夫婦関係は修復できない?道のりは険しい?離婚しかない?
お互い愛情がないのに、離婚せず同居を続ける夫婦を「仮面夫婦」と呼ぶことがあります。しかし、夫婦や子供の将来のためにも仮面夫婦の状態から脱却し、夫婦関係を修復したいと思っている人もいるでしょう。
悪化した夫婦関係を修復するのは容易な道のりではありませんが、きっかけを作り、一つひとつ乗り越えれば、不可能ではありません。夫婦関係が悪化した原因ごとに、夫婦関係を修復するコツを解説します。
夫婦関係を修復するきっかけは?成功した人の【体験談】を調査
夫婦関係がこじれるまでには、さまざまな要因が関係しているのと同様に、修復のきっかけも一つではなく、決まった修復方法があるわけではありません。
しかし、変わることを相手に要求するのではなく、自分から変化しようと努力する人が、夫婦関係の修復に成功しやすいようです。そうした人たちがどのようなことをきっかけに、どうやって関係を修復していったのか、体験談とともに紹介します。
要点を整理してから話し合いをする
夫婦関係に問題がある場合、夫婦間で気持ちに大きな食い違いがあるようです。時には単なる思い違いもあり、話し合いによって誤解が解けることもあります。そうした誤解の解消は、夫婦関係の修復のきっかけになるでしょう。
しかし、話し合う度に口論になってしまい、相手と話すのも嫌だという気持ちになっている夫婦もいます。そのような場合は、要点を事前に整理してから、話し合いに臨むと円滑に進められるかもしれません。
いつも口論になってしまうので、妻に言われそうなことを予め予想し、答え方を何パターンか用意してから話し合うようにしました。つい感情的になってしまうのを抑えられて冷静に話ができました。
自筆で手紙を書き、気持ちを伝える
夫婦仲が冷え切って会話すらほとんどしない場合は、長時間の話し合いは困難です。そのようなときは、文章で気持ちを伝えると、お互い冷静に気持ちをやりとりするきっかけが得られるかもしれません。
E-mailやメッセージアプリなどでもよいですが、筆跡から相手の微妙な気持ちが読み取れる自筆の手紙が効果的です。手紙のほかに、普段の気持ちを伝え合う交換日記も夫婦関係を修復するきっかけになることがあります。
「こないだはごめん」という短い手紙でしたが、それをきっかけにまた以前のような仲を取り戻せました。手書きの文字から夫が書いている姿が想像でき、自分も悪かったかなと反省できました。
子供からの指摘を受け入れる
夫婦関係が悪化した家庭は、一緒に暮らす子供にとっても居心地がよいものではありません。子供の前では仲の良い夫婦を演じても、普段の会話の少なさなどから子供は、微妙な関係を感じ取るものです。そのことを子供から指摘されたのをきっかけに、関係修復に取り組むようになった夫婦は多いようです。
小学生の娘が今年は旅行に行かないと言い出しました。車内の険悪な雰囲気が嫌なのだそうです。娘の前では夫婦喧嘩をしていなかったのに、悪影響を与えていたことをきっかけに、夫婦で関係改善に取り組みました。
相手の長所を見つける
夫婦関係が悪化すると、相手の悪い面ばかりが目に付くようになります。しかし、付き合い初めた頃を思い返せば、相手にも尊敬できる点があることに気付くはずです。さらにそれを素直に伝えることで、相手の意識も変わる可能性があり、夫婦関係修復のきっかけにもなり得ます。
「トイレをきれいに使ってくれてうれしい」など日常のちょっとしたことでも大げさに褒めるようにしています。すると夫も何かと褒めてくれるようになり、夫婦仲の良さを維持できています。
新大塚法律事務所
調停には、離婚調停の他に、円満調停という制度があります。夫婦関係の修復をするために、調停委員を介して、家庭裁判所で話し合い制度です。1対1での話し合いが難しい場合は、そのような制度を使ってみるのも1つの方法です。
別居や離婚を切り出す
夫婦関係を修復するために、さまざまな方法で努力してみても、相手が話し合いに応じないなど解決が難しいケースもあるでしょう。そのようなときは別居や離婚を切り出して、事の重大さを伝えると、相手の意識が変わるきっかけになるかもしれません。
ただし、夫婦関係の悪化が深刻な場合、相手が離婚話に本気になってしまうことがあります。別居や離婚の話題は、修復可能な状況かどうかを見極めた上で切り出し、安易に使わないようにしましょう。
私のほうからも歩み寄ってみましたが、夫は変わる気配がなく、最終手段として離婚も考えていることを伝えました。すると夫は焦ったのか、私や子供に優しく接するようになりました。この状態が続いてほしいです。
新大塚法律事務所
実際に別居を始めて、お互い同居を求めることをしないまま数年経過してしまうと、それ自体で、婚姻関係が破綻していると判断され、一方が離婚を拒否していても、離婚訴訟で離婚の判断をされる可能性も出てくるため、別居というカードも、あくまで、事の重大さを伝えるニュアンスで使うことが重要です。
夫婦関係を修復するときの心構えは?
長年かけてこじれてしまった夫婦関係を修復するのは簡単ではありません。途中で挫折しないため、最初に確認しておきたい心構えを紹介します。
長期戦を覚悟する
付き合いが長い夫婦ほど、長年の小さな不満が積み重なって現在の状態に陥っていると考えられます。このため、1回謝ってみても、相手がすぐに態度を変えるとは限りません。場合によっては、数年かかることも覚悟しておいたほうがよいでしょう。
相手のせいにしない
ほとんどのケースにおいて、夫婦関係が悪化した原因は夫と妻の双方にあります。自分にも問題はあるけど、それ以上に相手が意識を変えるべきだと考えがちですが、まずは「お互い様」だと考えましょう。相手が態度を改めることを期待して、間違いを一方的に追及し続けると、相手が心を閉ざして逆効果になる危険があります。
感謝と愛情を言葉で伝える
長年付き合っているとつい忘れがちですが、相手に何かしてもらったら「ありがとう」と感謝を伝えることを習慣にしましょう。普段から会話が乏しい夫婦でも、感謝を言葉にするだけで、相手に気持ちを伝えるきっかけになります。同様に、相手を大切に思い、愛情を伝える言葉も、日ごろから口に出して伝えるとよいでしょう。
相手の立場に立って考える
夫婦関係を修復したいと考えているのに、相手が何に不満を持っているのか理解できず困惑することもあるでしょう。そのようなときは相手の状況を想像して考えると、夫婦関係を悪化させている原因が見つかるかもしれません。たとえば、相手は仕事や育児で悩んでいるといった理由で疲弊していて、穏やかに過ごす余裕がなくなっている可能性もあります。
逆に、自分は家事や仕事で悩みを抱えているのに、相手はちっとも気付いてくれないという不満を抱えている人もいるでしょう。そういうときも、相手に自分の不満や要求ばかり一方的に伝えるのではなく、「相手に自分は何をしてあげられるのか」と考えると相手の悩みやつらさに気付けるかもしれません。夫婦関係の修復には互いの思いやりも大切です。
自分の気持ちを振り返る
夫婦関係を修復する過程では、成果を急ぐあまり、良かれと思ってしたことが裏目に出たりと、行動が空回りしがちです。ときには冷静になり、自分はどうしたいのか客観的に振り返ることも大切です。
自分の考えを整理するのに、相手にしてもらいたいことを箇条書きで紙に書き出すという方法があります。その中から、今の自分に必要だと思うことを選び、要点を絞って相手と話し合うことで、夫婦関係についてお互いが前向きに考えられるようになるかもしれません。
夫婦関係を修復する時のポイントを【原因別】に解説
夫婦関係を修復したいからと、積極的に話し合いを持ち掛けても、相手は「話すことはない」と応じないかもしれません。まずは夫婦関係が悪化した原因を突き詰め、その結果起こった問題の解決を目指しましょう。一般的によく見られる夫婦関係悪化の原因と解決策を考えるポイントを説明します。
家事・育児による疲弊
日中、外で仕事をしていると理解しづらいかもしれませんが、一人で手のかかる子供の面倒を見るのは想像以上に大変です。家事や育児による疲弊は、精神的にもストレスがかかり、夫婦関係が悪化するきっかけになる可能性があります。
夫婦で家事や育児を分担し、一方だけに負担がかからないようにすると、共同作業をしているという意識から相手への信頼感も高まるでしょう。家事代行サービスや育児ヘルパーなどを利用して、子供から離れて一人になれる時間を作ると、ストレスの緩和に役立ちます。
・夫婦で家事を分担する
・育児支援サービスなどを利用する
・一人になれる時間を確保する
気付いた人がやるのではなく、細かい家事まで夫婦で役割を決めて分担しています。相手に押し付け合うことがなくなり、険悪になるのを回避できています。
コミュニケーションの不足
夫婦関係が悪化するきっかけとして、コミュニケーション不足があります。会話をしたくてもお互い忙しくて時間がないという夫婦もいるでしょう。顔を見合わせて会話をするのがベストですが、気持ちを伝えるには、直接話すだけでなくさまざまな方法があります。また、スキンシップは短時間でも相手に感情が伝わりやすい手段です。
・メールや手紙で会話の不足を補う
・日常的に感謝の言葉を伝える
・スキンシップを大切にする
テレビをつけっ放しにしたなどささいなことで夫婦喧嘩をしてしまいます。でも誕生日にくれた手紙に普段の感謝の気持ちがつづられていて、やっぱり夫婦でいられてよかったと思いました。
価値観の違い
金銭感覚や子育ての方針など、お互いの価値観に違いがあると、意見の食い違いから夫婦関係が悪化する原因になります。このような場合は、自分の基準を押し付ける前に「ここまでなら許せる」という許容範囲を設けて妥協点を見つけるとよいでしょう。
金銭感覚については、事前に話し合って予算などを決めておくと、トラブルの回避に役立ちます。お互いの妥協点が見つからない場合は、それぞれの分野の専門家に相談してみましょう。
・許容できる範囲を広げる
・予算などのルールを定めておく
・第三者の意見を参考にする
子供や自分たちの将来のために貯金したいのに、夫は浪費家ですぐに使ってしまいます。そこでファイナンシャルプランナーに相談して家計簿を見てもらいました。理論的なアドバイスで夫も浪費をやめました。
相手が浮気や不倫をした
相手が浮気や不倫をしたとき、すぐに離婚を決意する人がいる一方、夫婦関係の修復を希望する人も少なくありません。修復を考えているのなら、浮気や不倫の事実をしつこく追及するのは避けたほうがよいでしょう。詳しく聞くことで自分がつらい気持ちになりますし、相手との関係悪化が加速する可能性もあります。
まずは相手と共通の趣味を持つなどして、一緒に過ごす時間を増やしましょう。ただ、浮気や不倫をされた不安は簡単に癒えるものではありません。カウンセラーや弁護士など信頼できる専門家に、今後の夫婦関係や再び浮気した場合の対策についてアドバイスを受けるとよいでしょう。
・離婚や浮気を責めない
・共通の趣味を持つ
・相談できる第三者機関を見つける
夫の浮気が発覚しましたが、子供のためにも夫婦関係の修復を目指すことにしました。夫は居心地悪そうですが、私には相談できるカウンセラーや友人もいるし、時間はかかりそうだけどがんばっていきたいです。
夫婦関係を修復したいのなら原因を明らかにしよう
冷え切ってしまった夫婦関係を修復したいのなら、まずはどこに問題があるのか原因を探してみましょう。多くの場合、夫婦関係の悪化は、夫と妻双方に問題があるようです。まずは自分にある問題を見つけて改善に取り組むと、相手の意識も変わってくるでしょう。
新大塚法律事務所(第一東京弁護士会所属)
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