【コラム#34】良妻賢母な妻に多額の借金が!離婚して自己破産すべき?
更新日: 2024年07月05日
定年後は妻と悠々自適な生活を――と思っていた男性の元に届いたのは、妻宛の借金の督促状……!これまで自分を支え続けた妻とは離婚して自己破産手続きをしてもらうしかないのでしょうか。これまで3万8千件の相談に答えてきた離婚カウンセラー・夫婦問題研究家の岡野あつこさんが答えます。
ーお悩みー 定年後の生活を楽しむつもりが、妻には800超の借金が……
私は現在59歳で、同い年の妻がいます。61歳の誕生月に長年、働いてきた会社で定年になりますが、同じ部署で再雇用されることが決まっています。子どもたちも独立し、これからは夫婦水いらず、温泉旅行や海外旅行に出かけ、働きながらもリタイア後の生活を楽しもうと考えていたのですが……。
先日、体調不良で会社を休んでひとりで家にいたところ、郵便物が届いたので受け取り、開封してみると、なんとそれは親戚からの借金の督促状だったのです。私はまったく身に覚えがなかったのでとても驚きましたが、手紙を読み進めるうちにどうやら妻からの申し出だったことがわかりました。
妻は真面目な性格で、家事や育児もしっかりこなす、いわゆる良妻賢母タイプ。私も夫としてとても誇らしく思っていました。夫婦仲も良好で、子どもたちからも「パパとママみたいな夫婦が理想」といわれるほど穏やかな夫婦関係を続けてこられたことに感謝していたものです。
だからこそ、借金の督促状が届いたことは現実に起きていることとは思えず、何かの間違いではないかと疑う気持ちでいっぱいでした。
その後、帰宅した妻にたずねてみると、涙ながらにすべてを語ってくれました。パチンコをするようになったのは6年ほど前からで、借金を重ねるようになったのはここ3年くらいだとか。それほどストレスを抱えさせていたのかと思ったら、私が妻のことを責めることはできませんでした。
とはいえ、借金と金利を合わせると800万円を超えてしまっていることも判明。それほど余裕のある家計ではないため、これではリタイア後の生活を楽しむどころではありません。
妻は泣き崩れて「ごめんなさい。あなたに迷惑をかけるわけにはいかないので、離婚をしてください。そして私は自己破産の申請をします」と言い出しています。
はたしてそれがいちばんの解決策なのかどうか、ほかに方法はないのか、悩む一方です。
ー岡野さんの回答ー 夫婦で返済することをリタイア後の新たな目標とする
これまで妻が抱えていたストレスがギャンブルや借金という形になってしまったと感じ、自分自身も心をいためて悩んでいるのであれば、離婚はすべきではないと思います。今は借金問題をクリアにし、夫婦関係を維持する方法を探すことに注力することが先決でしょう。
突然、発覚した妻の借金問題をどのようにして乗り越えていくのか。それが夫婦が向かうこれからの人生で、大きな意味を持つことになります。とにかく妻をいたわりながら、夫婦でよく話し合うことが必要です。
たしかに自己破産によって解決する方法もありますが、私がおすすめしたいのは夫婦揃って貸主のところに出向き、実情を説明するという方法です。借りたものを返すのが当然ですし、返す意思がないわけではないのですから、率直に実情を打ち明け、せめて金利の分をなんとか減額できるように申し入れてみるというのはいかがでしょうか。自己破産は最後の手段にとっておきましょう。
もし減額が認められない場合、離婚して自己破産をするという選択肢も視野に入れていることも伝えます。貸したほうは、自己破産された場合、貸したお金を回収できなくなるリスクがあるので打開策を考えてもらえる可能性もあります。
新しい返済計画ができたら、それにしたがってやりくりしていくことを夫婦のこれからの目標にします。そうすることが夫婦の絆を強固にするのです。
リタイア後の悠々自適な生活を夢見ていた夫にとっては想定外の人生になってしまいましたが、これまで家庭を支えてきた妻への愛情を示すための試練だと思ってください。
▼次回
【コラム#35】子どもの私立受験をめぐって夫と対立!離婚してでも自分の意見を通したい……
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この記事は2024年5月15日に公開しました。
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