
離婚すると、戸籍には離婚の事実が記載され、婚姻時に姓を変えた側は元の戸籍に戻るか新しい戸籍を作るかを選択することになります。一方、子どもの戸籍は親の離婚によって自動で変わるわけではないため、親と同じ戸籍に移すには別途手続きが必要です。本記事では、離婚後の戸籍・姓の扱いや離婚歴を現在の戸籍に表示させない方法、子どもの戸籍に関する手続きについて解説します。
この記事でわかること
●離婚すると、筆頭者は戸籍に残り、相手の戸籍に入っていた側は除籍される
●子どもの戸籍は自動では変わらず、移すには別途手続きが必要
●転籍や分籍をしても、離婚の記録自体は消えないが見えなくすることは可能


弁護士法人 丸の内ソレイユ法律事務所(東京弁護士会所属)
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離婚したら戸籍はどうなるのか

離婚が成立すると、その事実は夫婦双方の戸籍にある身分事項欄に記録されます。婚姻中の戸籍で筆頭者となっている人は、基本的に離婚後も同じ戸籍にとどまりますが、結婚を機に姓を変更して相手の戸籍に入った側は、その戸籍から抜けることになります。
戸籍から抜けた人は、旧姓に戻って婚姻前の戸籍へ復籍するか、自分を筆頭者とする新しい戸籍を編製するかを選ばなければなりません。婚姻中に名乗っていた姓を離婚後も使用する場合は、その姓で新しい戸籍が作られます。
離婚したときの戸籍の扱い

離婚後にどの戸籍に入るかは、婚姻時の戸籍上の立場や、離婚後に使用する姓によって異なります。
ここでは、戸籍の筆頭者と相手の戸籍に入っていた側に分けて、離婚後の扱いを詳しく解説します。
戸籍の筆頭者の場合
戸籍の筆頭者は、離婚後も現在の戸籍に残ります。婚姻前の戸籍に戻ったり、自分のために新しい戸籍を作ったりする必要はありません。
離婚届が受理されると、戸籍の身分事項欄に離婚日や元配偶者の氏名などが記載されます。元配偶者は離婚によって戸籍から除かれるため、筆頭者が別途手続きを行う必要はありません。
相手の戸籍に入っていた場合
婚姻時に相手の姓を選んでその戸籍に入った側は、離婚によって婚姻中の戸籍から除籍され、原則として旧姓に戻ります。
離婚後の戸籍については、次のいずれかを選択します。
- 婚姻前の戸籍に戻る
- 新たに編製された戸籍に入る
それぞれについて、以下で詳しく見ていきましょう。
婚姻前の戸籍に戻る
婚姻前の戸籍に戻ることを「復籍」といいます。離婚によって旧姓に戻り、新しい戸籍の編製を選択しなかった場合は、原則として父母などが入っている婚姻前の戸籍へ戻る扱いです。
ただし、婚姻前の戸籍に入っていた人が全員除籍されるなどして、その戸籍がすでに存在しない場合は復籍できません。この場合は、本人を筆頭者とする新しい戸籍が編製されます。
また、父母の戸籍に復籍した場合、自分の子どもを同じ戸籍に入れることはできません。戸籍には原則として親と子の2世代までしか入れず、父母から見て孫にあたる子どもは入籍できないためです。
離婚後に子どもと同じ戸籍にしたい場合は、新戸籍の編製を選ぶ必要があります。
新たに編製された戸籍に入る
婚姻前の戸籍には戻らず、本人を筆頭者とする新しい戸籍を編製することも可能です。離婚届の「婚姻前の氏にもどる者の本籍」欄に、新しい本籍を記入して手続きを行います。
婚姻前の戸籍がすでに存在しない場合だけでなく、父母の戸籍へ戻りたくない場合や、子どもを自分と同じ戸籍に移したい場合にも新戸籍が必要です。ただし、新戸籍を作っただけでは子どもの戸籍は移らないため、別途「子の氏の変更許可」と入籍届の手続きを行わなければなりません。
丸の内ソレイユ法律事務所戸籍と親権は別の制度であり、離婚届を提出しただけでは子どもの戸籍や姓は変わりません。子どもをご自身の戸籍に移すには、家庭裁判所の「子の氏の変更許可」を得たうえで入籍届を提出するという2段階の手続きが必要で、婚氏続称によって見た目の姓が同じ場合でも省略はできません。また、転籍や分籍をすれば現在の戸籍謄本には離婚の記載が現れなくなりますが、除籍謄本などには記録が残ります。判断に迷う場合は、早めに弁護士へご相談ください。
離婚時の子どもの戸籍はどうなる?


離婚届を提出しても、子どもの戸籍や姓が親権者に合わせて自動的に変わるわけではありません。子どもを離婚後に生活する親と同じ戸籍へ移す場合は、離婚とは別の手続きが必要です。
ここでは、離婚直後の子どもの戸籍と、変更が必要になるケースについて解説します。
子どもの戸籍は変更されない
離婚によって夫婦の戸籍が分かれても、子どもは原則として婚姻中の戸籍に残ります。例を挙げると、父親が戸籍の筆頭者で母親が離婚後に旧姓へ戻った場合、母親が親権者となっても、子どもの戸籍は父親の戸籍に残ったままです。
戸籍が変わらないため、子どもの姓も離婚だけを理由に変更されることはありません。その結果、親権者である母親と子どもの姓や戸籍が異なる状態になる場合があります。親権と戸籍は別の制度であり、親権者を決めただけでは子どもの戸籍に影響しない点を理解しておきましょう。
子どもの戸籍に関する手続きが必要になるケースとは
離婚後、元配偶者の戸籍に残っている子どもを自分と同じ戸籍へ移したい場合は、手続きが必要です。親と子の姓が異なる場合だけでなく、婚氏続称によって見た目上は同じ姓を使用している場合も、戸籍を移す手続きが必要になります。
手続きは、次の順序で進めます。
- 子どもの住所地を管轄する家庭裁判所に「子の氏の変更許可」を申立てる
- 許可を得た後、市区町村役場へ「入籍届」を提出する
入籍届が受理されると、子どもは元配偶者の戸籍から除籍され、親権者などの新しい戸籍へ入ります。家庭裁判所の許可を得ただけでは戸籍は移らないため、入籍届まで提出することが大切です。
なお、子どもが15歳未満の場合は法定代理人が手続きを行い、15歳以上の場合は子ども本人が申立てます。必要書類や提出先を事前に確認し、順序に沿って進めましょう。
内部リンク:離婚の手続き完全マニュアル|流れ・必要書類・離婚後の手続きまで詳しく解説
離婚後も婚姻時と同じ姓を使い続ける際の戸籍の扱い


離婚すると、婚姻時に姓を変えた側は原則として婚姻前の姓に戻ります。ただし、離婚の日から3ヶ月以内に「離婚の際に称していた氏を称する届」を市区町村役場へ提出すれば、婚姻時の姓を引き続き使用できます。この手続きが、「婚氏続称」です。
婚氏続称を選択した場合、婚姻前の戸籍には戻らず、本人を筆頭者とする新しい戸籍が編製されることになります。離婚届と同時に届け出るほか、離婚後に改めて手続きすることもできますが、3ヶ月の期限には注意しなければなりません。
婚姻時の姓を継続すれば、仕事上の氏名を変えずに済むほか、子どもと同じ姓を名乗り続けられるなどのメリットが考えられます。ただし、親子の姓が同じでも子どもの戸籍が自動的に移るわけではありません。
子どもを自分の新戸籍に入れるには、前述した「子の氏の変更許可」と入籍届の手続きが別途必要な点を理解しておきましょう。
離婚歴を戸籍に記載されないようにするには


離婚すると、離婚日や元配偶者の氏名などが戸籍に記載されます。この記録そのものを完全に消すことはできません。
ただし、転籍や分籍によって新しい戸籍を作れば、現在の戸籍全部事項証明書(戸籍謄本)には離婚に関する事項が記載されない場合があります。過去の戸籍や除籍謄本には記録が残るため、「離婚歴を消す」のではなく、現在の戸籍上で見えない状態にする方法と理解しておきましょう。
本籍地を移す(転籍)
転籍とは、戸籍の本籍地を変更する手続きです。離婚後に別の市区町村へ転籍すると、新しい戸籍が編製され、離婚に関する事項は原則として引き継がれません。そのため、転籍後の戸籍謄本だけを見ても、離婚日や元配偶者の氏名がわからない状態になります。
ただし、転籍前の戸籍は除籍簿として保存され、離婚の記録も残ったままです。また、父母の戸籍に復籍した後に転籍する場合は、自分だけでなく、その戸籍に入っている全員の本籍地が変更されます。本人だけの戸籍を作りたい場合は、次に解説する分籍を検討することになるでしょう。
戸籍を分ける(分籍)
分籍とは、現在入っている戸籍から自分だけが抜け、本人を筆頭者とする新しい戸籍を作る手続きです。離婚後に婚姻前の戸籍へ戻った場合でも、分籍によって新戸籍を編製すれば現在の戸籍謄本には離婚に関する事項が記載されません。
分籍可能なのは、戸籍の筆頭者とその配偶者以外の18歳以上の人です。すでに本人が筆頭者となっている場合は分籍できないため、現在の戸籍から離婚に関する記載を見えなくするには転籍を行います。
また、一度分籍すると、原則として元の戸籍へ戻ることはできません。
分籍前の戸籍や除籍謄本には離婚の記録が残るほか、子どもの父母欄から元配偶者の氏名がわかる可能性もあります。手続き後の影響まで理解したうえで判断することが大切です。
離婚後に旧姓に戻した場合は住民票にも注意
離婚によって旧姓に戻ると、同じ市区町村に住み続けている場合は住民票に氏名変更の履歴が記載されます。ただし、姓が変わる理由は離婚に限らないため、住民票だけで離婚した事実が露呈するわけではありませんが、離婚を推測されるおそれは否定できません。
その点、別の市区町村へ引っ越すと転入先で新しい住民票が作成されるため、通常は離婚前の姓や元配偶者の氏名までは引き継がれません。一方、転出前の住民票は除票として保存され、転入先の住民票には以前の住所が記載されます。戸籍と同様に、過去の記録を完全に消せるわけではない点には注意が必要です。
戸籍の選択は、離婚後に使用する姓や子どもの戸籍にも関係します。どの手続きを選べばよいかわからない場合や、離婚歴の記載に不安がある場合は、弁護士に相談して状況に応じた方法を確認するとよいでしょう。
離婚時の戸籍や姓についてよくある質問
Q1.離婚後に妊娠が発覚しました。子どもの戸籍の扱いはどうなりますか?
離婚後に妊娠が明らかになった場合の子どもの戸籍上の父親は、出生の時期と母親が再婚しているか否かによって異なります。離婚後300日以内に生まれ、かつ出生時に母親が再婚していない場合は原則として元夫の子と推定されるため、元夫の戸籍に入ります。
ただし、2024年4月施行の改正民法により、離婚後300日以内であっても子どもの出生前に母親が再婚していれば再婚後の夫の子と推定される扱いに変更されました。そのため、子どもの戸籍は再婚後の夫の戸籍に入ることになります。
離婚後300日を過ぎてから生まれ、母親が再婚していない場合は「嫡出でない子」となり、母親の戸籍に入ります。その場合、父親との法律上の親子関係を成立させるには認知が必要です。
Q2.離婚したら戸籍に×がつきますか?
現在の電子化された戸籍では、離婚しても氏名に「×」はつきません。従来の縦書きの戸籍が使われていた時代には、戸籍から除かれた人の氏名に×印が記載されていましたが、現在は「除籍」などの文言で表示されるのみです。
Q3.調停離婚・裁判離婚と協議離婚で戸籍の記載に違いはありますか?
離婚の方法によって、戸籍に記載される内容は異なります。協議離婚では離婚届を提出した日、調停離婚では調停成立日、裁判離婚では判決確定日などが記録されるため、戸籍を見れば離婚の方法がわかるでしょう。
ただし、どちらが離婚を申立てたのか、慰謝料や財産分与の取り決めがあったのかといった事情までは記載されません。
内部リンク:調停離婚とは?流れや審判離婚・裁判離婚との違いを解説
Q4.死後離婚の場合、戸籍はどのようになりますか?
一般に「死後離婚」と呼ばれる手続きは、配偶者の死亡後に「姻族関係終了届」を提出し、亡くなった配偶者の親族との法律上の関係を終了させるものです。夫婦の婚姻関係は配偶者の死亡によってすでに終了しているため、離婚として戸籍に記載されるわけではありません。
姻族関係終了届を出しても、届け出た本人の姓や本人と亡くなった配偶者との婚姻の記載、子どもの戸籍・相続権などには基本的に影響はありません。そのため「戸籍上の離婚」というよりは、義理の親族との法律上のつながりを断つための補助的な制度と理解しておく必要があるでしょう。
Q5.新しく戸籍を作る場合の本籍地はどうすればよいですか?
新戸籍の本籍地は、現在住んでいる住所や実家の所在地などから自由に選べます。実際に住んでいる場所である必要はありませんが、戸籍謄本の取得や各種手続きの利便性も考慮して決めるとよいでしょう。
離婚後の戸籍の扱いについて理解しておこう


離婚後の戸籍の扱いは、婚姻時の戸籍上の立場や、離婚後に使用する姓によって異なります。婚姻時に相手の戸籍に入っていた場合は、婚姻前の戸籍に戻るか、自分を筆頭者とする新しい戸籍を作るかを選択する必要があります。
また、離婚後の親権者が父母の一方または双方のいずれであっても、子どもの戸籍や姓が自動的に変わるわけではありません。子どもを自分と同じ戸籍に移す場合は、家庭裁判所への申立てと入籍届の提出が必要です。
戸籍や姓に関する選択は、離婚後の生活や子どもの手続きにも影響します。どの方法が自分の状況に合っているのかわからない場合は、離婚ADRサービス「リコ活」を通じて専門家に相談し、必要な手続きや今後の進め方を確認しましょう。
