夫婦喧嘩でいつも同じことを繰り返してしまい、うんざりしている人はいませんか。「もう離婚しかない」と思えば、「子どものために仲直りしよう」と考え直し、しばらくして同じような喧嘩をしてしまう。どうして夫婦喧嘩で同じことを繰り返してしまうのか。原因と対策を紹介します。

高草木 陽光
これまで9,000人以上のカウンセリングを行い、夫婦問題・家族問題で悩む人を解決に導くお手伝いをする夫婦カウンセラー。
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美容師、育毛カウンセラーを経て、結婚して専業主婦となるが、夫の束縛や価値観の押し付けに違和感を覚え「結婚生活とは何か」ということを深く考え始める。書籍に「なぜ夫は何もしないのか なぜ妻は理由もなく怒るのか」(左右社)、「心が折れそうな夫のためのモラハラ妻解決BOOK」(左右社)、メディア実績にNHK総合「あさイチ」、フジテレビ「ホンマでっか!?TV」、テレビ朝日「羽鳥慎一 モーニュングショー」、「ABEMA Prime」などがある。

夫婦喧嘩で同じことを繰り返してしまうのはなぜ?
夫婦喧嘩が繰り返される背景には、日々のコミュニケーションや誤解などの様々な要因が存在します。
一度決まった喧嘩のパターンは、繰り返されやすくなる傾向があります。とくに日頃から意見を交わす機会が少ないと、ちょっとしたズレに気づいたときに感情が爆発しやすいものです。感情をぶつけ合うだけで終わってしまうと、根本的な問題は何も解決されないまま次の衝突を迎えることになります。定期的に時間を取り、普段の気持ちや考えを共有する努力が必要です。
また、夫婦喧嘩は日常生活のストレスのはけ口となりがちです。仕事や育児などで疲弊していると、つい感情的な言葉を投げかけてしまい、同じトラブルを繰り返す結果につながることがあります。自分も相手も余裕がない状態で話し合うのは避け、気持ちが落ち着いているときに互いの不満や悩みを冷静に共有することが大切です。
夫婦喧嘩で同じことを繰り返してしまう理由
同じ内容の喧嘩を何度も繰り返すのには、無意識の心理的要因が絡んでいる場合があります。
※写真はイメージ(iStock.com/PonyWang)
相手より優位に立ちたいから
夫婦喧嘩が繰り返される理由の一つに、自分が正しいと主張し続けて相手に譲らない心理が挙げられます。特に夫婦間で力関係が固定化してしまうと、どちらかが優位に立とうとする言動がエスカレートしやすくなります。相手の意見より自分の立場を守ることが優先されると、同じ衝突パターンから抜け出すのが難しくなってしまいます。
自分の不満をうまく伝えられない
夫婦生活における小さな不満を適切な形で表せないと、タイミングを逃したり言い方を誤ったりして繰り返しトラブルになることがあります。お互いが冷静でないときに不満をぶつけても、理解し合うより先に感情が衝突してしまうだけです。結果的にモヤモヤした気持ちが解消されず、同じような口論を繰り返す要因となります。
相手の考えを変えようと執着している
相手を自分の理想や基準に合わせようとする気持ちが強い場合、夫婦での話し合いは対立方向に進みがちです。特に価値観の根本が異なるテーマでは、お互いに歩み寄りが難しく、同じパターンの衝突が続くことになります。相手を変えるよりも、まずは黙って相手の考えを聞く姿勢を養うことが、負のループを断ち切る第一歩です。
問題の本質から目を背けたい
本当の原因を探ろうとせず、表面的な言い争いばかりを繰り返していると、真の解決策は一向に見えてきません。お互いに嫌な部分ばかりを責め合い、そのたびに口喧嘩で終止符を打つ形になってしまうと、また似たような対立を招いてしまいます。深い部分の理解が得られないままでは、何度話し合っても同じ問題にすり減らされるだけです。
夫婦喧嘩で同じことを繰り返さないためのポイント
マンネリ化した喧嘩のループを断ち切るために、実践しやすい対策を検討してみましょう。
※写真はイメージ(iStock.com/takasuu)
できるだけ感情的にならない
感情が高まっているときは、相手の言葉を受け止める余裕がなくなりがちです。話し合いの直前に深呼吸をしてみたり、一度その場を離れてクールダウンする時間を設けたりする工夫が大切です。冷静な頭で話を始めることで、相手への攻撃的な態度をとらずに済み、同じ衝突パターンを回避しやすくなります。
相手を言い負かそうとしない
夫婦喧嘩に勝ち負けはありません。どちらが正論を言ったかを競うような姿勢は、お互いの立場を認める気持ちを失わせ、繰り返し衝突に陥りやすくなります。相手を打ち負かすのではなく、相手には相手の考えがあることを理解しようとする意識を持つことが大切です。
具体的な行動の改善目標を立てる
夫婦喧嘩が同じパターンをたどる場合、どこで衝突が起きるのか具体的に洗い出してみましょう。タイミングや場所、言葉の選び方など、トラブルが発生しやすい原因をはっきりさせることがポイントです。改善策を整理したら、夫婦で同意した上で一つずつ実践し、効果を話し合うプロセスを積み重ねると良いでしょう。
面と向かって話せないときは手紙で
直接顔を合わせるとつい感情的になってしまう場合、LINEや手紙で自分の考えを伝える方法もあります。文章にすることで自分の気持ちを整理でき、衝突しやすいタイミングを避けて相手に伝えられるメリットがあります。思わぬ言い間違いから発生する衝突も防ぎやすいため、じっくりと話し合いを進めたいときに有効です。
第三者を交えて話し合う
夫婦だけで解決が難しい場合は、カウンセラーや信頼できる友人・家族に相談するのも一つの手段です。客観的な立場から、冷静に意見を指摘してもらうことで、同じ衝突を繰り返し続ける理由がわかりやすくなることがあります。自分たちでは気づかない思い込みや固定観念を第三者が丁寧に解きほぐしてくれることで、問題解決の糸口が見えることも多いです。

喧嘩になってしまうのは、どちらかというと喧嘩の”内容”よりも、”言い方や態度”が発端となっている場合がほとんど。相手の言い方や態度に傷ついたり、悲しくなったりすることで、一方もその感情を怒りの言葉や態度として表してしまうため喧嘩に発展してしまいがち。
まずは、「〜と言われて悲しかった」とか「こうしてくれると、すごく助かるから次からヨロシクね」など言い方を工夫してみると相手も変わってくれるかも。
夫婦喧嘩で同じことを繰り返してしまう…離婚した方がいい?
※写真はイメージ(iStock.com/kieferpix)
同じような喧嘩を続けていると、離婚が頭をよぎることもあるかもしれません。いったいどのように判断すればよいのでしょうか?
同じ衝突を繰り返すことで精神的に疲弊し、「もうこれ以上続けられない」と感じる瞬間があるかもしれません。しかし、離婚に踏み切る前に、その喧嘩が本当に修復不可能なものかを見極めることが大切です。
特に相手を無視し続ける、あるいは一方だけが謝罪し続けるような状況では、関係修復が難しくなることもあります。ただし、最終的な判断は、二人が本心で話し合ったうえで決めるべきです。あなたの望む生活や価値観、また相手との今後の関係性について、しっかりと考える時間を持ちましょう。
離婚を検討する前に夫婦関係を振り返ろう
日々の小さな不満が蓄積し、大きな衝突として表面化しているケースも多いものです。離婚を急ぐ前に、まずは夫婦間のコミュニケーションや日常生活での協力体制を振り返ることが大切です。
相手への批判にばかり目が行ってしまうと、問題を自分事として考える機会を失いやすくなります。自分自身は相手を理解しようとどれだけ行動したか、相手の言い分を聞く姿勢が足りなかったのか、検討してみましょう。
感情的な言葉で相手を傷つけることは、本質的な問題を見えなくしてしまいます。お互いが歩み寄る最後のチャンスとして、冷静かつ建設的な会話を持つ時間を作りましょう。
夫婦カウンセリングを検討してみよう
二人だけでは解決が難しい場合、夫婦カウンセリングという選択肢があります。カウンセリングでは、専門家の客観的な視点から、これまでの関係性を見つめ直すきっかけを得られます。
感情的になりがちな話し合いも、カウンセラーが間に入ることで、冷静に互いの気持ちを伝え合える場となります。相手の言葉の背景にある感情や価値観を理解し、建設的な対話を進めるためのヒントも得られるでしょう。
それでも離婚したいときは
様々な努力を重ねても関係修復が難しいと感じた場合、離婚に向けて弁護士への相談を検討しましょう。特に子どもがいる場合や財産分与について不安がある場合は、専門家のアドバイスを受けることで、より良い判断ができます。
弁護士相談では、離婚の進め方や手続きの流れ、養育費や慰謝料など具体的な条件について、法律の専門家から客観的なアドバイスを得られます。また、今後の生活設計についても、実務的な観点から相談に乗ってもらえます。
夫婦喧嘩で同じことを繰り返してしまうときは、原因を整理しよう
夫婦喧嘩を繰り返してしまう場合、問題の本質を見つめ直し、対話の仕方を工夫することで状況を改善できるかもしれません。お互いの言い分がまったくかみ合わないときは、主張の根本がどこにあるのかを整理してみましょう。背景にある思いを掘り下げれば、新しい解決策や歩み寄りのポイントが見えてくる可能性があります。
夫婦はただの同居人ではなく、互いに信頼し合い、助け合うパートナーです。相手への不満が一時的に爆発しても、長く一緒に過ごしてきた背景や支え合ってきた実績を思い出すことで、冷静さを取り戻せるでしょう。必要に応じてカウンセリングなどを利用し、二人のコミュニケーションを見直す機会を作ることで、より良い関係を築けるかもしれません。