妻が家出してしまったら、帰ってきてもらうために夫はどのように対処すればよいのでしょうか。入念に準備をして家出した妻は、二度と家に戻らないつもりなのかもしれません。家に帰らない妻の心理や妻の居場所の見つけ方、家出した妻と離婚する方法についても解説します。
妻が家出して帰ってこない…
妻が突然、黙って妻が家出してしまったら、妻に帰ってきてもらうために、夫に何ができるのでしょうか。妻の居場所がわからず、連絡もとれない状態が長く続くと、妻の身に何かあったのではと不安になります。自分に原因があるのか、と悩む夫もいるでしょう。
そこで、家出した妻の探し方や連絡をとる方法、妻が家出する理由を説明します。家出した妻と離婚できるかどうかも解説しますので、参考にしてください。
些細な意見の食い違いから喧嘩が始まり、お互いにヒートアップし、実際には思っていないけど、出ていけば良いと突き放してしまったところ、家出してしまいました。
お互いに頭を冷やす時間が必要だと感じた為、妻が行きそうな友人宅に連絡を取り、何処にいるのかの確認だけしてそっとしておきました。3日ほどで無事に帰ってきました。
共働きでその代わり家事も分担する約束をしていたが、仕事で疲れが重なった結果家事が手につかず結果として家事を任せきりになってしまうことが、何回もあった。
何回か、ちゃんと家事を行うように言われていたが、応えることができなかった結果、家出されてしまった。すぐに探しに行き、思い出の場所で見つけることができた。
妻が家出する理由は?
なぜ夫に何も言わず、妻は家出してしまうのでしょうか。妻が家出する理由や、「家に帰らない」と決心するまでに至る心理を説明します。
夫と一緒に居たくないから
妻が家出する理由の一つが、日ごろから感じている夫への不満です。専業主婦の妻を見下す、自分勝手な行動で家族に迷惑をかけるといった夫の言動にうんざりした妻は、夫と一緒に暮らすことを苦痛に感じてしまいます。普段は我慢できていても、夫婦喧嘩などが引き金となり、衝動的に家を出ていってしまうことがあります。
家事・育児に疲れたから
夫や周囲の協力が得られず「ワンオペ育児」状態の妻は、1日中、体も心も休まる間がありません。すると、子育てに疲れて何もかもが嫌になり、家出したくなることがあるようです。特に何をやっても子供が泣き止まないときや、イヤイヤ期で子供が言うことをきかないときは、子供に愛情はあるものの、ついイライラしてしまいがちです。
トラブルを抱えているから
妻が黙って家を出ていってしまうとき、夫には知られたくないトラブルを抱えている可能性もあります。たとえば、借金や過去の交際相手との揉め事、実家の家族の問題などが考えられます。こういった場合、衝動的に家出することは少なく、夫に隠れて家を出る準備をしているケースがほとんどです。
最近の妻の様子で気になる行動がなかったか思い返してみると、問題が解決するヒントがあるかもしれません。妻1人ではトラブルを抱えきれず、夫にも影響が及ぶこともあるため、少しでも心当たりがあれば早急に対応しましょう。
浮気をしているから
妻が家を出ていって帰ってこないのは、浮気相手のところにいるからかもしれません。この場合、妻は本気で夫と離婚するつもりで家出している可能性があります。
家出する前に、妻が1人で外出する頻度が増えたり、夫のいる場所で電話をするのを避けたりといった不自然な行動をしていたなら注意が必要です。気になる場合は、探偵事務所に調査を依頼すると、事実が明らかになることがあります。
妻が家出したときの対処法
妻が家出しても、そのうち帰ってくるだろうと悠長に構えられる夫もいますが、ほとんどの夫は妻が帰ってこないことに不安や焦りを覚えるはずです。そこで、妻の居場所の探し方や妻と連絡をとる方法について説明します。さまざまな対処法を試しながら、妻が無事に帰ってくることを祈りましょう。
連絡手段を見つけて連絡する
妻が家出しても、なんらかの方法で妻と連絡を取り合う手段があれば、音信不通になるのを避けられます。妻が携帯電話を持って家出したなら、まずは電話で安否確認をとってみましょう。
妻が電話に出ない場合は、メッセージアプリなどで「心配している」「連絡をしてほしい」といった文章を送るのも一つの方法です。夫が連絡しても無視される可能性が高い場合は、妻と親しい友人などを介して、代わりに連絡をとってもらうという手もあります。
妻が行きそうな場所に行く
妻の居場所を見つけたいとき、やみくもに探しても時間と労力を無駄にするだけかもしれません。妻が出ていった状況から、妻が行きそうな場所を予測して、いくつか候補を絞ってから探すと効率的です。たとえば、夫婦喧嘩をして衝動的に出ていったのなら、行く当てがなくて、よく行くカフェやショッピングセンターで時間を潰している可能性があります。
また、出ていった時間が夜であれば、泊まる場所が必要になることから、友人の家や深夜も営業しているファミレスなどが行き先の候補にあがります。旅費や荷物を準備して計画的に家出をした場合は、実家や夫の知らない場所にいて、すでに新しい生活を始めているかもしれません。
妻の知人・実家に連絡をする
料金がかからず安全に長時間過ごせることから、家出した妻は、知人の家や実家に身を寄せるケースが多いようです。家出した妻がどこに行ったか検討がつかないときは、まずは妻の知人や親に連絡をとってみましょう。妻の居場所は分からなくても、妻の親しい友人や親兄弟は、妻から事前に悩みの相談などを受けているかもしれません。
また、夫のことは無視しても、友人や親を心配させたくなくて、親しい人には連絡をする場合もあります。妻から連絡があったときのために、妻の知人や親に伝言を頼んだり、連絡があったことを知らせてもらうようにしたりしておくとよいでしょう。
妻が持ち出したものを確認する
家出した妻が持ち出したものから、妻の居場所や家出した理由などを推測できることがあります。普段使っているバッグや財布くらいしか持ち出していないなら、すぐに帰ってくる可能性が高いと考えられます。一方で、衣類や日用品、スーツケースや旅行用のかばんがなくなっているなら、しばらく家に帰らないつもりかもしれません。
また、通帳や印鑑、健康保険証といった身分証を持ち出すのは、計画的な家出の特徴です。妻が持ち出したものを調べるときは、同時に残されたものにも目を向けましょう。デスクの引き出しやごみ箱の中から、走り書きのメモや妻宛ての請求書など、手がかりになるものが見つかるかもしれません。可能であればPCの検索履歴なども確認するとよいでしょう。
警察に相談する
家出した妻の手がかりを探す途中で、自殺をほのめかす書き置きや、身の危険が迫っていると考えられる痕跡が見つかった場合は、すぐに警察に相談しましょう。警察では、届出のあった行方不明者が、自殺したり犯罪の被害に遭ったりする可能性が高いと判断した場合、特異行方不明者として扱います。
特異行方不明者は生命や身体に危害が及ぶ危険があるため、すみやかに捜索が行われます。一方、事件性がない一般の行方不明者に対しては、積極的な捜索はされませんが、行方不明者届が受理されると、警察のデータベースに登録されます。
このデータベースは、事件や事故の発生時に、身元を照会するときにも用いられるものです。このため、パトロール中の職務質問、交通違反の取り締まりなどの際に、偶然行方不明者が見つかることがあります。妻の家出が予想以上に長引き、有効な手がかりや連絡をとる手段がないときも、警察署に行方不明者届を出しておいたほうがよいでしょう。
家出を理由に妻と離婚できる?
妻が家出をしたまま長期間帰ってこないとき、いっそ区切りをつけたくて、離婚を検討する夫もいるでしょう。家出した妻と離婚することはできるのでしょうか。妻の居場所がわからず連絡もとれないときの離婚方法も説明します。
状況によっては離婚できることもある
どのような理由であれ、夫婦の合意があれば協議離婚という形で離婚することができます。しかし、夫が離婚を求めても家出をした妻が音信不通だと、本人の意思が確認できず、すぐに離婚することはできません。また、連絡はとれても、家出した妻は離婚を拒否するかもしれません。
妻が離婚を拒否し、話し合っても解決しないときは、家庭裁判所に離婚調停を申し立て、調停委員を介した話し合いで合意を目指します。離婚調停でも解決しない場合は、離婚裁判を提起し、裁判所の判断を仰ぐことになります。しかし、妻の家出が夫による浮気やDVだった場合は、夫が有責配偶者となり裁判で離婚が認められない可能性があります。
また、裁判を起こすには民法で定められる離婚事由が必要で、夫婦関係を続けられない理由があることを示さなければなりません。裁判で離婚が認められると、妻の意思にかかわらず離婚が可能です。妻の家出に関連する離婚事由としては、妻の浮気や3年以上の生死不明、そして「悪意の遺棄」が考えられます。
悪意の遺棄とは、正当な理由がなく、結婚生活に必要な義務を果たさないことです。民法では「夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない」と定められており、夫に黙って家出をした妻は、この義務を放棄したと判断される可能性があります。
ただし、夫婦喧嘩が原因で妻が数日実家に帰っている程度では、悪意の遺棄とは認められないでしょう。妻の家出が悪意の遺棄に該当するかどうかは、家出の期間や家出前の夫婦関係など個別の事情で判断されるため、まずは弁護士に相談するとよいでしょう。
3年以上生死不明なら音信不通の妻とも離婚が可能
家出した妻の居場所がわからず連絡もとれない場合、話し合いができないので協議離婚や調停離婚といった離婚手続きが進められません。そのようなケースでは、妻からの連絡がなく生きているかどうかもわからない状態が3年以上続いていれば、夫から裁判を起こして離婚請求できます。
その際に、ただ3年間連絡がつかないというだけでは離婚が認められにくいため、十分に捜索したという客観的な証拠も必要です。警察への行方不明者届や、探偵事務所の調査結果、勤務先や親しい知人など周囲の人の証言をまとめた陳述書などが証拠として役立つ可能性があります。
離婚が成立すれば、その後に妻が生きていることがわかっても、離婚の判決が覆ることはありません。また、場合によっては3年たっていなくても「悪意の遺棄」で離婚が認められるケースもあります。詳しくは弁護士に相談してみましょう。
家出をした妻と離婚したい場合は専門家へ相談
妻が家出するとき、夫婦喧嘩などが原因で感情のままに家を飛び出すこともあれば、入念に準備した上で計画的に家を出るケースもあります。家出した妻と何日も連絡がつかない場合、トラブルに巻き込まれている可能性もあります。個人での捜索には限界があるため、警察や探偵事務所に相談することも検討しましょう。
家出した妻と離婚したい場合、妻と連絡がとれるかどうかなど、個別の事情で離婚手続きが変わります。また、離婚の可否については家出の期間や状況によって個別に判断されるので、まずは離婚問題に詳しい弁護士に相談してみましょう。
北松戸ファミリオ法律事務所(千葉県弁護士会所属)
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