会話のない夫婦の離婚率は?関係修復はできる?
新婚時代は毎日話をしていても話題が尽きなかった夫婦でも、長年一緒に暮らしていると、しだいに会話が減っていくもの。気がつけばほとんど会話がないという夫婦もいます。心も通わなくなり、いわゆる仮面夫婦になるケースも少なくありません。
こうした夫婦はいずれ子供が成人すると離婚することになるのでしょうか。夫婦の関係を修復することは難しいのでしょうか。体験談を交えて、会話のない夫婦の行く末を紹介します。
会話のない夫婦の離婚率は高い?
よく「会話のない夫婦の離婚率は高い」と言われることがありますが、「会話のない夫婦」というあいまいな定義の夫婦に限定して離婚率を調べたという調査は存在せず、数字に裏付けされた根拠はありません。結婚や離婚に関わっている人の「そんな傾向を感じる」という程度の話でしょう。
「離婚率」という言葉もよく使われますが、多くの場合、「ある年に提出された婚姻届件数と離婚届件数を比較して、婚姻届に対する離婚届の割合」を示しています。つまり、ある年に結婚した夫婦が何年か後に離婚する割合ではありません。しかも、少子化で結婚する人が減っているので、当面は年々離婚率が上がっていくことになります。
離婚率よりも現状や今後を考えることが大切
「離婚率」という数字に意味がないわけではありませんが、一組の夫婦の行く末を考えるのに離婚率を気にしても意味がありません。なぜ、自分たちは会話のない夫婦になってしまったのか、その理由と、これからどうしたいのかを考えましょう。
会話のない夫婦の行く末はどうなる?
会話のない夫婦夫婦はどのような行く末を迎えるのでしょうか、会話がなく心も通わなくなった夫婦の今後について、よくあるパターンを4つ紹介します。
仮面夫婦で居続ける
会話がなく互いに気持ちも冷めてしまったのに、離婚はせず同居を続けている夫婦を「仮面夫婦」と呼びます。子供の養育や財産分与など面倒な事を考えるくらいなら、互いに干渉せずに同居を続けたほうがまし、という判断で「仮面夫婦」で過ごすことを選ぶ人が多いようです。
長年、仮面夫婦でいるとそうした生活にも慣れ、そのまま互いに干渉せずに同居するスタイルを続ける夫婦もいます。家の中にそれぞれが思い思いに過ごす場所があり、一定のルールができれば、ストレスもさほど感じないのかもしれません。しかし、どちらかが病気になったときなどに不安も残ります。
どちらかが浮気や不倫をする
同居していながら、会話もなく、互いに愛情も感じないというのは寂しいもの。そんなときに、サークルや職場の異性に心を引かれてしまうのは自然な感情です。配偶者との間に愛情がなくなった以上、他に愛情を注げる相手を見つけたいと願うのも仕方がないことです。
しかし、いくら夫婦間にコミュニケーションのない仮面夫婦だとしても、結婚している以上、浮気や不倫は許されません。発覚すれば、配偶者に離婚を切り出す格好の口実を与えることになり、結婚生活を破綻させた有責配偶者として不利な立場に置かれます。慰謝料を請求される可能性もあります。
熟年離婚で結婚生活に終止符を打つ
子供が成人して住宅ローンの返済も終わり、退職金や年金での生活が視野に入ってくると、離婚のハードルも低くなり、熟年離婚を考え始める夫婦もあります。中には、熟年離婚を目指して、早くから準備を進めている人もいます。
仮面夫婦生活が長く続き安心していると、相手からいきなり離婚を切り出されて慌てることになるかもしれません。離婚を切り出される可能性も頭に入れ、夫婦の今後について、しっかり考えておくことが大切です。
関係を修復し円満な老後を迎える
何年も仮面夫婦の状態が続いていたという人でも、思わぬ出来事を機に関係を修復することがあります。どちらかが病気やけがをしたのをきっかけに、互いの関係を見直すというケースも多いようです。
また、どちらかが関係の修復を望み、態度を改めるなどした結果、会話をするようになる夫婦もいます。長年のわだかまりは簡単に解消しないでしょうが、寂しい老後を迎えるよりはと、関係修復を考える人も少なくないようです。
会話のない夫婦の心理は?
会話のない夫婦は、自分たちの生活についてどのように考えているでしょうか。会話のない夫婦の代表的な心理を3つ紹介します。
1人になるのは寂しい
子供が小さなうちは、仮面夫婦でも子供と過ごすことで気が紛れますし、話し相手にもなってもらえます。しかし、子供が独立してしまうと、家では配偶者と2人きりになってしまいます。配偶者とは話をしませんから、1人になったのと変わりません。このため、寂しい気持ちになり孤独感を覚える人もいます。
孤独感やストレスから心身の不調を訴える人も少なくありません。夫との関係修復が難しいのなら、趣味を始めたり地域活動に参加したりして友人を増やし、日々の生活を充実させましょう。離婚して新たな生活を始めることを考えてもいいかもしれません。
60代
とても寂しい、子供も独立して、心の拠り所がなくなりました。既婚者ですが、旦那とは仮面夫婦です。こんなに寂しいなら死んでしまいたくなる。SNS でのつながりは、返信が来ないと余計寂しくなります。
子供が小さいので我慢している
子供が小さいため、離婚に踏み切れずにいる人もいます。夫との関係がうまくいっていない分、子供に愛情を注げればいいのですが、中には「子供のために離婚できず、我慢をしなければならない」と考えてしまう人もいます。こうした人は、不満やストレスを子供にぶつけてしまう恐れがあるので気をつけましょう。
また、子供は両親の関係に敏感です。いくら子供の前で取り繕っても、普段会話をしない仮面夫婦であることはすぐに感づかれてしまいます。仮面夫婦を続けることが本当に良いことなのか、よく考えてみることも必要でしょう。
子供がまだ小さいので離婚は我慢しています。
万が一大病して働けなくなったらと考えると思いとどまります。
最近、人を憎しみながら生活するのに疲れてきました。
唯一、好きな芸能人を応援する事、子供の教育が生きがいですかね。
離婚したい
「離婚したい」という思いを抱きながら、やむなく会話のない夫婦を続けている人もいます。そんな思いを抱きながら、仮面夫婦のような味気ない生活を送っていると、配偶者に対する嫌悪感や怒りばかりが蓄積していきます。
すぐに離婚は難しくても、別居などで相手と距離を取ることも必要でしょう。どう進めればよいのかわからないときは、家族問題に詳しいカウンセラーや弁護士に相談してみましょう。
離婚したい
仮面夫婦しんどすぎ
毎日考えてる事は「今すぐ離婚したい」
こんな奴と生活できない
ひとり暮らしの生活すらまともに出来ないのに、さらに人のせいにするとくるからね
会話のない夫婦が関係修復する方法は?【体験談】
会話のない夫婦関係を続けていて、ふとしたきっかけで「関係修復をしたい」と考えることもあります。そんなとき、どのようにすれば、関係修復を図ることができるのでしょうか。関係修復につながりそうな方法を3つ体験談とともに紹介します。
相手に関心を持つ
会話のない夫婦は、普段から相手の事には関心を持たないようにしているはずです。相手に無関心なままでは関係を修復することはできません。まずは、相手の事に関心を持ち、顔を合わせたら挨拶をし、相手の事を褒めたり感謝したりしてみましょう。最初は無視されても、コミュニケーションを図るうちに相手もしだいに心を開いてくれるかもしれません。
相手に話しかけるときは、できるだけ優しい目で相手の目を見て話すようにしましょう。相手への批判や文句はご法度。相手の良いところだけを取り上げて、話しかけるようにすれば、互いのわだかまりも少しずつ解けていくかもしれません。
夫婦生活が長くなってくると、お互いがいるのが当たり前の状態になり、会話をしなくなりました。このままではいけないと思い、たまに昔みたいに「いつもありがとうね」と感謝の気持ちを伝えたり、テレビを見ているときに好きな芸能人を聞いてみたりと夫に関心を持つようになりました。
自分に関心を持ってもらえたと思った夫も、積極的に会話をしてくれるようになりました。
今後の関係について話し合う
会話のない夫婦になると、互いに先行きについて多少の不安を抱いているはずです。こうした関係をいつまで続けるのか、相手が病気やけがをしたらそうするのか。そうした不安について、面倒でも2人でしっかり向き合って話し合うことも必要です。
会話のない夫婦なのに、離婚や別居をせずに同居を続けているということは、互いに関係を修復したいという気持ちが残っているのかもしれません。相手が話し合いに応じてくれるのなら、正直に自分の気持ちを話し、相手の気持ちも理解するよう努めましょう。
気づくと夫婦の会話は子どものことだけの状態が長い間続いていましたでしたが、子育ては期間限定です。子どもはいつか巣立ち、今後も夫婦での生活を続けていくことを考えたとき、夫と今後の話をするようになりました。
スキンシップを増やす
会話のない夫婦の多くはセックスレスです。性交渉がなくなり、やがて会話もなくなったというケースが多いのではないでしょうか。このため、積極的にスキンシップをしてみるというのも、関係修復の第一歩となる可能性があります。
最初は握手や、肩もみなどのマッサージから始めてみましょう。最初は嫌がられるかもしれませんが、少しずつ触れ合うことで以前のように自然とスキンシップできるようになるかもしれません。ハグやキスができるようになったら、あと一歩。セックスレスからの卒業も夢ではありません。
お互いセックスに興味がなくなっていますが、スキンシップは積極的に行うようにしています。夫からしてくれることはあまりありませんが、相手に関心があることを示すためには大切だと私は思っているからです。
実際に肩もみをしたり、手をつないだりした日の夫は機嫌がいいように思います。
会話のない夫婦の行く末は2人の気持ちしだい
互いに会話のない夫婦生活を送っていると、そうした生活に慣れていく人がいる一方で、自宅で過ごすことが苦痛になっていく人もいます。毎日、つらい思いで生活しているのは、かなりのストレスになり、精神的な疲労も蓄積していきます。
子供のために仮面夫婦の生活を続けるという選択肢もありますが、いずれ子供も独立し夫婦2人の生活を迎えます。そうした将来の生活もしっかり考えておく必要があります。夫婦としてどのような行く末を迎えるのかは、互いの気持ちしだいです。機会を見つけて、夫婦の関係や将来について話し合うことも必要でしょう。
塚本 亜里沙/東京山手法律事務所(第一東京弁護士会所属)
20年以上の経験を持つ弁護士。
弁護士が行うリーガルカウンセリングもカウンセリングの一種であり、カウンセリング能力の向上は不可欠であると考え、日本メンタルヘルス協会基礎心理カウンセラー・(一財)日本能力開発推進協会家族療法カウンセラー・アンガーコントロールスペシャリスト取得。
夫婦関係・離婚のお悩みに真摯に向き合い、幸せな離婚に向けた解決をモットーに全力を尽くしている。