配偶者の浮気を疑い、iPhoneの位置情報サービスで相手の行動を確認できないかと考える人がいます。しかし、スマホから無断で位置情報を入手するのは違法ではないかという指摘もあります。iPhoneの位置情報から浮気調査を行うとどのような問題が生じるのでしょうか。
iPhoneの位置情報サービスで浮気を調べるのは違法?
iPhoneには、スマホの現在位置を確認できる「位置情報サービス」という機能があり、そのサービスを利用すると紛失したスマホを探したり、家族で互いの位置を確認し合ったりできるようになります。これを使えば、夫や妻が浮気をしたときに居場所を確認でき、浮気の証拠になるのではないかと考える人は少なくありません。
旦那が浮気してます。そして確実な証拠が欲しいです。iPhoneにバレずに位置情報できる方法ないですか?iPhoneはロックされてますが番号がわかります
iPhoneの「探す」で位置情報共有を知らぬ間に妻にされていました。
私の許可なく、勝手位置情報を共有する行為は、違法ですか?プライバシー侵害にあたりますか?当たるなら訴えようかなと思ってます。
これって探すの友達に入っている妻を
共有の停止を行った場合
妻が私の携帯を使わずに、再度共有することは可能ですか?
可能であれば、結局居場所が一生バレると思うんですが。
家に帰りたくない時は普通にあります。
個人の時間が欲しいタイミングがあるが、普通にみられたら嫌なんですが、たとえ妻でも
個人的なプライベートは見られると嫌です。
夫に位置情報共有してほしいのですが、受け入れてくれません。
出張なども多く連絡がつかない時に不安になるからと伝え、連絡が取れないときだけという条件で一時は共有してくれていたのですが・・
位置情報確認をいつされたか分からない、監視されてるみたいで嫌だ、サプライズのプレゼントを買っているのがバレるのが嫌だなどの理由で、拒否されました。
実際、夫はよくプレゼントをくれます。サプライズと言えるほどか分かりませんが、私がほしいなーと言ったものや、ちょっとしたスイーツやお花などを仕事帰りに買ってきてくれたりします。
位置情報サービスは便利な機能ですが、中には「夫婦と言えども、互いの位置情報を共有したくない」という人もいます。一方で、自分の位置情報を相手に知られず、相手の位置情報だけ知りたいという人もいて、配偶者のスマホを勝手に操作してしまう人もいます。こうした位置情報をめぐるトラブルは少なくありません。
スマホの位置情報もプライバシーに含まれますから、扱いを間違えると罪に問われるリスクもあるので注意が必要です。法律に触れずに夫や妻が持っている位置情報を確認する方法や、無断でスマホを操作して位置情報を入手したときのリスクについて解説します。
iPhoneの位置情報サービスで浮気を調べられる?
iPhoneの位置情報サービスは、紛失したスマホを探したり、道に迷ったときに現在位置を確認したりできる便利なサービスです。子供や認知症の高齢者にスマホを持たせて、安全を確認するという使い方もできます。
ところが、この位置情報サービスを悪用すれば、相手の行動をこっそり把握できるのではないかと考える人もいます。もちろん、これはプライバシーの侵害なのですが、「配偶者なら許されるだろう」と浮気調査に利用することを考える夫や妻は少なくありません。本当にiPhoneの位置情報サービスを使えば、相手にバレずに浮気をしているかどうかチェックできるのでしょうか。
iPhoneの位置情報サービスとは
位置情報サービスとはGPS衛星とスマホが通信し、正確な現在位置を確認できるシステムで、カーナビでも使われている技術です。位置情報サービスがあると、スマホを紛失してもネットで探したり、目的地まで道案内してもらえたりできます。犯罪捜査ではスマホの位置情報から、被害者や加害者の行動履歴を調べることもあります。
位置情報サービスは常時「ON」の状態にもできますし、特定のアプリを使ったときだけ「ON」になるよう設定することもできます。また、iPhoneを探すという機能があり、この機能を「ON」にすればネットの地図上でスマホの位置を検索できます。紛失したスマホを探したり、子供や高齢者の見守りをしたりするときは、この機能を使う人が多いようです。
またファミリー共有という機能を使うと、家族の間で情報を共有できるようになり、映画や音楽、ゲームなどの有料サービスも共有できます。互いの位置情報も取得できるので、家族のスマホを探すことも可能です。夫婦で登録して、帰宅するタイミングなどを確認するのに使う人もいます。
位置情報サービスを浮気の調査に使える?
配偶者が浮気をしている可能性があり、相手にバレないように行動を確認しようと思っているのなら、位置情報サービスはあまり向いていません。なぜなら、位置情報は簡単に「OFF」にできますし、何らかの方法で勝手に「ON」にしたとしても、相手にすぐにバレてしまいます。また、他人が位置を検索すると本人に通知が届くようにもなっています。
配偶者がこっそり自分の位置情報を確認しようとしていると知ったら、相手も良い気分ではないでしょう。場合によっては、夫婦の信頼関係が損なわれることもあります。それに、そもそも他人のスマホを勝手に操作するのは違法行為になりかねません。ストーカー規制法が改正されたことで、同意なく夫の位置情報を取得することが違法とされる場合があります。また、夫婦関係が悪化し、離婚するような事態になれば、プライバシー侵害などを理由に慰謝料を請求される恐れもあります。
位置情報の確認は合意の上で
配偶者のiPhoneの位置情報を確認するには、相手の合意が欠かせません。このため、使い方としては「事故や災害に遭ったときのために、互いの位置情報を確認できるようにしておこう」などと言って位置情報を共有するという形になるでしょう。これでは、こっそり相手の行動を確認するわけにはいきませんが、浮気の抑止力にはなるはずです。
加藤 惇
せっかく不貞の証拠を入手しても、違法な行為をして取得したものである場合、証拠として使うことが難しくなる場合があります。それでは苦労して証拠を入手した意味がありません。どのような証拠を収集することで有利に戦うことができるのか弁護士に相談しながら対応すると良いでしょう。
位置情報サービスで相手の現在位置を知る方法
具体的に、どうすれば位置情報サービスで相手の現在位置を確認できるのでしょうか。iPhoneを持っている相手の現在位置の見つけ方を説明します。相手のスマホを操作する必要があるので、必ず了解を得るか、本人に操作してもらいましょう。勝手に操作すると、違法行為になる可能性があります。
「iPhoneを探す」で現在地を確認するには
最初にiPhoneに備わっている「iPhoneを探す」機能をONにする必要があります。操作手順は次の通りです。
設定を開く
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ユーザー名を選択
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「iCloud」を選択
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「iPhoneを探す」を選択
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「iPhoneを探す」と「最後の位置情報を送信」をONにする
「iPhoneを探す」機能をONにすれば、iCloudから相手の現在位置を確認することができます。相手の見つけ方の手順は次の通りです。
https://www.icloud.com/にアクセスする
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Apple IDとパスワードを入力してログインする
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「iPhoneを探す」を選択
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位置情報が表示される
「ファミリー共有」で相手の現在位置を確認するには
ファミリー共有で相手の現在位置を確認できるようにするには、「iPhoneを探す」機能をONにしたうえで、ファミリー共有を設定します。ファミリー共有の設定方法は次の通りです。
設定を開く
▼
ユーザー名を選択
▼
「ファミリー共有」を選択
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「メンバーを追加」を選択
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「ファミリー共有への登録を依頼する」画面の「登録を依頼」を選択
▼
相手に登録してもらう
相手をファミリーとして登録すれば、自分のスマホやiCloudからスマホの位置情報から相手の現在位置を確認できます。自分のスマホから確認する場合は「探す」というアプリがあるので、インストールしておくと便利です。
「探す」アプリを起動して左下の「人を探す」をタップすると、地図の上に相手の現在位置が表示されます。
また「iCloud」の「iPhoneを探す」にログインすると、地図上にApple IDに紐づくデバイスすべてが表示され、探している相手の位置を確認できます。
iPhoneの位置情報サービスで過去の行動は調べられる?
「探す」アプリや「ファミリー共有」を使えば、現在位置はわかりますが、過去の行動までは遡れません。過去の行動や、よく行く場所を調べる方法はあるのでしょうか?
「利用頻度の高い場所」機能で行動履歴は確認できるが…
iPhoneには利用頻度の高い場所という機能が標準で備わっており、初期設定でONになっています。この機能がONになっていると、過去約50日間に行った場所がすべて記録され、後から振り返ることができます。この機能を使えば、配偶者の過去の行動を把握できるはずだと考える人もいるのではないでしょうか。
しかし、「利用頻度の高い場所」機能を使って行動履歴を把握するのは、簡単ではありませんし、リスクがともないます。また、たとえ何らかの方法で行動履歴を見ることができたとしても、それが浮気の証拠になるとは限りません。どういうことなのか説明していきます。
簡単に機能をOFFにできる
「利用頻度の高い場所」機能を使えば、過去の自分の行動をたどることができるといっても、それは機能をONにしているからです。OFFにすれば位置情報は記録されません。浮気をしているような人であれば、当然、自分の行動がバレるようなことはしないでしょうし、プライバシーに敏感な人もOFFにすることが多いはずです。
本当に用心深い人なら、スマホから浮気がバレるようなミスはしないでしょう。たとえ、配偶者にスマホをのぞき見されても大丈夫なように、浮気相手と密会するときは位置情報をOFFにしたり電源を切ったりしているはずです。
本人以外はロックを解除できない
「利用頻度の高い場所」に保存されたデータを見るには、Face IDやTouch ID、パスコードが必要になります。普通は、本人に解除してもらわなければ、内容を見ることはできないでしょう。中には、パスコードを設定していない人や、配偶者も自由に解除できるようにしている人もいるかもしれませんが、それはセキュリティ以前の別の問題です。
人がどこで何をしていたのか、というのは本来保護されるべきプライバシー情報の1つです。当然、高いセキュリティで保護されるようApple も配慮しています。本人以外は簡単にロックは解除できません。
相手にバレると信頼関係が損なわれる
位置情報を確認すると、本人のスマホには位置情報を確認したことを知らせる通知が届きます。これで、自分以外の誰かが位置情報を確認したことがわかります。また、いつのまにか位置情報がONになっていれば、プライバシーやセキュリティに気を使っている人なら、すぐに気付きます。こっそり相手の行動を確認しようと思ってもすぐにバレてしまうでしょう。
勝手にスマホを操作したり、見たりしていたことがバレると大変です。相手が浮気をしているのなら、ますます行動が慎重になるでしょうし、浮気をしていなかったら、夫婦の信頼関係にヒビが入ってしまいます。
確実な証拠にはならない
iPhoneの位置情報で、相手の居場所がわかっても、浮気を裏付ける証拠にはなりません。裁判で浮気があったかどうかを争うときは、性的関係があったことを証明する必要があります。しかし、位置情報でラブホテルにいたことがわかったとしても、相手と一緒にいたという証明にはならないのです。
もし、違法となるリスクを冒して位置情報を入手したとしても、得られるのは「怪しい行動がある」という程度です。現場に踏み込むつもりなら別ですが、「浮気をしているかどうか心配」という程度では、割に合わない方法といえるでしょう。
他人のiPhoneを操作すると違法行為の恐れが
配偶者に浮気の疑いを持っているとき、たまたま置きっ放しになっているスマホを見れば、つい中をのぞいて見たくなるものです。位置情報を把握できるようにしておこうという誘惑に駆られることもあるでしょう。
しかし、そうした行為は違法である可能性が高く、やめておくべきです。夫婦間の信頼関係を損ねるだけでなく、慰謝料を請求される可能性もあります。他人のスマホを操作すると、具体的にどのようなリスクがあるのか、注意点などを解説します。
他人のスマホを無断でロック解除すると犯罪
「他人のスマホを勝手に見ると法律違反」という話を聞いたことがある人も多いでしょうが、具体的にどのような行為が、どのような法律に違反するのか理解している人は少ないのではないでしょうか。実は「他人のパスワードを使って、他人のサーバーに勝手にアクセスする行為」が、不正アクセス禁止法に違反する可能性があります。
つまり、スマホの画面をタッチし、メールやLINEの画面を呼び出して盗み見る程度では、不正アクセス禁止法には違反しません。IDやパスワードを不正に入手して勝手にロックを解除したり、アプリなどにログインしたりした場合、法律違反にあたる可能性があるのです。もちろん、相手が了承している場合は問題ありません。
不正アクセス禁止法に違反すると、3年以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられます。位置情報の入手でも、途中でログインする必要があるため、罪に問われる可能性があるのです。
慰謝料を請求される恐れも
位置情報に限らず、スマホに保存されているメールやLINEの内容、通話履歴などはすべて個人のプライバシーに関する情報です。誰でも自分のプライバシーを保護する権利があり、他人のスマホを勝手に操作して個人情報を入手したり、盗み見したりする行為は、相手へのプライバシーを侵害する行為にあたります。
これは、夫婦の間でも同じで、プライバシーを侵害された側は、精神的苦痛に対する慰謝料を請求できます。実際に、多額の請求が認められることは、ほとんどありませんが、夫婦の信頼関係が損なわれ、離婚に発展してもおかしくはないでしょう。
iPhoneの位置情報サービス以外で浮気調査する方法は?
iPhoneの位置情報サービスで浮気を調べるのは、リスクが高い割に証拠能力が低く、おすすめできる方法ではありません。では、どのようにして浮気を調べればいいのでしょうか。考えられる方法を紹介します。
自分で証拠を掴む
配偶者の様子がおかしいことに気付き「浮気では」と感じたら、まずは小さな証拠からコツコツと積み上げていきましょう。浮気をすると、多くの場合、出費が増えます。出費を丹念に追うことで、思わぬ証拠が見つかることがあります。
たとえば、クレジットカードの請求書や通帳の残高をしっかりチェックすれば、不審な出費が見つかるかもしれません。また、洗濯のときに衣服のポケットからでてきたり、車の中に残されていたりしたレシートも、手掛かりになる可能性があります。ただし、財布やカバンの中を勝手に調べるのはやめましょう。
十分な証拠を集めたうえで、スマホのメールやLINE、位置情報などを見せるように求めれば、相手も観念して応じるかもしれません。
GPS発信機を使う
スマホを勝手に操作するのが違法なら、GPS発信機を使えばいいのではないか、と思う人もいるでしょう。実際、市販のGPS発信機を子供や高齢者に持たせている人もいます。しかし、相手の合意を得ずに、GPSで相手の位置情報を把握することもストーカー禁止法によって禁止されています。
このため、配偶者のかばんや財布にGPS発信機を仕込んでおくのは違法です。違法にならない可能性があるのは、夫婦共有のマイカーにGPS発信機を取り付けるようなケースでしょう。この場合は、自分の車に取り付けるわけですから違法にならない可能性があります。しかし、バレてしまったとき、夫婦間の信頼関係が損なわれることには変わりありません。
探偵に調査依頼する
浮気の疑いが明確で、確実な証拠をつかみたいというときや、浮気をしているのかどうかはっきりさせて安心したいという場合は、やはり専門家に相談するのがベストでしょう。探偵事務所や興信所に依頼すれば、合法的に証拠を集められます。また、弁護士に相談しても、必要な証拠や収集方法についてアドバイスしてもらえます。
浮気の調査は合法的に|難しいときは専門家に相談を
浮気は、民法が定める夫婦の義務に違反し、配偶者の「平穏な結婚生活を送りたい」という気持ちを踏みにじる行為です。浮気された側が「どんな手段を使っても、証拠をつかみたい」と考えるのも仕方のないことです。しかし、いくら相手が悪いことをしていたとしても、自分も違法行為をしてはいけません。
浮気の相手に対して必要なのは、どのような償いをさせるかであり、自分自身がどう立ち直るかです。胸を張って正々堂々と再出発できるよう、浮気調査も合法的に行いましょう。弁護士事務所などの専門家に相談すれば、きっと良い解決方法をアドバイスしてくれるはずです。
加藤 惇/CSP法律会計事務所(第一東京弁護士会所属)
弁護士として、婚姻費用・財産分与・養育費・慰謝料・不貞・親権・面会交流など、離婚にかかわる事件を特に重点的に取り扱う。依頼者の意向を丁寧にくみ取り、常に依頼者の利益を最大化することを目標に活動している。離婚事件のほか、いじめなどの学校事件も多く扱っており、子供に関する問題にも詳しい。CSP法律会計事務所所属。