「離婚したいけれど、子供への悪影響を考えると踏み切れない」と悩む人がいます。幼い子供を親から引き離すのはかわいそうですし、中学・高校生になると受験への影響が心配です。親が離婚したときの子供の気持ちや心理、子供への悪影響を抑える方法などについて解説します。
この記事でわかること
・離婚が子どもに与える影響と、年齢による反応の違い
・子どもへの悪影響を最小限に抑えるための具体的な7つの方法
・むしろ離婚がプラスになるケースと、円満な離婚を実現するための相談先

子どもへの影響を考えると離婚をためらってしまう…
夫婦仲がうまくいかず、離婚を考えているのにもかかわらず、「子どもの気持ちを考えると離婚に踏み切れない」という人がいます。やはり、父親も母親も子どもにとっては大切な存在。大人の都合だけで子どもを親から引き離すのは無責任だとも感じますし、心の傷が成人後の性格に影響を及ぼすのではないかと不安にもなるでしょう。

現在4歳と1歳の二人の子どもをもつ母親です。
下の子の妊娠後期あたりから夫が不倫しています。
何度話しても関係が終わることはなく、最近では、私も夫に対して嫌悪感しか抱いておらず、どうでもよくなってきました。最近は本当に仮面夫婦という感じになっています。
遅かれ早かれ別居や離婚は免れない状況にきています。
職業は公務員なので頑張れば私一人でも二人育てられるかなあと思っております。
ただ、離婚したら子どもへの影響はどうなのかを心配しております。どのように伝えていけばいいか。どんな影響があるのか。夫と子どもの今後の交流など。



子どもが成人したら離婚したいと考えてます。
子どもが生まれてから十何年、自分ではよく頑張ったと思ってます。来年からは受験生。夫婦のことは我慢して、子どもに影響与えないように生活していきます。
高校を卒業したならば、子どもは離婚をわかってくれるのかな。
親が離婚すると、子どもにどのような影響があるのでしょうか。離婚が子どもの人格形成や行動にどのように影響を及ぼすのか、影響を抑える方法とともに紹介します。


離婚が子どもに与える主な影響
離婚は子どもにとって大きな環境の変化であり、心理面・行動面・そして将来にわたってさまざまな影響を及ぼす可能性があります。ただし、すべての子どもが同じように影響を受けるわけではなく、親の対応や離婚後の環境によって大きく変わってきます。


1. 不安感や喪失感
離婚によって、子どもは「家族がバラバラになる」という大きな喪失を経験します。それまで当たり前だった日常が失われることで、強い不安や寂しさを感じるのです。特に、離れて暮らすことになった親に会えなくなる不安や、「自分も捨てられるのではないか」という恐怖を抱くことがあります。
また、両親の離婚後も続く緊張関係や、親の情緒不安定な様子を見ることで、子どもは常に気を張った状態になり、安心感を持てなくなることもあります。
2. 自己肯定感の低下
離婚という出来事を通じて、子どもは「自分には価値がない」「自分が悪い子だから両親が離婚した」と感じることがあります。特に幼い子どもほど、離婚の原因を自分のせいだと思い込みやすい傾向があります。
親が離婚のストレスで余裕をなくし、子どもに十分な愛情を注げなくなると、子どもは「自分は愛されていない」と感じ、自己肯定感が低下してしまいます。
3. 親への罪悪感
子どもは両親の間で板挟みになり、どちらかの親を選ぶことに罪悪感を抱くことがあります。「ママと一緒にいたいけど、パパがかわいそう」「パパに会いたいと言ったら、ママが悲しむかもしれない」といった葛藤を抱えるのです。
また、親が離婚後も自分のために我慢したり苦労したりしている姿を見ると、「自分さえいなければ親は楽だったのに」と感じ、申し訳なさや責任を感じてしまうこともあります。
4. 愛着形成への影響
乳幼児期や幼児期に離婚を経験すると、安定した愛着関係を築くことが難しくなる場合があります。特に、主な養育者との関係が不安定になったり、頻繁に環境が変わったりすると、基本的な信頼感を育むことが妨げられることがあります。
愛着形成に問題が生じると、将来的に人を信頼することが難しくなったり、対人関係でトラブルを抱えやすくなったりする可能性があります。
5. 学業成績の変化
離婚前後の混乱やストレスによって、子どもの学業成績が低下することがあります。家庭内の緊張や不安で集中力が落ち、勉強に身が入らなくなるのです。
また、経済的な理由で転校を余儀なくされたり、習い事を辞めざるを得なくなったりすることで、学習環境が変化し、学力に影響が出ることもあります。一方で、家庭の状況から逃れるために勉強に没頭する子どももいます。
6. 問題行動の増加
ストレスや不安を言葉でうまく表現できない子どもは、問題行動という形で気持ちを表すことがあります。具体的には、以下のような行動が見られることがあります。
- 攻撃的な態度や暴力的な行動
- 反抗的な態度
- 嘘をつく、物を盗む
- 夜尿症や指しゃぶりなどの退行現象
- 自傷行為(思春期以降)
これらの問題行動は、子どもなりのSOSのサインであることを理解することが大切です。
7. 対人関係のトラブル
家庭内の不安定さは、学校や友人関係にも影響を及ぼします。情緒が不安定になることで、友達とのトラブルが増えたり、孤立しがちになったりする子どももいます。
逆に、過度に大人びた態度を取ったり、友達の家庭に入り浸ったりするなど、家庭外に安心できる場所を求める行動が見られることもあります。
8. 身体的な症状の出現
離婚による心理的ストレスは、子どもの身体にも影響を及ぼすことがあります。頭痛や腹痛、吐き気といった身体症状として現れることが少なくありません。
特に学校に行く前に体調不良を訴える、原因不明の発熱や腹痛が続くといった症状は、心の不安が身体のサインとして表れている可能性があります。このような身体症状は、子どもが言葉でうまく表現できないストレスを身体で訴えているサインと捉え、心のケアと合わせて対応することが大切です。
9. 将来の恋愛観・結婚観への影響
両親の離婚を経験した子どもは、結婚や家族に対して独特の価値観を持つことがあります。「結婚しても離婚するかもしれない」という不安から、恋愛や結婚に消極的になる人もいれば、逆に「自分は絶対に離婚しない」と理想的な家庭を強く望む人もいます。
ただし、離婚家庭で育った人が必ずしも不幸な結婚生活を送るわけではなく、むしろ両親の失敗から学び、健全なパートナーシップを築く人も多くいます。
10. 精神的健康への長期的影響
研究によると、離婚家庭で育った子どもは、成人後にうつ病や不安障害などの精神的な問題を抱えるリスクがやや高いとされています。
しかし、これは離婚そのものよりも、離婚前後の家庭環境の質や、親からのサポートの有無が大きく影響しています。離婚後も安定した環境で愛情を受けて育った子どもは、精神的に健康に成長することができます。
データで分かる離婚に対する子どもの気持ち
子どものときに親の離婚を経験した人が、どのような環境で育ち、どのようなことを考えているのかを、法務省が2021年に調査しました。この調査結果から、離婚に対する子どもの気持ちを紹介します。


「仲直りしてほしい」が3割
調査は20代から30代の男女1000人に実施しました。両親が離婚する前、不仲だったのを知っていたり、薄々感じていたりした人は約80%。両親の不仲について、どう感じていたかを複数回答で尋ねたところ「仲直りしてほしい」が30.4%で最も多く、ついで「家族がバラバラになってしまう」が24.3%でした。
「父母の仲が悪いのは自分のせいではないか」と悩んだ人も16.2%いました。一方で「早く離婚・別居してほしい」と考えていたという回答も21.0%でした。
悲しさを感じる一方、ホッとしたという声も
父母が別居したときの気持ち(複数回答)については「悲しかった」が37.4%で最も多く、次いでショックだったが29.9%、「将来に不安を感じた」16.1%などが続きました。精神的に不安定になった人が多いことがうかがわれます。
一方で、「ホッとした」14.3%、「状況が変わることがうれしかった」11.0%という回答もあり、離婚を歓迎した人も一定数いることがわかります。こうした子どもは、両親の離婚前から家庭内で問題を抱えていたことがうかがわれます。
精神的に不安定になることがある
調査では、父母の別居後に、生活面でどのような変化があったのかも聞いています。変化があったと答えたのは約半数でしたが、「家族関係を周囲に話すのが恥ずかしかった」19.3%、「自立心・独立心が強くなった」12.3%、「家族でのイベント(旅行など)がなくなった」12.0%という回答が目立ちました。
深刻なケースも少なくなく、「不登校」7.9%、「家庭内暴力」3.2%、「ひきこもり」5.7%という回答もありました。「自殺を図った」という回答も4.1%あり、ショックや不安から精神的に不安定になる子どもも多いことがわかります。
離婚が子どもに与える年代別の影響
離婚による子どもへの影響は、子どもの年齢によっても変わってきます。年代別に特徴的な影響を説明します。


未就学児の子どもへの影響
「離婚するのなら、両親の記憶がないうちがいい」という人もいます。確かに、2歳くらいまでに離婚して、物心つく頃には、父親か母親のどちらかしかいなければ、親を失うという経験はせずに済むでしょう。しかし、親が1人で忙しくても、子どもが十分な愛情を受けて育つことができるよう注意を払う必要があります。
子どもが4歳くらいになってくると、社会性が身に付き、親と子の関係や、自分と他人の違いなどを認識するようになってきます。この時期になると、親と離れ離れになることに悲しみや不安を感じますし、なぜ、自分には親が一人しかいないのかと疑問に感じるようになります。
親の離婚によって精神的に不安定になることも多く、眠れなくなったり、おもらしをしてしまったりする子どももいます。
小学生の子どもへの影響
子どもが小学生になれば、離婚しなければならない事情はある程度理解してくれるかもしれません。しかし、親の決断を受け入れることは難しい年ごろで、「寂しい」「悲しい」「親に裏切られた」といった感情を抑えることはできません。このため、不安や恐怖、喪失感などで精神的に不安定になる子どもも少なくありません。
また、「自分には何もできなかった」という無力感や「自分のせいで離婚することになったのではないか」という自責の念が強く現れる子どももいます。そうしたことがないよう十分なメンタルのケアも必要です。






中学生の子どもへの影響
中学生は多感な時期で、親の離婚に対し、さまざまな思いがあっても、親に直接言えないという子どももいます。また、悩みや不安を心の内にしまいこみ、誰にも相談できずに苦しむ子どももいます。こうした子どもの変化を周囲の大人が見逃してしまうと、問題行動を起こしてしまい、取り返しのつかないことになるケースもあります。
中学時代は、高校受験も控え、人生の岐路ともいえる時期です。本人が安心して、納得できる進路を選べるよう、周囲の大人が配慮する必要もあるでしょう。


高校生の子どもへの影響
高校生になると、親との距離感はさまざまです。両親を一人の大人として見て、離婚にも理解を示す子どもがいれば、両親への依存心が強く、離婚に強く抵抗する子どももいます。友人に相談することで、悩みや不安を解消する子どももいるでしょう。しかし、不安や寂しさ、怒りなどから問題行動を起こすケースも少なくありません。
多いのは、家出や外泊、反抗的態度、暴力といった非行でしょう。中には、自暴自棄になったり刹那的になったりして、薬物の使用や、飲酒、快楽だけを目的としたセックスといったリスクの高い行動を取る場合もあります。一方で、引きこもりや摂食障害になるケースもあります。
本人の性格を踏まえたうえで、本人の考え方や意思を尊重し、親子関係を再構築するつもりで子どもと接することも必要です。事情によっては児童相談所や親子関係に詳しいカウンセラーに相談してもいいでしょう。




離婚が子どもに悪影響を与えやすいケース
離婚そのものが必ずしも子どもに悪影響を与えるわけではありません。むしろ、離婚の仕方や離婚後の親の対応によって、子どもへの影響は大きく変わります。ここでは、特に子どもに悪影響を与えやすい状況について解説します。


1. 両親の激しい対立が続いている
離婚後も両親が激しく対立し、争いが続いている状況は、子どもにとって最も有害な環境の一つです。子どもは両親の板挟みになり、常に緊張状態を強いられることになります。
具体的には、以下のような状況が子どもに大きなストレスを与えます。
- 養育費や面会交流をめぐって激しく言い争う
- 連絡の度に喧嘩になり、子どもの前でも怒鳴り合う
- 子どもの受け渡しの際に険悪な雰囲気になる
- 学校行事などで顔を合わせる度にトラブルになる
このような対立が続くと、子どもは「自分のせいで両親が喧嘩している」と感じたり、どちらの親の味方にもなれず孤立感を深めたりします。離婚前の喧嘩がなくなるどころか、離婚後も争いが続く状況では、子どもの心は休まることがありません。
2. 子どもを巻き込んで相手を非難する
子どもを味方につけようとして、相手の親の悪口を言ったり、子どもに相手を非難させようとしたりする行為は、子どもの心に深い傷を残します。
子どもにとって、両親はどちらも大切な存在であり、片方の親を否定されることは、自分自身の一部を否定されるのと同じです。 以下のような行動は避けなければなりません。
- 「あなたのパパ(ママ)は浮気をして家族を裏切った」と詳細を話す
- 「パパ(ママ)のせいで私たちはこんなに苦労している」と恨み言を言う
- 「どっちと暮らしたい?」と子どもに選択を迫る
- 相手の親に会った後、「何を話したの?」「向こうで何をしているの?」と詮索する
- 「パパ(ママ)のところに行くなら、もう帰ってこなくていい」と脅す
このような行為は、子どもを精神的に追い詰め、両親への信頼を失わせる原因となります。
3. 離婚について子どもに説明しない
離婚という大きな変化について、子どもに何も説明しないことは、子どもに不安と混乱を与えます。突然片方の親がいなくなったり、引っ越しをしたりする状況で、理由も分からないまま放置されると、子どもは大きな不安を抱えます。
説明をしない、または曖昧な説明しかしない場合、子どもは以下のような状況に陥ります。
- 「自分が悪い子だから親が出て行った」と自分を責める
- 「いつか元に戻るかもしれない」と現実を受け入れられない
- 「何かを聞いてはいけない」と感じ、気持ちを押し殺す
- 友達に家族のことを聞かれても答えられず、孤立する
子どもの年齢や理解力に応じた適切な説明をすることで、子どもは状況を受け入れ、前に進むことができます。
4. 面会交流を制限する
正当な理由なく、子どもと別居親との面会を制限したり、完全に遮断したりすることは、子どもの健全な成長を妨げます。
子どもには両親から愛され、関わりを持つ権利があり、それを一方的に奪うことは子どもの福祉に反します。 以下のような行動は、子どもに悪影響を与えます。
- 「あんな人に会わせたくない」と個人的な感情で面会を拒否する
- 約束した面会の日時を守らず、ドタキャンを繰り返す
- 面会の前後に子どもを責めたり、不機嫌な態度を取ったりする
- 別居親からの連絡を子どもに伝えない
- 「会いたくないよね?」と子どもを誘導する
ただし、DV・虐待がある場合や、子どもの安全が脅かされる状況では、面会を制限することが子どもの利益になることもあります。適切な判断が難しい場合は、専門家に相談することが大切です。
5. 経済的に困窮する
離婚によって生活水準が大きく下がり、経済的に困窮すると、子どもの生活や教育に直接的な影響が出ます。
経済的な不安定さは、子どもの将来の選択肢を狭め、心理的なストレスも増大させます。 具体的には以下のような影響があります。
- 十分な食事や衣類が用意できない
- 習い事や部活動を辞めざるを得ない
- 進学を諦めなければならない
- 転居や転校を繰り返す
- 親が仕事を掛け持ちして不在がちになり、子どもが孤独を感じる
養育費の未払いや、ひとり親家庭への支援制度を知らないことで困窮している場合もあります。利用できる公的支援や、法的手段を通じた養育費の確保など、経済的な安定を図ることが重要です。
6. 親自身が精神的に不安定
離婚のストレスで親自身が精神的に不安定になり、子どものケアができない状態は、子どもに深刻な影響を与えます。
子どもは親の精神状態に敏感であり、親が不安定だと子どもも安心できません。 以下のような状況は注意が必要です。
- うつ状態で家事や育児が手につかない
- 感情の起伏が激しく、子どもに当たってしまう
- アルコールや薬物に依存する
- 夜も眠れず、昼夜逆転した生活になる
- 子どもに愚痴や悩みを過度に打ち明け、子どもを精神的に頼る
- 自傷行為や自殺をほのめかす
親が精神的に安定していることは、子どもの安心感の土台です。親自身のメンタルヘルスケアも、子どものケアと同じくらい重要です。必要に応じてカウンセリングや医療機関を利用し、親自身が回復することが、結果的に子どもを守ることにつながります。


離婚による悪影響を最小限に抑える7つの方法
離婚が子どもに与える影響は、親の対応次第で大きく変わります。ここでは、子どもの心を守り、健やかな成長をサポートするために親ができる具体的な方法を7つご紹介します。


1. 年齢に応じた説明をする
子どもの年齢や理解力に合わせて、離婚について丁寧に説明することが大切です。幼児には「パパとママは別々に暮らすけど、あなたのことはずっと大好きだよ」といったシンプルな言葉で伝え、小学生以上には「パパとママは夫婦としてうまくいかなくなったけど、あなたは何も悪くない」と具体的に説明しましょう。
詳しすぎる説明や、相手を責める内容は避け、「あなたは両親に愛されている」というメッセージを必ず伝えます。子どもからの質問には誠実に答え、時間をかけて理解を深めることが重要です。


2. 子どもを両親の対立に巻き込まない
離婚後も続く両親の対立に、子どもを巻き込まないよう注意が必要です。養育費や面会交流などの取り決めについて、子どもの前で言い争ったり、子どもを伝言役にしたりすることは避けましょう。「パパ(ママ)に伝えておいて」と連絡係にしたり、「どっちの味方なの?」と選択を迫ったりすることは、子どもを深く傷つけます。親同士の連絡は直接行い、どうしても難しい場合は連絡アプリや第三者を介するなど、子どもを対立から守る工夫が大切です。
3. 相手の悪口を子どもの前で言わない
たとえ相手への怒りや不満があっても、子どもの前で悪口を言わないことが鉄則です。子どもにとって両親はかけがえのない存在であり、片方を否定されることは自分の半分を否定されるのと同じことです。
「あの人は無責任だ」「浮気をした最低な人間だ」といった言葉は、子どもの心に深い傷を残します。相手の親と過ごした時間について根掘り葉掘り聞くことも、子どもにプレッシャーを与えます。むしろ「楽しかった?」と穏やかに受け止める姿勢が、子どもの安心につながります。
4. 生活の安定を保つ
離婚前後の混乱の中でも、できる限り子どもの生活リズムや環境を安定させることが重要です。規則正しい食事や睡眠、学校生活など、日常のルーティンを維持することで、子どもは安心感を持つことができます。やむを得ず転居や転校が必要な場合も、できるだけ子どもの意見を聞き、新しい環境に慣れるまでしっかりサポートしましょう。
また、経済的な安定も子どもの安心につながります。養育費の確保や公的支援の活用など、生活基盤を整えることも親の大切な役割です。
5. 面会交流を適切に行う
子どもが別居親と良好な関係を保てるよう、面会交流を適切に行うことが大切です。子どもには両親から愛される権利があり、定期的に会うことで「自分は両方の親に大切にされている」と実感できます。面会の約束は守り、子どもが別居親と過ごす時間を尊重しましょう。
面会前後に不機嫌になったり、「行きたくないよね?」と誘導したりすることは避けます。ただし、DVや虐待があった場合は、子どもの安全を最優先に考え、専門家と相談しながら慎重に判断することが必要です。




6. 子どもの気持ちに寄り添う
離婚について、子どもがどんな気持ちを抱いているのか、じっくり耳を傾けることが大切です。「悲しい」「寂しい」「怒っている」といった感情を、否定せずに受け止めましょう。「そんなこと言わないの」と感情を抑え込むのではなく、「そう感じるよね、辛いよね」と共感することで、子どもは安心して気持ちを表現できます。
また、子どもが話したくないときは無理に聞き出さず、「話したくなったらいつでも聞くよ」と伝えて見守る姿勢も大切です。問題行動が見られる場合も、その背後にある気持ちを理解しようとする姿勢が重要です。
7. 親自身の心のケアも大切にする
子どもをサポートするためには、まず親自身が心身ともに健康でいることが不可欠です。離婚のストレスで親が疲弊していると、子どものケアに十分な余裕を持てなくなってしまいます。必要に応じてカウンセリングを受けたり、信頼できる友人や家族に話を聞いてもらったりして、自分の気持ちを整理する時間を持ちましょう。
また、趣味や休息の時間を確保することも大切です。「子どものために自分を犠牲にする」のではなく、「自分が元気だからこそ子どもを支えられる」という視点を持つことが、長期的には子どもの幸せにつながります。
むしろ離婚がプラスになるケース
離婚は必ずしも子どもにとってマイナスとは限りません。むしろ、家庭環境によっては、離婚することで子どもが心身ともに健康に成長できるケースも多くあります。


DVやモラハラがある家庭
家庭内で暴力や精神的虐待が行われている場合、離婚は子どもを守るために必要な選択です。DVのある環境で育つことは、子どもの心身に深刻な悪影響を及ぼし、トラウマとなって将来まで影響を与える可能性があります。
直接的な暴力を受けていなくても、親が暴力を振るわれる場面を目撃する「面前DV」は、子どもへの心理的虐待にあたります。離婚によってDV加害者から離れることで、子どもは初めて安全な環境を手に入れ、本来の明るさを取り戻すことができます。
両親の激しい喧嘩が日常的な環境
夫婦間の激しい口論や喧嘩が日常的に繰り返される家庭では、子どもは常に緊張しながら生活しています。「子どものために離婚しない」と我慢しても、日々の喧嘩を目の当たりにしていては、かえって子どもを傷つけることになります。 子どもは親が思っている以上に家庭の雰囲気に敏感です。離婚によって激しい対立が終わり、それぞれが穏やかに子どもと向き合えるようになれば、子どもにとってはむしろプラスの変化となります。
緊張感の高い家庭環境
暴力や大声での喧嘩がなくても、家庭内に常に緊張感が漂い、リラックスできない環境も子どもにとって有害です。一方の親の機嫌を常に伺わなければならない、些細なことで怒鳴られる、家族で笑い合うことがない――このような環境では、子どもは「良い子」を演じ続け、自分の本当の気持ちを抑え込んでしまいます。 離婚によって緊張から解放され、安心できる時間を持てるようになれば、子どもは本来の自分らしさを取り戻すことができます。
離婚後の安定した生活がもたらすメリット
離婚によって、それぞれの親が精神的に安定し、子どもと向き合う余裕が生まれることもあります。また、離婚後に自立した親の姿を見ることで、子どもは「困難な状況でも前向きに生きる力」を学ぶことができます。離婚という選択を通じて、「辛い状況から抜け出す勇気を持っていい」というメッセージを、子どもに伝えることもできるのです。
重要なのは、「離婚するかしないか」ではなく、「子どもにとってどちらの環境がより安全で、健やかに成長できるか」という視点で考えることです。
離婚による子どもへの影響を抑えるために円満な離婚を
離婚が子どもに与える影響を最小限に抑えるためには、できる限り円満に離婚を進めることが重要です。激しい対立や長期化する争いは、子どもの心に大きな傷を残します。ここでは、子どものために穏やかに離婚を進める方法をご紹介します。


ADR(裁判外紛争解決手続)で「話し合い離婚」
ADR(Alternative Dispute Resolution)とは、裁判所を通さずに、中立的な第三者の仲介で話し合いによって問題を解決する手続きのことです。離婚調停や裁判と比べて、柔軟で迅速、かつ穏やかに離婚条件を決めることができます。
ADRの主なメリットは、当事者の意思を尊重した解決ができること、短期間で解決できること、対立を深めずに話し合えること、プライバシーが守られることです。専門家が間に入ることで、感情的にならずに冷静な話し合いができ、子どもが不安定な状況に置かれる期間を短くすることができます。




子どもの権利を重視する弁護士に相談する
離婚問題を弁護士に相談する場合は、子どもの権利や福祉を重視する弁護士を選ぶことが大切です。単に法的に有利な条件を勝ち取ることだけでなく、子どもにとって最善の解決策を提案してくれる弁護士を選びましょう。
子どもの視点を持つ弁護士は、面会交流の重要性を理解し、養育費だけでなく子どもの生活環境全体を考えたアドバイスをしてくれます。相談時には「子どもへの影響を最小限にするには、どのように進めればいいですか?」「面会交流について、どのような取り決めが子どもにとって良いと考えますか?」といった質問をして、子ども中心の回答が得られるか確認しましょう。
リコ活では、離婚問題に精通し、子どもの権利を重視する弁護士への相談が可能です。初回相談は無料で、あなたとお子さんにとって最善の解決策を一緒に考えます。一人で悩まず、まずはお気軽にご相談ください。
【Q&A】離婚と子どもについてのよくある質問
Q1. 離婚を子どもにいつ伝えるのがベストですか?
離婚が具体的に決まった段階で、できるだけ早めに伝えることが望ましいです。突然の変化は子どもに大きな不安を与えるため、引っ越しや転校の直前ではなく、ある程度の心の準備ができる時間を持たせることが大切です。ただし、離婚について話し合っている段階で不確定な情報を伝えると、かえって混乱させることもあるので注意しましょう。
Q2. 子どもが「パパとママに戻ってほしい」と言います。どう対応すればいいですか?
その気持ちを否定せず、「そう思うよね、寂しいよね」とまず受け止めましょう。その上で「パパとママは夫婦には戻らないけど、あなたのパパとママであることは変わらない」と、子どもへの愛情は変わらないことを繰り返し伝えることが大切です。時間をかけて少しずつ現実を受け入れられるよう、焦らずに寄り添いましょう。
Q3. 離婚後、元配偶者が養育費を払ってくれません。どうすればいいですか?
まずは直接連絡を取り、支払いを求めましょう。それでも支払われない場合は、調停や履行勧告、強制執行などの法的手段があります。養育費は子どもの権利であり、親の義務ですので、泣き寝入りする必要はありません。弁護士や自治体の相談窓口に相談し、適切な手続きを進めることをおすすめします。




Q4. 離婚後、子どもが学校で問題を起こすようになりました。どう対処すればいいですか?
まず担任の先生やスクールカウンセラーに状況を共有し、学校と連携して対応しましょう。問題行動は子どもなりのSOSのサインであることが多いため、叱るだけでなく、背後にある気持ちを理解しようとする姿勢が重要です。必要に応じて児童相談所や臨床心理士など、専門家の力を借りることも検討しましょう。
Q5. 再婚を考えていますが、子どもへの影響が心配です。どう進めればいいですか?
再婚は子どもにとって新たな環境の変化となるため、子どもの気持ちを最優先に、慎重に進めることが大切です。急いで家族になろうとせず、まずは子どもと再婚相手が少しずつ関係を築ける時間を十分に取りましょう。また、再婚後も別居親との関係を大切にし、子どもが「どちらかを選ばなければならない」というプレッシャーを感じないよう配慮が必要です。


子どもの幸せを第一に考えた離婚を
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