旦那はアスペルガー症候群?と疑いを持ったら、どう対応する?
「どうも旦那と話がかみ合わないし、旦那は会社でも人間関係に苦労しているようだ」。そんな夫に、ひょっとしてアスペルガー症候群ではないかと疑いの目を向けている妻は多いのではないでしょうか。
アスペルガー症候群かどうかは、専門医の診断を受けなければ確定しませんが、受診の目安となるチェックリストを紹介します。アスペルガー症候群の夫との向き合い方も紹介しますので、夫婦関係に不安のある方は参考にしてください。
アスペルガー症候群とは
アスペルガー症候群とは、人とのコミュニケーションが苦手、こだわりが強いなどといった特徴を持つ発達障害の一種です。以前はアスペルガー症候群という診断名が広く使われていましたが、2013年以降、他の症状と合わせて「自閉スペクトラム症(ASD)」と診断名が統一されました。現在は診断名としてアスペルガー症候群はほとんど使われていません。
ASDは生まれつきの脳の働きによって起こる障害で、脳の働きは複数の遺伝的な要因によって決まると考えられています。一般的に人間関係のトラブルが多い、予期しない出来事に対応できないという特徴があると言われますが、人によって障害の程度や言動への影響には大きな差があり、適切に対応するには専門家による診察や治療、アドバイスなどが必要です。
アスペルガー症候群の特徴的な言動とは
アスペルガー症候群などASDには特徴的な言動があり、それによって人間関係のトラブルを引き起こしたり、周囲から「変わり者だ」として敬遠されたりすることがあります。こうした特徴的な言動は、次の4つに分類されます。
・尊大型
・孤立型
・受動型
・積極奇異型
4つのタイプについて、それぞれどんな特徴があるのか、紹介していきます。
尊大型
相手を見下したり、自分の主張を振りかざしたりして、他人に対して抑圧的な態度を取るタイプです。学力が高いことが多く、学生時代は教師や仲間からの信望が厚いこともあります。社会人になってからも成果を上げ、高い地位につくことも多いようです。しかし、強権的な態度がパワハラやモラハラとなり、問題を引き起こすことも少なくありません。
孤立型
他人に対する関心が低く、一人でいることを好むタイプです。人と接しないことに安心感も覚える人もいて、他人と目を合わせようとしなかったり、周りの人が目に入らないかのような振る舞いをしたりするのが特徴です。大人になるにつれ、ある程度社会性を身に付ける人もいますが、変わらない人も多いようです。
受動型
自分から他人と積極的に関わろうとしないものの、話しかけられると拒絶せず、相手の言う事に素直に従うタイプ。主体性がなく、友人やグループの雰囲気に染まりやすいのが特徴です。指示されると、できないことにも従ってしまうため、仕事がうまくいかず悩むことがあります。犯罪などのトラブルに巻き込まれるリスクもあり、注意が必要です。
積極奇異型
人間関係に積極的なものの、他人との距離感を理解できないため、人間関係でトラブルを起こすタイプです。相手との関係や状況を考えずに、他人になれなれしく話しかけたり、自分の事ばかり一方的に話したりするので「空気が読めない」「TPOをわきまえない」と周囲から敬遠されることもあります。
アスペルガー症候群のチェックリスト
「旦那の言動がアスペルガー症候群にあてはまりそうだ」と疑いを持ったとき、どうすればいいのでしょうか。アスペルガー症候群などASDの診断基準が公開されていますので、夫が当てはまるかどうか確認してみるのもいいでしょう。
ASDの診断基準を分かりやすくアレンジしたチェックシートも紹介しますので、そちらも参考にしてください。もし、チェックシートで当てはまる項目が多ければ、一度、専門医の診察を受けてみてはいかがでしょうか。
ASDの診断基準とは
米精神医学会(APA)は精神疾患に関する診断基準(DSM)を公表していて、2013年に発表した診断基準第5版(DSM-5)では、ASDの診断基準が記されています。日本語訳を厚生労働省のホームページから引用します。
自閉スペクトラム症の診断については、DSM-5に記述されており、下記などの条件が満たされたときに診断されます。
1.複数の状況で社会的コミュニケーションおよび対人的相互反応における持続的欠陥があること
2.行動、興味、または活動の限定された反復的な様式が2つ以上あること(情動的、反復的な身体の運動や会 話、固執やこだわり、極めて限定され執着する興味、感覚刺激に対する過敏さまたは鈍感さ など)
3.発達早期から1,2の症状が存在していること
4.発達に応じた対人関係や学業的・職業的な機能が障害されていること
5.これらの障害が、知的能力障害(知的障害)や全般性発達遅延ではうまく説明されないこと
さらに、知的障害の有無、言語障害の有無を明らかにし、ADHD(注意欠如・多動症)との併存の有無を確認することが重要です。DSM-IVでは認められなかった自閉スペクトラム症とADHDの併存が、DSM-5では認められています。また、他の遺伝学的疾患(レット症候群、脆弱X症候群、ダウン症候群など)の症状の一部として自閉スペクトラム症が現れることがあります。
1と2の症状の程度は様々であり、いろいろな併存症も見られることから、小児神経科・児童精神科・小児科医師による医学的評価は非常に重要です。
つまり、対人関係での問題やこだわりの強さなどの特徴が認められたうえで、それが子供の頃から続き、学校や職場で問題を引き起こしているなどの条件を満たすとASDと診断されます。
逆に言えば、いくら特徴的な言動があっても、子供の頃から同じような言動があったと確認できず、人間関係も比較的円滑であればASDと診断されないことがあります。こうしたケースを「グレーゾーン」と呼ぶことがあります。
アスペルガー症候群の疑いのある言動のチェックリスト
アスペルガー症候群などASDの疑いがある言動を、診断基準に沿ってチェックリストとしてまとめました。「コミュニケーションに関する問題」と「こだわりや執着、感覚に関する問題」の両方に該当する項目が複数あれば、ASDかもしれません。社会生活に支障がある場合は、医療機関の受診も検討しましょう。
■コミュニケーションに関する問題
・友達をつくることや人付き合いが苦手
・友人や仲間と衝突しやすい
・相手の表情から感情を察知できない。その場の空気を読むことができない
・相手と会話をしているとき、自分だけ話し続けていることがある
・相手や場所によって、臨機応変に振る舞うことが難しい
■こだわりや執着、感覚に関する問題
・いつも同じ行動を繰り返すことにこだわる
・いつもと違った状況や出来事に遭遇したり、違った方法を求められたりすると混乱する
・社交的な場面において融通をきかせて挨拶をするなどのことが難しい
・特定の光や色、におい、肌触りに敏感に反応し、苦手にする
・音に敏感に過剰に反応し、うるさく感じる
・暑さや寒さ、痛みに鈍感で気付かないことがある
チェックリストに当てはまる項目が複数あっても、ASDの程度や症状は幅広く、医師の診察の結果、社会生活に問題はなく「ASDとまでは言えないグレーゾーン」と診断されることもあります。チェックリストは、あくまでも参考や目安としてください。
アスペルガー症候群の疑いがある夫との付き合い方は?
「旦那の言動はアスペルガー症候によるものかもしれない」と疑いを持っている妻は、どのように夫と付き合っていけばいいのでしょうか。有効と思われる方法を5つ紹介します。
医療機関などを受診する
アスペルガー症候群だと思っていても、医師の診察の結果、別の発達障害や精神疾患と判断されることもあります。まずはアスペルガー症候群などASDかどうかを確認しましょう。病名がわかれば、問題となる言動への対処法や夫との向き合い方もアドバイスしてもらえます。
ASDの人は気難しい性格の人が多く、受診を嫌がる場合もあります。旦那が治療を拒む場合は、妻だけでも受診し、対処法を相談しましょう。夫の言動に疲れた妻がうつ病やパニック障害を発症することもありますから、自分の精神面をケアしてもらうことも大切です。
⑦何回か先生とお話していたら
「もしかして旦那さんアスペルガーじゃない?」
⑧調べれば調べるほどアスペ容疑
⑨旦那に
「頭が良い人は奥さんの気持ちが分からなくて夫婦中が悪くなるらしいから、一度知能検査を受けてみない?」
↑頭が良いと自慢しまくるタイプの旦那だったのでおだてて受診させる
専門機関や相談窓口にアドバイスを求める
アスペルガー症候群を含むASDなどについて相談したいとき、心療内科や精神科などの医療機関以外に発達障害者支援センターや障害者就業・生活支援センターといった窓口があります。発達障害者支援センターは、医師の診断を受けていなくても相談でき、発達障害の疑いがある人の配偶者も利用できます。
障害者就業・生活支援センターは、障害があり働いている人と就職を希望している人を対象に、仕事と生活に関するサポートを行います。両センターは全国の各地域に設置されていますが、各センターによってサポートや運営の内容が異なります。一度、近くにどんな施設があり、どんなサポートを受けられるのか、確認してみましょう。
夫、離婚を切り出され余程焦ったのか徹底的にアスペルガーを攻略?しようと奮闘してる。
アスペ専門医に相談し、臨床心理士にアドバイスを求め、早速本を2冊買い読んで猛勉強💦
子供が0〜1歳の頃に読む本を読んだらしく、あの頃はごめんねと謝ってきた。
あの頃の酷さを思い出すと吐き気がするよ…
夫の特性を理解する
アスペルガー症候群などASDは、生まれつきの脳の働きによる疾患ですから、治療を受けて完治するものではありません。このため、家族もASDの特性を知り、適切なサポートをする必要があります。そのためにも、専門医や専門家のアドバイスを受けることが重要です。
認知行動療法によって、問題となる言動を改善させられることもあります。本人が前向きに治療に取り組み、効果を高めるには配偶者や子供などの家族の協力が欠かせません。結婚生活を維持すると決めたら、夫の障害について理解を深めましょう。
夫の言動や思考回路が、今までずっと理解できなかった。人格否定のような言葉で責められてたから、私が駄目な人間なんだみたいに悩んでた。
最近少し冷静に考えられるようになった。
夫の不可解な言動の数々、アスペルガーの特性に当てはめるとピッタリくる。
もっと早くに気付けばよかった。
家庭内のルールを決める
アスペルガー症候群などASDの中にもタイプがあり、自分が決めたルールを絶対に守ろうとする人や、他人から言われたことに従順に従う傾向のある人がいます。こうした人には、家庭内や夫婦間の約束事やルールを決め、守らせるという方法も有効です。家族が円満に生活するためのルールだと説明すれば、受け入れやすいでしょう。
ルールを決めるときは、「毎週水曜19時から、夫婦の話し合いの時間も持つ」「月曜日の子供の塾の送迎は旦那の役目」など、日時ややるべき事を明確にすることが大切です。日時や目的を曖昧にしてしまうと、ASDの人はどうしたらよいのかわからず、結局、何もしなくなってしまいます。
うちでは家族で相当数のルールを作ってます。そうしないとケンカになるから。ただ夫だけに守らせるのではなく、私もあなたに言われたことを守ってると伝えます。そうしないと聞いてもらえないし、夫はすぐ忘れるので忘れてることも伝えます。
こっちばかり我慢は無理です。
我慢できなくなったら相手と距離を取る
アスペルガー症候群などASDの人の中には、自分の考えやルールを配偶者にも守らせようと、暴言を吐いたり高圧的な態度を取ったりする人がいます。こうした夫の妻はカサンドラ症候群になることがあり、子供の成育に悪影響を及ぼします。改善を求めても言動を改めないときは、別居や離婚を考えることも必要です。
特に妻に不眠や気分の落ち込み、無気力といった症状が出ている場合、夫と距離を取って心身の回復を図ることが大切です。別居や離婚に夫が抵抗する場合は、弁護士などの専門家に相談しましょう。
でも、ここんとこの暗くて気持ちのオチたポッカリ感は何なんだろう……
パワー奪われすぎがちだからだな
食欲もないし多分軽くうつっぽい
家族と、夫とも話しアスペルガー夫と距離置くことにした
ホンットに今無理したら鬱だもん
👶の世話も出来なくて体調も崩して、とか何で生きてるかわからんくなる
アスペルガー症候群の疑いがある夫婦は離婚率が高い?
配偶者のどちらかにアスペルガー症候群など発達障害の疑いのある夫婦は、離婚率が高いと言われます。なぜ、発達障害があると、結婚生活の維持が困難になるのか。その理由について説明します。
配偶者に発達障害があると離婚率は約8割?
アメリカでは、配偶者のどちらかに発達障害のある夫婦に関する調査がいくつか行われており、離婚率は7割から8割という結果が出ているそうです。日本とアメリカでは離婚に対する意識が異なることから、それほど多くはないかもしれませんが、発達障害の配偶者からの法律相談は決して少なくありません。
発達障害の特徴は人の感情を読み取れないことや、他人にあまり興味を感じないことです。そのような配偶者に対し、夫婦間の信頼関係や協力関係を築けないことに失望や無力感を覚える人も多く、離婚や別居を考えるようになります。
カサンドラ症候群になる妻や夫も
発達障害の配偶者を持った夫や妻は、わかりあえない配偶者への失望や、思いやりのない言葉への反発などからストレスをため、心身の不調をきたすことがあります。こうした発達障害の人の言動に起因する症状を「カサンドラ症候群」と呼びます。カサンドラ症候群は夫や妻など配偶者だけでなく、親や子供にも現れる症状です。
最初は体の不調や憂鬱な気分、不眠などが現れますが、症状がひどくなるとうつ病やパニック障害と診断されることがあります。カサンドラ症候群の症状が重いと、発達障害の家族と同居を続けていても回復が難しく、別居や離婚を選択する人が多いようです。
アスペルガー症候群の配偶者との離婚は難しいことも
アスペルガー症候群などASDの人は、特定のことに執着したり、こだわったりする傾向があります。このため、一度離婚を拒むと頑として離婚に応じない人も少なくありません。中には離婚調停や裁判になっても、調停員や裁判官の言う事に耳を傾けない人もおり、離婚が認められるまで時間や手間がかかることがあります。
また、配偶者がアスペルガー症候群などASDをはじめとする発達障害というだけでは、離婚の理由として認められません。発達障害にともなうさまざまな言動によって、夫婦関係が破綻したということを証明する必要があります。証拠の提示も求められますので、弁護士とも相談してしっかり準備しておく必要があります。
旦那はアスペルガー症候群?と疑いを持ったら専門家に相談を
「うちの旦那はアスペルガー症候群ではないか」という疑いを持ったら、医療機関や夫婦関係に詳しいカウンセラーに相談することが大切です。早めにアスペルガー症候群などのASDがあることがわかれば、夫婦関係が悪化する前に対応を考えられます。
ASDの配偶者と結婚生活を維持する自信がない人や、既に心身に不調をきたしている人は離婚や別居を検討するのもやむを得ません。離婚や別居を考えたら、夫婦問題に詳しい弁護士事務所に相談して、適切なアドバイスを受けましょう。
塚本 亜里沙/東京山手法律事務所(第一東京弁護士会所属)
20年以上の経験を持つ弁護士。
弁護士が行うリーガルカウンセリングもカウンセリングの一種であり、カウンセリング能力の向上は不可欠であると考え、日本メンタルヘルス協会基礎心理カウンセラー・(一財)日本能力開発推進協会家族療法カウンセラー・アンガーコントロールスペシャリスト取得。
夫婦関係・離婚のお悩みに真摯に向き合い、幸せな離婚に向けた解決をモットーに全力を尽くしている。