「親の離婚は子供のトラウマになり、性格や恋愛観にも影響する」と言われます。小学生や中・高校生の子供であれば、家族がバラバラになることにショックも受けるのは当然です。経済的な不安もあるでしょう。親の離婚が子供に大きなトラウマとならないようにする方法を説明します。
親の離婚は子供にトラウマを残してしまう?
親の離婚は子供にとって大きなショックで、トラウマとなってしまうと言われます。家族がバラバラになってしまうという悲しみが込み上げてくるのは当然で、経済的な面などで自分の将来に不安を感じる子供もいるでしょう。子供の性格や恋愛観にも影響を及ぼし、中には人間不信になる子供もいます。
両親の離婚がトラウマとなっているのでしょうか、対人関係・恋愛が不安です。
私が小学生の頃に両親が離婚し、直後に私達兄弟と母は今の義理の父親と生活を始めて再婚しました。
再婚してすぐに父が違う兄弟が生まれたり、義理の父親と母が私と兄弟に昔の父親と離婚し、再婚する旨を伝えたときのことがあまりに衝撃的過ぎたのか、そのときから自分より年下の子供に対して憎悪に近い嫌悪感を抱き始めてしまい、対象は身内でもある兄弟や姪も含まれます。
対人関係もしっかりとしたものを築きにくくなってしまいました。友人はいるのですが、本音を話すことができなかったり、「どうせいつか自分の前からいなくなったり裏切ったりするんだろうな」と漠然とした不安を常に感じています。
親の離婚が決まりました。原因は母にあり私は父について行きます。母が原因であり慰謝料を母から貰うようですが凄く母に対して可哀想という気持ちが出てきてしまいます。もちろん母がしたことの重大さは分かってはいます。それでもこれから生活が苦しくなる母に対して泣きそうになるくらい同情してしまいます。
それと町やテレビで家族というものをを見る度にああ私はこの状況になることは出来ないんだなと辛いです。私がまた家族で楽しく暮らしたいです。毎日涙が止まりません。
夫婦の間には子供にはわからない大人の事情もあります。しかし、子供への悪影響を考えると、親の離婚が子供のトラウマにならないよう慎重に行動することも肝心です。親の離婚でトラウマが残った子供はどのような性格になり、どのような恋愛観や生活習慣を持つのか、できるだけトラウマを残さないようにするのはどうすればいいのかを解説します。
離婚が子供の性格や恋愛傾向に与える影響は?
離婚で両親の不仲や家族と離れ離れになるという経験をした子供は、性格や恋愛観、生活習慣などにどのような影響を受けるのでしょうか。離婚を経験した子供によく見られる影響を紹介します。
学校の成績が下がり、問題行動を起こすことも
親が離婚すると、父親か母親と離れることになるほか、引っ越しや転校をしなければならないこともあります。家で一人で過ごす時間が増えることもあるでしょう。こうした環境の変化は子供にとって相当のストレスで、勉強に集中できなくなったり、友人と喧嘩を繰り返したりするようになります。
勉強に集中できないと学校の成績が下がり、友人とも不仲になると、しだいに学校がつまらなくなり、非行にもつながっていく可能性があります。離婚した後の子供の心のフォローが十分ではないと、学校での成績が下がるため、進学先や職業の選択の幅が制限され、大人になってからも生活水準が低く、生活も荒れやすくなると言われます。
不安が強くなり友人や恋人に依存しやすくなる
親が離婚したのを機に、人間不信になったり、大人に対する嫌悪感を抱いたりする子供もいます。また、親に捨てられたという意識から、人間関係への不安が強くなることもあり、精神的に不安定になりがちです。離婚後、子育てと仕事に忙しくなった親からあまり構ってもらえず、愛情不足を感じるとこうした傾向が強くなります。
このため、乳幼児では親のそばから離れず、1人になるのを怖がるようになることがあります。小学生や中学生、高校生では友人関係に依存し、友人に嫌われたくないため相手の言いなりになってしまう子供もいます。こうした他人への依存が続くと、恋愛や結婚でも相手に過剰な愛情を求めて執着し、束縛してしまうことがあります。
自分を責めるようになり罪悪感が強くなる
「親が離婚したのは自分がいい子じゃなかったからだ」と自分を責める子供もいます。両親の離婚に強く反対していた場合は「もっと自分にできることがあったのではないか」「もっと自分がしっかりしていれば」と後悔の念や挫折感を味わうこともあります。本来なら親を責めるのですが、大好きな両親を嫌いになりたくないという心理から自分を責めてしまいます。
両親の離婚に罪悪感を感じている子供は、自己肯定感が低くなり、自信を失いがちです。周囲の目を気にするようになり、失敗を恐れる引っ込み思案な性格になってしまうこともあります。人付き合いも苦手になり、大人になっても周囲から孤立してしまい、社会生活に支障を来たす人もいます。
親に不信感を抱き、結婚に否定的な考えを持つ
親が離婚することで、親に裏切られたと不信感を抱くことがあります。特に親の浮気が原因だった場合、浮気した親に対し、嫌悪感や敵意を抱く可能性もあります。また、離婚の理由を正しく知らされていなかったため、後から本当の理由を知って「だまされた」と感じ、周囲の大人を信じられなくなるケースも少なくありません。
親への不信感を抱いたまま大人になった子供は、「自分は親のようになりたくない」と考え、結婚に否定的な考えを持つようになる可能性もあります。一方で、結婚しても安易に離婚してしまう人もいます。これは離婚に対する抵抗感が弱く、夫婦間で問題が起きても配偶者と向き合おうとせず、離婚の道を選んでしまうからです。
親が離婚すると子供も離婚する?
親の離婚が子供の成長にどのような影響を及ぼすかについては、国内外でさまざまな研究成果が発表されています。それらの結果によると、親が離婚した経験を持つ人と親の離婚を経験した人を比べた場合、親の離婚を経験した人のほうが離婚する人の割合が高いこともわかっています。
離婚にはさまざまな事情や理由があり、親が離婚したからと言って、そのまま離婚する確率が高くなるわけではありません。どのような理由から、離婚するリスクが高まるのかを説明します。
親が離婚すると幸福感が低下しがちになる
米ペンシルバニア州立大学の社会学者ポール・アマトー氏らの研究によると、親の離婚を経験していない人たちと比べ、親の離婚を経験した人たちは、幸福感が低く、受けた教育水準、職業のステイタス、生活水準、結婚生活への満足度が低いという結果が出ました。
一方で他の研究では、子供は離婚で家族がバラバラになったことで混乱し、ストレスも高まるものの、2、3年で気持ちも落ち着いてくるという結果もでています。こうしたことから、離婚後も養育に適切な環境が整い、経済的支援も受けられれば悪影響も抑えられる可能性があると指摘されています。
日本では親の離婚と子供の離婚に密接な関連
日本家族社会学会が2018年に実施した「全国家族調査」の結果によると、親が離婚した経験のある人とない人の間では、離婚した人の割合に明らかな差が見られました。
それによると、親の離婚を経験していない人が12.5%だったのに対し、親の離婚を経験した人は29.1%という結果でした。年代別に見ても、1970年代生まれでは明確な差が出なかったものの、1940年代生まれから1980年代生まれまでの他の各年代では、同じように「経験なし」が約1割に対し「経験あり」が約3割という関連性が確認されました。
海外でも同じように顕著な傾向が現れるのかどうかは分かりませんが、日本で各世代で同じような傾向が見られるのは、親の離婚を経験した子供への支援が不十分なため、親が離婚したことの悪影響を強く受けてしまうからかもしれません。
トラウマは離婚ではなく両親の争いが原因
親の離婚によって子供の心が傷つき、トラウマが残ってしまうことがあります。しかし、こうしたトラウマは離婚そのもののショックが原因だとは限らないということが分かってきました。実際、離婚によって虐待から逃れることができ、その後も落ち着いて生活できるようになれば、トラウマが残らないこともあります。
両親の争いは脳の発達に悪影響
近年、子供の成長への悪影響が大きいと指摘されているのが、夫婦喧嘩です。日頃から両親が激しく言い争ったり、暴力を振るったりする姿を見ていると、脳の発達に影響し、これによって子供は人間不信や絶望、自己否定にさいなまれるとされます。中には気分障害やうつ病を発症してしまうこともあります。
また、離婚後も母親や父親から相手の悪口を日常的に聞かされたり、経済的に不安定な生活を余儀なくされたりすることも、子供の成育に悪影響を及ぼします。離婚後に、親が精神的に不安定になることも少なくなく、こうした離婚前後の家庭環境や親子関係によって、子供にトラウマが残ってしまいます。
離婚によって、子供がトラウマを抱えているかどうかは、素人ではなかなか判断がつきません。子供の様子が心配なときは、児童相談所に相談したり、心療内科や精神科などの専門医の診察を受けたりして、子供の心身の様子をチェックしましょう。
親の離婚で子供にトラウマを残さないためにできること
親の不仲や離婚で大きなショックを受けた子供も、その後に心のケアをしっかり行い、不安なく生活を送れる環境を整えることで、トラウマになるのをできるだけ抑えることができます。親の離婚というショックな出来事から、子供が立ち直るために必要なことを説明します。
離婚のタイミングを考える
可能であれば、子供への影響が小さい時期を選んで離婚することも必要です。小学生や中学生、高校生といった多感な時期は、離婚の影響を受けやすくなる可能性があります。子供が乳幼児であれば、家族の記憶も乏しく、子供へのダメージが小さい可能性があります。子供が高校を卒業するのを待つというのも一つの考え方でしょう。
子供が小学生や中学生なのに離婚しなければならないときは、せめて、新学期前の3月や夏休み中の8月に離婚するという選択もあります。春休みや夏休み中の離婚であれば、転校しても新学期から気持ちを切り替えてスタートできるかもしれません。
子供の気持に合わせて離婚の時期を選ぶときは、子供の前で不仲なところを見せないように気をつけましょう。離婚しなくても、両親の言い争いや喧嘩を毎日のように見せられると、子供の成育に悪影響を及ぼします。
離婚の理由についてきちんと説明する
子供が「親にだまされ、捨てられた」「もう親は信用できない」と感じないようにするには、なぜ離婚するのか、子供の年齢や理解度に合わせながら正直に伝えることが大切です。「ほかに好きな人ができた」「お金の使い方で考えが合わない」などできるだけ具体的に伝えたほうがいいでしょう。
ただし、「お父さんが悪いことをした」「お母さんがお父さんを裏切った」などと相手に悪口になりかねない言い方は、たとえ事実であったとしても避けましょう。自分の親の悪口を聞かされるのは、子供にとって苦痛でしかありません。また「たとえ、離れて暮らしてもお父さんとお母さんは、あなたのことが大好き」と伝えることも忘れてはなりません。
子供の気持ちに耳を傾ける
親が子供を虐待していたり、家族に大変な迷惑をかけられていない限り、子供は親に「離婚してほしくない」と思っているはずです。そうした子供の気持ちを尊重し、子供の言うことにはできるだけ耳を傾けましょう。子供が必死に離婚を食い止めようとしているときは、子供のために夫婦関係の修復を考えてみることも必要です。
どうしても離婚を避けられないときは、せめて離婚後の生活には子供の意向をある程度は反映させましょう。そして、離婚後の生活についてよく話し合ってください。子供も不安や不満を親に打ち明けることで、気持ちを整理できる可能性があります。
離婚は子供のせいではないと伝える
子供が離婚に反対していたり、離婚の理由をはっきり伝えられない場合、子供が「離婚は自分のせいではないか」と思い込まないよう、はっきりと「あなたのせいで離婚するわけでない」と子供に伝える必要があります。子供の教育をめぐって言い争ったこともあるかもしれませんが「それが直接の原因ではない」ということだけは理解してもらいましょう。
「離婚は自分のせいではないか」と考える子供は「自分がいい子だったら」「両親の力になれたら」などと後悔の念に苛まされています。「離婚は夫婦の問題で子供には関係ない」「決して悪い子ではなく、いつも愛している」と伝えて、子供を安心させましょう。
別居した親と無理に面会させない
離婚によって別れた親にも、子供と面会する権利があります。子供との面会交流は、離婚後も親から愛されていると実感する機会にもなります。しかし、子供が親と会いたくないと言っている場合は、無理に会わせてはいけません。
別れた親から虐待を受けていたときはもちろんですが、そうではない場合も、面会することで離婚戦後の記憶がよみがえり、悲しみやつらさを感じることがあります。離婚後の面会がストレスで、トラウマになることもあるので、別れた親と面会した後は子供の様子に変わったところはないか、気をつけましょう。
離婚後の成育環境を整える
子供が離婚で受けた心の傷を克服できるかどうかは、離婚後の生活にもかかっています。離婚後、経済的に苦しい生活を強いられ、家庭内の雰囲気も暗くなってしまうと、子供は離婚した親を恨んでしまうこともあります。そうなると、子供も生活が荒れ、非行に走ってしまうケースも少なくありません。
離婚しても子供を養育するのは両親の責任です。離婚する際は、子供が経済的に不自由することなく、自分が選んだ道を歩めるよう離婚後の生活環境を整えることが大切です。離婚後の生活に満足すれば、両親の離婚で傷ついた心も癒えていくはずでしょう。
親の離婚がトラウマにならないよう子供への配慮を忘れない
子供は両親やきょうだいと長く仲良く暮らしたいと思っているものです。このため両親が争う姿を見たり、離婚したりすると大きなショックを受けます。そうしたショックで傷ついた心を放置し、さらにつらい状況に置き続けていると、子供は心の傷を癒せないまま大人になってしまいます。こうして、人間不信に陥ったり、自己肯定感が低くなったりするのです。
子供にとって最高の環境とは両親と仲良く平穏に過ごせる家庭です。さまざまな事情から、子供にそうした環境を与えることができないこともありますが、できるだけ子供が不安なく毎日を幸せに過ごせるよう、周囲の大人が配慮していきましょう。