「旦那が借金を隠していた」と知ったとき、多くの妻は裏切られた気持ちと今後の生活への不安で途方に暮れるでしょう。借金の理由や金額によっては離婚を考えることもあるかもしれません。この記事では、夫の借金が発覚した際に確認すべきこと、債務整理の方法、離婚の可否、そして妻自身の財産を守る方法まで、具体的な対処法を解説します。
この記事でわかること
・旦那が借金を隠していた場合に確認すべき項目と対処法
・借金を整理する3つの方法の違い
・借金を理由に離婚できるケースと離婚後の借金の扱い方

旦那が借金を隠していた…
ある日突然、夫の借金が発覚して、途方に暮れる妻がいます。裏切られた気持ちから、どうしても許せず、「こんな旦那とは別れたい」と思う妻もいるでしょう。中には何度も借金を繰り返す夫もいて、妻は絶望感を覚えることもあります。
借金を隠していた夫、離婚すべきかどうか、迷っています。
数年前にも借金が判明し、親族の協力を得て、当時は解決できた、と思っていました。親族の気持ち、子どもがいること、他にはないという本人の言葉を信じ、やり直す決心をした、のが間違いだったのでしょうか。隠していた数百万円の返済に、私が必死で貯めたお金を勝手に解約し、利息の返済に充てていました。ちっとも総額は減ってません。昔と変わらず、目先のことだけしか見えておらず、借金返済を後延ばしにするため、節約して貯めたお金を無断で使ってました。お金は2人で働いて貯めたものなので、夫は自分のものと思ったのでしょうが、こそこそ隠れて騙し通そうとしたこと、数年間、私たちを裏切ってきたこと、とても許せません。
引用元: https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1328068168
夫32歳、私30歳、共働き子供なし、結婚して3年です。
ずっと言えなかったんだけど、借金がある、と言われました。500万。
私がお金の管理をしており、お小遣い制です。結婚する際、借金が少しあることは聞いていましたが、月のお小遣いでなんとかできるという話だったので気にしていませんでした。
その後もカードローンで借り入れし、3年で500万まで膨れ上がったそうです。どうにもならなくなってついに口にした、といった感じです。
使い道はパチンコ。全く知りませんでした。
夫はもう借金はしないし離婚はしたくない、お義母さんからも泣きながらその借金はなんとかするから離婚はもう少し考えてほしい、と言われています。
正直今、一番信頼していた夫に裏切られた気持ちがいっぱいで、どうしたらよいのかわかりません。反省はしてるようですが、平気でこの金額の借金を作ってしまう夫への絶望感で困惑しています。
引用元: https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q11170107641
夫が多額の借金を隠していたことがわかった場合、どうすればいいのでしょうか。問題解決に向けて、まずしなければならないことや、離婚を考えたときのポイントなどを解説します。
旦那が借金を隠していた場合に確認すること
「旦那が多額の借金を隠していた」という場合、妻はどのように対応しなければならないのでしょうか。とにかく、うろたえていても仕方がないので、借金の実態を調べる必要があります。夫への問い詰め方を含めて、確認しなければならないことを説明します。

借金の理由は何か
夫の隠していた借金が発覚した場合、まずは何が理由でできた借金なのかを尋ねてください。借金の理由によっては、妻にも返済義務が生じることがありますし、離婚の理由にもなり得ます。たとえば、結婚後にできた借金の一因が、妻の浪費だったような場合、妻にも責任の一端があると言えます。
ギャンブルで散財したのであれば、ギャンブル依存の可能性があり、治療を受けることも必要です。浮気や風俗店の利用が原因であれば、同情の余地はなく、離婚を視野に入れて夫には償いをしてもらわなければなりません。仮に、会社のお金を使い込んでいたということになれば、一大事です。とにかく、借金の理由を聞かなければ、その後の方針が立てられません。
借金の総額や金利、借入先
借金の理由を確認したら、次は借金の額がいくらあるのか、借入先はどこか、金利、滞納状況を確認しなければなりません。どのように借金が発覚したのかにもよりますが、夫は「バレていない分は黙っていよう」と考えていることがあります。後から、ほかにも隠していた借金が出てくることのないよう、しっかり聞き出しましょう。確認すべき項目は次の通りです。
・借入額
・債務残高
・借入先
・金利
・滞納が発生していないか
金利が比較的安い銀行のローンと、消費者金融では金利が大きく異なりますし、多重債務で普通の金融機関から借りられなくて、闇金融からお金を借りてしまう人もいます。また、滞納が発生していると、遅延損害金を支払うよう求められたり、残金を一括で支払うよう求められたりする恐れがあります。
保証人はいるのか
借金の保証人となっている人がいるのかを確認することも大切です。保証人とは、お金を借りた本人が返済できなくなったとき、代わりに借金を返済する義務を負う人のことです。ときには、無断で妻を保証人にしていることがあります。また、自己破産したときには、免除された借金の額が保証人に一括請求されるので、注意が必要です。
夫が隠れて借金をしていたときは、無断で自分や親族などを保証人にしていないかどうか、誰か保証人がいて、借金を法的整理したときに迷惑をかける人がいないかどうかを確認しておくことが大切です。
担保付きの借金はあるのか
借金の中に担保付のものがあるかどうかもチェックするポイントです。担保とは、借金が返済できなくなった場合、借金の代わりに債権者へ譲り渡す財産のことです。住宅ローンを組む際などは、土地や建物を担保にするのが一般的です。住宅ローン以外でも、土地を担保にしてお金を借りる場合があります。
担保付きの借金は利率が比較的低く、多額のお金を借りられます。しかし、お金を返せないと、家を譲り渡さなくてはなりません。自宅が担保になっている場合、最悪の場合、家を出なければならなくなります。
旦那が借金を隠してた場合の対処法
夫が多額の借金を隠していた場合、どのように対応すればいいのでしょうか。借金の内容や返済状況によって、対応を変える必要もありますが、一般的に考えられる対処法について説明します。

借金の返済方法を検討する
夫が隠していた多額の借金が発覚したときは、借入額や借入先を確認したうえで、すぐに借金の返済方法を検討することが大切です。返済するときは妻や親族が肩代わりする方法もありますが、まずは夫に返済させることが大切です。安易に助け舟を出すと、反省もなく再び借金をしてしまう可能性があります。
夫に返済させると言っても、すぐにお金は用意できないでしょうから、「債務整理」という方法を用いるといいでしょう。債務整理は話し合いや法律などに基づいて、借金を減額、免除してもらう手段です。債務整理をすると、その後5年間ほどは新たな借り入れができなくなるため、借金も止められます。債務整理については、後ほど説明します。
妻が家計を管理する
夫の借金問題を解決するには、家計管理を見直す必要もあります。これまで夫の自由になるお金があった場合は、妻がすべての収入を把握して管理しましょう。サラリーマンであれば、給与明細で収入を把握することができますが、個人事業主や経営者だと収入を把握しづらいことがあります。しかし、なんとか夫に協力させ、妻が管理しなければ、問題は解決しません。
夫は収入のすべてを明らかにすることを拒むかもしれませんが、しっかり話し合って、家計管理をすべて妻に委ねることを了承させる必要があります。自分で自由に使えるお金ほしさに、また借金をしないよう、必要であれば誓約書などを書いてもらうことも考えましょう。
親族に相談する
借金が多額に上る場合、夫の両親や兄弟姉妹など親族に相談することも効果的です。夫は抵抗するかもしれませんが、借金の整理で迷惑をかけることがあるかもしれません。また、親族に借金を頼み込んだりしないよう、未然に防ぐ意味もあります。
場合によっては、親族から金銭的に援助してもらえるかもしれませんし、保証人になってもらえる可能性もあります。親や兄弟を巻き込むことで、夫も心から反省してくれるかもしれません。
弁護士に相談する
借金が多額で借入先も複数ある場合は、借金問題に詳しい弁護士に相談するのも一つの方法です。借金を整理するにはいくつか方法がありますから、弁護士にメリットとデメリットを説明してもらえば、よく比較検討して後悔しない方法を選択できます。また、消費者金融やクレジットカード会社、銀行などとの交渉や法的手続きも代行してもらえます。
個人で交渉や法的手続きを進めようと思っても、法的知識が乏しくスムーズに手続きを進められなかったり、交渉で不利になることもあります。弁護士への報酬は必要になりますが、状況に応じて弁護士への相談や依頼も検討しましょう。
借金を整理する3つの方法

借金を減額してもらったり免除してもらうことを「債務整理」といいます。どうしても借金が払えなくなった場合、債務整理を行えば、返済が楽になったり、免除されたりする可能性があります。しかし、今後当面の間、キャッシングやローンができなくなり、財産の一部を没収されるといったデメリットもあります。
こうした債務整理には主に次の3つの方法があります。
・任意整理
・個人再生
・自己破産
それぞれの方法について説明します。
任意整理
任意整理は、消費者金融やクレジットカード会社などと直接交渉して、借金を無理なく返済できるよう、返済方法を見直してもらうことを言います。具体的には、利息をカットしてもらい、元金を3年から5年程度で返済できるようにします。払い過ぎた利息を返還してもらえることもあります。
借金をした本人が直接相手と交渉することもできますが、あくまでも任意の話し合いなので、相手に合意してもらう必要があります。弁護士に依頼すると、着手金や解決報酬として数万円ずつ、さらに借金の減額分に応じた報酬を支払う必要はありますが、自分で交渉するよりスムーズに手続きを進められる可能性があります。
個人再生
個人再生は、裁判所に申し立てをして、無理なく返済できるよう借金を大幅減額してもらう手続きです。裁判所で手続きをしなければならないため、手続きには時間や費用がかかりますが、その分、借金を5分の1から最大で10分の1程度にまで減額することも可能です。返済は原則として3年間で行い、事情によっては5年間への延長も認められます。
個人再生の場合は、自宅を手放す必要はなく、そのまま自宅に住み続けることができます。ただし、個人再生が認められるには、3年間で減額後の借金を返済できるだけの収入見込みがなければなりません。また、保証人がいる場合は、保証人に対して減額分が一括請求されます。
自己破産
自己破産は、裁判所に借金全額の免除を申し立てる方法です。裁判所に破産が認められれば、借金を支払う必要はなくなります。裁判所での手続きが必要なため、時間や費用がかかるのは個人再生と同じです。借金が免除される一方で、家や車などの財産、現金などの多くは没収されます。手元にどれくらいの財産が残るかは、裁判所の判断によって異なります。
自己破産の手続きを自分で行うことも可能ですが、必要な書類の作成や手続きが煩雑で、最悪の場合、弁護士に依頼するより費用が掛かってしまう場合もあります。破産手続きをするのなら、弁護士に依頼したほうが、手続きがスムーズに進み、後悔することも少ないでしょう。保証人がいた場合、破産すると、免除された借金の総額が保証人に一括請求されます。
借金発覚後の妻の財産保護の方法
夫の借金が発覚したとき、妻が最も心配するのは「自分の財産まで失ってしまうのではないか」ということです。夫の借金によって、妻名義の預金や資産が差し押さえられたり、知らないうちに連帯保証人にされていたりするケースもあります。ここでは、借金発覚後に妻が自分の財産を守るために知っておくべきことを解説します。

夫の借金に妻は返済義務があるのか
原則として、夫が個人的に作った借金について、妻に返済義務はありません。夫婦であっても、借金の債務は個人に帰属するものであり、自動的に配偶者が返済しなければならないわけではないのです。
ただし、次のようなケースでは例外的に妻にも返済義務が生じる可能性があります。
・妻が連帯保証人や保証人になっている場合
・夫婦の生活費や子供の教育費など、日常家事債務として認められる借金の場合
・妻名義で借金をしていた場合
特に注意が必要なのは、夫が妻に無断で連帯保証人にしているケースです。印鑑証明書や身分証明書を勝手に使われ、知らないうちに保証人にされていることがあります。
妻名義の財産を守るための具体的対策
夫の借金から妻名義の財産を守るには、以下の対策を講じることが重要です。
口座や資産の名義を確認する
まずは、すべての口座や資産の名義を確認しましょう。実質的に妻が貯めたお金であっても、夫名義の口座に入っていれば、夫の財産とみなされ、差し押さえの対象になる可能性があります。
・預金口座の名義
・証券口座や投資信託の名義
・不動産の名義
・生命保険の契約者名義
・車の名義
妻名義の口座があれば、その口座は原則として差し押さえの対象にはなりません。ただし、実質的に夫のお金を妻名義の口座に移しただけだと判断されると、財産隠しとみなされる恐れがあるため注意が必要です。
給与や収入の振込先を変更する
妻が働いている場合、給与の振込先を妻名義の口座に変更しておくことが大切です。夫名義の口座に振り込まれていると、夫の財産と混同され、差し押さえのリスクが高まります。
また、可能であれば夫とは別の金融機関に口座を開設することをおすすめします。同じ銀行で夫婦の口座を持っていると、債権者が夫の口座を差し押さえる際に、妻の口座の存在も把握されやすくなるためです。
財産を分けて管理する
夫婦で共有していた財産は、できるだけ明確に分けて管理するようにしましょう。
・生活費用の口座と貯蓄用の口座を分ける
・妻の収入で貯めたお金は妻名義の口座で管理する
・高額な買い物をする際は、誰のお金で購入したか記録を残す
特に離婚を視野に入れている場合、財産分与の際にどの財産が夫婦共有財産で、どの財産が妻の固有財産なのかを証明する必要があります。通帳の記録や領収書などを保管しておくと、後々役立ちます。
連帯保証人にされていた場合の対処法
夫が妻に無断で連帯保証人にしていたことが判明した場合、どのように対処すればいいのでしょうか。
保証契約の有効性を確認する
まず確認すべきは、保証契約が法的に有効かどうかです。妻の同意なく勝手に署名・押印されていた場合、その保証契約は無効になる可能性があります。
・自分で署名・押印した記憶がない
・筆跡が明らかに自分のものではない
・印鑑証明書を勝手に使われた
このような場合は、保証契約の無効を主張できる可能性があります。ただし、形式上は妻が署名したように見える場合、無効を証明するのは容易ではありません。
弁護士に相談する
連帯保証人にされていることが判明したら、すぐに弁護士に相談することが重要です。弁護士は次のようなサポートをしてくれます。
・保証契約の有効性を法的に検討する
・債権者との交渉を代行する
・保証債務の減額や分割払いの交渉をする
・場合によっては、妻自身の債務整理も検討する
特に、保証債務が高額な場合や、債権者から一括返済を求められている場合は、専門家のサポートが不可欠です。
保証債務を減らす方法
無断で連帯保証人にされていた場合でも、すでに一部返済してしまっていたり、時間が経過していたりすると、保証契約を無効にすることが難しくなります。その場合は、保証債務を減額する方法を検討しましょう。
・債権者と交渉して分割払いにしてもらう
・主債務者(夫)の債務整理に合わせて保証債務も減額交渉する
・最終手段として、妻自身も債務整理を行う
連帯保証人は主債務者と同等の返済義務を負いますが、交渉次第では返済条件を緩和してもらえることもあります。
旦那が借金を隠していたことを理由に離婚できる?
夫が多額の借金を隠していたことを理由に離婚できるのでしょうか。離婚できるケースや、離婚を検討する際のポイントなどを紹介します。

夫と合意できれば離婚も可能
多額の借金を隠していた夫と離婚したいと思ったとき、話し合いの結果、夫も離婚に同意してくれれば離婚は可能です。夫も、多額の借金を抱えてしまった以上、離婚も仕方がないと思っているかもしれません。このように話し合いで離婚することを協議離婚といいます。離婚で最も多いのが協議離婚で、離婚の理由を問われることもありません。
ただ、夫が「離婚はしたくない。借金はどうにかするので別れたくない」などと言った場合は、すぐには離婚できません。また、離婚には応じるものの、財産分与などの条件をめぐって話し合いがつかないこともあります。そのときは離婚を求めて話し合いを続けるか、法的な手続きに基づいて離婚を求めていくしかありません。
離婚の合意を得られないときは調停という手も
夫が離婚に反対したり、離婚には同意してもらえても条件で折り合えなかったりした場合は、家庭裁判所に離婚調停を申し立てることができます。調停とは裁判所の調停委員を介した話し合いで、調停委員が双方の意見を聞き、言い分を整理して合意を目指します。しかし、合意できる見込みがないときは調停不調として打ち切られてしまいます。
調停が打ち切られると、再び夫との間で協議離婚を目指して話し合うか、離婚裁判を起こして裁判所に離婚を求めることになります。裁判で認められれば、相手の合意がなくても離婚が可能です。
借金の理由によっては離婚できることも
離婚裁判を起こすには条件があり、離婚調停の後にしか起こせません。また、民法で定められた「離婚事由」がなければ、裁判をしても離婚は認められません。離婚事由とは、次の5つの事情です。
・配偶者が浮気や不倫(不貞行為)をした
・一方的な別居や生活費の不払いなど配偶者の悪意で遺棄された(悪意の遺棄)
・配偶者の生死が不明で3年以上経つ
・配偶者が重症の精神病で治る見込みがない
・婚姻を継続しがたい重大な事由がある
ただ、「旦那が多額の借金を隠していた」と言う理由だけでは、離婚事由には当てはまりません。借金の理由によっては、離婚が認められる可能性がありますが、生活費や子供の学費を払えずに借金をしてしまったという場合であれば、夫だけの責任とも言い切れない部分があり、離婚が認められない可能性もあります。
もちろん、借金の理由が浮気だったという場合や、遊興費にお金を注ぎ込んで多額の借金を抱えたうえで生活費を家にほとんど入れないという場合であれば、「不貞行為」や「悪意の遺棄」、「婚姻を継続しがたい重大な事由がある」に当てはまる可能性があります。それによって夫婦関係が修復困難だと判断されれば離婚も認められるでしょう。
借金による離婚における財産分与を見据えた対応
離婚を考えている場合、財産分与の際に夫の借金がどのように扱われるかを理解しておく必要があります。

借金は財産分与でマイナスになるのか
財産分与では、夫婦が婚姻期間中に築いた財産を分け合います。この際、借金も考慮されますが、すべての借金がマイナスの財産として扱われるわけではありません。
財産分与で考慮される借金の例
・住宅ローン
・車のローン
・子供の教育ローン
これらは夫婦の共同生活のために作られた借金なので、財産分与の際にマイナスの財産として考慮されます。
財産分与で考慮されない借金の例
・ギャンブルによる借金
・浮気相手との交際費による借金
・個人的な趣味や娯楽のための借金
夫が個人的な理由で作った借金は、原則として財産分与の対象にはなりません。つまり、妻は自分の取り分から夫の個人的な借金を差し引かれる必要はないのです。
財産分与前に財産を隠されないための注意点
夫が借金を抱えている場合、離婚前に財産を隠したり処分したりする可能性があります。財産分与を適切に受けるため、次のような対策を講じましょう。
・夫名義の預金口座の残高を記録しておく
・不動産や車などの資産をリストアップする
・退職金の見込み額を確認する
・生命保険の解約返戻金を調べる
財産の存在を証明する書類(通帳のコピー、不動産の登記簿謄本、給与明細など)を集めておくと、離婚交渉や調停で有利になります。
専門家への相談が重要
夫の借金が発覚し、自分の財産を守りたいと考えたときは、早い段階で専門家に相談することが何より重要です。
・弁護士:法的な権利保護、離婚や財産分与の相談
・司法書士:債務整理の手続きサポート
・ファイナンシャルプランナー:家計の見直しや資産管理のアドバイス
特に、連帯保証人になっていた場合や、離婚を視野に入れている場合は、弁護士への相談が不可欠です。多くの法律事務所では初回相談を無料で行っていますので、まずは気軽に相談してみることをおすすめします。
夫の借金問題は、放置すればするほど状況が悪化します。妻自身の生活と財産を守るため、適切な知識を持ち、必要な対策を早めに講じることが大切です。
離婚後の借金の扱いはどうなる?
離婚が成立したからといって、夫の借金に関する問題がすべて解決するわけではありません。離婚後も借金が妻に影響を及ぼすケースがあるため、事前に理解しておくことが重要です。

離婚後も支払い義務が残るケース
離婚しても、次のようなケースでは妻に借金の支払い義務が残ります。
・妻が連帯保証人や保証人になっている場合
離婚しても保証契約は自動的に解消されません。元夫が返済できなければ、妻が代わりに返済する義務が生じます。
・妻名義で借りた借金
夫に頼まれて妻名義で借りた借金は、離婚後も妻に返済義務があります。
・夫婦の共有財産を担保にした借金
財産分与で取得した不動産が担保になっている場合、離婚後も返済が滞れば差し押さえのリスクがあります。
離婚前に連帯保証人の解除交渉や、借金の名義変更を検討することが望ましいですが、債権者の同意が必要なため簡単ではありません。
養育費や慰謝料との相殺
離婚時に養育費や慰謝料の取り決めをする際、夫の借金がどのように影響するかを理解しておきましょう。
養育費は相殺できない
養育費は子供の権利であるため、夫の借金と相殺することはできません。夫が借金を抱えていても、子供を養育する義務は変わらず、養育費の支払いを求めることができます。ただし、夫の収入状況によっては減額される可能性があります。
慰謝料は状況により相殺される可能性がある
慰謝料については、夫婦の財産状況を考慮して決められるため、夫が多額の借金を抱えている場合、慰謝料額が減額されたり、分割払いになったりすることがあります。ただし、浮気やDVなど夫に明確な有責性がある場合は、借金があっても慰謝料請求は認められます。
財産分与との関係
財産分与では、夫婦共同の借金(住宅ローンなど)はマイナスの財産として考慮されますが、夫の個人的な借金は原則として財産分与に影響しません。妻が受け取るべき財産から、夫の個人的借金を差し引く必要はありません。
元配偶者の自己破産が離婚後に及ぼす影響
離婚後に元夫が自己破産した場合、元妻にどのような影響があるのでしょうか。
養育費・慰謝料は免除されない
自己破産によってほとんどの借金は免除されますが、養育費と慰謝料は非免責債権として、自己破産後も支払い義務が残ります。元夫が自己破産しても、養育費や慰謝料を請求し続けることができます。
財産分与の支払いは免除される可能性がある
離婚時に取り決めた財産分与の支払いが残っている場合、元夫の自己破産によって支払い義務が免除される可能性があります。財産分与が完了する前に元夫が破産手続きをすると、受け取れなくなる恐れがあるため、早めに財産分与を完了させることが重要です。
連帯保証人への影響
元妻が連帯保証人になっていた場合、元夫が自己破産すると、免除された借金の全額が連帯保証人に一括請求されます。離婚したからといって保証人の責任は消えないため、多額の請求を受けるリスクがあります。
元夫の自己破産を知る方法
元夫が自己破産しても、必ずしも元妻に通知が来るわけではありません。ただし、連帯保証人になっている場合は、債権者から通知が届くことがあります。養育費や慰謝料の支払いが滞った場合は、元夫の経済状況を確認することをおすすめします。
離婚後の借金問題は複雑であり、状況によって対応が異なります。不安がある場合は、離婚前に弁護士に相談し、適切な対策を講じておくことが大切です。
【Q&A】旦那の借金に関するよくある質問
Q. 夫の借金を調べる方法はありますか?
夫が正直に話さない場合、信用情報機関(CIC、JICC、全国銀行個人信用情報センター)に開示請求する方法があります。ただし、本人の同意なく妻が勝手に調べることはできないため、夫の協力が必要です。また、自宅に届く督促状や郵便物、通帳の引き落とし履歴から借入先を把握することもできます。
Q. 夫が借金を認めず、話し合いに応じない場合はどうすればいいですか?
まずは冷静に、借金について知っていることを伝え、一緒に解決したい意思を示すことが大切です。それでも応じない場合は、弁護士や家計相談の専門家など第三者を交えた話し合いを提案するのが効果的です。また、夫の両親など信頼できる親族に協力を求めることで、夫が事態の深刻さを認識し、話し合いに応じるようになることもあります。
Q. 借金の時効はありますか?
消費者金融やクレジットカードの借金には時効があり、最後に返済または債務を承認してから5年(または10年)で時効が成立します。しかし、債権者が裁判を起こすと時効は中断され、再びゼロからカウントされます。また、時効の援用(時効が成立したことを債権者に主張する手続き)をしなければ、借金は消えません。時効を期待するより、債務整理で正面から解決する方が現実的です。
Q. 夫名義のクレジットカードの家族カードを使っていた場合、妻にも支払い義務がありますか?
家族カードの債務は主契約者である夫に支払い義務があり、妻に直接の支払い義務はありません。ただし、妻が家族カードで高額な買い物をしたことが借金の原因の一つであれば、道義的責任や離婚時の財産分与・慰謝料の判断に影響する可能性があります。家族カードの利用履歴も含めて、借金の全体像を把握することが重要です。
Q. 借金を債務整理した後、夫は何年間ローンが組めなくなりますか?
債務整理の種類によって異なりますが、任意整理で約5年、個人再生や自己破産で5〜10年程度、新たな借入やローンが組めなくなります。この期間は信用情報機関に事故情報(ブラックリスト)が登録されるためです。住宅ローンや車のローン、クレジットカードの新規作成もできなくなるため、家計を立て直す期間と捉え、現金管理を徹底することが大切です。
旦那が隠していた借金が発覚して困ったときは弁護士に相談を
夫が多額の借金を隠していた場合、多くの妻は「許せない」と怒り、その後の生活を考えて、途方に暮れてしまうことでしょう。しかし、目の前の借金を何とかしないことには、生活の再建はできません。離婚するにしても、夫の借金額や資産がいくらあるのかを把握しておくことは重要です。
まずは、夫と話し合うことが大切ですが、夫がなかなか正直に話さない場合や、よい解決法が見つからない場合は、弁護士に相談することも必要でしょう。生活再建に向けて、適切なアドバイスが受けられるはずです。
