家庭内別居でストレスが限界に…どうすれば解放される?
パートナーの顔も見たくなくなって家庭内別居を始めたものの、同じ家にいるというだけでストレスを感じ、そろそろ我慢も限界-。そんなしんどい思いや悩みを抱えている人も少ないでしょう。そんな状況から抜け出すにはどうすればいいのでしょうか。
まず、考えるのは離婚でしょうが、いきなり離婚を切り出してはいけません。円満離婚はもちろん、たとえこじれても自分に有利な形で離婚するには準備が欠かせません。離婚を進める際の注意点や家庭内別居でのストレスを発散する方法を紹介します。
家庭内別居でストレスが限界に達するとどうなる
家庭内別居によってストレスが限界に達すると、本人や家庭生活にどのような影響を及ぼすのでしょうか。代表的なものを3つ紹介します。
・子供に悪影響を及ぼす
・夫源病などで心身に不調をきたす
・不倫を考えるようになる
子供に悪影響を及ぼす
夫にせよ、妻にせよ、夫婦の間でストレスが高まると、影響を受けやすいのは子供です。親が精神的に不安定だと、子供も親の様子をうかがうようになり、不安を覚えます。ストレスが限界に達した親は、子供に厳しく当たってしまうかもしれません。
激しい夫婦喧嘩も子供の成育に悪影響を及ぼし、児童虐待に当たる可能性もあります。こうした夫婦の元で育った子供は脳が萎縮して、精神疾患を引き起こしたり、暴力的になったりするとされます。なにより家庭で安らぎを感じることができないことが子供にとって不幸です。
夫源病などで心身に不調をきたす
夫がそばにいると具合が悪くなる症状を、最近は「夫源病(ふげんびょう)」と言うようになりました。逆に、妻がいると具合が悪くなる症状を「妻源病(さいげんびょう)」と言うそうです。正式な病名ではありませんが、夫婦間のストレスによって発症すると言われ、次のような症状が特徴です。
・頭痛
・腹痛
・動悸、息切れ
・めまい
・吐き気
・食欲不振
・不眠・過眠
・うつ症状
夫や妻の存在が病気の原因なのですから、家庭内別居を続けていると、ストレスで病状は悪化する一方かもしれません。
不倫を考えるようになる
夫や妻に不満やストレスを感じ続けていると、夫や妻以外の異性に興味を抱いてしまうかもしれません。「自分を必要とする異性が、どこかにいるはずだ」という思いになることもあるでしょう。心の寂しさを埋める異性を待ち焦がれる気持ちになってもおかしくはありません。
しかし、どんな理由があろうと、不倫や浮気は許されません。もちろん、配偶者に知られてしまうと、夫婦関係を破綻させた有責者として、離婚を求められたうえで慰謝料も請求される可能性が高くなります。
家庭内別居は離婚の理由になる?
家庭内別居によって不満やストレスが溜まり、心身共に限界を迎えたら離婚できるのでしょうか。どのような状況なら離婚できるのか説明します。
家庭内別居だけでは離婚できるとは限らない
夫婦同士の話し合いや家庭裁判所の調停による話し合いの結果、双方が離婚に合意すれば、家庭内別居などの理由を問わず離婚が可能です。しかし、一方が離婚を拒否した場合、裁判で離婚に至る理由があると認められる必要があります。
双方の合意なしに離婚できる理由については、民法に規定があり「法定離婚事由」と言います。つまり、裁判で離婚するには法定離婚事由があり、離婚もやむを得ないと認めてもらわなければならないのです。
法定離婚事由とは次の通りです。
(裁判上の離婚)
第七百七十条 夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
一 配偶者に不貞な行為があったとき。
二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
三 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
2 裁判所は、前項第一号から第四号までに掲げる事由がある場合であっても、一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときは、離婚の請求を棄却することができる。
「悪意の遺棄」で離婚できるケースとは
家庭内別居で、双方の見解が分かれることが多いのが「配偶者から悪意で遺棄されたとき(悪意の遺棄)」と「婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」です。悪意の遺棄とは、「夫婦が互いに協力しあい、助け合う」という義務を果たさないことを言います。
悪意の遺棄で離婚できる可能性が高いのは次のようなケースです。
・家事や育児をしようとせず、全て配偶者に押し付けている
・特段の事情がないのに働こうとしない
・家事に専念する配偶者に十分な生活費を渡さない
ウカイ&パートナーズ法律事務所
実際に別居して長期間が経過すると、法定離婚理由として認められることが多いですが、家庭内別居が長期間続いても、はたから見て「夫婦関係が破綻している」とわかりにくいため、法定離婚理由としては認められるのは難しいといえます。
もっとも、相手が不倫している、相手から暴力を受けている、相手が生活費を支払ってくれない等、家庭内別居の他に理由があるケースは、法定離婚事由が認められ裁判で離婚しやすくなります。
「婚姻を継続し難い重大な事由」で離婚できるケースとは
「婚姻を継続し難い重大な事由」で離婚するには、客観的に見ても結婚生活を継続できないという事情を証拠によって証明する必要があります。「普段から会話をしない」「性格が合わない」という程度の理由で離婚が認められることは、ほとんどありません。
「婚姻を継続し難い重大な事由」として認められやすいのは、たとえば次のようなケースです。
・配偶者から、耐え難いDVやモラハラを受けている
・健康上の問題がないのに、長期間にわたって性交渉がない。一方が拒んでいる
・配偶者がアルコール依存症で、日常生活に支障をきたしている
・配偶者のギャンブル依存や浪費癖などで生計を維持するのが困難になっている
・配偶者が宗教活動に異常にのめり込み、家庭に深刻な影響を及ぼしている
これらのことを、日記などの記録や写真、録音、子供の証言などで証明できれば、離婚が認められる可能性があります。
家庭内別居に限界が来たら、離婚準備の時期かも
家庭内別居を続けるのは心身共に限界だと感じたら、離婚に向けて準備を進めることも必要でしょう。自分にその気がなくても、相手側から離婚を切り出されるかもしれません。相手も家庭内別居に限界を感じている可能性もあるので、しっかり備えておきましょう。
離婚準備として大切なのは、主に次の3つです。
・証拠を集める
・経済的に自立する
・家を出て別居する
証拠を集める
裁判になれば、結婚生活の継続が難しい状況にあることを裁判所に認めてもらわなければなりません。不倫や暴力などの証拠があれば、有利に裁判を進められますが、そうした決定的な証拠がなくても、日頃の言動を細かく記録しておくことで、離婚が認められることがあります。写真や録音だけでなく、日記も証拠となります。
経済的に自立する
妻や夫のどちらかが家事に専念して収入がない場合、収入のある側がどうしても有利な立場になりがちです。ときには十分な生活費を渡さないということもあります。また、離婚して新生活を始めるには、資金が必要ですし、その後の生活を考えると仕事に就くことも必要です。離婚を考え始めたら、経済的に自立する方法も考えましょう。
家を出て別居する
家庭内別居をしても、ストレスが溜まり続けるという場合、物理的に距離を取るしかないかもしれません。離婚への第一歩として別居を検討することも必要です。別居は夫婦の同居義務に反するため、相手の言動によって別居せざるを得なくなったことを証明できれば、離婚がしやすくなります。
家庭内別居に限界が来たときのストレス発散法は?
家庭内別居という不自然な夫婦生活を選択するまでには、さまざまな事情があったことでしょう。同居のストレスで限界だと言っても、すぐには離婚できない理由があるケースも少なくありません。そうした場合、どうやってストレスを軽減するのか、効果的な方法を3つ紹介します。
夫はビジネスパートナーと割り切る
相手を、妻や夫、家族だと思って何かを期待しているため、不満やストレスを感じてしまうこともあります。ここは思い切って、ただのビジネスパートナーだと割り切ってしまいましょう。家庭という職場の単なる同僚というわけです。
職場では、嫌な相手でも顔を合わせれば挨拶をし、簡単な打ち合わせをしなければならないこともあります。家事も生活費という収入を得るための仕事だと思えば、多少のことも我慢できるでしょう。そうやって、ゆとりを持ち、新たな人生設計を冷静に考えることが大切です。
自分中心の生活を送る
できるだけ配偶者のことを考えずに済む、自分中心のライフスタイルを確立するのも1つの方法です。食事作り、洗濯など家事を全て分け、相手のことは全くしない。互いに相手のすることには干渉しないというルールを作れば、自分中心に好きなことができます。そうやって、気ままに生活すれば、ストレスも少しは解消するでしょう。
離婚する日を楽しみに準備を進める
離婚に向けて準備を進めると、ストレス解消になるかもしれません。仕事を始めて貯蓄するなど資金を貯め、裁判になっても有利に進められるよう証拠も集めておきます。目標があれば、人はやる気が出るもの。新生活に夢を馳せれば、多少の不満やストレスも忘れることができるでしょう。
家庭内別居に限界を感じたら離婚や別居に向けて専門家に相談を
家庭内別居に限界を感じたら、一人で悩まず誰かに相談することも大切です。しんどい悩みやストレスも少しは軽くなるかもしれません。家庭内別居は今までの生活を大きく変える必要はなく、すぐに始められますが、やはり不自然な夫婦生活は何かとストレスを感じるものです。もう限界だと感じたら、カウンセラーや弁護士といった専門家に相談しましょう。
ウカイ&パートナーズ法律事務所(東京弁護士会所属)
親切丁寧をモットーに対応し、離婚問題・男女関係トラブル等、依頼者様のストレスが大きい案件についても、問題解決を図っております。年間600件以上の離婚相談を受けており、離婚の専門家として責任もってアドバイスさせていただきます。