家庭内別居で夫婦の会話がない・無視される…夫の気持ちは?
家庭内別居は、決定的な夫婦喧嘩や浮気の発覚など、大きな出来事がきっかけになると思われがちです。しかし、そうとは限らず、結婚生活で感じてきた小さなストレスの蓄積から次第に愛情が薄れ、結果として家庭内別居状態になるケースも少なくありません。「自分たちは喧嘩しないから大丈夫」と安心している人は要注意です。
夫婦の会話がなくなると、夫の気持ちがわからなくなり、妻も理不尽な行動に困惑することが増えます。子供のために家庭内の雰囲気を改善しようとしても、夫の気持ちが確認できなければ、対処法もわからないでしょう。そこで、家庭内別居中の夫の気持ちや、夫婦関係を悪化させた原因ごとの対処法を紹介します。
家庭内別居中の夫の気持ちは?
最低限の会話しか交わさない家庭内別居では、同居しているとはいえ夫が何を考えているのか把握しづらいものです。家庭内別居中の夫が抱きがちな気持ちを4つ紹介します。
自分の気持ちを理解してほしい
今すぐ離婚したいという深刻な状態でない場合、自分の気持ちを理解してほしいと妻に期待している夫が多いようです。しかし、妻に気持ちを伝えようとしても、結局口論になってしまうため、家庭内別居中は妻との会話に消極的です。
さらに妻が夫の気持ちを知りたいのと同様に、妻が自分についてどのように考えているのか確かめたいと思っていることがあります。家庭内別居中の夫は妻に関心がないように見えて、実はしっかり観察しており、気持ちを探っているのかもしれません。
何も考えたくない・疲れている
妻が思っているほど、夫は家庭内別居の問題を深刻に考えていないこともあります。単に無関心だというだけでなく、仕事などが忙しくて気持ちに余裕がなく、妻と家庭内のことについて話し合う気力が残っていないケースも考えられます。
関係修復のきっかけを見失い困っている
妻が家庭内別居をどうにかしたいと考えているとき、夫の気持ちも同様に、夫婦関係の修復を望んでいる場合があります。長期間お互いの存在を無視し続けてきた状況から、話し合いを持ちかけるきっかけを見いだせずに悩んでいるかもしれません。
また、夫婦関係を修復したい場合、夫の気持ちの中では、妻との積極的なコミュニケーションを望んでいます。しかし、失敗すると逆に離婚を早めてしまうのではないかと心配して、行動に移せずにいるケースもあります。
離婚したい
家庭内別居で妻に無視され、家庭に居づらいと感じた夫の気持ちは、すでに離婚に向かっているかもしれません。妻と距離を置き、冷静に考える時間を確保できる家庭内別居は、夫の気持ちの中で離婚を決意させる可能性があることに注意しましょう。
家庭内別居で会話がない状況はいつまで続く?対処法は?
夫婦の会話がなく重苦しい空気が漂う家庭では、自分の家なのに安らぎを感じられません。このような状況がこれからも続くと考えると、絶望的な気分になる人もいるでしょう。
夫婦関係が悪化して家庭内別居状態にあっても、小さなきっかけから夫婦関係が修復できる可能性があります。自然な会話ができる以前のような家庭を取り戻すために役立ちそうな対処法を4つ紹介します。
出典: リコ活MEDIA
喧嘩が原因の場合
夫婦喧嘩で険悪になり、お互い謝らずに意地を張り続けた結果、家庭内別居に至ってしまった夫婦は少なくありません。自分は悪くないのだから相手が謝るべきだと考えがちですが、夫の気持ちも同じ可能性があります。
このような家庭内別居では、どちらかが謝罪しなければ膠着状態のままなので、潔く自分から謝ってしまうのがよいでしょう。ただし、冷え切った夫婦関係では、一度謝罪したくらいでは相手にされないこともあります。相手が予想と違った反応でも悲観せず、すぐには結果が出ないことを覚悟しておくと心理的なダメージも抑えられるでしょう。
価値観の不一致が原因の場合
金銭感覚や子供の教育方針など価値観の違いから意見がぶつかって家庭内別居状態になってしまった場合は、お互いの妥協点を見つけましょう。その際に、相手に譲歩するよう迫るのではなく、まず自分から歩み寄れる点がないかあらかじめ振り返っておくと、スムーズな話し合いができます。
夫婦だけでは解決が難しい場合は、専門家にアドバイスを求めるのも効果的な対処法です。たとえば家計や保険などの経済的な問題は、ファイナンシャルプランナーに相談すると、妻と夫の気持ちを考慮したお金の使い方について助言がもらえます。
浮気・不倫が原因の場合
家庭内別居の原因がパートナーの浮気や不倫である場合、そのまま離婚を選択するのは不自然なことではありません。そうではなく、夫婦関係の修復を目指すのなら、パートナーの過ちをしつこく追及せず、以前と変わらない態度で接するようにしましょう。相手に非があるのは明らかですが、厳しい態度を取り続けると夫婦間の溝が拡大する恐れがあります。
夫婦関係の修復を進めるとともに、カウンセラーや弁護士といった専門家にも相談しましょう。家庭内別居から再び円満な関係を築くためのアドバイスが受けられるほか、パートナーが再び不倫や浮気をしたときの対処法も準備できます。
加藤 惇
パートナーの浮気・不倫が発覚した場合、採り得る選択肢は、パートナーや相手に慰謝料を請求するといった選択肢だけではありません。今度同様の行為を繰り返した場合にどのようにするかといったことについて合意書を作成することなども考えられます。慰謝料を請求するつもりがないとしても、弁護士に相談をして自分の採り得る選択肢を聞いておくことは重要なことです。
なんとなく会話がなくなった場合
普段の小さな不満の蓄積で愛情が薄れたり、パートナーと過ごす時間が退屈に感じたりして、なんとなく会話がなくなっていく家庭内別居もあります。「脱いだ靴をそろえない」「帰宅時間を連絡しない」など、一つひとつはささいなことでも、度重なると大きなストレスとなり、ある日堪忍袋の緒が切れて夫婦関係が崩壊する危険があります。
このような場合、ストレスが限界を迎える前に、自分の気持ちを紙に書き出すなどして、不満に感じることを整理するのがよいでしょう。また、相手に直してほしいことを伝える際は、要点を絞り、同時に日ごろの感謝や愛情を伝えるのも効果的です。相手に要求するだけでなく、自分が相手に対して何ができるか考えて、思いやりを持って接することも大切です。
夫婦関係の修復には夫の気持ちに沿った対処を
夫婦関係を修復して家庭内別居を終わらせたいと思ったとき、ポイントとなるのが夫の気持ちです。妻と同じ気持ちを持っている場合もありますが、楽観視していたり、すでに離婚を決意したりしていることもあります。夫の気持ちとのすれ違いを感じる場合は、自分の意見を押し付けず、こちらから譲歩できる点がないか振り返ることが大切です。
夫婦だけで解決が難しい問題は、専門家など第三者に相談するのもよいでしょう。客観的なアドバイスによって、夫婦関係を修復し家庭内別居を解消するための妥協点が見つかるかもしれません。
加藤 惇/CSP法律会計事務所(第一東京弁護士会所属)
弁護士として、婚姻費用・財産分与・養育費・慰謝料・不貞・親権・面会交流など、離婚にかかわる事件を特に重点的に取り扱う。依頼者の意向を丁寧にくみ取り、常に依頼者の利益を最大化することを目標に活動している。離婚事件のほか、いじめなどの学校事件も多く扱っており、子供に関する問題にも詳しい。CSP法律会計事務所所属。