
離婚調停にかかる期間は平均すると6か月程度ですが、ケースごとに差があります。特に、財産分与や慰謝料などに争いがあったりいずれか一方が離婚を拒否していたりする場合、想定より長引くことがあるでしょう。
本記事では、離婚調停にかかる期間の目安と調停の流れ、調停が長くなる理由、早く終わらせるためのポイントをわかりやすく解説します。
この記事でわかること
・離婚調停にかかる期間の目安
・離婚調停の流れ
・調停の期間が長くなる原因や早く終わらせるポイント

弁護士法人 丸の内ソレイユ法律事務所(東京弁護士会所属)
2009年の事務所開設以来、女性側の離婚・男女問題の解決に注力しています。年間700件以上、累計5000件以上の相談実績があり、多様な離婚のノウハウを蓄積。
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離婚調停の期間はどのくらい?

離婚調停とは、家庭裁判所で調停委員を介し、離婚条件について話し合い、合意を目指す手続きです。
実際にどのくらいの期間がかかるのか、気になるところでしょう。統計によると、数か月で終わるケースは少なく、一定の時間がかかる例も珍しくありません。
ここでは、離婚調停の概要や、平均的にかかる期間について解説します。
どちらか一方が改善に積極的でない
離婚調停は、夫婦だけの話し合いでは解決が難しい場合に行われる家庭裁判所の調停手続きのひとつです。調停委員が中立の立場で間に入り、当事者双方の主張を聞きながら、離婚や親権、養育費、財産分与などの条件について合意するために話し合います。
裁判のように勝敗を決めるのではなく、あくまで話し合いによる円満な解決を目指す点が特徴です。
相手と直接顔を合わせずに進めるため、冷静に話し合いを進めやすいというメリットがあります。
平均的な期間は6か月
令和6(2024)年度の司法統計年報(家事編)での離婚調停の統計によると、離婚調停が成立する場合でも、3か月以内に終了するケースは多くありません。実際には4か月〜1年程度かかることが多く、平均するとおよそ6か月前後が目安です。
期日の間隔は通常1か月前後空くため、回数を重ねるごとに期間も延びる傾向があります。
なかには1年以上続く場合や、長期間話し合いを重ねた末に不成立となるケースもあり、話し合う争点の多さや主張の隔たりなどにより、期間は大きく変わります。
離婚調停の流れ

離婚調停は、申立てを行ったあと、期日に出席して話し合いを重ね、最終的に成立または不成立で終了します。
全体のおおまかな流れは、次のとおりです。
- 調停の申立て
- 調停期日前の準備
- 第1回調停期日
- 第2回以降の調停期日
- 調停終了(調停成立または不成立)
ここでは、申立てから終了までの一般的な進め方を順を追って解説します。
調停の申立て
離婚調停は、相手方の住所地を管轄する家庭裁判所に申立てを行います。原則として相手方の住居地を管轄する裁判所が申立先となりますが、双方が合意していれば、別の家庭裁判所に申立てることも可能です。
まず、申立書や戸籍謄本などの必要書類を準備し、持参もしくは郵送で裁判所に提出します。郵送で提出する場合は、簡易書留など、配達状況の記録が残る方法で送るのが安心です。
調停期日前の準備
申立てが受理されると、第1回の調停期日は1〜2か月後に設定されます。日程が決まると、申立人と相手方の双方へ、出頭日時が記載された呼出状が送付されます。書面が手元に届くのは、申立てからおよそ2週間前後が目安です。
期日までは、当日に備えて準備を進めます。自分の主張や希望する離婚条件を整理し、調停委員に伝えたいポイントを文書にまとめておくと、円滑な話し合いにつながるでしょう。
第1回調停期日
第1回目の期日では、調停委員から調停の進め方や立場についての説明があります。待合室は相手とは別室になり、調停室にも交互に入室するため、お互いに顔を合わせることはありません。
1回あたりおよそ2時間程度を要し、これまでの経緯や離婚に対する考えや、争点となる事項の確認を中心に行われます。
第2回以降の調停期日
2回目以降の期日は、1か月〜1か月半ほど間隔を空けたあとに設定されます。1回の期日で合意が成立することは少なく、平均すると3〜5回程度の期日を重ねるケースが一般的です。
前回の課題や提出資料をもとに、具体的な条件についての交渉が進み、双方が譲歩案を提示しながら合意点を探っていきます。
調停終了(調停成立または不成立)
双方が合意に至れば「調停成立」となり、合意内容を記載した調停調書が作成されます。成立日を含めて10日以内に、夫婦の本籍地または住所地の市区町村役場へ調停調書を添付して離婚届を提出することで、正式に離婚が成立します。
調停調書には判決と同じ効力があり、作成後に不服を申立てることはできません。また、養育費・慰謝料・財産分与の支払いといった合意内容が守られない場合、強制執行の手続きも可能です。
一方、合意の見込みがない場合は「不成立」となり、改めて話し合いをして協議離婚するか、離婚訴訟など次の手続きへ進むことになります。
離婚調停が長くなる原因

離婚調停は話し合いによる解決を目指す手続きですが、争点の内容や当事者の姿勢によっては、想定以上に長引くことがあります。
特にお金や子どもに関する問題、そもそも離婚に応じるかどうかといった点で対立が大きい場合、調整には時間がかかりやすいでしょう。
ここでは、離婚調停が長期化しやすい主な原因を解説します。
財産分与や慰謝料などを争っている
財産分与や慰謝料の金額を巡って意見が対立すると、調停は長引きやすくなります。預貯金や不動産、保険、退職金見込み額など、対象となる財産の範囲を確定するだけでも時間がかかることがあり、評価方法や分け方でさらに議論していかなければなりません。
資料の収集や金額の算定に数か月を要するケースもあります。特に、共有財産が多岐にわたる場合や、相手方が資料提出に消極的なケースでは、事実確認の段階で手続きが停滞します。
慰謝料についても、原因や責任の度合い、相場感を巡って主張が食い違うと、合意点を見つけるまでに相当の時間が必要になるでしょう。
いずれか一方が離婚を拒否している
夫婦のどちらかが離婚そのものに応じない場合、条件を話し合う以前に「離婚するかどうか」から協議を始めなければならず、調停は長期化しやすいでしょう。
調停委員が間に入って説得や調整を行っても、感情面の問題が大きく影響するため、短期間での解決は難しい傾向があります。
離婚を拒否する姿勢が変わらない場合、最終的に調停は不成立となり、離婚訴訟へ進むこともあるでしょう。
子どもの親権を争っている
子どもがいる場合、親権を巡る対立は特に激しくなりがちです。慎重な判断が求められることから、時間を要するケースが多いでしょう。
子どもの生活環境や養育状況を確認するため、家庭裁判所の調査官による家庭訪問や聞き取りなどの調査が行われることもあります。
子どもの福祉を最優先に考える必要があるため、急いで結論を出すことは避け、複数回の期日を重ねながら丁寧に事実確認が進められます。
双方の主張が強く対立している場合は、調査結果を踏まえても合意に至らないこともあり、さらに時間がかかることがあるでしょう。
離婚調停を早く終わらせるポイント
離婚調停は時間がかかりやすい手続きですが、事前の準備や対応の仕方によって、比較的スムーズに進められる可能性があります。
ここでは、調停をできるだけ早く終わらせるために意識しておきたいポイントを紹介します。
離婚条件の優先順位を整理する
調停にのぞむ前には、「絶対に譲れない条件」と「状況次第で譲歩できる点」を整理しておくことが大切です。すべての要求を通そうとすると話し合いは停滞しがちですが、優先順位が明確であれば、調停の場でも柔軟な判断がしやすいでしょう。
親権・養育費・財産分与など、項目ごとに自分の考えを整理し、現実的な落としどころをイメージしておくことで、合意形成が進みやすいでしょう。
これにより無用な対立を避け、期日の回数や全体の期間を短縮しやすくなります。
調停委員に状況を理解してもらう
離婚調停では、調停委員が双方の間に入り、解決に向けた調整を行います。そのため、自分の状況や主張をわかりやすく伝えることが大切です。
感情的に伝えるよりも、事実関係や希望の条件を整理して説明することで、調停委員の理解を得やすいでしょう。調停委員が事情を十分に把握できれば、相手に対して現実的な提案や説得をしてもらえることもあり、話し合いが円滑に進みます。
話し合いがスムーズに進めば無駄なやり取りが減り、短期間での合意につながる可能性があるでしょう。
弁護士に同伴を依頼する
離婚問題に詳しい弁護士を同伴することも、期間の短縮を目指せるポイントです。法的な観点から的確な助言を受けられ、主張も整理されるため、調停委員に伝わりやすく提示できるでしょう。
相手方との条件交渉においても、法的根拠に基づいた話し合いができるため、不利な条件を避けながら現実的な合意形成が期待できます。
専門家が関与することで手続き全体がスムーズに進みやすくなり、調停にかかる期間の短縮につながるでしょう。
丸の内ソレイユ法律事務所弁護士は代理人として調停に参加することができます。弁護士が代理人として調停に参加した場合には、調停と調停の間に、相手方との条件の調整を行うことが可能な場合もあります。その結果として、早期解決や法的に適切な解決に早くたどり着けることもあります。また、調停の期日では、調停委員から法的な判断をその場で求められることもあります。そのような場合に弁護士がいるといないとでは判断の適切さや安心感が大きく違ってきます。
離婚調停の期間に関するよくある質問(Q&A)
Q1.離婚調停で聞かれることは?
調停委員からは、主に次のようなことが聞かれます。
- 離婚に至るまでの経緯・動機
- 現在の生活状況
- 夫婦の共有財産の状況
- 親権や財産分与、養育費、親子交流への希望
調停委員は、夫婦がどのような経緯で破綻に至ったのか、今後どのような条件なら合意できるのかを確認し、着地点を探っていきます。自分の考えをしっかり伝えられるよう、あらかじめ要点を整理しておきましょう。
Q2.いきなり離婚訴訟の提起は可能?
離婚は「調停前置主義」が採られており、原則として訴訟の前に家庭裁判所で離婚調停を申立てる必要があります(家事事件手続法257条1項)。
そのため、離婚調停を経ずにいきなり離婚訴訟を起こすことは認められていません。
ただし、裁判所が「調停を経るのは適切でない」と判断した場合には、例外として離婚調停を行わずに離婚訴訟を起こせることもあります(同条2項)。
例えば、相手の所在が不明な場合や、海外に居住していて日本での調停手続が困難な場合など、調停による話し合いが現実的に難しいと判断される場合には、調停を経ずに離婚訴訟が認められることがあります。
Q3.離婚調停中にやってはいけないことはある
離婚調停中に、次のような行為は厳禁です。
- 相手の別居先へ無断で押しかける
- 誹謗中傷を行う
- 子どもを強引に連れ去る
- 調停の様子を録画・録音する
- 配偶者に直接連絡する
- 配偶者に嫌がらせをする
- 勝手に財産を処分する
これらはトラブルを悪化させるだけでなく、調停委員の印象を悪くし、親権や慰謝料の判断で不利に働くおそれがあります。
Q4.離婚調停を欠席するとどうなる?
正当な理由なく調停を一度でも無断で欠席すると、裁判官や調停委員からの心証を損ねる可能性があります。やむを得ず出席できない場合でも、事前に家庭裁判所へ連絡し、事情を伝えておかなければなりません。
無断欠席をすると、手続きが円滑に進まなくなったりするおそれがあります。
欠席が続くと、調停が不成立として終了する可能性もあるでしょう。
Q5.離婚調停よりも早く終わらせる方法はある?
最も早い解決方法は、協議離婚です。調停中であっても、弁護士を通じた場外交渉で合意できれば、調停を取り下げて離婚届を提出したり、そのまま調停を成立させたりすることが可能です。
また、ADR(裁判外紛争解決手続)を利用することで、短期間での解決が期待できる場合もあります。ADRとは、訴訟を行わず、弁護士など中立な第三者の関与により、話し合いで民事上のトラブルを解決する手続きです。
手続きは非公開で行われ、裁判のような厳格な手続きではなく、当事者の実情に合わせた柔軟な解決が期待できます。訴訟に比べて費用が安く抑えられることが多いのも特徴です。
離婚調停の期間を短くする方法を把握しておこう
離婚調停にかかる期間は、争点の内容や当事者の姿勢によって大きく変わり、平均すると6か月程度がひとつの目安となります。
事前に条件の優先順位を整理し、調停委員に状況を正確に伝えるなどの工夫により、話し合いをスムーズに進めて期間を短縮することが可能です。
弁護士など専門家の力も借りながら、十分納得したうえでの早期解決を目指しましょう。短期間の解決を目指すなら、ADR(裁判外紛争解決手続)の利用もおすすめです。
