
「離婚したいけれどお金がない」と悩む方は少なくありません。専業主婦やパート勤務では離婚後の生活に不安を感じるのは当然です。しかし、お金がないことを理由に離婚を諦める必要はありません。本記事では、お金がない状態でも離婚する方法、利用できる支援制度、離婚に必要な費用の確保方法について詳しく解説します。
この記事でわかること
・お金がなくても離婚できる理由と離婚に必要な費用
・離婚時に受け取れるお金と利用できる公的支援制度
・住む場所がない場合の対処法と離婚準備の具体的なステップ
加藤 惇/東日本総合 法律会計事務所(第一東京弁護士会所属)
ホームページ:https://ejla.or.jp/
将来を考えた時「人を助けることができる存在になりたい」という自分の想いに気付き、経済学部から法科大学院に進学して弁護士に。
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離婚問題は、夫婦間で話し合ううちに感情的になり、争いが複雑になってしまうケースが多々あります。 迅速かつ円滑に離婚するためには、離婚や別居が頭をよぎったらすぐに弁護士へご相談ください。 弁護士に相談するタイミングが早ければ早いほど、選択肢の幅が広がり、スムーズに離婚を進めやすくなります。

お金がなくても離婚はできる?まず知っておくべきこと
「お金がないから離婚できない」と諦めている方もいますが、法律上、お金がないことは離婚できない理由にはなりません。実際、協議離婚であれば離婚届の提出だけで成立するため、費用はほとんどかかりません。
ただし、離婚後の生活を考えると、住居費や当面の生活費は必要です。特に子供がいる場合は、養育環境の確保も重要になります。
お金がない状態での離婚では、以下のような課題に直面します。
- 新しい住居の確保(敷金・礼金・引っ越し費用)
- 当面の生活費(最低でも3ヶ月分程度)
- 離婚手続きにかかる費用(調停・裁判になった場合)
- 子供の転校や生活環境の変化への対応
しかし、これらの課題は公的支援制度や離婚時に受け取れるお金を活用することで解決できる可能性があります。
緊急度によって対処法が異なる
離婚を考える際は、状況の緊急度によって判断が変わります:
今すぐ離婚を優先すべきケース
- DV(身体的暴力)を受けている
- モラハラで精神的に追い詰められている
- 子供にも悪影響が及んでいる
- 経済的DVを受けている(生活費を渡さないなど)
このような場合は、お金の準備よりも安全確保を最優先し、シェルターや母子生活支援施設などの緊急避難先を利用しながら離婚を進めるべきです。
準備期間を設けられるケース
- 夫婦関係は悪化しているが身の危険はない
- 別居しながら生活できる環境がある
- 経済的な準備をする時間的余裕がある
この場合は、計画的に貯金をしたり、婚姻費用を受け取りながら離婚準備を進めることができます。数ヶ月から1年程度の準備期間を設けることで、離婚後の生活もスムーズに始められるでしょう。
お金がなくても離婚は可能です。重要なのは、あなたの状況に合わせた適切な方法を選ぶことです。次の章では、具体的に必要な費用について詳しく見ていきます。
離婚するために必要な費用はどれくらい?
離婚を考えるとき、「どのくらいのお金が必要なのか」を把握しておくことは重要です。離婚方法によって費用は大きく異なりますし、離婚後の生活を始めるための初期費用も必要になります。ここでは、離婚に必要な費用を具体的に解説します。

別居・引っ越しにかかる費用
離婚する際、多くの場合は配偶者と別居することになります。新しい住まいを探す場合は相応の費用が必要です。
<賃貸契約にかかる費用>
- 敷金:家賃の1〜2ヶ月分
- 礼金:家賃の1〜2ヶ月分
- 前家賃:家賃の1ヶ月分
- 仲介手数料:家賃の0.5〜1ヶ月分
- 火災保険料:1〜2万円程度
合計目安:家賃の4〜6ヶ月分(例:家賃6万円なら24万円〜36万円)
<引っ越し費用>
- 単身の場合:3万円〜5万円程度
- 子供がいる場合:5万円〜10万円程度
<家具・家電の購入費用>
- 冷蔵庫、洗濯機、電子レンジ、寝具など
- 合計目安:10万円〜30万円
<別居・引っ越し全体の費用目安>
- 最低限のケース:30万円〜50万円
- 一般的なケース:50万円〜100万円
- 子供がいる場合:70万円〜120万円
協議離婚にかかる費用
夫婦間の話し合いで離婚条件に合意し、離婚届を提出する方法が協議離婚です。
<基本的な費用>
- 離婚届の提出:無料
- 戸籍謄本などの取得費用:数百円程度
公正証書の作成費用 養育費や財産分与の取り決めを公正証書にすることを強く推奨します。
- 100万円まで:5,000円
- 200万円まで:7,000円
- 500万円まで:11,000円
- 1,000万円まで:17,000円
- 3,000万円まで:23,000円
協議離婚の費用総額:数千円〜3万円程度

離婚調停にかかる費用
家庭裁判所で調停委員が間に入って話し合いを進める方法です。
<調停にかかる費用>
- 申立て手数料:1,200円
- 郵便切手代:約1,000円
- 戸籍謄本などの取得費用:数百円〜数千円
- 交通費:裁判所への往復(複数回、期間は3〜6ヶ月程度)
離婚調停の費用総額:5,000円〜1万円程度(弁護士に依頼しない場合)
ADR(裁判外紛争解決手続)にかかる費用
ADRとは、裁判所を利用せずに第三者機関が仲介して紛争を解決する方法です。調停よりも柔軟で迅速な解決が期待できます。
<ADRのメリット>
- 調停より短期間で解決できる可能性が高い(2〜3ヶ月程度)
- 平日夜間や土日も対応している機関がある
- プライバシーが守られる
- 専門家(弁護士、カウンセラーなど)が関与
ADRにかかる費用の一例
- 申立て費用:11,000円(税込)
- 調停費用/1期日:66,000円(税込)
- 夫婦で負担を分けると一人33,000円
ADRの費用総額:3万円〜10万円程度(期日の回数により変動)
調停よりは費用がかかりますが、弁護士に依頼するより安く、柔軟な解決が可能です。
離婚裁判にかかる費用
調停が不調に終わった場合、離婚裁判を起こして裁判所に判断してもらう方法があります。
<裁判にかかる費用>
- 訴訟費用(離婚のみ):13,000円
- 慰謝料や財産分与も請求する場合:請求額に応じて上乗せ
- 300万円請求:約2万円
- 500万円請求:約3万円
- 郵便切手代:約6,000円
- 証拠書類の取得費用:数千円〜数万円
- 交通費:裁判所への往復(期間は半年〜2年程度)
離婚裁判の費用総額:3万円〜5万円程度(弁護士に依頼しない場合)
弁護士費用
弁護士に依頼すれば手続きがスムーズに進み、有利な条件で離婚できる可能性が高まります。
<相談料の一例>
- 相場:5,000円〜1万円/時間
- 初回無料の法律事務所も多い
<着手金の一例>
- 協議離婚:10万円〜30万円
- 離婚調停:20万円〜40万円
- 離婚裁判:30万円〜60万円
<報酬金(成功報酬)>
- 離婚成立:10万円〜30万円
- 慰謝料・財産分与:獲得額の10〜20%
- 親権獲得:10万円〜20万円
<弁護士費用の総額目安>
- 協議離婚:20万円〜80万円
- 離婚調停:40万円〜100万円
- 離婚裁判:60万円〜150万円以上
弁護士費用が払えない場合は法テラスの利用を検討する手段もあります。
離婚前に最低限確保しておきたい金額の目安
<緊急避難が必要な場合(DV・モラハラなど)>
- 最低限:10万円程度
- シェルターや母子生活支援施設を利用しながら公的支援を活用
<計画的に離婚する場合(単身)>
- 目安:50万円〜100万円
- 引っ越し費用、当面の生活費(3ヶ月分)、手続き費用
<計画的に離婚する場合(子連れ)>
- 目安:70万円〜150万円
- 子供の転校準備、養育費が入るまでの生活費を含む
<弁護士に依頼する場合>
- 追加で:30万円〜100万円
- 法テラス利用で費用を抑えられる可能性あり
ただし、これらの費用は婚姻費用、財産分与、慰謝料などで補える可能性もあります。
お金がない状態で離婚する際の具体的なステップ
お金がない状態で離婚を考えるとき、どの順番で何をすべきかを理解しておくことが重要です。ここでは、離婚前から離婚後まで、段階的に取るべき行動を解説します。

【ステップ1】別居中なら婚姻費用分担請求をする
婚姻費用とは、別居中でも夫婦がお互いに生活水準を保つために支払う生活費のことです。別居している場合、収入が低い側や子供と生活している側は、配偶者に婚姻費用を請求できます。
たとえ別居していても、夫婦には「相互扶助義務」があり、一方だけが経済的に苦しい生活を強いられることはあってはなりません。婚姻費用は裁判所の算定表に基づいて金額が決まり、基本的に別居の理由や夫婦間の事情に左右されません。
請求方法は、まず夫婦間で話し合い、合意できない場合は家庭裁判所に調停を申し立てます。相手が支払わない場合は、履行勧告や給料の差し押さえなどの強制執行も可能です。
重要なのは、婚姻費用を受け取れるのは請求した時点から離婚するまでという点です。遡って請求はできないため、別居中は必ず婚姻費用の請求をしましょう。
CSP法律会計事務所 加藤 惇婚姻費用の請求をした場合、毎月何円ならば支払うといった提案を夫から受ける場合があります。相場よりも低い金額で了承してしまうと、その後、相場の水準にまで引き上げさせるのは困難です。夫から具体的な金額を提示されても、安易に応じてしまわずに、いったん弁護士に相談してから合意するようにしましょう。
【ステップ2】離婚時に受け取れるお金を最大化する
離婚する際には、財産分与、慰謝料、養育費、年金分割など、受け取れる可能性があるお金があります。これらをしっかり請求することで、離婚後の生活資金を確保できます。
財産分与
財産分与とは、結婚期間中に夫婦で築いた財産を公平に分けることです。専業主婦でも夫が仕事に専念できるよう家事などで貢献しており、基本的に財産の半分を受け取る権利があります。
対象となるのは預貯金、有価証券、不動産、家具・家財、自動車、保険の解約返戻金、退職金などです。ただし、結婚前の財産や親族からの相続・贈与は対象外で、住宅ローンなどの借金も財産分与の対象となります。相手が財産を隠している可能性もあるため、離婚を考え始めたら早めに通帳のコピーや不動産の登記簿などの証拠を集めておきましょう。
慰謝料
離婚の原因が配偶者の不倫、DV、モラハラ、悪意の遺棄などの場合、慰謝料を請求できます。相場は50万円から300万円程度で、婚姻期間の長さや有責性の程度、相手の収入などによって金額が変わります。
慰謝料を請求するには証拠が重要です。不倫ならメールや写真、DVなら診断書や写真、モラハラなら録音やメールなどを残しておきましょう。


養育費
養育費とは、離婚後に子供を育てるために必要な費用です。離婚しても、両親には子供を養育する義務があります。養育費の相場は裁判所の算定表に基づいて決定され、子供の数や年齢、親の年収によって変わります。一般的には月2万円から10万円程度で、原則として子供が20歳になるまで支払われます。
公正証書や調停調書で取り決めを残すことが非常に重要です。口約束だけでは、支払われなくなった場合に強制執行できません。公正証書があれば、未払い時に給料差し押さえなどが可能になります。




年金分割
年金分割とは、結婚期間中に納めた厚生年金保険料に対応する年金額を分割する制度です。対象は厚生年金のみで、最大で2分の1まで分割できます。手続きは離婚後2年以内に年金事務所で行う必要があります。老後の生活資金を増やすために、忘れずに請求しましょう。
【ステップ3】離婚後に受けられる公的支援を確認する
子供がいる場合、ひとり親家庭向けの公的支援制度を利用することで、生活費の負担を軽減できます。離婚前に、自分が住む予定の自治体でどのような支援が受けられるか確認しておきましょう。
児童扶養手当
18歳までの子供を育てるひとり親家庭に支給される手当です。支給額は子供1人の場合で月額最大44,140円、子供2人なら+10,420円、3人以降は1人につき+6,250円が加算されます。ただし所得制限があり、全部支給は年収約160万円未満、一部支給は年収約365万円未満(子供1人の場合)です。市区町村の窓口で申請できます。
児童育成手当(自治体独自)
東京都など一部の自治体では、児童扶養手当とは別に児童育成手当が支給されます。支給額は月額13,500円程度ですが、自治体によって異なるため確認が必要です。
ひとり親家庭の医療費助成
医療費の自己負担分を助成する制度です。自治体によって制度の内容が異なるため、お住まいの自治体に確認しましょう。
その他の支援制度
住宅手当、保育料の減免、就学援助など、自治体によってさまざまな支援制度があります。離婚後の住居選びの際、どのような支援を受けられるのかを調べておくことをおすすめします。
【ステップ4】収入を確保する方法を検討する
一定の収入を得るには就職を考えることも大切です。国も子供連れの母親が就職できるようマザーズハローワークを全国21カ所に整備しています。キッズコーナーが用意されているため、小さな子供がいても利用しやすく、一人一人の状況に応じて子育てと両立しやすい仕事を紹介してくれます。
また、就職に向けて資格取得を検討するのも有効です。自立支援教育訓練給付金を利用すれば受講費用の60%が支給され、高等職業訓練促進給付金では月額10万円から14万円が最大4年間支給されます。医療事務や簿記、ITスキルなど、需要のある資格を取得することで、より安定した収入を得られる可能性が高まります。




離婚後にお金がなくて住む場所に困る場合の対処法
離婚したいけれど住む場所がない、引っ越し費用が用意できないという場合でも、利用できる支援制度があります。特にDVやモラハラで緊急避難が必要な場合や、経済的に困窮している場合は、公的な支援制度を積極的に活用しましょう。


緊急時の避難先
母子生活支援施設(母子寮)
母子生活支援施設とは、18歳未満の子供を養育している母子家庭が利用できる公的な施設です。一時的な住まいとして、原則2年間利用できます(状況に応じて延長も可能)。
費用は所得に応じた負担となり、収入が少ない場合は無料、または月数千円から数万円程度です。入所するには、市区町村の福祉担当窓口に相談します。施設では住居だけでなく、生活相談や就労支援なども受けられるため、離婚後の生活を立て直す準備期間として活用できます。
DV被害者向けシェルター
DV被害で緊急に避難が必要な場合は、配偶者暴力相談支援センターや警察を通じて一時保護施設(シェルター)を利用できます。シェルターは居場所が秘匿され、安全が確保される施設で、短期間(数日から数週間)の緊急避難が可能です。
シェルターに避難した後は、母子生活支援施設への入所や、生活困窮者自立支援制度の利用など、次のステップに進むための支援を受けられます。身の危険を感じたら、まず安全を確保することを最優先してください。
親族・友人宅への一時避難
親や兄弟姉妹、友人宅に一時的に身を寄せることも選択肢の一つです。ただし、長期化すると関係が悪化する可能性もあるため、あくまで一時的な避難先と考え、できるだけ早く次の住まいを確保する計画を立てましょう。
また、実家に戻る場合は児童扶養手当などの公的支援が世帯全体の所得で判定されるため、支給額が減る可能性があることも考慮が必要です。
生活困窮者自立支援制度
生活困窮者自立支援制度は、働きたくても働けない人や住む場所がない人を支援する国の制度です。経済的に苦しいひとり親家庭の相談にも応じており、離婚後の生活に不安がある方は積極的に活用しましょう。
主な支援内容
自立相談支援事業では、専門の相談員があなたの状況を丁寧に聞き取り、どのような支援が必要かを一緒に考え、具体的な支援プランを作成してくれます。
住居確保給付金は、家賃相当額を原則3ヶ月(最長9ヶ月)支給する制度です。離婚後に住まいを借りる際の家賃負担を軽減できます。ただし、収入や資産、求職活動などの要件があります。
就労準備支援事業では、すぐに就職することが難しい方に対して、生活習慣の改善や就労に向けた訓練などを行います。家計改善支援事業では、家計管理のアドバイスを受けられ、安定した生活に向けた計画を立てられます。
一時生活支援事業は、住居のない方に一定期間、宿泊場所や食事を提供する制度です。緊急的に住む場所がない場合に利用できます。
利用方法
生活困窮者自立支援制度を利用するには、市区町村の福祉担当窓口に相談してください。各自治体に相談窓口が設置されており、相談は無料です。「生活に困っている」「離婚後の住まいがない」など、具体的な状況を伝えれば、利用できる支援を案内してもらえます。
公営住宅・福祉住宅の活用
公営住宅(都営住宅・市営住宅など)は、低所得者向けに自治体が提供する賃貸住宅で、家賃が周辺相場よりも安く設定されています。多くの自治体では、ひとり親家庭に対する優先入居制度があり、通常よりも入居しやすくなっています。
また、収入に応じた家賃の減免制度もあるため、経済的な負担を抑えながら安定した住居を確保できます。公営住宅に入居するには、定期的に行われる募集に応募する必要があります。申込方法や募集時期は自治体によって異なるため、お住まいの地域の窓口に問い合わせてみましょう。
お金がなくても住む場所を確保する方法はあります。一人で抱え込まず、市区町村の福祉担当窓口や配偶者暴力相談支援センターなど、専門機関に相談することが第一歩です。
お金を理由に離婚を諦めるべき?判断のポイント
「お金がないから離婚できない」と悩んでいる方は多くいますが、お金がないことを理由に離婚を諦める必要は必ずしもありません。重要なのは、あなたの置かれている状況の緊急度や深刻さを正しく判断することです。ここでは、離婚を優先すべきケースと準備期間を設けられるケースに分けて解説します。


離婚を優先すべきケース
以下のような状況にある場合は、お金の準備よりも安全確保や健康を最優先すべきです。
身体的・精神的な危険がある
DV(身体的暴力)やモラハラで精神的に追い詰められている場合、あなた自身の心身の健康が脅かされています。特に暴力がエスカレートしている、命の危険を感じるような状況では、一刻も早く避難する必要があります。お金がなくても、シェルターや母子生活支援施設などの緊急避難先を利用しながら離婚を進めるべきです。
子供への悪影響が深刻
夫婦間の激しい口論を子供が目撃している、子供も暴力や暴言の対象になっている、両親の不和により子供が情緒不安定になっているなど、子供の健康や成長に深刻な影響が出ている場合は、早急な対処が必要です。子供の将来を守るためにも、離婚を優先すべきでしょう。
経済的DVを受けている
生活費を全く渡さない、家計を完全に支配して自由にお金を使えない、仕事を辞めさせられたり就職を妨害されるなど、経済的な支配や虐待を受けている場合も深刻な状況です。このような場合は、婚姻費用分担請求や生活困窮者自立支援制度などを活用しながら離婚を進めることができます。
これらのケースでは、お金の準備が整うまで待つことで、状況がさらに悪化する可能性があります。まずは身の安全を確保し、公的支援制度を活用しながら新しい生活をスタートさせることを優先してください。


準備期間を設けられるケース
以下のような状況であれば、計画的に準備を進めてから離婚することも選択肢です。
関係は悪化しているが危険はない
夫婦関係が冷え切っている、価値観の違いが大きい、性格の不一致で一緒にいることが苦痛など、関係は悪化しているものの、身の危険や子供への深刻な悪影響はない場合です。このような場合は、数ヶ月から1年程度の準備期間を設けることで、離婚後の生活をスムーズに始められます。
経済的な準備をする余裕がある
同居しながら貯金ができる、別居しても婚姻費用を受け取れる見込みがあるなど、時間的・経済的な余裕がある場合は、計画的に準備を進めましょう。引っ越し費用や当面の生活費を貯める、就職活動をして収入源を確保する、資格を取得してキャリアアップを図るなど、離婚後の生活基盤を整えることができます。
子供の教育や生活への影響を最小限にしたい
学期の途中で転校させたくない、受験を控えているなど、子供の教育を考慮して時期を選びたい場合もあるでしょう。計画的に準備することで、子供への影響を最小限に抑えられます。
準備期間を設ける場合でも、ただ漫然と我慢し続けるのではなく、具体的な目標(貯金額、就職時期など)を設定し、着実に準備を進めることが重要です。
専門家に相談すべき判断基準
自分だけでは判断が難しい、どちらのケースに当てはまるか分からないという場合は、専門家に相談することをおすすめします。状況に応じて、適切な専門家を選びましょう。
法的な判断が必要な場合は弁護士へ
離婚できるかどうか法的に不安がある、財産分与や慰謝料の見込みが知りたい、相手が離婚に応じない可能性が高い、DVやモラハラの証拠があるか判断してほしいなど、法律的な判断やアドバイスが必要な場合は弁護士に相談しましょう。
弁護士に相談するメリットは、法的な観点から客観的なアドバイスが得られること、離婚時に受け取れるお金の見込み額が分かること、相手との交渉を任せられること、調停や裁判になった場合の見通しが立つことなどです。初回相談無料の法律事務所を活用すれば、費用をかけずに相談できます。


心理的なサポートが必要な場合はカウンセラーへ
離婚すべきか悩んで精神的につらい、DVやモラハラの影響で自己肯定感が低下している、離婚後の生活への不安で眠れないなど、心理的な負担が大きい場合はカウンセラーに相談しましょう。
カウンセラーに相談するメリットは、感情を整理し冷静に判断できるようになること、DVやモラハラによる心の傷をケアできること、離婚への不安や罪悪感を軽減できること、自分の気持ちや本当に望むことを明確にできることなどです。


総合的な支援が必要な場合は自治体の相談窓口へ
どこに相談すればいいか分からない、住まいも仕事もお金もすべてが不安、子供のことも含めて総合的に相談したいなど、複数の問題を抱えている場合は、まず市区町村の福祉担当窓口や女性相談窓口に相談しましょう。
自治体の相談窓口では、あなたの状況を総合的に把握し、利用できる支援制度の案内や、適切な専門家への紹介を行ってくれます。一人で抱え込まず、専門家の力を借りることが、より良い判断への第一歩です。
お金がないことは離婚できない理由にはなりません。重要なのは、あなたと子供の安全と幸せを最優先に考え、状況に応じた適切な判断をすることです。必要であれば専門家の力を借りながら、前に進む勇気を持ってください。
【体験談】お金がない状態から離婚して生活を立て直した事例
「お金がないから離婚できない」と諦めかけていても、適切な支援制度を活用し、一歩ずつ行動することで新しい生活を築くことは可能です。ここでは、実際にお金がない状態から離婚し、生活を立て直した方々の事例を紹介します。




ケース1:専業主婦・子供2人のAさん(30代)
離婚時の状況
Aさんは8年間専業主婦として家事と育児に専念してきましたが、夫のモラハラに耐えられなくなり離婚を決意。貯金はわずか10万円で、小学生と幼稚園児の子供2人を抱えていました。
利用した支援制度
別居後、婚姻費用として月12万円を受け取りながら離婚準備を進めました。離婚成立後は母子生活支援施設に入所し、児童扶養手当(月約6万円)と財産分与150万円を活用。施設の就労支援を受けながらパートで働き始めました。
現在の状況
施設入所から1年半後、パート先で正社員に登用され、月収20万円を得ています。児童扶養手当と養育費(月5万円)も合わせて安定した生活を実現。現在は公営住宅に入居し、子供たちも新しい環境で笑顔が増えました。
ケース2:パート勤務・子供1人のBさん(40代)
離婚時の状況
Bさんは夫からのDV被害に長年苦しんでいました。パート勤務で月収8万円、夫が家計を管理していたため貯金はゼロ。暴力がエスカレートし、子供と緊急避難を決断しました。
利用した支援制度
警察に相談し、配偶者暴力相談支援センターを通じてシェルターに避難。その後、生活困窮者自立支援制度を利用し、住居確保給付金と母子生活支援施設への入所を申請しました。法テラスを利用して弁護士に依頼し、財産分与200万円、慰謝料100万円を獲得。自立支援教育訓練給付金で介護福祉士の資格を取得しました。
現在の状況
介護施設に正社員として就職し、月収22万円を得ています。児童扶養手当と養育費も合わせて経済的に自立し、3年前にはマンションを購入。子供と穏やかな生活を送っています。
ケース3:子供なし・Cさん(20代)
離婚時の状況
Cさんは夫との価値観の違いから離婚を決意。派遣社員として月収15万円、貯金は30万円でしたが、一人で新生活を始めることに不安がありました。
取り組みと工夫
弁護士に相談し、結婚期間中に貯めた貯金や購入した家具・家電を財産分与として100万円相当を獲得。離婚後は一時的に実家に戻り、引っ越し費用を節約しながら正社員の仕事を探しました。派遣先で実績を認められ、半年後に正社員登用されました。
現在の状況
正社員として月収25万円を得ており、1年後には一人暮らしを再開。現在は経済的に自立し、新しいパートナーとの交際も始まりました。「一時的に実家に頼ったことで、焦らず次のステップに進めました」とCさんは語ります。
【Q&A】離婚とお金に関するよくある質問
Q1: 専業主婦でも離婚後、子供を育てていけますか?
専業主婦でも離婚後に子供を育てていくことは可能です。児童扶養手当や養育費、財産分与などを活用すれば、当面の生活費を確保できます。 また、マザーズハローワークや自立支援教育訓練給付金を利用して就職や資格取得を目指すことで、長期的な経済的自立も実現できます。
Q2: 離婚調停や裁判の費用が払えない場合はどうすればいいですか?
法テラスの民事法律扶助制度を利用すれば、収入や資産が一定以下の方でも弁護士費用を立て替えてもらえます。通常の半額程度の費用で済み、分割払いも可能です。まずは法テラスや自治体の無料法律相談を利用して、自分が制度の対象になるか確認しましょう。
Q3: 夫が離婚に応じない場合、お金がなくても離婚できますか?
夫が離婚に応じない場合でも、法定離婚事由(不倫、DV、悪意の遺棄など)があれば、調停や裁判を通じて離婚できます。調停の申立て費用は1,200円程度と少額ですし、法テラスを利用すれば弁護士費用も立て替えてもらえます。 一人で悩まず、まずは弁護士に相談してみましょう。
Q4: 離婚後、実家に戻ると児童扶養手当はもらえなくなりますか?
実家に戻っても児童扶養手当が全くもらえなくなるわけではありませんが、支給額が減る可能性があります。児童扶養手当は世帯全体の所得で判定されるため、親の収入が高い場合は支給額が減額されたり、支給停止になることがあります。 実家に戻る前に、自治体の窓口で具体的な支給額を確認しておくことをおすすめします。
Q5: 離婚を考え始めたら、まず何から準備すればいいですか?
まずは夫婦で築いた財産(預貯金、不動産、車、保険など)を把握し、可能であれば証拠を残しておきましょう。DVやモラハラ、不倫などがある場合は証拠を集めることも重要です。そして弁護士や自治体の無料相談を利用して、自分のケースで受け取れるお金や利用できる支援制度を確認することが第一歩です。 焦らず、一つずつ準備を進めていきましょう。
お金がなくても離婚はできる。まずは専門家に相談を
離婚したいけれどお金がないという状況でも、利用できる制度や支援は数多くあります。お金がないことは離婚できない理由にはなりません。
別居中なら婚姻費用を請求して生活費を確保でき、離婚時には財産分与や慰謝料、養育費などを受け取れる可能性があります。離婚後は児童扶養手当やひとり親家庭の医療費助成、住居確保給付金など、さまざまな公的支援制度が用意されています。住む場所がない場合も、母子生活支援施設や公営住宅などの選択肢があります。
離婚後の生活が不安なのは当然のことです。しかし、適切な準備と支援制度の活用で、新しい生活を始めることは十分に可能です。一人で抱え込まず、専門家の力を借りることが、より良い解決への第一歩です。

