妻の出産後に産後クライシスに陥る夫婦は少なくありません。心身の不調や不安、夫への不満などで妻が感情的になり、夫婦仲が悪化することを指しますが、なりやすい人もいるようです。産後クライシスの予防や克服のために、産後クライシスになりやすい人や対処法を紹介します。
産後クライシスでイライラ…なりやすい人はいる?
妻の出産後、夫婦仲がぎくしゃくし、愛情も冷めていくことを「産後クライシス」と言います。夫に対して妻がひどい暴言を吐いたり、感情的に当たり散らしたりすることが多く、中には離婚の危機にまで発展するケースもあります。
産後クライシスで旦那が無理になり、やることなすこと何もかもイライラして、当たってしまっていました。
産後4ヶ月で旦那から離婚したいと言われました。
子供のことを考えると離婚したくないので
たくさん八つ当たりしたこと等素直に謝りましたが言いたいことはわかった。とだけ言われて毎日めちゃめちゃ冷たくされています。
できれば関係修復する方向にいきたいのですがどうしたらいいのでしょうか。
子供が5ヶ月、30代後半結婚して1年ちょいです。
妻は今は仕事はしておらず、復帰はまだ未定です。
産後クライシスが激しいのか浮き沈みが激しいです。
最近は家事に関する些細なミスや、計画が不十分な事で周りに迷惑かけたこともありました。
それに対して、もうこれ以上我慢できないとか言われ話しすらまともにしなくなりました。
こちらとしては謝罪もしたし、出来ることは一個ずつ頑張っていくと言っても、そんな事繰り返してばかりで本当に結婚して後悔したと言われました。
もちろん不倫やギャンブルや酒や過度なプライベートに時間を費やすことはありません。
収入もそれなりに高いと思います。
家事、育児も全くやらないわけではなく、出来ることはやってます。
どうしたら現状を改善出来るでしょうか。
産後クライシスに陥りやすい人にはどのような特徴があるのでしょうか。産後クライシスを引き起こしやすい人の特徴や、産後クライシスを克服する方法、離婚を考えた際のポイントなどを紹介します。
産後クライシスになりやすい人の特徴
産後クライシスを引き起こしやすい夫や妻に、共通点はあるのでしょうか。妻が夫につらく当たることが多いことから「妻が悪い」と言われることもありますが、妻側からは「イライラさせる旦那側が悪い」という声もあります。産後クライシスになりやすい人の特徴を紹介しますので、チェックしてみてください。
完璧主義の妻
真面目で几帳面な性格で、なんでも完璧にやらなければ気が済まない女性は、出産後も一人で何でもこなそうとするあまり精神的に追い詰められ、産後クライシスに陥ることがあります。責任感の強さが裏目に出るケースもあります。
出産後は女性の体内のホルモンバランスが崩れるため、さまざまな症状が現れて心身が不調になりやすい時期です。そのうえ、慣れない育児をしなければならないのですから、疲れやストレスも溜まりがちになります。そんなときに、何事も完璧にやろうとしても、うまくいくはずがなく、ついひどい暴言を吐くなどして夫に当たってしまうことがあります。
そんな妻の気持ちやつらさを理解できない夫が反発すると、夫婦仲がうまくいかなくなり、夫婦は危機的な状況に陥ります。
相談相手のいない妻
だれでも初めての育児は手探りです。母親教室でさまざまなことを学び、本やネットで調べても、思ってもみなかったことが起こるのが子育て。どうしたらよいのか、途方に暮れることも少なくありません。そんなとき、相談できる相手が周囲にいないと、妻は不安や悩みによって感情的に不安定になってしまいます。
せめて夫が話し相手になってくれればいいのですが、夫も仕事で忙しく、育児や家事への関心が低いと、妻は誰にも助けを求められず、孤立してしまう可能性があります。こうした不安定な精神状態や孤独から産後クライシスを引き起こす可能性があります。
家事や育児に無関心な夫
産後クライシスの原因が妻の心身の不調や孤独だと聞くと、妻が悪いように聞こえるかもしれませんが、そうではありません。妻が精神的に追い込まれ孤立化するのは、夫が育児や家事に無関心なせいです。周囲に手助けしてくれる人が少なくても、夫が家事や育児を手伝い、妻の悩みや不安に寄り添えば、妻のストレスも軽減されるはずです。
夫が家事や育児に無関心だと、妻はすべてを一人でこなさなければならず、不満やストレスだけでなく、疲労もたまっていきます。こうして心身ともに疲れ果てた妻は「旦那側は自分にすべて押し付けて、何もしてくれない」と反感を抱き、夫婦としての愛情も冷めていくのです。
妊娠や出産について知識のない夫
最近は妻の出産前に父親学級などに通う夫も増えてきましたが、「出産や育児は妻がやることだ」と子育てについて学ぼうとしない夫も少なくありません。こうした夫は、出産後や育児中の妻の心身の変化についても知らず、出産後に妻の態度が変わったことに驚き、戸惑います。
出産によるホルモンバランスの変化で、妻の精神状態が不安定になると知っていれば、それなりの対応ができるはず。妻の不満やストレスに気付かず、放置した結果、産後クライシスに陥った場合は夫にも責任があるといえます。
会話の少ない夫婦
会話の少ない夫婦は、互いの悩みや不安、困りごとなどを互いに打ち明ける機会が少なく、気持ちのすれ違いや誤解が生じやすくなります。また、家事や育児について、夫の言い分を全く聞かない妻もいます。出産や育児は本来、二人で協力して取り組んでいかなければならないのに、意思疎通やコミュニケーションが十分でなければうまくいかないのも当然でしょう。
子供が生まれたら、育児や家事の分担や子供の様子などだけでなく、家庭生活のルールや将来設計など話し合わなければならないことが増えます。それなのに夫婦の会話が少ないと、大切な話し合いが行われず、夫婦の溝はしだいに大きく深くなり、関係の修復も難しくなってしまいます。
出典: リコ活MEDIA
産後クライシスになる主な原因は?
産後クライシスに陥ったという自覚を持つ妻は少なくなく、6割以上の母親が「夫への愛情の冷え込みを経験した」という調査結果もあります。これほどの多くの人が産後クライシスを経験する原因はどこにあるのでしょうか。
妻側の原因|ホルモンバランスの乱れ
女性が妊娠や出産をするとホルモンバランスが変化し、心身の不調を訴えるようになります。生理のときにイライラしたり、頭痛や腹痛などの体調不良を訴えるのと同じ仕組みですが、妊娠や出産のときのホルモンバランスの変化は急激です。そのため、自分ではコントロールできないほど、感情の起伏が激しくなることがあります。
これは、どんな女性にも程度の差はあれ、誰にでも起こることなので、多くの妻が産後クライシスを自覚するのも当然です。そこから、夫婦関係を修復できるかどうかは、夫婦の協力や努力しだいでしょう。
夫側の原因|育児や家事に非協力的
妻の誰もが、産後クライシスの原因を抱えている以上、それが表面化するかどうかは、夫しだいということになります。出産後「夫とニ人で子育てをした」という実感がある妻は、その後夫への愛情が回復したのに対し、「自分一人で子育てをした」と思っている妻は、夫への愛情が回復しなかったという調査結果もあります。
ホルモンバランスの影響をどの程度受けるのかは個人差があり、妻の自覚や努力ではどうにもならないこともあります。しかし、家事や育児への協力は本人の自覚や努力しだい。産後クライシスを防げるか、悪化させるかは夫の姿勢にかかっているとも言えそうです。
産後クライシスになりやすい人ができる対策は?
産後クライシスになりやすい人でも、対策を講じることで、夫婦関係の悪化を防ぐことができます。効果が期待できる対策を紹介します。
産後クライシスについて知る
産後クライシスによる夫婦の危機を予防し、乗り越えるには、夫と妻それぞれが「産後クライシス」についてよく知っておく必要があります。出産後、ホルモンバランスの影響で、妻が不調を訴えることがあると知っていても、具体的にどのような状況になり、どのように対処すればいいのかを知らない夫婦は少なくありません。
あらかじめ、出産後の妻の変化について知っておけば、妻が感情をコントロールできなくなっても、夫は冷静に受け止めることができます。妻も心身の不調やイライラに対し悩むことがなくなり、適度に気分転換を図るなどして対処できるようになるでしょう。たとえ、産後クライシスに陥っても、互いに話し合うことで、克服の道筋が見えるはずです。
互いに感謝の気持ちを持つ
産後クライシスの状態に陥ると、互いに感情的になりがちですが、相手に感謝する気持ちを忘れなければ、夫婦関係の悪化を防げるはずです。長い妊娠期間を経て、出産を終えてくれた妻への感謝があれば、疲れた妻をいたわる気持ちが生まれ、家族を支えてくれている夫への感謝があれば、イライラして言い過ぎたときもすぐに謝ることができます。
感情的になっているときも、相手に「ありがとう」と言われれば、気持ちは少しは和らぎます。信頼関係も保つことができ、たとえ、産後クライシスに陥っても、しだいに愛情を回復させ、良い夫婦関係を築けるはずです。
家事や育児のルールを決めておく
出産後、妻が不満を感じることのないよう、出産前から家事や育児の分担を決め、ルール化しておくのも良い対策となります。互いに負担が偏らないよう、よく話し合い、家事の細かなやり方も確認しておくといいでしょう。妻は感情的になると、自分のやり方を夫に押し付け、夫のやり方にいら立ってしまうことがあります。
もちろん、実際にやってみてうまくいかないこともあるでしょう。しかし、互いに話し合ってルールを修正しながら、協力しあっていけば、産後クライシスによる夫婦の危機も回避できるはずです。
産後クライシスに陥ってしまったら
出産前に対策を考えていても、実際にやってみると予想通りにいかないことがあります。思っていた以上に育児が大変で、思い通りにいかないこともあるでしょう。結局、夫婦関係もぎくしゃくしてしまうことも十分考えられます。
しかし、産後クライシスがいつまで続くかは夫婦の協力しだいです。有効な対策を講じて、できるだけ早く関係を修復しましょう。
一時的なことと割り切る
産後クライシスのもともとの原因は、妻のホルモンバランスの変化で、どうしようもない部分もあります。逆に言えば、母親であれば、程度の差はあれ、誰でも経験していることであり、大したことではないとも言えます。夫も妻も「そういう時期だから仕方がない」「一時的なことだから」と割り切ることも必要でしょう。
原因さえ分かっていれば、「どうして夫にあんなことを言ってしまったのだろう」「妻はなぜいつも不機嫌なのだろう」と悩むこともなくなります。「この状態がいつまで続くのか」と不安になることもありますが、いずれは妻が抱える心身の不調などの症状も治まると考えれば、余裕をもって対処できるはずです。
一時預かりやベビーシッターを利用して負担を減らす
妻の心身の不調を和らげるには、妻の負担を減らすと同時に、気分転換を図ってストレスを解消することが大切です。しかし、赤ちゃんからは常に目が離せないため、自分の時間をつくれない妻は、ストレスを解消する暇がありません。
疲れやストレスがたまって「子育てがつらい」と感じてしまうときは、保育所の一時預かりやベビーシッターを利用して、自分の時間を確保することも考えましょう。自治体ではサービスを利用できるクーポン券を発行していることがありますし、福利厚生の一環として割引サービスなどを提供している企業もあります。可能なら、実家に子供を預けてもいいでしょう。
たまに、子供を預けてゆっくりすることは決して悪いことではありません。自分のための時間をつくり、好きなことを楽しんでリフレッシュすれば、子供や夫に余裕を持って接することができるはずです。
夫婦で話し合う
夫婦の危機を乗り越えるのに、大切なのは話し合いです。正直に自分のつらさや不満を夫に打ち明けましょう。出産後の妻の変化をある程度知っている夫でも、具体的な変化について実感がない場合もあります。自分の身に起きていることを正直に伝えることで、夫も妻の気持ちをより理解できます。
ただし、話し合いのときは夫を責めてはいけません。夫にも考えがあったはずで、夫の言い分に耳を傾けることも必要です。もしかすると、夫は夫なりに妻のためを思って行動していたのかもしれません。話し合いによって、誤解や気持ちのすれ違いが解消すれば、妻の気分もかなり楽になるでしょう。
相談相手を見つける
子育ての悩みは自分一人で抱え込まず、実家の親や義父母、友人など信頼できる人に相談することも大切です。子育てをしてきた人なら、必ず育児の悩みや夫婦の危機を経験しているはず。きっと、悩みや不安、不満に共感してくれ、よいアドバイスをしてくれるはずです。
また、子育てや夫婦関係に詳しいカウンセラーであれば、より専門的な相談ができます。精神的な不調が深刻なものではないか、チェックもしてくれるでしょう。産後クライシスが深刻な状況になると、妻がうつ病などの精神疾患を発症することがあり、専門医の診察を受けるよう勧められることもあります。
産後クライシスがひどくて離婚したい場合はどうする?
産後クライシスが悪化して「離婚するしかない」という状況に陥ったとき、離婚は可能なのでしょうか。産後クライシスを理由に離婚可能なのか、離婚を進める際、どのようなポイントに気をつければ良いのかを解説します。
産後クライシスを理由に離婚できる?
産後クライシスが悪化し、もう結婚生活は続けられないと感じたときは、話し合いの結果、夫婦双方が離婚に同意すれば離婚は可能です。このように話し合いで離婚することを協議離婚といいます。離婚で最も多いのが協議離婚で、離婚の理由を問われることもありません。
ただ、どちらか一方が「離婚はしたくない」と拒否した場合は、すぐには離婚できません。また、離婚には応じるものの、財産分与などの条件をめぐって話し合いがつかないこともあります。そのときは離婚を求めて話し合いを続けるか、法的な手続きに基づいて離婚を求めていくしかありません。
離婚の合意を得られないときは調停という手も
どちらか一方が離婚に反対したり、離婚に同意したものの、条件で折り合えなかったりした場合は、家庭裁判所に離婚調停を申し立てることができます。調停とは裁判所の調停委員を介した話し合いで、調停委員が双方の意見を聞き、言い分を整理して合意を目指します。しかし、合意できる見込みがないときは調停不調として打ち切られてしまいます。
調停が打ち切られると、再び協議離婚を目指して話し合うか、離婚裁判を起こして裁判所に離婚を求めることになります。裁判で認められれば、相手の合意がなくても離婚が可能です。
理由によっては離婚できることも
離婚裁判を起こすには条件があり、離婚調停の後にしか起こせません。また、民法で定められた「離婚事由」がなければ、裁判を起こすことができないことになっています。離婚事由とは、次の5つの事情です。
・配偶者が浮気や不倫(不貞行為)をした
・一方的な別居や生活費の未払いなど配偶者の悪意で遺棄された(悪意の遺棄)
・配偶者の生死が不明で3年以上経つ
・配偶者が重症の精神病で治る見込みがない
・婚姻を継続しがたい重大な事由がある
「産後クライシスになった」「夫が育児を手伝ってくれない」「妻が感情的になり、夫婦関係がぎくしゃくする」と言った理由では、離婚事由には該当せず、離婚裁判は起こせません。ほかに浮気やDV、長期間の別居など離婚事由に該当する理由が必要となります。
もし、「感情的になった妻が、夫や子供にひどい暴力を振るう」「夫が無断で家を出て行き、生活費も入れない」といった事情があるのなら、離婚できる可能性もあります。どうしても夫婦関係の収縮が困難だと感じたら、離婚問題に詳しい弁護士に相談しましょう。
産後クライシスを克服するには出産後の妻の変化を理解し、夫婦で協力しよう
産後クライシスは多くの夫婦が経験することで、特別なことではありません。長く円満な夫婦生活を送るための試練といえるかもしれません。産後クライシスの主な原因は、妻のホルモンバランスの変化と、育児や家事に協力的ではない夫の姿勢です。産後クライシスの原因をよく知り、二人で困難な時期を乗り切りましょう。