離婚を切り出した後の生活をどうする|別居したほうがいい?生活費は?

夫婦生活に悩んだ結果、相手に離婚を切り出したのに、拒否されることがあります。離婚には応じてもらえたものの、条件で折り合えないこともあるでしょう。そんなとき、離婚を切り出した後の生活をどうすればいいのでしょうか。離婚を切り出した後の生活について解説します。

専門家監修 |弁護士 川原 蓮
川原 蓮/銀座ロータス法律事務所(第一東京弁護士会所属)
離婚と男女問題に特化した業務を行っている銀座ロータス法律事務所の代表弁護士。親権、財産分与、婚姻費用、養育費、...
川原 蓮/銀座ロータス法律事務所(第一東京弁護士会所属)
離婚と男女問題に特化した業務を行っている銀座ロータス法律事務所の代表弁護士。親権、財産分与、婚姻費用、養育費、面会交流等の離婚に伴う様々な問題に豊富な経験を持つ。夫婦カウンセラーの資格も保有する二児のママ弁護士。女性ならではの目線で、離婚後の未来も見据えたサポートを行っている。

目次

  1. 離婚を切り出した後、どう過ごせばいい?
  2. 離婚を切り出した後の生活はどうなる?
  3. 別居しないと離婚できない?
  4. 生活費はどうなる?
  5. 子供はどちらが預かる?
  6. 離婚を切り出した後の流れ
  7. 双方が合意すれば離婚は可能
  8. 合意できないときは離婚調停という手も
  9. 裁判を起こすには離婚事由が必要
  10. 上手な離婚の切り出し方は?
  11. 落ち着いて話し合える環境を用意する
  12. 話し合いの内容は記録しておく
  13. 離婚原因の証拠を押さえておく

離婚を切り出した後、どう過ごせばいい?

勇気を出して離婚を切り出したのに、相手から拒否されてしまうことがあります。また、離婚には応じてもらえたものの、財産分与や親権などをめぐって、しばらく話し合いをしなければならない人もいるでしょう。その場合、離婚が決まるまで、夫婦はどのように生活すればいいのでしょうか。

すぐに家を出れば、夫や妻と顔を合わせずにすみますが、家探しや資金作りのために、しばらく同居せざるを得ないこともあります。

旦那の前々からの女癖、借金などが原因で私が耐えられなくなり10日くらい前に離婚を言いました。
小学生が2人います。

離婚を決意してからも 貯蓄がないために同居しなくてはなりません。
その話の後から、すぐに旦那の態度が急変し私を他人扱いし始めました。旦那は一人暮らしをしているかのような感じです。

知り合いに調停をした方が後々揉める事が少ないと聞いたので、調停離婚をしようと思っています。
調べたところ、調停中は夫と顔を合わせずにすむと書いてありました。
今夫も含め、子どもと私の実家にみんなで住んでいて、私が出て行き夫が残るのは変だし、夫は実家もなく出て行くアテがありません。
そういう場合はやはり調停や裁判になっても、同じ場所に住むしかないのでしょうか?
調停や裁判中に会わなくても、家で会った時に揉めないでしょうか?

「できれば、すぐに家をでていきたいけれど、行く場所がない」「財産分与や親権などの話し合いがつくまでは家を出たくない」という場合もあります。離婚を切り出した後、どのように生活をすればいいのか、また、スムーズに離婚を進めるのはどうすればいいのか、などについて説明します。

離婚を切り出した後の生活はどうなる?

妻が離婚を切り出した後、夫から「離婚したいのなら家を出ていけ」と言われることがあります。こうしたとき、妻は家を出て行かなければならないのでしょうか。また、同居生活を続けたとき、離婚の話し合いに何か影響がでるのでしょうか。離婚を切り出した後の生活や、早急に決めなければならないことを説明します。

別居しないと離婚できない?

夫や妻と一刻も早く離れたくて離婚を切り出す人がいます。また、離婚協議は弁護士に任せたいという人や、裁判所の離婚調停の場以外では話をしたくないという人もいるでしょう。そうした人は、できるだけ早く家を出て別居したほうがいいでしょう。

しかし、別居するには新しく住む場所を見つける必要がありますし、アパートなどを借りるにしても契約金や引っ越し費用が必要です。専業主婦やパートの主婦は、お金がなくて別居ができないこともあるでしょう。そうした場合は、無理に別居する必要はありません。

もし、妻が夫に家を出て行くよう強要されたら、引っ越し費用や月々の生活費を要求しても構いません。離婚が成立するまでは、法律上は夫婦なのですから、夫婦には同居の義務がありますし、夫と同レベルの生活をする権利があります。同居したうえで、家の中では生活を別にして、なるべく顔を合わさないようにするという方法もあります。

生活費はどうなる?

離婚が正式に決まるまで、配偶者と別居することになった場合は、別居中の生活費について決めておくことが大切です。民法では「夫婦は、その資産、収入その他一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担する」と定められており、これを「婚姻費用の分担」と言います。

通常、同居している夫婦は互いの収入に応じて毎月の生活費を分担しており、婚姻費用が問題になることはあまりありません。しかし、別居すると、離れて暮らす配偶者の分も含めて婚姻費用を分担する必要があり、一般的に収入が多いほうが相手の生活費用を支払うことになります。

婚姻費用をいくら支払うかは、夫婦の間で取り決めますが、目安として裁判所が公表している婚姻費用算定表を用います。算定表を使えば、夫婦の収入のほか、子供の人数や年齢などに応じて、月々の婚姻費用の目安となる額を計算できます。また、別居しても扶養者と被扶養者の関係に影響はありません。

子供はどちらが預かる?

離婚する際に揉めることが多いのが「親権」で、どちらが子供を引き取るかという問題です。以前は「親権を取るには子供を連れて家を出るのが良い」と言われたこともありましたが、場合によっては違法行為とみなされることがあるので注意が必要です。特に国際結婚の場合は問題となることが多く、欧米からは連れ去りを法律で禁止するよう求める声もあります。

どちらかの親が強引に子供を連れ去った場合は、訴訟にまで発展することがあり、事情によっては親権の獲得にまで影響することがあります。もちろん、子供を連れて家を出るしかない場合もありますが、法的トラブルを防ぐためにも事前に弁護士に相談したほうがいいでしょう。

離婚を切り出した後の流れ

離婚を切り出した後は、どのように離婚の話し合いや手続きが進むのでしょうか。一般的な流れを解説します。

双方が合意すれば離婚は可能

離婚は夫婦双方の合意で成立します。一方が離婚を切り出したのに対し、相手も同意すれば離婚は可能です。話し合いで財産分与や親権など離婚の条件を決めれば、後は役所に離婚届を提出するだけです。離婚を切り出した側が不利になったり、有利になったりすることはありません。このように話し合いで離婚することを協議離婚といいます。

離婚で最も多いのが協議離婚で、離婚の理由を問われることもありません。ただし、相手が離婚に反対すれば、すぐには離婚できません。離婚には同意してもらえたものの、財産分与や親権などの条件で折り合えず、なかなか離婚できないこともあります。

合意できないときは離婚調停という手も

離婚を切り出しても相手に反対されたり、離婚には同意してもらえても条件で折り合えなかったりした場合は、家庭裁判所に離婚調停を申し立てることができます。調停とは裁判所の調停委員を介した話し合いで、調停委員が双方の意見を聞き、言い分を整理して合意を目指します。しかし、合意できる見込みがないときは調停不調として打ち切られてしまいます。

調停が打ち切られると、再び協議離婚を目指して話し合うか、離婚裁判を起こして裁判所に離婚を求めることになります。裁判で認められれば、相手の合意がなくても離婚が可能です。しかし、離婚裁判は調停の後にしか起こせないルールになっていて、調停を経ずにいきなり裁判は起こせません。

裁判を起こすには離婚事由が必要

裁判で離婚が認められれば、相手の合意なしで離婚できるだけでなく、離婚の条件についても裁判所が決定します。しかし、離婚が認められるには、民法で定められた「離婚事由」があり、関係修復が困難なことを証明しなければなりません。離婚事由とは、次の5つの事情です。

・配偶者が浮気や不倫(不貞行為)をした
・一方的な別居や生活費の不払いなど配偶者の悪意で遺棄された(悪意の遺棄)
・配偶者の生死が不明で3年以上経つ
・配偶者が重症の精神病で治る見込みがない
・婚姻を継続しがたい重大な事由がある

相手が浮気や不倫をしていたり、激しい暴力を振るったりするのであれば、裁判で離婚が認められる可能性が高いでしょう。しかし、「性格が合わない」「相手が気に入らない」といった理由で離婚事由には当てはまらないときや、そもそも理由が明確ではないときは離婚は認められません。離婚事由に当てはまる離婚の理由を明確にすることが大切です。

上手な離婚の切り出し方は?

離婚も上手に準備を進め、うまく離婚を切り出せば、スムーズに話し合いや手続きが進む可能性があります。そうすれば、生活する場所について悩むことも少なく、心理的な負担も軽くなるはずです。上手な離婚の切り出し方について紹介します。

落ち着いて話し合える環境を用意する

上手に離婚を切り出すには、できるだけ落ち着いて話し合える環境を整えるようにしましょう。離婚の話というのは、互いに感情的になりがちですが、自分の気持ちをストレートにぶつけ合うだけでは、冷静な話し合いができません。できるだけ落ち着いて、自分の考えや気持ちを伝えることで。後悔のない話し合いができます。

相手がモラハラ気質だったり、すぐに暴力を振るう人だったりすると、冷静な話し合いは最初から難しいかもしれません。その場合は、友人や知人など中立的な立場で間に入ってもらえる人に立ち会ってもらってもいいかもしれません。親に立ち会ってもらう人もいますが、親はどうしてもどちらかの肩を持ちがちなので、望ましくない結果になることが多いようです。

第三者に立ち会ってもらうとすれば、弁護士がいいでしょう。弁護士を代理人に立てて、すべての話し合いを弁護士に任せる方法もあります。

話し合いの内容は記録しておく

離婚について話し合いを行ったら、必ず話し合いの内容は記録にとっておきましょう。録音や録画を取るのも一つの方法ですが、相手が同意しないこともあります。隠し撮りをする人もいますが、隠し撮りが発覚すると相手が反発して、話がこじれることもあります。その場でメモを取りながら話すか、話し合いの後でメモを残しておくのが穏便なやり方でしょう。

離婚原因の証拠を押さえておく

話し合いの一方で、離婚原因の証拠を集めておくことも大切です。夫の浮気や不倫、暴力などの証拠を押さえておけば、相手が離婚に応じなくても、裁判で離婚が認められる可能性は大いにあるでしょう。もちろん、浮気や暴力は違法行為ですから慰謝料を請求できる可能性もあります。弁護士に相談すると、どのような証拠が必要なのかアドバイスが受けられます。

離婚を切り出した後の生活に悩んだら専門家に相談を

離婚を切り出してから、離婚が成立するまでは精神的にも大変な時期です。さまざまな事情から同居しなければならないときは、愛情も無い相手と同じ空間にいることがつらくなることもあるでしょう。そうしたつらい時期をできるだけ短くするには、事前の準備や上手に離婚協議を進めていくことが大切です。

離婚を切り出す前から夫婦関係に詳しいカウンセラーや弁護士といった専門家に相談すると、落ち着いて準備を進めることができるでしょう。特に弁護士からは離婚を進める上での法律上のアドバイスを受けられるほか、代理人として離婚の話し合いを任せることができます。

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