能力開発推進協会家族療法カウンセラー・アンガーコントロールスペシャリスト取得。
夫婦関係・離婚のお悩みに真摯に向き合い、幸せな離婚に向けた解決をモットーに全力を尽くしている。