そもそも家庭内別居とは?
家庭内別居とは、同じ住居で生活しながら、夫婦間のコミュニケーションがない状態をいいます。関係が破綻しているものの、子供の存在や経済的な理由から離婚を選択できず、家庭内別居に至るケースが増えているようです。リビングや寝室などの生活スペースを共有していても、次のような特徴に当てはまれば家庭内別居の状態だといえるでしょう。
・顔を合わせない・会話をしない
・生活は別々に行う
・子供の前では通常通り接する場合もある
・お金の管理も別で行う
具体的にどのような状況のとき、一般的に家庭内別居といわれるのか、それぞれ紹介していきます。
顔を合わせない・会話をしない
家庭内別居の大きな特徴は、夫婦が最低限しか顔を合わせず、ほとんど会話をしないことです。重要な連絡事項であっても、口頭ではなくメールやLINEでやり取りする夫婦もいます。
生活は別々に行う
家庭内別居をしている夫婦は、食事を別々にとったり、寝室やベッドを分けたりすることも特徴です。また、調理や洗濯などの家事も別々に行います。どちらか一方が家事を負担していた場合、何らかの理由で家事を放棄し、そこから家庭内別居に発展することも多いようです。
子供の前では通常通り接する場合もある
子供への影響を考慮し、子供の前では通常通りに振る舞う場合もあります。一方、子供の前でもほとんど会話をしない夫婦も多く、対応は千差万別です。子供がある程度成長している場合は、家庭内別居の事実を打ち明ける人もいます。
お金の管理も別で行う
生活費や光熱費などを分担したり、給料を共有しなかったりと、家庭内別居ではお金の管理も別々に行うケースも多くみられます。専業主夫・専業主婦は、相手から生活費を受け取れないと経済的な負担がかかってしまいますが、この場合、収入の少ない側は多い側へ生活費を請求できることがあります。
家庭内別居は楽しい?【体験談】を調査
夫婦内の会話がほとんどない家庭内別居を「楽しい」と感じることはあるでしょうか。家庭内別居を経験した人の体験談の中から、家庭内別居の中に楽しさを感じている人と、楽しさを感じられない人の声を紹介します。
家庭内別居を「楽しい」と感じている人の意見
家庭内別居を楽しいと感じている人の意見には、次のようなものがありました。
・相手の顔色をうかがう必要がなく楽になった
・うつ状態から抜け出せた
・自分の時間が増えた
・困ったときだけ助け合える
配偶者からモラハラを受けていた人は、家庭内別居により相手の顔色をうかがう必要がなくなり、気持ちが楽になったと感じています。うつ状態で趣味を楽しめなくなっていた人も、再び楽しいと感じられるようになったそうです。完全な別居ではないため、病気の際や緊急時などは互いに援助できる点をメリットに挙げている人もいました。
夫からのモラハラによりうつ状態になった時期は、大好きだった料理の手順が分からなくなり、カレーライスですら上手く作れなくなってしまいました。しかし、家庭内別居を始めて数ヵ月した頃、再び料理を作れるようになりました。私自身も楽しいうえ、子供も「やっぱりお母さんの料理はおいしい!」と喜んでくれることがうれしいです。
妻とは家庭内別居していますが、ものすごく快適で楽しいです。まず、圧倒的な自由があり、好きな時に好きな事ができます。自炊も楽しいし、好きなものを自由に食べられることが幸せです。また、病気の時は互いに援助するというルールにしたため、同居しているメリットもあります。夫婦というより、仲間になったような感覚です。
家庭内別居を「楽しい」と感じられない人の意見
家庭内別居を楽しいと感じる人がいる一方で、「楽しい」とは感じられない人もいます。家庭内別居につらさや苦しさしか感じられないという人の意見には、次のようなものがありました。
・相手の存在を感じてストレスが溜まる
・生活費を渡すだけの状態が納得いかない
・子供に申し訳ない
ほとんど顔を合わせないものの、同じ家で暮らしている以上は相手の存在を感じます。特に、狭い家だとストレスが溜まりやすくなります。夫婦の一方のみが働いている場合は、生活費を入れているのに家事をしてもらえないことに納得がいかないようです。また、相手の不倫が原因で家庭内別居を始めたものの、子供への悪影響を案じている人もいました。
時々、家庭内別居のストレスを強く感じます。食事の用意もされず、無視されているのに生活費だけ家に入れなくてはいけない。その状況が我慢できません。怒りをどう鎮めれば良いのか分からず、爆発しそうになります。子供を悲しませたくないから怒りたくはありませんが、とてもきついです。
旦那の不倫が原因で、家庭内別居を始めました。しかし、子供のことを考えたら涙が止まらなくなり、眠れません。自分の父親が不倫していた事実を知り、両親が言葉を交わさない環境で暮らさなければいけない。子供を巻き込んでしまったことを、本当に申し訳なく思います。
家庭内別居に向いているケースとは
家庭内別居を楽しいと感じる人もいれば、つらい思いをしている人もいます。家庭内別居が向いているのは、どのようなケースなのでしょうか。比較的、ストレスを感じずに家庭内別居ができそうなケースを紹介します。
・経済的に余裕がある人
・子供がある程度成長した人
・比較的広い家に住んでいる人
経済的に余裕があり、パートナーの手を借りずに快適に生活できるのであれば、まず家庭内別居を試しても良いかもしれません。家庭内別居の期間中に、今後の方向性をじっくり考えるのも良いでしょう。子供がある程度成長し、両親の事情を理解できることも重要です。また、ストレスフリーに家庭内別居を続けるためには、相手と顔を合わせずに済むよう、部屋数が多く一定の広さがあることも必要でしょう。
家庭内別居のメリット・デメリットは?
「相手と同じ空気を吸いたくない」という感情だけで、短絡的に家庭内別居を始めてしまう人がいます。しかし、家庭内別居は良いこと、楽しいことばかりでなく、当然デメリットもあります。家庭内別居を始める前に、メリット・デメリットを知っておきましょう。
メリットは経済的な負担が少ないこと
・経済的な負担が少ない
・世間体を保てる
・子供への影響が小さい
・再構築につながる場合がある
家庭内別居の最大のメリットは、経済的な負担が少ないことです。特に、どちらか一方に収入がない場合は、離婚するより家庭内別居を選択した方がメリットは大きくなります。また、完全に別居するより、家庭内別居は家賃や光熱費も抑えられます。離婚すると周囲から噂話の標的にされやすくなりますが、家庭内別居であれば世間体も保てるでしょう。
離婚した場合はどちらかが子供を引き取ることになりますが、家庭内別居であれば夫婦で子供の成長を見守ることができます。また、しばらく会話や家事を避けることで相手に対するストレスが減り、再構築につながる可能性もあります。
デメリットは離婚のしにくさ
・離婚事由として認められにくい
・有責配偶者とされる恐れがある
・子供の精神衛生に良くない
・ストレスが溜まる
夫婦のどちらか一方がかたくなに離婚を拒んだ場合、最終的に離婚裁判となります。このとき、不貞行為や完全別居の事実があれば離婚しやすくなりますが、家庭内別居だけでは離婚の原因として認められにくいでしょう。
また、収入のない配偶者に生活費を渡さなかったり、理由なく家事も仕事も行わなかったりした場合は、夫婦関係を破綻させた有責配偶者とされる恐れがあるので注意しましょう。
子供がいる場合は、子供の精神衛生への影響を考える必要があります。両親が家にいれば子供も一応安心できますが、やはり両親のぎくしゃくした関係は、子供の心に微妙な影を落とすでしょう。自分にとっても、そうした関係はストレスが溜まる原因となります。
家庭内別居を円満に続けるコツとは
家庭内別居にはメリットがある一方で、デメリットも多く存在します。一緒に生活している相手を無視し、自分も無視され続ける状況は、想像以上にストレスが溜まります。また、子供のためを思って家庭内別居を選択したのに、子供の精神状態に影響を与えてしまっては本末転倒です。そこで、家庭内別居を円満に続けるためのコツを3つ紹介します。
最低限のルールを共有する
家庭内別居を始める際は、連絡事項の伝え方、食事や入浴の時間など、最低限のルールを決めておくと後々のストレスが軽減されます。特に、金銭面に関するルールはしっかり話し合って決めておきましょう。
期間を決めておく
家庭内別居に慣れてしまうと、離婚も再構築もできず、同じ状況が何十年も続くことがあります。「子供が成人するまで」のように期限を決めておくと、気持ちの整理もつきやすくなります。家庭内別居をしていた夫婦の離婚率は83%という調査結果もあり、家庭内別居からの再構築は難しいようです。離婚後の人生設計も考えておきましょう。
今回の調査では家庭内別居をした後の離婚率は83%という結果となりました。
特に女性は91%とかなりの高確率で離婚に至っていて、やはり家庭内別居のまま夫婦関係を継続するのは簡単ではないことが伺えます
子供に配慮する
子供は、家庭内別居の一番の被害者だといえます。両親が家庭内別居をしていた子供は、自己肯定感が欠落したり、結婚観が歪んだりする可能性があります。子供への影響を理解したうえで、すべてを正直に話すか、子供の前では仲の良い夫婦を演じるか、家族にとっての最善策を見つけましょう。
家庭内別居で楽になる人もいる
家庭内別居をつらいと感じる人がいる一方で、気楽で楽しいと感じる人もいます。特に配偶者から何らかの束縛を受けていた人は、相手と顔を合わせる機会が減り、楽になったと感じる傾向にあります。家庭内別居を楽しいと感じるかは人それぞれ。夫婦の関係や経済状況に合わせて、進むべき道を選びましょう。