調停離婚とは?流れや審判離婚・裁判離婚との違いを解説

調停離婚は、夫婦間の話し合いだけでは合意が難しい場合に、家庭裁判所を介して離婚条件の調整を行う手続きです。協議離婚と比べて第三者が関与するため冷静な話し合いがしやすい一方で、手続きの流れや期間、費用などが気になることもあるかもしれません。
本記事では、調停離婚の基本的な仕組みや一般的な流れ、審判離婚・裁判離婚との違い、メリット・デメリットについて解説します。
この記事でわかること
●調停離婚の一般的な流れについて●調停離婚の仕組みと他の離婚方法との違い
●調停離婚のメリット・デメリット

弁護士法人 丸の内ソレイユ法律事務所(東京弁護士会所属)
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調停離婚とは?離婚方法の主な種類について

離婚には複数の方法があり、それぞれ手続きの進め方や関与する主体、解決の仕方が異なります。調停離婚は、協議離婚と裁判離婚の中間に位置する手続きであり、当事者同士の合意を前提としつつ、家庭裁判所という公的な枠組みの中で進められる点に特徴があります。
そのため、単に「話し合いか裁判か」という二択ではなく、どの段階でどの手続きが適しているのかを理解することが重要です。ここでは、代表的な離婚方法である協議離婚・調停離婚・裁判離婚の違いを見ていきましょう。
協議離婚
協議離婚は、家庭裁判所を利用せず、夫婦間の話し合いと離婚届の提出によって成立する離婚方法です。手続きが比較的簡便で、合意さえ得られれば短期間で成立する点が特徴といえるでしょう。費用も抑えやすく、財産分与や養育費などの条件も当事者の意思で柔軟に決められます。
一方で、第三者が関与しないため、条件面で十分に調整されないまま合意に至るケースや、後にトラブルへ発展する可能性もあります。特に養育費など継続的な取り決めについては、書面化しておかないと履行が確保しにくい点には注意が必要です。
また、そもそも話し合いがまとまらない場合には成立しないため、相手が離婚に応じない、条件面で対立しているといった状況では限界がある手続きといえます。
内部リンク
協議離婚と調停離婚の違い|メリット・デメリット・流れや注意点、ADRについても解説
調停離婚
調停離婚は、家庭裁判所の「夫婦関係調整調停」を利用し、調停委員を介して離婚や条件の合意を目指す手続きです。夫婦が直接対面するのではなく、調停委員がそれぞれの意見を聞き取りながら調整を行うため、感情的な対立がある場合でも話し合いを進めやすい点が特徴といえます。
協議離婚と異なり、第三者が関与することで条件の整理や合意形成が図られやすく、養育費や財産分与などについて一定の公平性が期待できる側面があります。また、合意内容は調停調書として作成され、法的な効力を持つ点も重要なポイントです。
ただしあくまで合意を前提とした手続きであるため、双方の主張が大きく隔たっている場合には成立に至らないこともあります。その場合は、不成立として終了し、裁判手続きへ進むことが検討されるケースが一般的です。
裁判離婚
裁判離婚は、調停でも合意に至らなかった場合に家庭裁判所へ訴訟を提起し、判決によって離婚の可否や条件を決定する手続きです。話し合いではなく、法律に基づく判断によって結論が出されます。
裁判においては民法で定められた離婚原因の有無が重要となり、不貞行為や悪意の遺棄、婚姻関係の破綻などについて証拠に基づいて審理が行われます。そのため、主張を裏付ける資料や証拠の準備が不可欠となり、専門的な対応が求められる場面も多い傾向にあるといえるでしょう。
手続きには一定の期間を要し、弁護士費用なども含めると負担が大きくなる傾向もあります。
丸の内ソレイユ法律事務所調停離婚は、裁判離婚と違い、調停委員を介して話し合いで解決を目指す手続きです。一見シンプルに見えますが、親権・養育費・財産分与・面会交流など取り決める条件は多岐にわたり、合意内容はその後の生活に長く影響します。調停は本人だけでも進められますが、主張の整理や見通しの立て方によって結果が変わることも少なくありません。進め方に迷ったら、早い段階で弁護士に相談し、ご自身にとって無理のない条件を一緒に組み立てていくことをおすすめします。
調停離婚の一般的な流れ


調停離婚は、申立てから一般的に複数回の期日を経て合意に至るという流れで進みます。どの段階で何が行われ、どのような準備が求められるのかを理解しておくことが重要といえるでしょう。調停離婚は、一般的に以下の流れで進行します。
- 家庭裁判所に離婚調停の申立てをする
- 第1回期日
- 続行期日
- 調停成立・終了
調停は一度の話し合いで結論が出るケースは少なく、期日を重ねながら段階的に条件を調整していくケースが多い傾向にあります。
それぞれの段階について、詳しく解説します。
家庭裁判所に離婚調停の申立てをする
離婚調停は、管轄の家庭裁判所に申立書と必要書類を提出することで開始されます(家事事件手続法245条1項)。申立書には離婚を求める理由や、親権・養育費・財産分与など希望する条件を記載し、戸籍謄本や事情説明書などを添付するのが一般的です。
申立先は相手方の住所地を管轄する家庭裁判所か、当事者間の合意で定める家庭裁判所です。提出後は裁判所で日程調整が行われ、申立てからおおむね10日~2週間程度で第1回期日の呼出状が双方に送付されます。
第1回期日
第1回期日は申立てから1~2か月程度で実施され、申立人と相手方がそれぞれ別室で調停委員と面談し、これまでの経緯や離婚理由、希望する条件などについて確認が行われます。夫婦が同席しない形式で進められるため、原則直接対面せずに手続きを進めることが可能です。
この段階では、争点となる事項や今後の進め方が整理されることが一般的であり、必要に応じて資料の提出や次回期日までの検討事項が示されます。
1回あたりの所要時間は2時間前後とされ、内容によって前後する場合があります。
続行期日
第1回期日で合意に至らない場合は、続行期日が設定され、調停が継続されます。期日はおおむね月1回程度の間隔で開かれることが多く、複数回にわたって話し合いが行われ、合意できる条件を模索していくのが一般的です。
この段階では、養育費や財産分与、慰謝料、面会交流など、個別の条件について具体的な調整が進められます。調停委員は双方の主張を確認しながら、条件の整理や調整を行う役割を担います。
また、事案の内容に応じて必要があれば家庭裁判所調査官が関与して、生活状況や意向を踏まえた調査が行われることも少なくありません。調停は期日ごとに進展状況が異なるため、必要に応じて資料の提出や条件の見直しが求められる場合もあるでしょう。
調停成立・終了
双方が離婚および条件について合意に至った場合、調停調書が作成され調停が成立し、同時に離婚も成立します。調停調書は家事事件手続法268条1項の定めにより確定判決と同様の効力を持つため、養育費などの支払いが履行されない場合には、民事執行法22条5号に基づき強制執行の手続きが可能とされています。
調停成立後は、成立日から10日以内に市区町村へ離婚届を提出しなければなりません(戸籍法77条1項・63条1項)。この届出によって、戸籍上の手続きが完了します。
一方で、合意に至らない場合や、当事者の一方が出頭しない状態が続く場合には、調停は不成立として終了します。その後は、審判や裁判といった別の手続きへ進むかどうかを検討することになるでしょう。
裁判に進む場合には、主張や証拠に基づいて判断が行われるため、手続きや対応がより専門的になる傾向があります。そのため、必要に応じて弁護士に相談し、方針や見通しを整理しておくことも選択肢の一つです。
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調停が不成立の場合


調停で合意に至らなかった場合は、不成立として手続きが終了し、別の方法での解決を検討することになります。
一般的には裁判離婚に進むことになりますが、場合によっては審判離婚となるケースがあります。それぞれの違いについて、詳しく見ていきましょう。
離婚裁判に移行する
調停が不成立となった場合、多くは家庭裁判所に離婚訴訟を提起し、裁判離婚へ進むことになります。訴訟では、離婚原因の有無や慰謝料、財産分与などについて証拠に基づいた審理が行われたうえで裁判所が判決を下す、もしくは和解によって解決が図られます。
調停と異なり、合意ではなく裁判所の判断によって結論が示されるため、主張や証拠の精査がより重要になるといえるでしょう。
審判離婚となるケースもある
当事者間で離婚そのものや主要な条件についてはおおむね合意しているものの、細部の調整がまとまらない場合には、家庭裁判所が職権で審判を行い離婚を成立させることがあります。これが審判離婚です。
審判離婚は、調停の延長線上で裁判所が一定の判断を示す手続きといえ、裁判のように全面的な争いを前提とするものではありません。ただし、家事事件手続法286条5項に定めがあるように審判告知から2週間以内に当事者のいずれかが異議申立てを行った場合には失効する性質があり、最終的な解決手段として用いられるケースは限定的とされています。
調停離婚と審判離婚・裁判離婚の違い


調停離婚と審判離婚、裁判離婚は、それぞれ進め方や判断主体が異なります。ここでは、調停離婚・審判離婚・裁判離婚の主な違いをまとめました。
| 調停離婚 | 審判離婚 | 裁判離婚 | |
| 手続きの性質 | 話し合いによる合意 | 裁判所の職権による判断 | 判決または和解 |
| 判断の主体 | 当事者(調停委員が仲介) | 裁判所 | 裁判所 |
| 主な特徴 | 比較的柔軟に条件調整が可能 | 合意に近い状態で補完的に利用される | 法的要件に基づいて判断される |
| 法的効力 | 調停調書は確定判決と同等の効力 | 判決と同等の効力を持つが、審判告知から2週間以内に異議申立てがあれば失効する | 判決は法的拘束力を持つ |
| 利用される場面 | 協議がまとまらない場合 | 条件の細部のみ争いがある場合 | 全面的に対立・一方が出頭しないなど調停で解決できない場合 |
調停離婚は、当事者の合意に基づく話し合い型の手続きです。それに対し、審判離婚は裁判所が職権で審判を下す点に、裁判離婚は判決によって離婚の可否や条件が決まる点にそれぞれ特徴があるといえるでしょう。法的効力にも違いがある点も、無視できません。審判や裁判は法的効力を持つものの、2週間以内に異議申立てがあると失効することは理解しておく必要があります。
一般に、当事者の自己決定が強く反映されるのは調停離婚であり、審判離婚・裁判離婚になるほど裁判所による法的判断の比重が高まるとされています。
調停離婚のメリット・デメリット


調停離婚は、協議離婚と裁判離婚の中間に位置する手続きであり、それぞれの特徴を併せ持っています。そのため、メリットだけでなく、利用にあたっての負担や制約も踏まえて検討することが重要です。
メリット
調停離婚の主なメリットとして、第三者である調停委員が関与することで、当事者同士だけでは難しい条件の整理や合意形成が図られる点が挙げられるでしょう。双方の言い分を踏まえながら調整が行われるため、感情的な対立がある場合でも話し合いを進めやすいとされています。
合意内容は調停調書として作成され、確定判決と同様の効力を持つ点も特徴です。養育費などの支払いが履行されない場合には強制執行が可能とされており、取り決めの実効性が担保されやすいといえるでしょう。
裁判と比べて手続きが柔軟であり、当事者の事情に応じた条件調整が行いやすい点もメリットといえます。
デメリット
調停離婚のデメリットとして挙げられるのは、合意に至るまでに一定の期間を要する点です。調停は複数回の期日を重ねて進められることが一般的であり、数か月~1年程度かかるケースもあるとされています。
離婚調停の期日は平日の日中にしか設定されず、家庭裁判所への出頭が必要となるため、仕事や育児との両立が難しい場合もあるでしょう。
調停以外の選択肢:ADR(裁判外紛争解決手続)という方法
調停離婚は一定の手続きや時間的制約を伴うことから、状況によっては別の方法を検討することも選択肢の一つです。例えば、裁判所を利用せずに第三者が関与する話し合いの場として、ADR(裁判外紛争解決手続)を利用する方法もあります。
ADRでは、専門家が間に入りながら離婚条件の調整を行う点は調停と共通していますが、オンライン対応や夜間・休日の実施など、手続きの進め方に柔軟性がある点が特徴です。
調停離婚についてよくある質問
Q1.調停離婚の流れにおける注意点は?
調停離婚では、財産や収入状況を示す資料、別居・モラルハラスメントなど事情を示す証拠や生活状況についてまとめた記録などをあらかじめ用意しておくことが重要といえるでしょう。
調停の場では、録音や録画は認められていませんが、メモを取ることは可能です。相手方の主張や提示された条件を記録しておくことで、次回以降の期日に向けて役立つ場合があります。
Q2.調停離婚にはどの程度の費用がかかる?
離婚調停に必要な費用は、申立手数料としての収入印紙代(1,200円)や連絡用の郵便切手代などが中心であり、裁判所に納める費用自体は数千円程度に収まることが一般的です。郵便切手の金額は東京都内の家庭裁判所では1,240円、大阪府内の家庭裁判所は1,430円など裁判所によって異なるため、事前に確認しておくといいでしょう。
ただし、弁護士へ依頼する場合には、着手金や報酬などの費用が発生します。トータルコストは、依頼内容や事案の難易度によって変動するのが一般的です。
Q3.裁判所での調停離婚に抵抗がある場合の解決策は?
裁判所での調停に抵抗がある場合には、ADR(裁判外紛争解決手続)を利用する方法があります。ADRは裁判所を介さずに、第三者である専門家が間に入り、離婚条件の調整を行う手続きです。
オンライン対応や夜間・休日の実施など、柔軟な環境で進められる場合もあり、調停よりも負担を抑えながら話し合いを進めたい方にとって選択肢の一つになるでしょう。
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Q4.調停離婚中に別居できる?
調停中に別居すること自体は、可能とされています。別居していることのみを理由に不利になるとは限りませんが、別居後の生活費や子どもの監護状況は、調停で確認される重要な要素になり得ます。
特に、婚姻費用をどのように分担するか、子どもの生活環境をどう維持するかは、離婚条件の話し合いにも関係してくるでしょう。別居を検討する際は、住居や収入、子どもの通学・生活環境などを踏まえ、調停で説明できる状態にしておくことが大切です。
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Q5.調停の場に相手が来ない場合はどうなる?
相手方が正当な理由なく調停期日に出頭しない状態が続くと、調停は不成立として終了し、その後は審判または離婚訴訟へ進むことになります。
呼出状が届いているのに出頭しない場合でも、現行制度では強制的に出頭させることは難しく、訴訟といった別の手段を検討することになるのが一般的です。
調停離婚の流れを把握して準備を整えよう


調停離婚は、家庭裁判所を通じて第三者が関与しながら合意形成を目指す手続きであり、協議離婚と裁判離婚の中間に位置づけられます。申立てから期日を重ねて条件を整理していく流れとなるため、あらかじめ全体像を把握しておくことが重要です。
調停は柔軟な話し合いが可能である一方、一定の期間や出頭の負担が伴う点にも注意が必要です。状況によっては、調停以外の方法も含めて検討することが現実的なケースもあります。
離婚に関する手続きは個別の事情によって適した進め方が異なるため、自身の状況に応じて無理のない方法を選択することが重要といえるでしょう。
